ハートキャッチプリキュア!~もう一人の戦士"大樹の騎士"~ 作:風森斗真
けど……まだまだ続くのよ……(大蛇丸風味
なお、若干、ネタバレというか、オリジナルストーリーの流れを意識したセリフがありますが、皆さんのスルースキルならばスルーしてくれると信じています……(嘘じゃないよ?だってその話を出すまで十話くらい書く予定だし
……あぁ、そうそう。昨年あたりから、ISとDXのクロスオーバ-作品とゴーストハントと少年陰陽師のクロスオーバー作品を投稿し始めたの。後者の方は投稿再開だけれど、そっちも読んでくれるとうれしいわ(大蛇丸風
追いかけてくるデスピアの攻撃をかいくぐりながら、セイバーはどうやってこの場を切り抜けるか、考えていた。
戦えないことはないし、少し無理をすれば、倒すことも不可能ではない。
だが、それは一対一で戦った場合のことだ。
戦わずに逃げの一手を迷わず選ばせた理由は、デスピアがマジカルばかり狙っていることにあった。
さすがのセイバーも、誰かをかばいながら戦う、となると勝率はぐっと低くなるため、策を練る必要があった。
さて、どうしたものか、と考えていると、マジカルが走りながら喚いた。
「もぉっ!なんでこんなことになってるのよぉっ!!」
その叫びが届いたのか、それとも単純にタイミングを見計らっていたのか、突然、どこかから一人の少女の問いかけが聞こえてきた。
『お困りですか?』
「困ってるに決まってるでしょ!!」
マジカルが即答すると、突然、デスピアが地面に沈んだ。
よく見てみると、デスピアから伸びている茨に、五人の少女が着地していた。
「な……な……」
「
「え?し、知ってるの?あの子たちのこと??!!」
「知ってるも何も、あいつらもプリキュアだ」
「えぇぇぇぇぇぇっ??!!」
セイバーの言葉に驚きを隠せないマジカルをよそに、着地した五人のプリキュアは決めポーズとともに名乗りだした。
「みなぎる愛!キュアハート!!」
「英知の光!キュアダイヤモンド!!」
「陽だまり、ぽかぽか!キュアロゼッタ!!」
「勇気の刃!キュアソード!!」
「愛の切り札!キュアエース!!」
「「「「「響け!愛の鼓動!ドキドキプリキュア!!」」」」」
「いや、名乗ってる場合か?来るぞ!!」
名乗ったと同時に、セイバーの警告通り、デスピアの茨が攻撃を仕掛けてきた。
だが、五人はプリキュアオールスターズの中でもずば抜けたセンスを持つメンバーが集まったチームであり、セイバーとムーンライトほどではないにしても戦闘経験もそれなりに豊富だ。
まして、集中的に攻撃が向かっているマジカルはセイバーが護衛してくれている。
彼女たちが目の前の敵に後れを取る要素は一切なかった。
「敵はマジカル狙いですわ!」
「了解!フォローするよ!!
「セイバー!マジカルの護衛、お願い!!」
「ここはわたしたちが!」
次々と向かってくる茨に対して、ハートたちは後れを取ることなく、次々に防いでいき、本体へとむかっていった。
「スパークル・ソード!!」
「ダイヤモンド・シャワー!!」
「ハート・ダイナマイト!!」
防御に徹していたロゼッタ以外の三人の手によって、ディスピアは行動を停止した。
その光景に、セイバーは口笛を吹き、マジカルはただただ呆然としていた。
「相っ変わらず容赦ない連携だなぁ……さすが、オールスターズきっての優等生チームだ」
「す、すごい……」
交流の有無という差があるが、セイバーとマジカルではそれぞれに抱く感想が違っていた。
すでにその連携を一度見たことがあるセイバーは、相変わらずの連係プレイに感嘆したのに対し、初見であるマジカルはただただ驚いていた。
「どうやったら、あんなに強く……」
「なれるよ!」
いつの間に隣に立っていたのか、ハートがマジカルのつぶやきに返した。
「愛さえあれば、ね?……そうだよね、セイバー?」
「なぜ俺に聞く?」
宇宙の外からやってきた敵対型地球外生命体に対抗するために組織された特殊部隊の生き残りが戦う物語を描いた特撮ヒーローのオープニングで歌われたような言葉を言いながら、問いかけるハートに、セイバーは半眼になって反論した。
だが、ハートは臆することなく、首を傾げて返してきた。
「だって、セイバーはブルースカイ王国の名誉貴族に叙されたとき、五人にプロポーズしたじゃないですか?」
「……え、それ言っちゃう?今言っちゃうの??てか、その話、関係ある?」
なお、ハートの言葉は嘘ではない。
幻影帝国という、ラブリーたちが戦った敵勢力がブルースカイ王国を制圧した事件が起きたが、王国の解放と幻影帝国の撃退に手を貸した功績を讃え、プリキュアたちとセイバーに一代限りの条件でブルースカイ王国の男爵の爵位が与えられたことがあった。
そこに加えて、日本政府が人口減少に歯止めをかけるために、一定の所得を得ている人物に対し、五人まで異性との婚礼を認めるという法案を設立させていた。
セイバーはすでにトランプ王国とブルースカイ王国の王立学校初等部ならびに中等学校の歴史の教師として臨時雇用されている。
そこに加えて、四葉財閥と海藤グループが経営する博物館に優秀な学芸員を紹介した紹介料を十分すぎるくらいもらっている。
高校生ながらかなりの貯金があるため、思い切って五人のプリキュアにプロポーズしたのだが、全員、惚れた弱みでもあるのか、あっさりとOKし、今に至るという状態だった。
むろん、プリキュアたちと一部の友人たちはそのことを知っているため、公然の秘密のようなものになっているのだが、さすがにこの場で言うことではない。
なお、ハートは。
「あ~ぁ、あたしが総理大臣になったら、LGBTを意識した婚姻に関する法案、成立させちゃおうかなぁ~」
「おいおい、ハート。それ、私利私欲が混じってないだろうな??」
「ちょ、ま、マナ?!なんでそんなこと言うのよ??!!」
何が狙いなのか、なんとなく察してしまったセイバーと、成立してくれたらうれしいのだけれど素直に喜んでいいのかどうかわからないダイヤモンドは同時にハートに突っ込んでいた。
一瞬だけ和やかな空気が流れたが、倒しきれていなかったディスピアが雄叫びをあげた瞬間、全員の視線がディスピアに集中した。
「……マジカル、先に行って!セイバー、マジカルのこと、お願いね?」
「え?で、でも……」
「……わかった。任されよう。遅れるなよ?花見」
「わかってますって!」
セイバーの問いかけに、ハートがにっこりと笑って返すと、ハートはマジカルに向き直って問いかけた。
「あなたも来るんだよね?お花見」
「え?ま、まぁ、行くけど……」
「それじゃ、あとでね?」
ウィンクしながら微笑みかけ、そう告げるハートだった。
マジカルはそれが『お花見の時にまた会おう』という約束であることを察するまでさほど時間はかからなかった。
ならば、満面の笑みでハートたちと再会するために、ミラクルと合流することが先決と判断したマジカルは、あとでね、と返して、先へ進んだ。
セイバーもそのあとを追いかけるようにして走っていった。
そのため、彼らは知らなかった。
ディスピアがハートたちを拘束したうえで自爆することを選んだということを。
なお、同時刻。
囚われたプリキュアたちを助けようと、モフルンとアロマ、パフの三匹がソルシエールの館に潜入し、トラウーマと追いかけっこを繰り広げていたのだが、それはまた別の話。