チームアルトリアとチームアルテラによるドラゴンステーキ大食い対決、スタート前の下馬評で圧倒的優位と見られていたチームアルトリアは、1番手であるアルトリア・オルタ(と、3番手であるランサーアルトリア・オルタ)の想定外な大ブレーキこそあったが、2番手であるアーチャーアルトリアの奮闘と、チームアルテラ側の2番手であるギルガメッシュのマイペース振りもあって逆転に成功した。
一方のチームアルテラ、1番手であるイスカンダルの活躍もあって一時はリードしていたが、ギルガメッシュに長く持たせるという戦略もあってか、今は逆転されてしまった。
が、
「あ、顎が動かなくなって来ました…!
宜しくお願いします、ランサーの私!」
「む、我も顎が厳しくなったか。よし、交代だ!」
「おぉっとぉ!此処で両チーム交代!若き日の騎士王殿、僅か1時間足らずで顎がKOとなりましたが、それでも枚数にして10枚、堂々の2桁とは中々の食べっぷりです!一方の英雄王殿、枚数こそ16と先程の征服王殿には及びませんが、実に1時間半もの奮闘!此処で両チームの合計ですが、チームアルトリアは34枚!チームアルテラは33枚!枚数ではチームアルトリアが1枚リードも、人数においてはチームアルテラがまだまだ余裕を残している状態!さあ此処から、戦いはどう動くのでしょうか!」
「胃の前に顎の限界が来たか、しかし十分だ。聖女に青髭、お前達は1枚食ったら交代しろ。後は反逆の騎士と魔貌の騎士、そして私が頑張ろう。その1枚に全速力を注げ!」
「わ、分かりました」
「では行ってまいりますぞ、ジャンヌ」
「しゃぁ!待っていやがれ、父上!」
「セイバー。今度はこの大食い対決にて、雌雄を決するとしよう!」
それでも十分すぎる時間稼ぎにはなった。
残り時間と、今現在控えるメンバーとを照らし合わせたアルテラは、大食い関連での能力に劣るであろうジャンヌとジルに早期交代を指示する等、自陣営の戦略を決めた。
「両チーム同時に、新たなるメンバーがテーブルに着きました!チームアルトリアは5人目である槍の騎士王殿、一方のチームアルテラは3人目の青髭殿。チームアルテラは現在1枚のビハインド、此処で挽回成るか!」
「ぬぉぉぉぉぉぉ!我が勇士を見守っているジャンヌの為にも負けませぬぞぉぉぉぉぉぉ!」
「な、何という気迫!ですが私も腹ペコ王という名誉の為にも負けられません!この我が爆乳が飾りでは無い事を思い知るが良い!」
「それは胸に栄養を吸い取られているから常に腹ペコだって言いたいのですか?」
「騎士王殿!?競技中ですので殺気を抑えて下さい!槍の騎士王殿もそんなキャラでしたっけ!?」
互いに戦略を固めた両チーム、その期待を背負ってテーブルについたランサーアルトリアとジル。
気迫満載なハイペースでドラゴンステーキにかぶりつくジル、一方のランサーアルトリアも遅れてなるものかと言わんばかりにナイフとフォークを動かしていくが、その際の言動はツッコミ所が多かった。
「では私はこれにて。ジャンヌ、後は頼みますぞ」
「分かったわ、ジル。それにしても、何だか凄まじい食べっぷりだったわね…」
「ちょっと、もう終わりですか!?チームアルテラの3番手である青髭殿、1枚食べ終えただけで席を立ちました!そのハイペース振りは槍の騎士王殿を凌駕していたが故に、もう何枚か行くべきではないんでしょうか?」
「腹部がきつくなりましたし、これも戦略の内ですので」
「もう満腹ですか!?青髭殿、そのビハインドを大幅に詰めたハイペース振りを支えた顎力に反し、やせぎすな体格そのまんまの胃力でした!次代の腹ペコ王襲名かと期待しましたが故、何とも惜しい!」
だがチームの戦略の一環で、たった1枚食べただけで交代となったジル、されどそのハイペース振りは観客の度肝を抜き、実況をしていた呪腕のハサンの引き留めるかの様な疑問には一同共感していた。
「さてそんな青髭殿と交代したチームアルテラの4番手は、彼が生涯仕えし聖女殿!さて魔術師殿、両チーム此処でメンバーの過半数をテーブルへと送り込んだ訳ですが、此処からの戦況をどう見ますか?」
「え、俺が解説すんの!?えーと、そうだなぁ…
まあリードしているのと、後に控えるメンバーの大食い振りからチームアルトリアがまだ優勢と行きたいけど、チームアルテラもアルテラにモードレッド、2人のそれも引けを取らないから、意外とチームアルテラにいるディルムッドがキーマンになりそうかな」
「成る程。後に控える騎士王殿とサンタの騎士王殿、戦闘王殿と反逆の騎士殿の大食い能力はほぼ互角と言って差支えありませんからな。果たして魔貌の騎士殿の大食い能力や如何に…」
「此処で失礼します。あとは頼みましたよ」
「おぉっとぉ、魔術師殿と今後の戦況を予想している最中に聖女殿が交代!青髭殿と同じくたった1枚食べただけでの退場となりました!共に社長直筆のそっくりさんであっても腹p、げふんげふん、大食い振りは似ていなかった!」
「ちょっとハサン、メタ発言しない!」
「おっと、失敬しました」
そんなジルと交代したジャンヌであったが、ハサンと立香が勝負の行方を予想している最中に、これまたチームの戦略で交代、2人連続での早期退場という驚きの余り、ハサンはメタ発言を飛ばしていた。
「チームアルテラ、此処で一気に5番手となりました!この状況で登場するは魔貌の騎士殿!魔術師殿、噂をすれば騎士殿の影がさしましたな。勝負のカギを握るであろうと魔術師殿が見た、魔貌の騎士殿がテーブルにつきました!その大食い振りが今、ベールを脱ぎます!」
「ゆくぞ、セイバー!いや今テーブルにいるのはランサーとしての騎士王か、だがそれでも相手に不足なし!フィオナ騎士団が一番槍ディルムッド、推して参る!」
「応とも!ブリテン王アルトリア、ランサーとして今一度受けて立とう!」
そんなカオスな空気も入れ替え、勝負のカギと予想していた立香の考えもあって、ハサンの実況にも熱が入る、そんなハサンの熱にあてられたか、テーブルについたディルムッドも、既にドラゴンステーキと格闘しているランサーアルトリアも、向かいの相手を、眼前のステーキを、そして己の限界をも越えて見せると気迫を新たにする…!