ハートキャッチプリキュア!~もう一人の戦士"大樹の騎士"~   作:風森斗真

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正直、戦闘の描写がやりづらくてやりづらくて……
あっさりしすぎている感じはあると思いますが、ご了承を。


強いです!キュアムーンライトとユグドセイバー!!

キュアムーンライトとユグドセイバー。

かつての強敵が復活したことに、砂漠の使徒の幹部たちは驚愕していた。

「さてと……後輩たちが随分、世話になったみたいだな」

「そうね……ここからは、わたしたちがお相手しましょう」

エターニアハートの切っ先を幹部たちに向けながら、セイバーがそう言うと、ムーンライトはいつの間にか取りだしていたムーンタクトを構え、同じように先端を幹部たちに向けた。

二人が放つ威圧感に、さすがの幹部たちもたじろいだが、その緊迫は一瞬で解かれることになった。

「キュアムーンライトーーーーーーーっ!!」

「……っ!?ムーンライト!!」

セイバーが叫んだ瞬間、ムーンライトは後ろに振り向き、タクトを構えた。

その瞬間、ムーンタクトと交差するように、黒いタクトが出現した。

その先には、宿敵ダークプリキュアがいた。

「心の種に異変を感じて来てみれば……復活したというのか?!」

「だからどうしたというの?!もうわたしは、あなたには負けない!!」

「上等だ!決着をつけてやる!!」

ダークプリキュアが雄叫びを上げると、ムーンライトに高速で攻撃してきた。

だが、ムーンライトはその攻撃を的確に捌き、ダークプリキュアとの距離を取った。

「セイバー、ダークプリキュアはわたしが!」

「なら、残りの三人は俺が」

背中を合わせた二人がそれだけ言葉を交わすと、二人は同時に地面を蹴り、それぞれの相手へと距離を詰めた。

セイバーに距離を詰められた三幹部は、驚愕しながらも身構え、迎撃の体勢を整えていた。

「はっ!三対一で勝てるとでも……」

思っているのか、と言いかけたコブラージャだったが、その声を遮るようにセイバーは雄叫びを上げた。

「セイバーストライク!!」

「なぁぁぁぁぁぁっ??!!」

光をまといながら突進してきたセイバーを止めることが出来ず、コブラージャは吹き飛ばされてしまった。

「うそぉん?!」

「な……なんちゅう馬鹿力じゃ?!」

「よそ見してて、いいのか?」

吹き飛ばされたコブラージャの方を見ていたクモジャキーとサソリーナだったが、すぐ近くでセイバーの声が聞こえてきたことに気づき、顔を引きつらせた。

「復活祝いだ、盛大に行こうじゃないか」

「ちょ、ま……」

「待たない!セイバーインパクト!!」

今度はサソリーナの腹に、こころの花の力をまとった左手を叩きつけると、サソリーナは衝撃波によってコブラージャと同じ場所まで吹き飛ばされてしまった。

だが、さすがに三幹部きっての武闘派を謳うだけあって、クモジャキーだけはなかなか一撃で、というわけにはいかなかった。

「……さすがに、他の二人みたいに簡単にはいかないか」

「当たり前(じゃ)!(おい)はあの二人のように、簡単には倒れんき!覚悟せぇよ!!」

「上等!!」

クモジャキーは引き抜いたサーベルを構え、セイバーに突進していった。

だが、セイバーの頭に向かって振り下ろされた刃は、エターニアハートに阻まれた。

クモジャキーは半ばでたらめにサーベルを振るい、セイバーに攻撃してきたが、その斬撃のすべては受け止められてしまった。

「どうした?その程度か??」

「くっ!!」

まだ余裕そうなクモジャキーは悔しげに顔を歪めた。

「次は、俺の番だ!!」

いうが早いか、セイバーは受け止めていたサーベルをはじき、三角形を描くようにクモジャキーを切りつけた。

だが、エターニアハートには刃がないため、クモジャキーの服が切り裂かれることはなく、鈍い打撃だけがクモジャキーに襲い掛かった。

クモジャキーはその鈍い痛みをどうにか耐え、反撃に転じようとした。

だが、その前に、セイバーの次なる攻撃がクモジャキーに襲い掛かってきた。

「せいっ!!」

短い気合いとともに、セイバーはエターニアハートの切っ先をクモジャキーに向け、高速での連続突きを見舞ったかと思えば、素早く左手に持ち変えて、跳躍すると同時にクモジャキーを切り上げた。

「がっ!!」

「これで、終わらせる!!エターニア・ブレイドダンス!!」

脳震盪を起こして一瞬だけ気を失ったクモジャキーを、セイバーは青白い光をエターニアハートにまとわせながら、容赦なく袈裟、逆袈裟、右薙に切りつけ、最後に跳躍と同時に切り上げた。

さすがに最後の技が効いたらしく、クモジャキーはそれ以上立ちあがることもなく、コブラージャたちより少し前の位置まで吹き飛ぶと、立ちあがることはなかった。

「くっ!!これ以上、ここにいたらわたしたちがあぶないわん!!」

「美しくないし、不本意だが、ここは撤退しよう!!」

普段はいがみあっていることが多い幹部たちだが、さすがに自分たちの身が危険にさらされていることを理解し、この時ばかりは素直に意見を聞き入れ、撤退していった。

セイバーは追撃することなく、サソリーナたちの撤退を見送ると、最大の宿敵と戦っているムーンライトへ視線を向けた。

だが、援護に向かうことなく、フラフラな状態のブロッサムたちの方へと向かっていった。

「しょ、菖さん……?」

「よく頑張ったな、三人とも」

一番ボロボロになっていたブロッサムの頭をなでながら、セイバーは三人をねぎらったが、惚れた相手に頭をなでられて呆けているブロッサム以外は、そんなことよりも、と慌てた様子でセイバーに問いかけた。

「そんなことよりも!ムーンライトの援護に行かなくていいの??!!」

「相手はダークプリキュアなんですよ?!」

「大丈夫だよ」

セイバーは慌てているマリンとサンシャインに落ち着いた様子でそう話した。

何を根拠に大丈夫と言っているのか、いまひとつわからないといった様子で、マリンとサンシャインは首を傾げた。

だが、セイバーはそんな二人を責めることなく、ただただまっすぐなまなざしで、今もムーンライトが戦って居る空を見上げた。

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そのころ、上空ではムーンライトとダークプリキュアの一騎打ちが繰り広げられていた。

最初こそ、地上での高速の肉弾戦が繰り広げられていたが、ダークプリキュアの抜き手を紙一重で回避し、投げ飛ばした瞬間、ダークプリキュアは空中へと逃れ、闇の力を弾丸にしてムーンライトに撃ち放ってきた。

飛んでくる弾丸を回避しながら、ムーンライトは同行していたコロンに、マントに変身してもらい、自分も空へと飛んだ。

だが、飛び上がった先では、ダークプリキュアがダークタクトに自身の力を込め、最大の一撃を準備していた。

「ダークフォルテウェーブ!!」

「シルバーフォルテウェーブ!!」

放たれた攻撃にすぐさま反応し、ムーンライトはフォルテウェーブをぶつけた。

二つのフォルテウェーブは拮抗し、消滅することなく押し合っていた。

「ダークプリキュア!どうしてそこまでわたしを憎むの?!"お前はわたし"とは、いったいどういうことなの??!!」

ムーンライトは押し負けないようにフォルテウェーブにこころの花の力を注ぎ続けながら、ダークプリキュアに問いかけた。

"お前はわたし"とは、何度となくダークプリキュアがムーンライトに投げてきた言葉だ。

ダークプリキュアはその問いかけに、忌々し気な表情を浮かべながら返した。

「お前が月の光とすれば、わたしは影!影が光を飲み込んだとき、月は一つになる!いまこそ、そのときだ!!」

またもなぞかけのような言葉を叫びながら、ダークプリキュアはフォルテウェーブにさらに強く力を込めた。

その瞬間、ぶつかり合っていた二つのフォルテウェーブは爆発した。

だが、ダークプリキュアが攻撃の手を緩めることはなかった。

「ダークパワーフォルテッシモ!!」

「くっ!……プリキュア!フローラルパワー・フォルテッシモ!!」

ダークプリキュアとムーンライトは自身の力を体にまとい、光の球体となり、何度もぶつかり合った。

ぶつかり合いの中で、ムーンライトは何度も押し負けそうになった。

だが、今、自分の肩にはかつて失った妖精(パートナー)がいる。

地上には、自分の無事と勝利を信じて、待っている仲間(ブロッサム)たちと相棒(セイバー)がいる。

彼らがついている。

そう思うだけで、ムーンライトは押し返す力が湧きあがってきていた。

「わたしは……もう負けるわけにはいかない!!」

雄叫びを上げた瞬間、ムーンライトのフォルテッシモが強い光を放ち、ダークプリキュアを、彼女がまとっている闇の力もろとも呑みこんだ。

「ぐ……うあぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」

ムーンライトの光に包まれ、苦しそうに雄叫びを上げながら、ダークプリキュアは地面に落ちた。

もはや、立ちあがることもままならないほど、ぼろぼろになっているその傍らに、突如、仮面をかぶったコートの男が姿を現した。

「……っ!!あなたは!!」

「……お前は、サバーク!」

その男――サバーク博士とすでに遭遇したことがあるセイバーとムーンライトは驚愕の声を上げたが、サバーク博士は二人のことを無視して、倒れたダークプリキュアを抱きかかえ、静かに姿を消した。

「……なんだったんだ?」

「……わからないわ。彼の行動も、ダークプリキュアが言っていたことも」

何もすることなく立ち去っていったサバーク博士に疑問を覚え、そんなことを呟いたセイバーとムーンライトだったが、ムーンライトの体が突如、ふらり、と力なくゆれた。

だが、彼女が地面に倒れることはなかった。

隣にいたセイバーが、彼女を受け止めてくれたのだ。

「……ごめんなさい」

「そこは、謝るとこじゃないと思うけど」

「……そうね、ありがとう。セイバー」

「どういたしまして、ムーンライト」

疲労を隠しきれていないムーンライトの微笑みに、菖も微笑みを返していると、ブロッサムたちが駆け寄ってきた。

その顔には、純粋にムーンライトとセイバーの復活を喜ぶ笑みが浮かんでいた。

それは妖精たちも同じようで。

「ついにプリキュアとセイバーがそろったですっ!」

「コロンも復活したし、これなら百人力ですぅ!!」

心を宿している何か、というかなり特殊な存在になっての復活とはいえ、かつての先輩が戻ってきたことに、シプレもコフレも嬉しそうに微笑んでいた。

そんな中でも、一番明るい笑顔を浮かべていたのは、ブロッサムだった。

「これからは、五人ですね!うれしいです!!」

仲間が増えたことが純粋にうれしいらしく、笑顔でそう話していた。

その笑みを見て、ムーンライトは静かに微笑みを浮かべた。

「……みんな、ありがとう……」

今まで自分を応援してくれたブロッサムたちに、ムーンライトはぽつりと静かにお礼を言った。

だが、一番感謝を伝えたいのは、ほかでもない、隣で微笑みを浮かべているセイバーだった。

――そして……ありがとう、セイバー

だが、ムーンライトはその言葉だけは胸にしまっておいた。




あとがき代わりの後日談(スキット風)

ブロッサム・マリン・サンシャイン「「「……ぽーっ……」」」
ムーンライト「……どうしたの、三人とも?」
ブロッサム・マリン・サンシャイン「「「……ムーンライト、すごくきれいです/っしゅ……」」」
ムーンライト「あら、ありがとう……けど、セイバーにはそんなこと一言もいわれたことないわね」
セイバー「気恥ずかしくてさ。まぁ、元が美人だからかもしれないけど」
ムーンライト「……ちょ、ちょっといきなり何を言って///」
コロン「ふふふ、紅くなったムーンライトを見るのは久しぶりだね」
ブロッサム「あ、もしかしてあなたが」
コロン「あぁ。ムーンライトのパートナー、コロンだよ。よろしくね、ブロッサム、マリン、サンシャイン」
ブロッサム・マリン・サンシャイン「「「え?なんでわたしたちの名前……」」」
コロン「君たちのことは心の大樹のなかでずっと見守ってきたからね。これからも、未熟な後輩たちをよろしく頼むよ」
ブロッサム「あ、これはご丁寧に……って、そういえば、コロンはたしか一度死んだんじゃ……はっ!ということは、ここにいるのは??!!」
セイバー「お化けじゃないよ、まぁ、確かに"生きている"とはいいがたいけどね」
ブロッサム「……きゅ~」
コロン「おや?」
セイバー「っと!」
ムーンライト「……今後、ブロッサムにこの手の話はやめておきましょうね」
コロン「そうしたほうが良さそうだね」
ムーンライト「……そういえば、コロン。いい忘れていたわ」
コロン「うん?」
ムーンライト「お帰りなさい、コロン」
コロン「……うん、ただいま、ムーンライト」

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