ハートキャッチプリキュア!~もう一人の戦士"大樹の騎士"~   作:風森斗真

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タイトルでお察しの通り、ラヴァーズが菖の家に全員集合します
ハーレムメンバーはこの五人でほぼ確定です
かれんとかみなみも当初は入れたかったけど、良家のお嬢様ってなるとこういうの、けっこう難しいのよね(かれんに至っては兄弟もいないから跡目争いとかありそうだし)
そんなこと気にするあたり、頭固いのかもしれないけども、大事なので反映させます

まぁ、それは置いておくとして、本編どうぞ


穏やかなひと時~遊びに来た乙女たち~

夏休みも折り返し地点を迎えたある日。

菖はゆりとともに泉地流の稽古場で組み手をしていた。

普段はこの場に入るのは菖一人なのだが、ゆりが体を動かしたいと頼んできたため、こうして、変身することなく模擬戦を行うことにしたのだ。

 

互いの体も温まり、そろそろ本格的に始めようとしたその時だった。

突然、仁頼が四人ほど引き連れて稽古場にやってきた。

 

「菖。お前にお客さんだ」

「俺に客?……って、つぼみたちか。いらっしゃい」

 

仁頼の背後に視線を向けると、そこにはつぼみのほかに、ひかりと舞、いおなの三人がいた。

 

「こんにちは、菖さん、ゆりさん」

「き、来ちゃいました」

「「こんにちは」」

 

四人が四人、それぞれに菖とゆりに挨拶すると仁頼は静かにその場から立ち去って行った。

そのすれ違いざま、仁頼にお礼を言うと、四人は稽古場へと入ってきた。

すでに何度か入ったことがあるつぼみといおなは驚くことはなかったが、今回が初めての訪問となるひかりと舞はイメージと全く異なるその空間にぽかんとしていた。

 

「で、どうしたんだ?急に」

 

菖は何の気なしに四人に問いかけた。

つぼみとゆりについては、最近、定期的に遊びに来ることがあるし、いおなは月に一度か二度、出稽古と称して単身でやってくることが多いため珍しくもないのだが、ひかりと舞が希望ヶ花市に来ることはたしかに珍しいことだった。

 

「ぐ、偶然、出かけたらひかりさんと会いまして……」

「はい。そしたらいおなさんにも会いまして……」

「菖さんの所に行くって言ったら、二人ともついてきたんです」

「そうか……すまないけど、少し待ってくれないか?」

 

申し訳なさそうに菖が謝罪したのもつかの間。

その顔はすぐに研ぎ澄まされた刃のような鋭さと冷たさをまとった。

その視線の先には、正座して目を閉じ、瞑想しているゆりの姿があった。

 

「いま、ゆりと組み手の真っ最中なんだ」

「は、はい」

「それじゃ、ゆりさんとの組み手が終わったら今度はわたしと組み手をしてください!」

「……休憩挟んでから、ね?」

 

いおなからのお願いを、菖は苦笑まじりに了承すると、いおなは嬉しそうに笑みを浮かべ、少しばかりあわただしく更衣室へと向かっていった。

取り残されたひかりと舞は、どうしたものかとおろおろしていたが、つぼみに呼びかけられ、台所へとむかった。

その背中を見送り、菖は再びゆりと向き合った。

 

「ごめん、待たせた」

「いえ、かまわないわよ……ほんと、あなたって人気者ね?気づいているんでしょ??」

「……」

 

ゆりの問いかけに、菖はどう答えたものか、と困ったような笑みを浮かべた。

実のところ、菖は自分が何人かのプリキュアたちから、もっと具体的に言えば、今この場に遊びに来ている後輩たち全員と、目の前にいるゆりから好意を寄せられていることに気付ている。

だが、自分の趣味が遺跡探検であり、行きたいという衝動に駆られて世界中のあちこちへふらっと旅に出てしまうため、特別な関係になって寂しい思いをさせたくないと思っているため、気づかないふりを続けていた。

 

「あなたの好きなことは、わたしたちだって知っているし、衝動はどうしようもないこともわかってるわ。だから、そろそろ一歩を踏み出してもいいんじゃない?」

「……そうだな」

 

幼馴染からの手厳しい一言に、菖は苦笑を浮かべながらうなずくのだった。

 

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そのころ、ひかりと舞はつぼみに連れられて春川家の台所にいた。

時間も時間であったことと、地稽古でくたくたになって帰ってくるであろうことは目に見えていたため、疲労回復に効果のある昼食を作っているところだった。

ちなみにメニューは豚肉の冷しゃぶとしめじの炊き込みご飯としじみの味噌汁だ。

どれも疲労回復効果が高い食材を使っているあたり、つぼみたちの気遣いを伺うことが出来る。

 

「つぼみちゃん、こっちは完成したよ」

「こちらも大丈夫です!」

「炊き込みご飯もあとは炊き上がるのを待つだけですし、それじゃ、三人に何か飲み物を作りましょうか」

 

菖との付き合いが長いからなのか、それとも最近になってお姉さんになったことでつぼみが成長したからなのか、あるいは、勝手知ったる想い人の家の台所だからなのか。

いずれにしても、なぜかつぼみがこの場のリーダーとなっていた。

 

「レモンとはちみつがありますから、レモネードを作りましょうか」

「あ、それいいですね!」

 

レモンとはちみつといえば、飲み物の組み合わせとしても定番であることはもちろんのこと、運動後のクエン酸と糖分補給のために使用される食材でもあるため、迷わず起用した。

 

「それにしても、つぼみさん、なんだか手慣れてますね」

「そうね。もしかして、毎日お料理してるとか?」

「えぇ。ふたばが生まれてから、わたしもちょくちょくお料理するようになったんです」

 

ちなみに、その指導員となってくれているのは主に薫子なのだが、菖とゆりも協力してくれている。

菖に至っては、ゆりや仲のいい先輩である君尋や小狼、さくらも交えて一緒に料理を作ったりすることが多い。

が、つぼみはその事実を口にはしなかった。

ひかりと舞が自分とゆりを最大の恋敵として見ていることは知っている。かといって、同じプリキュアなのだから、できれば仲良くしたい、という気持ちのほうが強いのだ。

臆病ともとれるが、元来、つぼみは争い事が大嫌いな性格をしているため、つぼみらしいといえばつぼみらしい選択である。

根っこが純粋な二人は、そのことに気付くことなく、つぼみと一緒にレモンを絞ったり氷を砕いたりはちみつをお湯に溶かしたりして、はちみつレモネードを作るのだった。

 

そして、レモネードが完成したころには、少しぼろぼろになった菖とゆりが、二人よりももっとボロボロな状態になっているいおなに肩を貸しながら台所へやってくるのだった。




あとがき代わりのその後の話

~いおなとゆり、浴槽にて~
いおな「う~……また勝てなかったです……」
ゆり「うふふ。けど、だいぶ腕を上げたじゃない?」
いおな「そうでしょうか……お姉ちゃんにはまだまだ遠い気がしますが」
ゆり「まりあさん、だったわね?もし戻ってきて回復したら手合わせ願おうかしら?」
いおな「たぶん、ゆりさんと菖さん二人がかりでも苦戦すると思います」
ゆり「あら。そんなに?」
いおな「はいっ!だってお姉ちゃんは最強のプリキュアですから!!」
ゆり「……最強はなぎさとほのかの二人じゃないかしら?」

~食卓にて~
菖、ゆり、いおな「「「うまい/美味しい……」」」
つぼみ「ありがとうございます!」
舞「三人で頑張った甲斐がありました」
ひかり「はい!」
菖「そっか。ありがとう、三人とも」
つぼみ、舞、ひかり「「「い、いえ!お礼を言われるまでのことじゃありません!!」」」(/// ///
ゆり「あらあら♪」

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