ハートキャッチプリキュア!~もう一人の戦士"大樹の騎士"~   作:風森斗真

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またそのうちやるかも?


みんなで歌う奇跡の魔法~3、新たなプリキュアとの出会い~

災禍の顕主が自爆し、その跡地を見て、その威力の凄まじさに冷や汗をかいたセイバーだったが、安どのため息をついて、再び周囲を見回した。

どうやら、現状、この空間にいるのは自分だけのようだ。

 

――かといって、このままじっとしてるわけにもいかないしな……どうしたものか

 

腕を組み、地面に座りながらそう考えていると、悲鳴のような声が聞こえてきた。

音のする方へ視線を向けると、紫色の何かが落ちてきていた。

よく見れば、それは紫色の髪をした、魔法使いのような恰好をした少女だった。

 

「ちょっ??!!ルウィーユフィルク(約束の翼)!!」

 

歴代のユグドセイバーから受け継がれていく聖剣、エターナルハートに秘められた力を開放するための古代の言葉を叫んだ。

その瞬間、腰にあったエターナルハートがエメラルド色の光を放ち、六本のナイフへと姿を変え、セイバーの背後に浮かび上がった。

それと同時に、セイバーの体が浮かび上がり、真っ直ぐに落ちてくる少女へとむかっていった。

落下してくる少女を受け止めたセイバーは、そのままゆっくりと地面に降りた。

 

「……あ、あれ?痛く、ない??」

「危なかったな。大丈夫か?」

 

何が起こったのかわからず、キョトンとしている少女に、セイバーはそう声をかけた。

少女はその問いかけにうなずいて返し、自分が置かれている状況を確認すると顔を真っ赤に染めた。

その理由の大部分、というよりも、セイバーの受け止め方が理由そのものだった。

その姿勢が横抱き、いわゆる、お姫様抱っこ、というやつだ。

これで真っ赤にならないのは、抱きかかえているのが同性か、幼いか、でなければよほどポンコツかのどちらかだろう。

もっとも、セイバーに抱きかかえられている少女は、この年頃の少女としては一般的な感性を持っているらしく、赤くなりながら降ろすよう、催促してきた。

 

「あ、あの……もう大丈夫なので、降ろしてください……というか、降ろしなさい!今すぐ!!」

「あ、あぁ……すまない」

 

その勢いに、セイバーは思わず謝罪しながら、少女を地面に降ろした。

降ろされた少女は顔を真っ赤にしたまま、服の乱れを直し、こほん、と咳払いをしてからセイバーに向き直った。

 

「助けてくれてありがとう。わたしはキュアマジカル」

「あ~、なるほど。やっぱりプリキュアだったか」

 

身に着けている衣装と雰囲気から、なんとなくそんな感じがしていたセイバーだったのだが、その予想は的中していたらしい。

そして、彼女もまた、別のプリキュアを探していたらしく。

 

「プリキュアを知っているの??!!」

「あ、あぁ……俺はプリキュアじゃないけど、俺の幼馴染と後輩が、な」

「お、幼馴染と後輩さんが……って、あなたは違うの?」

「俺はプリキュアと同じ力で戦うもう一人の戦士ってところか?」

 

疑問形で返したのは、実のところ、プリキュアにしてももう一人の戦士にしてもわからないことが多すぎるためだ。

だが、マジカルにとってプリキュア以外にもう一人の戦士がいた、という事実のほうが強烈だったらしく、口をあんぐりと開けていた。

 

「……こらこら、女の子がそんな顔しない」

「……あ、ご、ごめんなさい……」

 

だらしない顔をしていることに気付いたマジカルは、セイバーに指摘され、頬を少し赤くしながら謝罪し、居住まいを正した。

その後、周囲を見回し、セイバーに一つ、問いかけてきた。

 

「あ、あの……わたしの友達を、キュアミラクルを見ていないかしら?」

「いや、俺も仲間とはぐれちまってな……どうしたもんかと思ってたところ……」

 

そう言いかけたとき、突然、二人の背後に何かが落下してくる音が聞こえてきた。

音のほうへ視線を向けると、はるかが想いを寄せている王子カナタと、キュアスカーレットに変身するトワの故郷、ホープキングダムを絶望に染めあげた"絶望の魔女"デスピアがいた。

自らの化身である影を茨に変え、まるでスカートのように束ねたその頂点から、二人を見下ろしていた。

 

「……走れるか?」

「……え、えぇ……」

「そんじゃ……」

「……あ、あの、まさか……」

 

セイバーの問いかけに、マジカルは彼がこれから何をしようとしているのか確かめるため、問いかけようとした。

が、そんな暇もなく、セイバーは走り始めた。

 

「逃げるんだよ~!マージカール!!」

「って、やっぱりぃっ??!!」

 

予想通りの返答に、マジカルは涙目になりながら叫び、セイバーを追いかけた。

 

「な、なんで逃げるのよ?!戦わないの??!!」

「正面からまともにやり合って勝てるならやってるさ!」

 

マジカルの問いかけに、セイバーはそう返した。

実際、逃げながらも追いかけてくるデスピアの影を振り払っていた。

向かってくる方向を絞ることができるからできる芸当であり、立ち止まった瞬間、少なくとも前後左右と頭上から同時に影が攻撃してくると読んでいるのだろう。

だが、気になることが一つあった。

デスピアの狙いが、マジカルに集中しているのだ。

まるで、弱いものから先にたたきつぶそうとしているかのように。

 

「……まさか、敵はマジカルに狙いを定めてる?」

「な、なんでわたしばっかりぃっ?!」

 

セイバーが口にした予測に、マジカルは涙目になりながら悲鳴を上げた。

実際のところ、その予想は正しかった。

倒したはずのデスピアたちを心無い人形として復活させた魔法使い、ソルシエールは使い魔であるトラウーマのアドバイスで戦いに慣れていないミラクルとマジカルに狙いを定めるよう、指示を出していた。

それも一つの目的のためなのだが、その目的をセイバーたちは知らない。

 

そして、セイバーたちが知らない事実がもう一つあった。

すでに、大半のプリキュアたちがソルシエールの手によって復活した敵の手にかかり、囚われの身になっているということを。


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