「お早うさん、マスター!マシュ!早速だけどさ、今日の出撃予定はどうなってんだ?」
「も、モードレッド、さん…!?」
「ど、どうしたの、その格好…?」
或る日の朝、カルデアの廊下にて、立香とマシュは、信じられない物を目の当たりにした。
彼らの前に現れたのは、サーヴァントの1人であるモードレッドなのだが、
「ああこれ?へへっどうだマスター、カッコよくてセクシーだろ、この格好!」
その姿は、何時ものモードレッドとは異なるそれであった。
ビキニ姿に、テンガロンハットやガンベルト、ブーツというカウボーイの如きアイテムを身に着け、其々の手には日本刀が握られているという、突っ込み所しかない物であった。
そう、その姿は、
「いやそれお○チャンバラの神楽だよね!?何でまたその格好!?」
「おお、お姉チャン○ラ知ってんのか、マスターってむっつりスケベ?それともスプラッタ好きなのか?」
「あのモードレッドさん、伏字が仕事していないんですがその…」
血みどろ剣劇アクションとして名が知られているゲームの主人公の格好であった。
「いやぁ、折角俺が生きていた頃より遥か未来で召喚されたんだしさ、時にはこの時代の楽しみに手を出すのもいいんじゃねえかって思ってさ、コスプレっての?してみたんだよ。因みに何で神楽なのかって言うと俺の中のh」
「モードレッドさん、メタ発言は危険すぎます!」
「いやマシュ、お前だって思いっきりメタい発言してんじゃねぇか、何を今更って奴だろ。って、そうそう、セイバーの俺も一緒だった筈なんだが、何処行ったんだか…」
「あ、何処か明るい感じだなと思ったらライダーの方だったんだ」
その余りの事態に何時もの真面目さも何処へやら、メタ発言が飛び出しちゃったり、自分の事を棚に上げてツッコミを入れたりとてんぱった状態になったマシュ、そんな彼女を他所にモードレッド――
「おい、ライダーの俺…」
「お、其処にいたのかよ。丁度マスターがこっちに」
「この格好は一体何なんだよ!?殆ど全裸じゃねぇか!」
噂をすれば何とやら、そのセイバーとしてのモードレットがやってきた…
大事な所と両手両足しか守っていない赤い装甲、手足を覆う毛皮、ライダーモードレットと同じく其々の手に握られた日本刀、という更に際どくなった出で立ちで。
「デア・ドライブバージョンの神楽!?というかモーさんが気付かない内に!?」
「何って、コスプレだよコスプレ。流石はセイバーの俺、セクシーで似合ってんじゃん」
「やっぱりテメーか!何時のまにやりやがった!?何時もの鎧とか兜とかはどうしたんだよ!?」
「んなもん着てんじゃねぇよ、見ているこっちが暑苦しいぜ。と、それは良いとして」
「良くねぇよ!返しやがれ、こんなん全裸の方がましだっつーの!」
「どうよマスター。気分良いし、このまま出撃しようぜ!神楽ばりに暴れてやるぜ!」
「いや、それは流石に…」
ライダーモードレッドがコスプレしている少女、その覚醒した姿に(無理矢理)コスプレされたモードレッドの抗議もなんのその、コスプレした状態での出撃を志願して来た。
それは流石にどうか、と立香は諌めたが…
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「いィィィィやっほォォォォ!ふぅ、It’s perfect!やっぱり一番はMe、だな!」
「何これ…?」
「モードレッドさんに、何かが乗り移ったようですね…」
「てか何で俺までこの格好なんだよ…!」
何時になくノリノリなライダーモードレッドに押し切られ、そのまま出撃する事となった立香達、其処で繰り広げられたのは、2振りの日本刀を振り回して敵を蹂躙する彼女の姿であった。