カルデア笑劇場!   作:不知火新夜

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思いのほか長くなりそうなので、何篇かに分けます。
今回は霧島紅夜さんからのリクエストで、アルトリア(7人)VSアルテラ(陣営+α)の大食い対決です!


アルトリアVSアルテラ、大食い対決!1

カルデアの食堂、その一角に置かれた2つのテーブル、片方には本来の彼女(アルトリア)オルタ化した彼女(アルトリア・オルタ)ランサーとしての彼女(ランサーアルトリア)其処からオルタ化した彼女(ランサーアルトリア・オルタ)ライダーとなった影響でサンタと化した彼女(アルトリア・サンタオルタ)アーチャーとなった影響で水着姿な彼女(アーチャーアルトリア)、そして王としてまだまだひよっ子だった頃の彼女(アルトリア・リリィ)、合計7人のアルトリアが座り、もう片方には匈奴(フンヌ)の『戦闘王』と呼ばれた白髪の女戦士アルテラ、嘗てはメソポタミアに彼ありと言われた『人類最古の英雄王』として称えられながら此処カルデアではアルトリアに対する偏愛で何処か残念なキャラとして通っちゃっているギルガメッシュ、先日のアルトリアとモードレッドの口論に我関せずを貫いていた影響で台詞が全く無かったジャンヌ・オルタの本来の可能性であるジャンヌ・ダルク、後世ではアレキサンダー大王として知られるマケドニアの『征服王』イスカンダル、ジャンヌが参加すると聞いてホイホイ付いて来た童話『青髭』のモデルであるジル・ド・レェ、フィオナ騎士団で最強と言われた騎士ディルムッド・オディナ、そしてモードレッドの計7人が座るその場所は、互いのテーブルに向き合う相手への威圧感等から異様な熱気に包まれていた。

其処に、

 

「それでは始めましょう!チームアルトリア対チームアルテラ、ドラゴンステーキ6時間勝負!用意!」

 

イスラム教の伝承にある『暗殺教団(アサシン)』の教主の1人にして、その神出鬼没振りからカルデアのスパイダーマッと呼ばれr

 

「その様な名で呼ばれた事は1度たりともありませんが!?」

 

げふんげふん、その西へ東へと働く姿からカルデアの便利屋と呼ばれ、今回もステージ実況として駆り出された呪腕のハサンが鳴らした太鼓の音、それと同時に運ばれて来た、英文学最古の叙事詩にその名を冠した龍殺しの英雄ベオウルフが狩ったドラゴン、それから取り出した肉のステーキが両方のテーブルに運ばれた瞬間、対決は始まった…!

 

「いやちょっと待って何これ!?何で大食い対決なんて始まってんの!?」

「いやぁ、ドラゴン狩りまくった所為か肉が余っちゃってなぁ。折角だから大食い大会なんてどうだって、騎士王の姉ちゃんに提案したら其処の連中が集まってさ、メシ作れる連中もエミヤの兄ちゃんや俺とかみてぇに少ねぇから対抗戦形式になったって事よ」

「いやどんだけドラゴンいるの!?てか調理担当が此処で喋っていて良いの!?」

 

立香のツッコミ及びそれに対するベオウルフの釈明を聞く者はおらず、大食い対決は盛り上がり始める。

 

「おお、流石は黒い剣の騎士王殿、快調に飛ばしております!征服王殿も負けてはいない!」

「お代わりだ」

「俺もお代わりを頼む!いやぁ、ドラゴンのステーキは初めてだが此処まで旨い物とはな!」

「言っている側から互いにお代わりのコール!この勝負、どうなるか分かりませんな!」

 

チームアルトリアの1番手アルトリア・オルタ、チームアルテラの1番手イスカンダル、体格だけを見ればイスカンダルの圧倒的優位ではあるが、其処は7人共カルデアにおいて腹ペコ王として知られるアルトリア、お互いにリードを許す事なく互いにステーキを口に放り込んで行く。

が、

 

「おぉっとぉ!黒い剣の騎士王殿、此処で急にペースをダウンした!一体どうしたというのでしょう、まだ1pound(450g)ドラゴンステーキの3枚目、満腹には程遠い筈ですが…?」

 

その拮抗は、信じられない程あっさりと崩れた。

 

「か、かめなひ…」

「どうやらドラゴンステーキの歯ごたえに、顎が限界の様です!胃に余裕はあっても、顎は持ちこたえられなかった!」

「がっはっは!不甲斐ないな、黒い騎士王!だがこれも勝負、容赦はせんぞ!」

「此処で征服王殿、攻め時だと言わんばかりにペースアップ!流石は征服王イスカンダル、仕掛け時が見えているというのか!」

 

その原因はステーキの特徴である、歯ごたえであった。

 

「ま、まへてたまるは…!」

「此処で黒い剣の騎士王殿、ドラゴンステーキを細かく切り刻み始めた!健在な勝負への執念は流石でございますが、ペースは上がらないままですぞ!」

 

その歯ごたえによって顎がやられ、呂律が回らなくなってしまったアルトリア・オルタ、それでも懸命にステーキを細かくし、何とか3枚目を食べ終えたが、

 

「あぁ、見ていられん!次はアーチャーの私、頼んだぞ!」

「了解です、サンタな私!以下、宜しくお願いします!」

 

もう駄目だと判断したサンタオルタがアーチャーアルトリアに交代を指示、尚もテーブルに留まろうとするアルトリア・オルタを強制的に退場させた。

 

「なんて体たらくだ、セイバーの私。普段からハンバーガーだのピザだのポテトだのと軟いファストフードばかり食っているからそんな醜態を晒すんだ。今度から毎晩ターキー(七面鳥)を食え、貴様の惰弱な顎も鍛えられるぞ」

「わ、わらひにはひふふるは…!」

「あの、呂律が回っていない状態で反論しても誰も聞きませんよ…」

「それは鍛えられるでしょう、骨までバリバリと食べているんですから…」

 

帰って来たアルトリア・オルタに説教をかますサンタオルタ、それを普段の調子で突っぱねようとするアルトリア・オルタだったが、顎が回復していない状態だったので呂律が回らず、アルトリア・リリィに突っ込まれていた。

まあ説教していたサンタオルタもサンタオルタで、骨までバリバリと食べつくすという常人業じゃない食べ方故にアルトリアから突っ込まれていたが…

 

「さて、チームアルトリアは早くも2人目、弓の、というか水鉄砲の騎士王殿に交代となりましたが、流石は腹ペk、げふんげふん、騎士王殿の1つの可能性、素晴らしいペースです!広がってしまった差を詰めようと、征服王殿を追い上げております!」

「負けませんよ、征服王!此処で枚数(キル数)を稼がせて貰います!」

「がっはっは!そう上手く稼げるかな、そんな成りで?」

 

さてアルトリア・オルタと後退したアーチャーアルトリア、流石と言うべきか快調なペースでイスカンダルを追い上げるが、イスカンダルも折角作ったリードを詰められてたまるかと言わんばかりにペースを落とさない。

が、

 

「むぅ、流石に腹が厳しくなって来たか。後は任せるぞ!」

「征服王殿、此処で無念の交代要請!ですが此処まで1時間余り、枚数は17!枚数差は1枚のリード!7人もいる騎士王殿を相手に大健闘です!」

 

流石のサーヴァントでも余りに多いステーキを食して、無事でいられる筈も無かった。

腹部のきつさを覚えたイスカンダルは、これ以上留まっては勝機を逸すると判断、後に控えるメンバーに交代を要請した。

 

「致し方ない。よく頑張ったな、征服王よ。次は英雄王、頼むぞ」

「フン、言われるまでも無いわ、戦闘王よ。同じアーチャーとして、眼前のセイバーごと食してやるわ!」

「何か放送を自粛すべきフレーズが聞こえた気がしますが!?」

 

その交代メンバーとして呼び出されたギルガメッシュだが、色々と危ない発言をハサンに突っ込まれていた。

それはともかくとして、2チームの大食い対決は、まだまだ始まったばかり…!


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