ハートキャッチプリキュア!~もう一人の戦士"大樹の騎士"~ 作:風森斗真
ちょこちょこ中の人ネタを突っ込んでますが、気づかれる方がいらっしゃるのやら……。
えっと、前提として、以下の点があげられます。
・ムーンライトとセイバーは復活している。
・コロンも一緒に復活している
・ハートキャッチミラージュ未入手
・必然的に砂漠の使徒との決着はまだついていない
まぁ、これは『ハートキャッチ』編であと2,3話ほど待っていただければどんな物語だったのかわかるとおもいます。
ぶっちゃけ、ネタバレも入るわけですが、大丈夫じゃない方はブラウザバックをポチしてください。
『大丈夫だ、問題ない』というイーノックな方はゆっくりしていってね!
みんなで紅葉狩り?プリキュアオールスターズ、全員集合です!
~これは、キュアムーンライトとユグドセイバーが復活してから、二週間ほど過ぎた頃の話~
秋も深まり、行楽シーズンがやってきたころ。
キュアムーンライトとユグドセイバー、そしてコロンが復活したお祝いと、結局、お月見に参加できなかった穴埋めということで、紅葉狩りに行こう、という話になった。
が、つぼみとえりかに、そのついでに紹介したい人達がいる、といわれ、いつきとゆりと菖は二人についていくことになった。
「ところで、紹介したい人たちって?」
「会ってみてからのお楽しみっていいたいけど」
「怖い人達じゃないから、大丈夫です!」
「いや、怖い人達って……えりかはともかく、つぼみにそんな知り合いがいたら俺、腰が抜けるよ」
「それもそうね」
愛らしい笑顔を浮かべながら話すつぼみの言葉に、紹介は苦笑を浮かべながら返し、ゆりが同意した。
えりかといつきは笑いながら。
「「たしかに!」」
と声をそろえて同意すると、つぼみは涙目になりながら、否定できないけどひどくないですか、と返していた。
うなだれるつぼみを、シプレとコロンが慰めていると、前方からこちらにむかって声をかけてくる少女がいた。
「お~い!つぼみ~、えりか~!!」
「あ、いたいた!!お~い!!」
「お久しぶりです!みなさん!!」
それに応えるように、えりかとつぼみが手を振った。
その先には、十人ほどの少女たちと三人の青年がいた。
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少女たちと合流したつぼみとえりかは、いつきとゆり、菖の三人と引き合わせた。
「初めまして、明堂院いつきです」
「月影ゆりよ」
「俺は、春川菖。よろしく」
「ちなみに、ゆりさんと菖さんは高校生っしゅ!」
えりかの補足に、少女たちは驚愕の声をあげた。
菖はまだ納得できるようだが、ゆりは高校生にしては大人びているようにみえるから、なのだそうだが。
もっとも、メンバーのなかにも年相応に見えない人もいるため、深くは追求しなかったが。
三人が自己紹介を終えると、いかにも元気が取り柄のスポーツ系の雰囲気をまとっている少女――美墨なぎさから、自己紹介が始まった。
十五人の少女たちと、三人の青年が簡単な自己紹介を終わらせると、ゆりはつぼみとえりかに視線を向けた。
「それで?あなたたちとこの人達はどういうつながりなのかしら??」
「それはですね……」
「聞いて驚くなかれ!!なぎさたちはなんと!!」
「なんと?」
「「先輩プリキュアなんです!!」」
つぼみとえりかが同時に驚愕の事実を口にしたが、菖とゆりは大して動揺しなかった。
むしろ、菖については疑問符を浮かんでいたため、そちらのほうが気になってしまっていた。
「……あれ?小々田さんと夏さん、シローさんは??」
「俺にさんづけはいいよ。むずがゆい……」
「俺も同意だ」
「ははは……僕たちはね」
菖の言葉にそう返すと、小々田たちの体から煙が立ち上った。
煙の中から、白と茶色、オレンジの毛玉が飛びだすと、菖の胸元に飛びついてきた。
「ココ達はプリキュアをサポートする妖精なんだココ!」
「改めて、ナッツナツ!」
「シロップだロプ!」
妖精となった、というよりも本来の姿に戻ったココたちは菖に受け止められながら、自己紹介した。
すると、くるみも歩み寄ってきて。
「実はわたしも……」
と言った瞬間、ぼふん、と音を立てて煙が立ち上った。
まさか、と菖は冷や汗を伝わせたが、予想通り。
煙の中からココよりも白い毛玉が飛びだしてきて菖の肩に飛び乗った。
「ミルクも妖精なんだミル!」
「……なんか、もうすごいな……」
いきなり四匹の妖精に抱き着かれ、菖は困惑しながらそうつぶやいた。
すると、なぎさが何かを思いついたようで。
「そうだ!ついでだから、メップルたちも出て来たら?」
「そうね!」
なぎさの親友、ほのかがそれに同意すると、なぎさとほのか、ひかり、咲と舞から何かが飛びだしてきて、菖の方へと飛びついてきた。
「メップルメポ!よろしくメポ!!」
「ミップルミプ」
「ポルンだポポ!」
「ルルンルル!」
「フラッピだラピ」
「チョッピチョピ!」
「ムープと」
「フープフプ!」
「キュアキュア、プリプ~」
「ワイはタルトいいますねん。この子はシフォンや。よろしゅうたのんます!」
「……なんで関西弁?というか、ごめん、降りてくれないかな?」
それなりに鍛えているとはいえ、かなりの数の妖精が菖に抱き着いていたので、両腕にかかる負担が大きくて仕方がない。
菖の頼みを聞き入れて、妖精たちは菖の足もとに飛び下りていった。
ほっと一息ついた瞬間、菖は背中になにか冷たいものが走る感覚を覚え、振り向いた。
すると、そこには目を輝かせながらうずうずと震えているいつきがいた。
「……えっと?」
「か……」
「か?」
「かわいいーーーーーーっ!!うわぁ、かわいいよみんな!!」
キーン、と耳鳴りがするような大声が響くと、いつきはしゃがみこんで妖精たちを抱きしめた。
なお、一番近くにいた菖は、その大音量の一番の被害を受けることになり。
「……耳が痛い……」
両耳を抑えて、うずくまるのだった。
なお、その様子を見ていたつぼみとえりか、ゆり以外の面々は唖然としていた。
「かわいいものが好きな男の子って……」
「ちょっと、変わってるわね」
こまちが苦笑を浮かべながらそうつぶやくと、かれんも同じく苦笑しながらそう返した。
それが聞こえたゆりは、そうでもないわよ、と前置きして。
「だって、いつきは女の子だもの。菖、大丈夫?」
「あぁ、どうにか……いわゆる、男装の麗人だね」
ゆりが心配そうに声をかけると、菖は耳をおさえながらではあるがそう答えた。
菖のその言葉に、舞が苦笑を浮かべて、宝塚以外で初めて目にしました、と口にした。
ちなみに、妖精たちをもふもふしているいつきを見て、ほのかはなぜかうずうずとしていたのだが、それに気づいた人はいなかった。
「そんなのはどーでもいい!!」
ふと、舞の返しに、突然、えりかが大声を上げた。
「ゆりさんはともかく、なんで菖さんは驚かないんですか!!」
どうやら、プリキュアが十五人もいるということに、ゆりと菖が驚かなかったことが気に入らないらしい。
「ヒント、俺の趣味は遺跡探索」
「……ヒントになってないような……」
「ははは……なら、答え。学術的にあまり重要じゃない遺跡とかに、なぜか"プリキュア"って読める石碑とかけっこうあったんだ。だから、もしかして、ゆりたち以外にもいるのかなぁっては思ってたから」
あれは興味深かったなぁ、と菖は思い出しながらつぶやいた。
なぜかはわからないが、そのとき菖が見学していた遺跡には、アルファベットに近い形をした文字が記されていて、そこに「光の戦士プリキュア」としか読めない、ローマ字らしき綴りも存在していた。
そのつぶやきが聞こえたのか、ほのかが目を丸くしながら問いかけてきた。
「そうなんですか?けれど、アルファベットが出来たのは、紀元前1500年くらいだからわからなくはないですけど、ローマ字表記って確認されているもので一番古いものは、戦国時代の書物なんですよね?」
「そうなんだよ。仮にあれが本当にアルファベットを使ったローマ字表記の文章だとしたら、ローマ字の成立が紀元前ってことになるんだ。いや、あるいはローマ字の原型があそこに記されていたという可能性もあるな」
ほのかの問いかけに菖は眉間にしわを寄せながら、そう返した。
なお、二人のその会話を聞いていたのぞみとえりかは。
「わ、わけがわからない……」
「菖さん、遺跡のことになると相変わらずっしゅ……」
知的な話にはついていけません、とばかりの状態だった。
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森の中を散策しながら、おしゃべりをしていると、そういえば、とラブが思い出したように、菖に問いかけてきた。
「菖さんって、妖精じゃないんですよね?男の人もプリキュアになれるんですか??」
「俺の場合、プリキュアじゃないんだよね、厳密には」
「へ?」
「彼はこころの大樹と契約を交わした戦士なのだけれど……見せた方が早いんじゃないかしら?」
ゆりの一言に、それがいいか、と菖はつぶやき、少し離れた場所へ歩みでた。
菖は目を閉じ、左手に意識を集中させた。
すると、手袋に描かれた紋章が光を放ち、菖の全身を包みこんだ。
光が止むと、そこには不思議な文様が描かれた、白い外套をまとう菖の姿があった。
「へ、変身した……」
「あれ?名前が……」
「一応、ユグドセイバーって名前はあるけど、名乗りがないんだよね」
苦笑しながらそう返すと、セイバーはふと、なぎさががっくりとうなだれている姿が目に入った。
「……えっと、どうしたの?」
「……じゃない……」
「え?」
「……黒じゃ、ない……」
どうやら、服の色のことを言っているようだが、なぜ黒じゃないとわかってしょんぼりしているのか、見当がつかなかった。
「えぇっと……なぎさ、変身したときの色が黒なんです」
「……そういえば、黒ってなぎささんだけですよね?」
「……うぅぅ……」
ほのかが補足説明をしたすぐあとに、うららが首を傾げながらそう言うと、なぎさは余計に落ち込み、膝をついてしまった。
「……えっと、なんか、ごめん」
ひとまず謝っておいたほうがいいかと思ったのか、セイバーが謝罪すると、なぎさは涙目になりながら、大丈夫です、と返して立ちあがった。
「こうなったら、ゆりさんといつきが黒仲間であることに期待して!!」
「……ゆり、いつき。この場合、なんて言ってあげたらいいんだろう?」
「見せてあげた方が早そうね。いつき、妖精たちをもふもふはそこまでにして、一緒に変身するわよ」
「えぇ……うぅ……はい、わかりました」
歩きながらも、妖精をもふもふしていたいつきは、名残惜しそうに返事をして、ココロパフュームを取りだした。
ゆりもココロポットを取り出し、コロンに視線を送った。
「「プリキュアの種、いくでしゅっ/いくよ!」」
「「プリキュア!オープンマイハート!!」」
コロンとポプリから心の種が飛び出てくると、ゆりといつきはそれを受けとめココロパフュームとココロポットにセットした。
二人がサンシャインとムーンライトに変身し終わると、セイバーとは正反対に高らかに名乗った。
「陽の光浴びる、一輪の花!キュアサンシャイン!!」
「月光に冴える、一輪の花!キュアムーンライト!!」
『おぉ~~~~~っ!!』
サンシャインとムーンライトの変身に、セイバーとつぼみ、えりかの三人以外は目を輝かせていた。
彼女たちが共通して抱いていた感想は。
『キュアムーンライト、綺麗……』
だった。
ゆりが高校生ということもあり、どこか大人びた雰囲気をまとっているからそう感じたのだろう。
ちなみに、サンシャインに抱いた感想は、かわいい、という月並みのものだった。
が、ここで一つ問題が。
「……なぎさ……」
「なぎささん……」
ほのかとひかりがひどく落ち込んでいるなぎさに視線を向けていた。
黒仲間かもしれない、と期待していたサンシャインとムーンライトがまったく違う色。
おまけに、ムーンライトに至っては自分と逆の色に近い銀だったことにショックを受けたらしい。
なお、その愚痴を聞いた瞬間、セイバーとムーンライトは。
「(……ムーンライトは銀なのか?それとも紫なのか?)」
「(紫ということでいいと思うわ……)」
「(それじゃ、俺の色は白なのか?)」
「(マントの色がそうなんだから、そうなのではないかしら?)」
ひそひそと自分たちの色について、話し合っていた。
その間、なぎさはほかのメンバーからも慰められていたのだが、再起するまでに少しばかり時間がかかってしまったことはいうまでもない。
あとがき代わりの後日談(スキット風)
セイバー「こうして並ぶと、俺、けっこう浮くなぁ……」
ムーンライト「そうね。いってみれば黒一点だもの」
セイバー「マントは白なんだけどな」
ホワイト「けど、白仲間が増えて少しうれしい気も……」
イーグレット「ホワイトとわたしだけだものね、今のところ」
ベリー「それにしても、相手を傷つけて憎しみを生みだしたくないからって、わざわざ斬れない剣にしなくても……」
ミント「……人々の憎しみや恐怖が溢れ、世界を黒く染めていく時代に、それを乗り越え、人々をつなごうとする一人の青年の物語……うん!いけそうな気がするわ!!」
セイバー「何かの物語?」
アクア「ミントは小説家を目指しているんです」
セイバー「そうなんだ?なら、こんど遺跡探索したときの話をネタとして提供しようか?」
ミント「青年の趣味は遺跡探索で、旅する中で探索した遺跡に遺された謎を解くうち、世界の真実にたどりつく……あ、はい!ぜひお願いします」
サンシャイン「よく出てくるね……ちょっとびっくりしちゃった」
ブロッサム「ともあれ、こうしてまたみなさんと一緒にどこかに遊びにいきたいです!」
ブラック「そうだね!」
ブルーム「大賛成なり~」
ドリーム「よーし!まずは変身を解いて、今日は目いっぱい遊んじゃうぞ~!けって~い!!」