ハートキャッチプリキュア!~もう一人の戦士"大樹の騎士"~   作:風森斗真

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いよいよ、カーニバルスタート!
所々、オリジナルが入りますがご了承を!


春のカーニバル♪~Ep.5:You make me happy~

オドレンとウタエンに紹介されながら、プリキュアオールスターズの入場が終わり、メンバー全員が指定された席についた。

 

――なんか、週末の夜に放送されている音楽番組のようなセットに似てるような……

 

席についた菖は苦笑を浮かべながらそんな感想を抱きつつ、それとなく周辺を見た。

観客席には、たくさんの妖精たちが、ステージの始まりを今か今かとキラキラした顔で待っていた。

が、その中に、まるでコソ泥のような印象を受ける顔をした、かかしのようなものがあることに気づいた。

 

「……兄貴、気づいた?」

「お前もか、湊」

「あぁ……あれも観客、なのか?」

 

ひそひそと、菖の隣に座っていた湊が声をかけてきた。

どうやら、怪しいかかしに気づいているのは、菖と湊の二人だけのようだ。

何かが怪しい、初めからそうは思っていたが、ここまでくると、警戒したくもなってきた。

だが。

 

「……水を差すのもなんだから、いつでも動けるように準備だけしておこう」

「了解」

 

せっかくのカーニバル、それもプリキュアたちが主役なのだから、水を差すようなことはしたくなかった。

ゆえに、準備をするだけにとどまることにしたようだ。

そうこうしているうちに。

 

「観客席の皆様、そしてプリキュアのパートナー妖精の皆様!今日は心行くまで、プリキュアオールスターズによる歌とダンスをお楽しみください!!」

 

司会進行を務めるオドレンのアナウンスに、観客席の妖精たちが黄色い歓声をあげた。

歓声が響く中、オドレンとウタエンが早速、一曲目の紹介に入った。

 

「それでは、早速一曲目に参りましょう!」

「フレッシュプリキュアの皆さんで、『You make me happy!』」

 

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曲が紹介されると、巨大なスクリーンとステージが出現した。

ステージの上にはすでに変身したラブたち、フレッシュプリキュアのメンバーがそろっていた。

曲が始まり、フレッシュ組がダンスを始めると、スクリーンにPVのようなものが映りだした。

 

四つ葉のクローバーが咲いている広場にいたラブたちと、その傍らで飛んでいるシフォンを慌ただしくタルトとアズキーナが追いかけていく。その様子を見ながら、四人が笑みを浮かべていた。

 

せつなが抱えているたくさんのハートの中から一つずつ、タルトとアズキーナ、シフォンに、ラブたちが手渡していく。

三人だけではなく、四葉町に住んでいる家族や友人たちにもラブたちはハートを配っていった。

 

けれど、そのハートは、決して笑顔だけで生み出せたものではない。

そう語るかのように、せつなはイースの姿となり、うずくまっていた。

だが、ラブと美希、祈里が涙を流しながら、イースの手をつかむと、ダンスステージを一緒にジャンプした。

その顔には、もう涙は浮かんでいなかった。

 

いきなり場面が変わり、四人がエンジェルモードになると、ホホエミーナとともに空を飛んで行った。

上空で、四人が手をかざすと、地上から光が集まっていき、やがて、地球を包み込むほどの大きなハートとなった。

そのハートの中で、見ているみんなに投げかけるように、ピーチが投げキッスをすると、曲が終了すると、四人のダンスも終了した。

 

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フレッシュ組がダンスを終えると、階段状のステージへと戻っていった。

ちょうど、彼女たちと対面するような位置に座っていたオドレンとウタエンは、マイクを片手に四人に感想を伝えた。

 

「いや~、素晴らしいステージでございました!」

「ありがとうございます!」

「タルトにはいつもお世話になってるし、シフォンは歌とダンスが大好きだから、頑張りました!」

 

オドレンの感想を受けて、美希とラブがそれぞれ言葉を返すと、ウタエンがフレッシュ組に質問を投げかけた。

 

「そういえば、四人そろってのダンスは久しぶりじゃないっすか?」

「はい。せつなは今、ラビリンスを幸せな国にするために頑張ってるから、なかなか一緒にダンスができなくて」

「そうだったのですか……」

 

寂しそうなラブとせつなの気持ちは、咲と舞も体験したものだった。

 

「わたしたちも、妖精のみんなとなかなか会えないんだ」

「だから、ラブさんの気持ち、わかるわ」

 

咲と舞のパートナー妖精であるチョッピとフラッピは、ダークフォールの勢力を退けた後、本来いる世界へと戻っていった。

大空の樹を介して、こちらの世界とチョッピ達の世界を行き来することもできるが、それでも、やはり毎日、というわけにはいかないらしい。

少しだけ、しんみりとした空気になってしまったが、その空気を吹き飛ばすように、のぞみの元気な声が響いた。

 

「大丈夫!お互いを想い合う心があれば、なんとかなるなる!」

 

呑気と言えば呑気なのだが、その通りでもあるため、いつもならつっこみを入れているりんとくるみなのだが、今回ばかりは何も言ってくることはなかった。

彼女たちも、その気持ちはわかっているのだから。

 

「うん!どんなに離れたって、せつなはわたしたちの大切な親友だよ!!」

「……ありがとう、ラブ」

 

ラブの言葉に、せつなは微笑みを浮かべながら返した。

そのやり取りに、司会者二人は感動したらしく。

 

「うぅ……いい話だぜ!」

「ダンスって、最高っす!!」

 

オドレンは涙を流し、ウタエンは急に立ち上がり、踊り始めた。

むろん、急な動きのせいで周囲に被害が出てしまい。

 

「「……何やってんだか……」」

 

と、菖と湊の二人に苦情を言われてしまった。

その冷たい視線に、ウタエンはうろたえながら謝罪をするのだった。


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