ハートキャッチプリキュア!~もう一人の戦士"大樹の騎士"~ 作:風森斗真
理由は特にない
強いて言うなら、今日、テウチライブさんが地方で野外ライブやるから?
詳しくは活動報告を見てくださいな
まぁ、それはいい
ぶっちゃけ、戦闘描写は適当
時期的には「ハピネスチャージプリキュア!」本編27話終了後くらいです
では、本編どうぞ
突如現れた"プリキュアハンター"ファントムを前に、つぼみとゆりは変身し、戦うことを選んだ。
いおなから何度か聞いていた話では、ファントムはこれまで何人ものプリキュアを倒し、どこかへ連れ去っているのだという。
おそらく、集中的に侵攻しているぴかりが丘以外の場所にも、プリキュアがいることを、幻影帝国の幹部たちから聞いたのだろう。
そして、三人を退けたことに興味を抱いたのか、それとも単にプリキュアがいるからなのか、こうして希望ヶ花市にまでやってきた。
自分たちがプリキュアであることを知った瞬間、向けてきた殺気の強さから、自分たちに対する憎しみがそうとうなものであることは、二人にはかんたんにりかいできた。
話し合いができる雰囲気ではないのならば、戦う以外の選択肢はない。
だが、戦いの中でも、二人はどうにか退却してもらうことはできないか、語り掛け続けた。
「なぜあなたはそこまでプリキュアを憎むの?!」
「あなたが抱えている事情を、少しが説明してください!!」
「くどい!!」
だが、いくら語り掛けても、ファントムは聞く耳持たぬとばかりに二人に攻撃を仕掛けてきた。
当然、やられっぱなしでいるわけにはいかない二人は反撃した。
が、手にしている剣や左手に装着されている赤い楯に阻まれ、決定打を与えることが出来ず、消耗を強いられた。
「……はぁ……はぁ……」
「……くっ……っ!」
「……なるほど。あの三人が手こずるはずだ。お前たちはそうとう実力がある。少なくとも、ぴかりが丘の『ハピネスチャージプリキュア』よりも強い」
冷ややかな瞳のまま、汗をかくどころか、息を切らせることもなく、ファントムはそう口にした。
「だが、それもここまでだ。俺の全身全霊を以って、お前たちを倒させてもらう!!」
「そうは……いきません!」
「負けるつもりは、わたしたちもないわよ!!」
ムーンライトとブロッサムはタクトを構え、ファントムは剣を構え直した。
再び、ファントムが地面を蹴って接近してくると、ムーンライトとブロッサムは自分たちのタクトに心の花の力を集めた。
「「集まれ!二つの花の力よ!!プリキュア!フローラルパワー・フォルテッシモ!!」」
フォルテッシモの記号を描き、二人の体はそれぞれの心の花の力に包まれ、光となってファントムへ向かっていった。
向かってきたムーンライトとブロッサムにを、ファントムは剣で迎え撃った。
フォルテッシモとファントムの剣が数度、火花を散らしながらぶつかり合った。
が、何度目かのぶつかり合いで、ファントムが大きくよろめくと、その隙をついてムーンライトとブロッサムは上空へと昇り、流星のようにファントムへと向かっていった。
これで決める。そう思っていた二人だったのだが。
「……見えた」
ファントムがそうつぶやくと同時に、二度、手にした剣を閃かせた。
そこから数秒遅れて、フォルテッシモの光が消えた。同時に、ファントムの背後にムーンライトとブロッサムの倒れ伏した姿が現れた。
変身したときのコスチュームではなく、淡い光のワンピースをまとった姿で。
「……くっ……」
「……うぅっ……」
倒れた二人は、苦痛に耐えるように呻いていた。
ファントムが放った先ほどの剣閃は、的確に二人を捉え、ダメージを与えていたようだ。
「確かに手ごわかったな。だが、これで終わりだ……ミラージュ様の安寧のため、お前たちも絶望の世界へ誘おう」
すでに戦闘不能状態の二人に、冷たく宣言し、ファントムが手をかざした瞬間。
いくつもの光がファントムに向かって飛んできた。
だが、ファントムは慌てることなく、二人にかざしていた手をその光の方へ向け、手のひらから赤黒い光を出して飛んできた光をすべて防いでしまった。
「なにも……」
「あたしの親友と先輩に、なにしてくれちゃってんのーーーーっ!!」
何者だ、と問おうとしたその時、怒号とともに水色の影が、マリンが飛びかかってきた。
マリンはムーンライトとブロッサムが手ひどくやられたことへの怒りに任せて、ファントムにラッシュをしかけていたが、すべて紙一重で回避された。
だが、この場に駆け付けたのはマリンだけではない。
「サンシャイン・フラッシュ!!」
その声が聞こえたと同時に、ファントムの背後から無数の光の花が襲いかかってきた。
とっさに、ファントムは楯が取り付けられた左腕をかざして光の花を防ぎ、マリンの拳を剣の柄頭でたたき落とした。
「増援か……たった二人で何ができる?」
「あたしたちは、確かに二人だよ」
「けど!わたしたちは二人だけど二人じゃない!!」
「仲間の絆、か?くだらん!!」
二人の言葉を、くだらん、と一蹴し、ファントムはマリンに手をかざし、衝撃波をたたきつけ、吹き飛ばした。
「むきゃっ??!!」
「マリン!!」
「他人の心配をしている余裕があると思うか?」
衝撃波の威力がかなり強かったのか、変身を解除されながら吹き飛ばされたマリンを気遣うサンシャインに、ファントムは一瞬で間合いを詰め、剣を振るった。
サンシャインはその一撃をすんでのところで回避し、反撃しようとしたが、ファントムはさらに手数を増やし、反撃する隙を与えてくれなかった。
ファントムの猛攻に、サンシャインも耐えることができなくなり、ついに吹き飛ばされ、マリン同様、変身を矯正解除させられてしまった。
「ハートキャッチプリキュア、だったか……確かに強いが、それもここまでだ」
力尽き、倒れたハートキャッチ組に向かって、ファントムは手をかざした。
何を仕掛けてくるかはわからないが、いずれにしてもこのままでは危険であることは、全員わかっていた。
変身できない状況ではあるが、せめて、一人だけでも逃がさなくては、そう思った瞬間だった。
「セイバーショット!!」
「フォーチュン・コメットアロー!!」
二つの光が、ファントムに向かって襲いかかってきた。
突然の襲撃に、ファントムはかざしていた腕で顔をかばいながら、後ろへ飛び退いた。
ファントムが元々立っていた場所に、二つの光が着弾し、土煙を巻き起こした。
煙が晴れた瞬間を狙い、襲撃者に攻撃を仕掛けるようと、ファントムは剣を構えた。
そして、煙が薄くなった次の瞬間。
「
古代語を叫びながら飛び出してきたのは、巨大な手甲をまとい、接近戦に特化した状態のセイバーだった。
セイバーはファントムに飛び掛かると、怒り狂ったかのように拳を連続で突き出してきた。
今まで同様、左腕の楯で受け止めたファントムだったが、その顔は驚愕と焦りに満ちた。
重い。余りにも重すぎる。
拳の速さこそプリキュアのものとは少々劣るが、その重さは今まで戦ってきたどのプリキュアよりも強く、重いものだった。
――もう一人、プリキュア以外の戦士がいることは知っていたが、報告では使っていたのは剣と弓だったはず……あの三人組、隠していたというのか?!
ファントムは報告を怠っていた三人の幹部に苛立ちを覚えたが、それはまったくの八つ当たりである。
確かに、三人の幹部はセイバーが剣と弓を使う姿は目にしている。だが、逆を言えば目にした姿はその二つだけだ。
他の武器を使わないという道理はないし、むしろその可能性を考慮しなかったファントムに落ち度がある。
そして、考慮しなかったがゆえに動揺が生まれ、その動揺が隙となって表れた。
防戦一方だったファントムが、どうにか攻勢に出ようと切り付けてきた。
が、いまセイバーが使っているものは手甲。武器であり、防具でもある武具であることを忘れいていた。
ガチンッ、という音が響いたかと思うと、剣をはじき返され、ファントムは大きくのけぞった。
「しまっ……」
「ユグドフォルテウェーブ!!」
のけぞったファントムに向かって、セイバーは心の花の力をまとった拳を突き出した。
光は衝撃波となり、拳の威力も重なってファントムの体を貫いた。
「……がっ……はっ……」
「まだだ……獅子戦吼!!」
轟、とまるでライオンが吼えるような音とともに、今度は心の花の力とは違う、青白い光がファントムの体を貫いた。
さらに続けて。
「フォーチュンスターバースト!!」
上空からいおなの、キュアフォーチュンの声が響き、淡い紫色の光がファントムに向かって落ちてきた。
普段ならば回避することは容易いのだろうが、セイバーから受けたダメージが効いているためか、その光を回避することができなかった。
辛うじて、防御には成功したが、それでもセイバーから受けたダメージがあるためか、肩で息をしながら立っていた。
だが、ファントムの視界には二人の姿がなかった。
いったいどこへ行ったのか。
周囲を見回しながら、攻撃してきた二人の姿を探していると、自分が倒した四人のプリキュアのもとに駆けつけ、介抱している二人の姿があった。
「ゆり、つぼみ!!大丈夫か?!」
「えりか、いつき、大丈夫?!」
二人は倒れている四人に声をかけたが、まったく答えなかった。
まさか、と思い、セイバーはムーンライトとブロッサムの手首に指をあてた。
幸い、脈はしっかりと感じ取ることができたので、気を失っているだけということがわかり、セイバーは安どのため息をついた。
同時に、ふつふつと心の奥底から熱いものが湧き上がってきた。
はらわたが煮えくり返るような不快感と、耳の奥でどくどくと聞こえてくる心臓の音に、湧き上がってきた何かが怒りの感情だということを理解するまで、さほど時間はかからなかった。
四人をパートナー妖精たちに任せると、セイバーとフォーチュンはほぼ同時に立ち、ファントムに視線を向け、わきあがってきた感情をぶつけた。
「ファントム!今日こそあなたを倒して、キュアテンダーを……お姉ちゃんを返してもらうわ!!」
「よくも俺の大切な仲間を痛めつけてくれたな……落とし前、つけてもらうぞ」
大切な姉を奪われたフォーチュンと、大切な幼馴染と思いを寄せてくれている後輩を傷つけられたセイバー。
二人の怒りは、もはや天元突破を迎えていた。
このまま一気に、と思ったその矢先だった。
突然、上空に無数の鏡が出現し、鏡面から赤黒い光が槍となってセイバーとフォーチュンの前に突き刺さった。
『ファントム、今は退きなさい』
「クィーンミラージュ様!しかし!!」
『退きなさい。それとも、わたしの命令が聞けないというの?』
虚空から響いてきた少女の声に、ファントムは反論したが、少女はさらに冷たい声で命令した。
反論したい気持ちはあったが、それを抑え込むようにして、ファントムは命令に従い、その場から姿を消した。
次回はエピローグ
目覚めたゆりとつぼみに、菖がかける言葉は?!
そしてファントムはセイバーと再戦を望むのか?!
待て次回!