ハートキャッチプリキュア!~もう一人の戦士"大樹の騎士"~ 作:風森斗真
では、待っていたかどうかはわかりませんが、いよいよ、オールスターズNS最終幕の登場です!
もちろん、あいつも出しますぞ~
いつになるかは言いませんが
その日、菖とゆりは、ももかと一緒にファッション部によるプチファッションショーに参加していた。
自分でデザインしたらしい衣装を着て、試着室から次々と部員たちが出てくると、今度はゆりとももかの出番となった。
「……えりか。なんでわたしたちは二人一緒なのかしら?」
「まぁまぁ、着てみればわかるっしゅ!!」
「ほら、ゆり!しのごの言わないで、入った入った!!」
「あ、ちょ!!」
ももかに言われるまま、というより、背中を押されるまま、ゆりは試着室へと入っていった。
それから数分と経たずに、カーテンが開かれた。
カーテンの向こうには、でかでかと「友」と書かれたTシャツを着たももかと、同じようにでかでかと「情!!」と書かれたTシャツを着たゆりの姿があった。
二人が並ぶと「友情!!」の単語が成立するという、変わったTシャツのようだ。
「へぇ……二人にぴったりじゃないか?」
「そうかしら?」
「決まってるじゃない!だって、あたしたち二人を感じで表わしたら『友情』に決まってるじゃない!」
「……まぁ、それもそうか」
普段の二人の仲良しぶりから、菖は納得したようにうなずいた。
なお、えりかは菖も
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菖がえりかのファッションショーから逃げて、行かなければならなかった場所。
そこは、夢違え観音と呼ばれる観音様についての伝承が残る遺跡だった。
――さて……はたして鬼が出るか蛇が出るか……
菖はその手に握りしめた一枚の封筒に視線を向けながら、心中でつぶやいた。
実のところ、菖はここにくる用事はなかった。
なぜなら、ここは一度、じっくり見学した上、あまり面白いものもなかったため、すっかり興味を失っていたのだ。
ならば、なぜここに来たのか。
その理由が、手にある封筒に入っていた手紙だった。
その手紙には、こんなことが書かれていた。
『ここ数日の間に起きている、子どもが目を覚まさない奇病は、普通の病気ではない。むろん、特殊なウィルスや病原菌、あるいは未発見の生物による感染症の類でもない。原因はほかにある。それを知ることができるのは、神秘を守護する側にいるものか、神秘に触れたことがある者たちのみ。
――いや、戻ってこれなくなるって、どんだけ危険なんだよ……
手紙の主にツッコミを入れながら、菖は周囲を見まわした。
すると、ある一点に気づき、そっとため息をついた。
――なるほど。こりゃ確かにみんなにゃわからないな
視線の先にあるもの。それは、何かのゲートのような、虹色の光の輪だった。
だが、遺跡の周辺を散策している人々はそれに気づいていない様子だった。
そのことから、どうやらこの光は、自分にしか見えていないということを確信できた。
菖は、その筋の人々からは「見鬼」と呼ばれる才能を持つ、稀有な人間だ。
見鬼の目は、普通の人間では捉えることのできないものを見定めることができる。
そのため、いわゆる霊視を行う人間は、この才能を持っていると言われている。もっとも、その才能が本物であるという保証はないのだが。
菖は虹色の光を見つめながら、再び、陰鬱なため息をついた。
「……はぁあ……これ、行くしかないよなぁ……」
いかにも行きたくなさそうにため息をつきながら、光の方へと歩み寄った。
静かに光へ手を伸ばし、触れてみた。
すると、菖の手は光の中へ吸いこまれていった。
おもむろに光の背後を覗いてみるが、つき抜けてはいなかった。
どうやら、この光の先は別の空間に通じているらしい。
普通ならば、驚き、慌てふためくところなのだろうが、そこは何度となくプリキュアたちと戦ってきた守護騎士だ。
まったく動揺しているようには見えなかった。
――やれやれ、ほんとに鬼か蛇が出てきそうだよ……
この先に何が待っているのか、不安しかなかったが、行くほかにないことを理解していたため、菖はためらうことなく、光の中へ入っていった。