ハートキャッチプリキュア!~もう一人の戦士"大樹の騎士"~   作:風森斗真

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今回は、重婚法成立後、そしてラバーズに対して同時に婚約を結んだ菖さんの「希望ヶ花市での」に日常です

なお、おまけはありませんし、わりと適当です
一次創作の方が忙しいからね、仕方ない!!是非もないネ☆


変化する日常

ブルースカイ王国の叙勲式を受けてから数日。

菖たちは再び日常に戻っていた。

だが、少しだけ、その日常に変化があった。

その変化というのは。

 

「「菖/菖さん」」

「おまたせ、ゆり、つぼみ」

 

登下校で、菖とゆり、つぼみの三人が一緒にいることが増えたことだ。

叙勲式のあとに行われたパーティーの席で、プリキュアと並び立つ光の戦士の一人であるユグドセイバーが五人のプリキュアと婚約を交わしたことは、どこから洩れたのかはわからないが、噂になっていた。

だが、ここ最近、日本では日本経済の衰退と人口減少に歯止めをかける試みとして施行された『条件付き多重婚承認法』、通称『ハーレム法』の成立と相まってか、多くの条件に合った人々が、交際していた女性と将来を約束するようになった。

もっとも、その中には救いようのないほど屑な人間もいないわけでもないのだが。

 

まぁ、そんなことはどうでもいい。今は重要なことではない。

 

法案の成立と、プリキュアたちの婚約が相まって、ある程度のレベルであれば『ハーレムは当たり前』という風習が、特に思春期という多感な時期の若者たちに目立つようになっていた。

むろん、その風習は希望ヶ花市にも根付き始めている。

その先陣を切ったのは、明堂学園イケメン五人衆の筆頭にして、「みんな振り向くあん畜生」と呼ばれている御剣明であった。

 

彼は、すでに交際していた女子高生カリスマモデルである来海ももか、ももかの妹えりかの友人である山吹祈里、同じく友人の氷川いおなの姉、氷川まりあの三人と交際していたのだが、この法案が成立してすぐに婚約を交わしたらしい。

実は、明は高校生ながらももかの専属SPとして活動しているため、事務所から相応の報酬を受け取っている。

また、そのルックスから、ももかの相手役モデルとしても起用されることがあり、SPとしての報酬も合わせて、かなりの額の収入があるため、楽々と条件をクリアしてしまったのだ。

 

「それにしても、ももかはともかく、祈里もまりあさんもいつのまにって感じだな」

「なんでも、この間、ももかが撮影で四つ葉町に行ったときに偶然、現地モデルとしてスカウトされたラブたちと、もともとももかと一緒に撮影する予定だったモデルの付き添いで来ていたまりあさんと会って、そのまま交際することになったらしいわよ?」

「な、なんというか、すごい偶然です……」

 

ゆりがももかから聞いた話そのままを語ると、つぼみは苦笑を浮かべながらそうつぶやいた。

菖もまた、ものすごい偶然にもはや笑うしかなく、苦笑を浮かべていた。

 

「ところで」

 

ゆりが背後に視線を向けながら、話題を切り替えてきた。

その視線の先には、今にも殺人を犯しそうな雰囲気の男子が数名、こちらを凝視している姿があった。

 

「わたしたち、なんであんなに睨まれてるのかしら?」

「あぁ……一言で言うなら、もてない男のひがみ?」

「……今更じゃない?」

「今更だと思いますが……」

 

なぜ、そんな視線を向けられているのかわからないゆりの言葉に、菖は疲れた表情でそう返していた。

普段から、ゆりやつぼみ、えりか、いつきと一緒に行動していることが多いうえに、ももかやひまわり、さくらといった、明堂学園屈指の美女が周囲にいるため、男子たちからの嫉妬の視線など、確かに「今更」だった。

だが菖は、以前によりも、その視線の鋭さが増してきているような気がしてならないようだ。

もっとも、異性からの嫉妬の視線というものは感じにくいものらしく。

 

「さ、それはいいから行きましょう?」

「早くしないと、いつきから大目玉ですよ?」

「あ、あぁ、わかった」

 

何も感じていないのか、遅刻することの方を心配しているゆりとつぼみに引っ張られ、菖は校門へと向かっていった。

なお、心の大樹が呟いていたことだが、違う世界では、菖といつきが恋人同士になっている世界も存在しているらしい。

もっとも、菖にとって、そんな並行世界のことまで面倒は見切れない。

なにより、そちらの世界にも同じように自分と同じ光の戦士がいるというのなら、その世界のことは、その世界のプリキュアと光の戦士に任せたおいたほうが面倒がなくて済む。

そう考えていたのか、それ以上のことは聞かなかったし、聞くつもりもなかった。

 

それはさておき。

 

こうして、菖は二人の美少女に引っ張られる形で、今日も学校に通うのだった。

なお、このことでいらぬ嫉妬をして妙なことを仕掛けてきた連中には、「定期試験の勉強を手伝わない」という、ある意味、菖の能力を買っている連中にとって不利益にしかならないことを公言していた。

 

その宣言の通り、いらぬ嫉妬を向けてきたばかりか、三人の恋路を妨害しようとした輩に対し、菖は定期試験はおろか、普段ならば頼まれれば行うような雑務も手伝うことはしなかった。

ある意味、菖の手伝いを当てにしていた人間は、その原因である生徒を一斉に責め立て、挙句の果てには、菖に直接土下座して謝罪させるような事態にまで発展したことを、ここに記しておく。


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