ハートキャッチプリキュア!~もう一人の戦士"大樹の騎士"~ 作:風森斗真
まぁ、誰との顔合わせなのかはタイトルを見ていただければわかるかと。
正直、適当感が半端ないですが(汗
「……しかし、広いなぁ……」
四葉財団が所有しているホテルのパーティーホールで、菖はセバスチャンから受け取ったグラスを片手に、そんな感想を漏らしていた。
なお、正式ではないとはいえ、パーティーと称しているため、全員、ドレスになっている。
とはいえ、フォーマルな衣装を持っていない人がほとんどであるため、財団から借りているのだが。
「菖、そのセリフ、今日で何度目?」
「……数えてないな」
「……はぁ……」
菖の返しに、ゆりは呆れたといわんばかりのため息をついた。
なお、菖は現在、水色のワイシャツに白のジャケット、そして紺色に黄色の刺繍で文様が描かれたネクタイを締めている。
対するゆりは、薄い紫の生地を使った肩が出ているデザインのドレスをまとっている。
えりか曰く、胸元の花のブローチがアクセントなのだそうだ。
「で、マナたちはいったい、何を企んでるんだ?」
「さぁ?それはわたしにもわからないわ」
「だよなぁ……」
始まるのならさっさと始まってほしいと思っているのは、ゆりも同じのようで、あまり居心地はよくなさそうであった。
おそらく、慣れない格好のせいもあるのだろう。
すると、背後から突然、聞きなれない少女の声が聞こえてきた。
それと同時に、菖は自分の背中に何かがひっついてきた感触を覚えた。
「だったら直接聞いちゃえばいいじゃない」
「それもそうなんだけどなぁ……って、誰?」
「あたし、レジーナ!マナの友達よ!」
金髪で、やたらおおきなリボンをつけている青い瞳の少女はいたずらっ子のような笑みを浮かべながら、そう名乗った。
菖の首に腕を回し、まるでおんぶをしているような状態であったが、レジーナはニコニコと満足そうな顔で笑みを浮かべていた。
「レジーナー?」
「どこですの?レジー……あ、いましたわ!もう、勝手にフラフラしないくださいとあれほど……」
「あ、菖さんにゆりさん!」
「菖お兄様、ゆりお姉さま!すみません、はしたないところを……」
「よ。マナ、亜久里」
「こんにちは、二人とも」
菖とゆりも、自己紹介をしようかと思った矢先、マナと亜久里の声が聞こえてきたかと思うと、亜久里が突然、謝罪してきた。
パーティー会場で大声を出す、というのは、確かにあまり褒められたことではないが、ここはあくまでも身内で行われているパーティー。
それほどかしこまらなくてもいいのではないか、と菖もゆりも思うのだが、そこは亜久里のこだわりということで、目をつむることにした。
「マナ、亜久里!やっほ~」
「レジーナ!このような場で殿方にひっつくのはおやめなさい!はしたないですわよ!!」
「ぶ~!いいじゃん、別に~」
レジーナは菖の背中にひっつきながら、文句を言い始めた。
突然、菖をはさんで始まった喧嘩に、菖は苦笑を浮かべていたが、その喧嘩は十秒としないうちに終結することとなった。
「いい加減になさい、亜久里?ここで喧嘩するなんて、それこそはしたないわよ?」
ゆりにそう指摘され、喧嘩腰になっていた亜久里は、うぐっ、と声を詰まらせて沈黙した。
その様子を見ていた菖とマナは苦笑を浮かべ、レジーナは、ざまぁ見ろ、とでも言いたそうな悪い笑みを浮かべていた。
だが、その矛先はレジーナにも向けられた。
「そもそも、あなたがいけないということをわかっているの?レジーナ」
「うぐっ……」
レジーナは菖の背中から離れ、緊急避難をしようとしたが、それよりも早く、ゆりに首根っこを捕まれてしまい、逃げることができなかった。
ついでに、亜久里も腕をつかまれて、ちゃっかり逃げられなくなってしまっていた。
そのまま、ゆりは亜久里とレジーナを連れて、会場を後にした。
「……あ、あの、菖さん……」
「止めることはできないから、あしからず」
亜久里とレジーナが連行されていく姿を見ていたマナは、隣にいた菖に、どうにか止められないか、聞こうとしたが、あっさりと断られてしまった。
付き合いが長いからこそ、互いに止めることが出来る状態にあるのかないのか、理解しているのだろう。
菖は早々にゆりを止めることを諦め、手にしたグラスに残っているジュースに口をつけた。
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数分して、ゆりはぐったりしている亜久里とレジーナを連れて戻ってきた。
どうやら、こってりと絞られたらしい。
よほど堪えたのか、レジーナはマナへとまっしぐらに向かっていき、亜久里はフラフラとどこかへ行ってしまった。
「……ゆり、やりすぎたんじゃないか?」
「……かもしれないわね……ちょっと反省ね」
菖に言われて、少しばかり申し訳なさそうにしているゆりであったが、言っていることとは裏腹に、あまり反省はしていないようだ。
もっとも、それを追求するほど、菖も勇気があるわけではないし、面倒事になることはわかりきっているため、口に出すことはしなかった。
「そういや、マナ。結局、その子は何者なんだ?やけに人懐っこい感じがするけど」
「ん?……あ、そういえば今日は菖さんたちにレジーナを紹介するつもりでパーティーを開いたんだった!」
「って、忘れてたのか!!」
「てへへ……」
菖の突込みに、マナは申し訳なさそうに笑みを浮かべた。
そんなマナに六花が声をかけてきた。
「マナ!こんなところにいた……早く行くわよ!」
「あ、待ってよ、六花!それじゃ、菖さん、ゆりさん。またあとで!!」
六花の後を追いかけ、マナはそそくさとその場から去っていった。
「……台風みたいなやつだな、ほんとに」
「いまさらだけれども、ね……」
菖の感想にゆりはそう返したが、実のところ、ゆりも同じことを思っていたので、強く言い返すことはなかった。
ふと、突然、ホールの照明がすべて落ち、暗くなり、お化けが苦手なメンバーから悲鳴が聞こえてくるほどであった。
あまりに突然であったためか、菖もゆりも思わず身構え、周囲を警戒した。
だが。
「みなさま、長らくお待たせいたしました」
突然、ステージの方からマイクで拡声されたありすの声が聞こえてきた。
ステージの方を見ると、スポットライトに当てられているありすの姿があった。
「このたびは、お忙しいなか、集まっていただき恐縮でございます。それでは、わたくしたち、ドキドキプリキュアの新しい仲間を紹介させていただきます」
ありすからの衝撃の一言に、参加者全員が驚きの声を上げた。
が、そんなことはお構いなしとばかりに、一人の少女がステージに躍り出てきた。
その少女に見覚えがある菖とゆりは、目を見開いた。
「あたし、レジーナ!よろしく!!」
「……菖、わたしがいま思ったこと、言っていいかしら?」
「……たぶん、俺も同じこと思ってるぞ……」
「「……ぶっちゃけ、ありえない……」」
出会って早々、みっちりとお説教してしまったゆりと、それを止めることをしなかった菖は、思わずなぎさの口癖を同時につぶやくのだった。
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それから少しして、レジーナと亜久里がマナを伴って菖とゆりのもとへとやってきた。
さきほどみっちり絞られたせいか、亜久里はどこか気まずそうにしているのに対し、レジーナはけろっとした態度で、再び二人に自己紹介していた。
「というわけで、よろしくね!菖兄ちゃん、ゆり姉ちゃん!!」
「あ、あぁ……うん、よろしく」
「こっちこそ、よろしく」
本当は少しばかり気まずいのだが、そんなことは表情に出さず、菖もゆりも普段通りの顔でレジーナに挨拶した。
ふと、レジーナは何かを思いついたように、にやり、と笑みを浮かべた。
「ねぇ、菖兄ちゃん。ちょぉっと後ろ向いて?」
「ん?こうか?」
レジーナに頼まれるまま、菖はくるりとレジーナに背を向けた。
すると、レジーナはいきなり菖の背中に抱き着いてきた。
「うわっ?!」
「んふふ~、やっぱり菖兄ちゃんの背中、マナと同じであったか~い」
「……お褒めにあずかり、光栄?」
レジーナからの感想に、菖はどう答えていいのかわからず、苦笑を浮かべるしかなかった。
その光景を羨ましそうに眺めている影がいくつかあったのだが、菖もレジーナもそれに気づくことはなかった。
スキット集
~「お姉さんはどっち?!」~
つぼみ「そういえば、亜久里さんとレジーナさんはアン王女の半身同士、なんですよね?」
レジーナ「そうよ!」
亜久里「えぇ、その通りですわ」
えりか「てことは、双子みたいなものか……どっちがお姉さんなの?」
亜久里、レジーナ「「もちろん、レジーナ/あたしですわ/よ!」」
菖「あれ?レジーナが姉なんだ?」
マナ「はい、二人で話し合って、そういうことになったみたいです」
ゆり「あら、そうだったの?」
真琴「(本当は、だいぶ言い争いになったんです)」
菖「(まじ?)」(・・;
六花「(けど、収拾つかなくなっちゃって、結局、亜久里ちゃんが折れることになったんです)」(--;
ゆり「(あら。ということは、亜久里が大人の対応をしたわけね?)」
ありす「(そういうことですわ)」(^^*
~「なぜか意地悪したくなる?」~
ゆり「レジーナ」
レジーナ「なに?ゆり姉ちゃん」
ゆり「はい、これ」
レジーナ「なになに?……って、虫ぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ??!!」(><lll
ゆり「あら、ごめんなさい。つい意地悪したくなっちゃって」
レジーナ「うぅ……」(;△;
亜久里「あら?レジーナ、虫は苦手でしたか?」
レジーナ「い、いきなりでびっくりしただけ!!」
ゆり「うふふ、強がりね。けど、そんなところも可愛いわね」