ハートキャッチプリキュア!~もう一人の戦士"大樹の騎士"~ 作:風森斗真
まぁ、こんなのがあと二回くらいありますけども(そうでないと、話数がおおくなりすぎちゃう(汗
……次回当たり、ちょっと中休みで別の話、投稿しようかなぁ……
「まったく、気を付けろ!ウタエン!!」
突然、踊りだしたウタエンにむかってオドレンが注意すると、ウタエンは申し訳なさそうに謝罪した。
「つ、次の曲いくっすよ!!」
どうにか話題を変えようと、ウタエンは次の曲を促した。
「スマイルプリキュアで『イェイ!イェイ!イェイ!』」
「そして、Yes!プリキュア5GoGo!で『プリキュア5 フル・スロットルGoGo!』の二曲を続けてどうぞ!!」
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ギターの軽快なBGMが始まると同時に、いつもの秘密基地である不思議図書館に集合したスマイル組が、何やら話し合っている風景が映し出された。
どうやら、パートナー妖精であるキャンディのサプライズバースデーパーティーを計画しているようだ。
五人で計画を練っていると、キャンディが無邪気な笑みを浮かべながら、割り込もうとしてきた。
好奇心旺盛なキャンディのことだから、それは当然といえば当然のこと。
だが、みゆきたちがしようとしていることはあくまでも『サプライズ』。
仕掛ける側に知られてしまっては意味がない。
そのため、五人は珍しく、キャンディを避けるようにして、誕生日パーティーの準備を始めるのだった。
誕生日パーティーといえば、当然、バースデーケーキが必要となる。
ということで、五人でケーキを作り始めたのだが、みゆきが生地を混ぜていたボウルを落としそうになったり、あかねが素早い手つきでクリームを塗っていったり、なおがイチゴを素早く切っていったりと、なかなか賑やかな様子が描かれていた。
ちなみに、やよいはケーキに飾り付けるキャンディの飴細工を作り、れいかは部屋の飾りつけを担当していた。
ケーキが完成すると、不思議図書館の本棚が光り、その中からキャンディが飛び出してきた。
飛び出してきたキャンディの勢いは止まることなく、そのままみゆきと顔面衝突してしまい、二人とも床に倒れ込んだ。
幸いなことに、ケーキは無事だったのだが。
ふと、キャンディが部屋を見回すと、いつもと飾り付けが違うことに気づいた。
みゆきたちがキャンディの飴細工が乗ったバースデーケーキを見せると、キャンディは満面の笑みを浮かべ、みゆきに飛びついた。
それを抱きとめるみゆきたちの顔にも、彼女たちのチーム名に恥じぬ、キラキラした笑顔が浮かんでいた。
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スマイル組のステージが終了すると、あたりが一瞬で暗くなり、静寂に包まれた。
だが、次の瞬間、先ほどのスマイル組の音楽とは違い、優雅さと力強さが融合したような曲調のBGMが流れだした。
その瞬間、スポットライトが中央に浴びせられ、ステージに立つ、六人の姿が照らし出された。
六人は観客席に手を振りながら、ステージの前の方へと歩いて行った。
スクリーンの方へ視線を向けると、GoGo組が集まるナッツハウスが映っていた。
店内のレジでは、文庫本を読んでいる夏とにこやかに会話しているこまちの姿があった。
その上空では、巨大化したシロップがうららを乗せて空の散歩を楽しんでいた。
一方、店外にある、色とりどりの花を咲かせているプランターに水やりをしているのは、りんとくるみだった。
だが、くるみは花の美しさに思わず緊張がほどけ、ミルクの姿に戻ってしまった。
それを慌てた様子でかれんが受け止めたので大事には至らなかったが、りんとかれんは困ったような笑みを浮かべていた。
そして、ナッツハウスの目の前にある湖の桟橋には、小々田が立っていた。その背中を見つけたのぞみがナッツハウスを出て、駆け寄りながら呼びかけた。
その声に気づいた小々田が振り返り、微笑みを浮かべると、のぞみはその笑顔に見惚れ、思わず止まってしまった。
場面が一転すると、ドレスを着たのぞみと、正装をした小々田がおとぎ話の舞踏会のように、ダンスを踊り、互いの顔が近づいていく――という、のぞみの妄想が映っていた。
のぞみの後ろに座っていたりんたちは、のぞみが何を考えていたのか、簡単に察することができたらしく、ミルクに至っては、かれんの腕の中でかみつきかねない勢いでのぞみをにらみつけていた。
慌てて否定するのぞみだったが、その肩に小々田が手を触れて、微笑みかけると、明るい笑顔を返した。
ナッツハウスの近くにある草原を、それぞれ仲のいい妖精たちを肩に、あるいは頭に乗せて、五人は駆けていく。
その顔には、満面の笑みが浮かんでいたことは、もはや言うまでもない。
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スマイル組とGoGo組のステージが終わり、みゆきたちは参加者席に戻ってきた。
「えー、『Yes!スマイルプリキュア5』の皆さんは……」
「いや、混ざってるっす、兄貴」
スマイル組とGoGo組の名前をまぜこぜに言ってしまったオドレンに対し、ウタエンが思わず普段の口調でつっこみを入れた。
その後も、GoGoが抜けていた、とぼけたり、まだステージに上がっていないチームの名前が混ざったりと、もはや狙って間違っているのではないか、と疑いたくなるようなボケを連発してするオドレンだったが、それを放置して、ウタエンがGoGo組にインタビューを始めた。
「にしても、プリキュア5の皆さんは美男美女ぞろいっすねぇ。それに妖精が人間になれるなんてすごいっす!」
「え?!そ、そうですね。みんなカッコイイと思います……あ、ミルクはかわいいだよね!あ、あははは……何言ってんだろ、わたし……」
「のぞみさんったら……」
「うふふ♪」
意外な質問にてんてこ舞いになるのぞみを見ながら、うららは恥ずかしそうに頬を染め、こまちは相変わらずのマイペースで穏やかな笑みを浮かべていた。
「やっぱりのぞみ、緊張しちゃってますね……」
「ふふ、そうね」
一方で、付き合いの長いりんは、呆れたように肩を落としながらつぶやき、かれんがそれに相槌を打った。
「けど、イケメン具合だったらうちのコッペ様も負けてないよ~!」
「えりか、のぞみさんにとって、ココさんが一番カッコイイんですよ!」
なぜか対抗心を燃やすえりかに、つぼみがつっこみを入れた。
なお、そのやりとりを聞いていた何人かは。
――菖/さんだって負けてないわよ/です!!
――湊くんだって、かっこいいもん!!
と、謎の対抗心を燃やしていた。
なお、えりかにそう突っ込んでいたつぼみも。
――でもわたしにとっての一番は菖さんです!!
と、対抗心を燃やしていた。
なお、その気配に気づいたのかどうかはわからないが。
「ん?……なんか、甘酸っぱいっす!!」
と、ウタエンがそんな反応をしていた。
「さて、スマイルプリキュアの皆さん、ステージに立ったご感想は?」
調子が戻ったのか、それとも本当に狙って間違えていたのか。
今度はオドレンがスマイル組にマイクを向けた。
「いや~、さすがにちょっと緊張しましたわ」
「うん……失敗したらどうしようって思っちゃったよ……」
「でも、キャンディとポップのスマイルが見ることができて、ウルトラハッピーです!」
「スマイルにかけては、うちのチームはどこにも負けへんからな!決めるときは決める!それがスマイルプリキュアや!!」
若干、弱気なやよいに対し、みゆきとあかねが明るくインタビューに答えると、ウタエンも笑顔を浮かべながらインタビューを続けた。
「いや~、仲のいいチームっすね!」
「でも、みゆきさんとキャンディさんは、ちょっぴりドジなコンビと聞きましたけど?」
「え?!そんなこt……」
オドレンの質問に対し、反論しようとしたみゆきが立ち上がると、バランスを崩し。
「あっ!」
「「えぇ?!」」
見事に地面に顔面からダイブした。
それを見たスマイル組が心配しないわけがなく。
「「みゆきちゃん?!」」
「大丈夫ですか?!」
やよいとあゆみが悲鳴を上げ、れいかが安否を気遣った。
だが、あかねは苦笑を浮かべながら、ある意味でフラグを建ててしまったオドレンに対して。
「オドレンさん……そないな振りしたら、みゆきはこけるに決まっとるやろ?」
と、ツッコミを入れていた。
ただのインタビューだったはずが、いつの間にか、コントのようになってしまっていたことに困惑していたオドレンは。
「え?そんなシステムなの?」
「そやで」
と、聞き返してきた。それに対して、真面目にうなずくあかねだったが、それもすぐになおと湊によって否定された。
「いや、システムて……」
「そんなの無いから」
「……はっぷっぷ~」
そんなやりとりを聞いていたみゆきは、当然、むくれてしまっていた。
一方、ここまでのステージを見ていたはるかたちは。
「すごいステージだったなぁ……みんな、キラキラ輝いてた!!」
「えぇ、次の曲が楽しみね」
「あたしたちも、負けてらんない!」
純粋に感動するはるかとみなみに対し、きららは闘志を燃やしていた。
どうやら、ステージに立つものとして、スイッチが入ってしまったようだ。