ハートキャッチプリキュア!~もう一人の戦士"大樹の騎士"~ 作:風森斗真
スキットではなくストーリーです
20周年だからね! 仕方ないね!!
ここはソラシド市。
スカイランドという異世界からやってきたヒーローに憧れる少女ソラ・ハレワタールと、同じく、災害による影響でスカイランドから落ちてしまった『プニバード族』と呼ばれるスカイランドの鳥少年ツバサ。
そして、元はスカイランドに住んでいたのだがソラシド市に居を移した博物学者ヨヨ。
なぜか異世界人が三人も存在するというその街に、菖とゆり、つぼみ、いつきの四人が訪れていた。
一緒にえりかも来ていたのだが。
『お母さんからプリティホリックに資料を届けて来てほしいって言われてるんでぇ』
と言ってソラシド市に到着するなり、商店街の方へと向かっていってしまった。
かくいう菖たちも、別に遊びに来たわけではない。
「それで、つぼみ。そのヨヨさんのお宅はこっちのほうであってるのか?」
「はい。そのはずですが……」
「随分、町から離れていくんだね」
いつきが口にしたように、四人は今、町から少し離れた小高い丘を登っている。
その上に、今回の目的地であるヨヨ邸があるようだ。
「えぇ。おばあちゃんも町から少し歩くみたいだけどって言ってました」
そもそも、この場につぼみたちが来ている理由は、昨日、薫子からお使いを頼まれたからであった。
昨日、薫子からソラシド市に住んでいる大学時代の知り合いから、いくつか野菜とハーブの種を分けてほしいという連絡があったそうだ。
薫子自ら届けに行きたいところではあったのだが用事があったため、直接赴くことができない。
かといって、郵便で送ると種の鮮度が心配である。
そこで、年の近い孫がいるから、という理由でつぼみたちにお使いをお願いする運びとなったのだ。
おばあちゃんっこのつぼみはもとより、普段からお世話になっている薫子からの頼みを断るほど、ゆりも菖もいつきも薄情者ではない。
えりかもさくらからプリティホリックソラシド市支店に届け物をしてほしいと頼まれたため、ハートキャッチ組全員がこの場に来ることになったのだった。
「それにしても、おばあちゃんの話していたヨヨさんってどんな方なんでしょう?」
「さぁ? こればっかりは直接お会いしないとなんとも言えないな」
「そうね……少なくとも、大学時代に知り合った、と言っていたから植物のことにも造詣が深いんじゃないかしら?」
「ぼくとしては、お孫さんがどんな子なのか気になるなぁ」
そんなことを話しながらしばらく歩き、ソラシド市にある小高い丘を登ると、その先にはかれんやありす、みなみの生家ほどではないが、それなりの大きさを持つ邸が見えてくる。
「あそこだな」
「大きいおうちです!」
「広いわね……」
「可愛い……」
ヨヨ邸と思われる家を見つけた一行はそんな感想を漏らしながら玄関へと向かっていき、つぼみがインターホンを押す。
すると、ドアの奥から元気のいい声が聞こえてきた。
それとほぼ同時に。
「こんにちは! どちら様でしょう?」
「おっと……えぇっと、わたし花咲つぼみといいます。あの、ヨヨさんにお届け物が……」
青い髪を右側にサイドテールでまとめ、斜めぱっつんで切った前髪にしている、いかにも元気っ娘という印象を受ける少女の質問に、つぼみが答えていると。
「あら。薫子さんからの荷物を届けに来てくれたのね?」
元気っ娘の背後から眼鏡をかけた老婆が姿を見せ、元気っ娘が老婆の名前を呼んだ。
「ヨヨさん!」
どうやら、この老婆が薫子の知人、虹ヶ丘ヨヨであるらしい。
「ソラさん、この人はわたしの大学時代のお友達のお孫さんよ。えぇとあなたたちは……」
「あ、俺たちはこの娘の付き添いです」
「「初めまして」」
「初めまして。よかったら、中でお茶していって?」
突然、ヨヨからお茶に招待された菖たちだったが、断る理由もなかったため、菖たちはその招待を受けることにした。
家の中に入り、リビングに通されると赤ん坊を抱えた長い髪の少女と、菖とゆりと同年代と思われる気の強そうな女性。そして、片目が前髪で隠れている少年がソファで団らんしている姿を見かける。
「あ、いらっしゃい」
「「こんにちは」」
「あんいちあ!」
菖たちの姿を見かけると、四人はそれぞれに声をかけてくる。
彼らに挨拶を返し、ヨヨに促されるまま、ソファに座ると、先ほどの青い髪の元気っ娘が赤ん坊を抱えた少女の隣に座り。
「改めまして、わたしはソラ。ソラ・ハレワタールです。こちらは、わたしがお世話になってる」
「虹ヶ丘ましろです。この子はエルちゃん」
「あいっ!」
「ツバサと言います」
「わたしは聖あげは。保育士学校に通ってる、保育士見習い! よろしくね」
と、自己紹介してくれた。
それに応じるように、菖たちもそれぞれ自己紹介する。
その後、菖たちはヨヨが淹れてくれたお茶を楽しみながら、談笑をしていた。
「なんとっ! いつきさんも武術を嗜んでいるのですか?!」
「うん。一応、菖さんとゆりさんもだけど……」
「ぜひ、稽古をつけてください! ヒーローになるためにも、修行は欠かせません!!」
「おぉ……なんか、すごくまっすぐだな、ソラは」
「そうね。実に好ましいわ」
「それなら、今度ぜひ、希望ヶ花市にも遊びに来てください!」
「はいっ!!」
その中で、なぜかソラを希望ヶ花市に遊びに行く約束を取り付けていた。
その理由がヒーローになるという、ソラの夢を達成するための手助けというのだから、実に
そんな会話を続けていると。
「こんにちは~! いやぁ、まさかこんなに離れてるとは思わなかったっしゅ……」
もう一人、ソラシド市を訪れていた菖たちの仲間、来海えりかがやってきた。
その後、えりかもソラたちに自己紹介をしたうえで談笑に加わり、ヨヨ邸はしばし、賑やかな空気に包まれるのだった。
~おまけ~
『そういえば聞いたことがあるような……』
つぼみ「そういえば、ましろさんの声……」
ましろ「はい?」
菖「そうだな。なんか聞いたことあるような気がする……」
えりか「……ちょっと、『すあまじゃないラビっ!』って言ってみてほしいっしゅ」
ましろ「へ?……すあまじゃないラビっ!!」
いつき「あぁ……なるほど」
ゆり「あの子に似てるのね」
ましろ「えっと、あの子って……??」
ソラ、ツバサ、あげは、エル「「「「????」」」」
『同い年』
あげは「そういえば、菖くんもゆりちゃんも同い年なんだよね?」
菖「そういえば、そうだな」
ゆり「えぇ」
あげは「なら、今度、一緒に遊びに行かない?」
ゆり「構わないわよ?」
菖「どうせなら、ほかのメンツも誘うか?」
あげは「いいねぇ! なんかアガルっ!!」