オーバーロードVS鋼の英雄人 『完結』   作:namaZ

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ナーベラル・ガンマ

「お優しいアインズ様、お気付きのはずです。敵は絶対に攻めてこないと」

 

「こればかりは同意見でございますアインズ様。我々の身の安全を最優先して下さるそのお心、我々の身に余る幸福……ですが、それを踏まえ失礼を承知で申しますと、まったくの無駄でございます」

 

「パンドラズ・アクターッ……その物言いはいくらアインズ様が創造なされた僕とはいえ見逃せないわよ」

 

「これはこれは守護者統括殿、今はそのような議論をなさる方が無駄かと。アインズ様もそうお求めですゆえ、無礼講との命令ですよ?立場を気にせず意見を出し合うのがこの場の礼儀と弁えては如何ですかな?」

 

「……理解しているわ、それでもまったくの無駄ではないわ。少なくとも、此方も敵を調査出来る時間は稼げたわ」

 

 

そう、彼等とてデミウルゴスの抜けた穴を埋め直すだけの無能ではない。僅十日で以前の巻物(スクロール)の補給線を確保するのは難しいが、最優先事項の敵の捜索は思いの外成果が実った。

デミウルゴスの仕事を片手間に、もっとも重要なナザリックに仇なす狼藉ものの排除を優先した。

巻物(スクロール)の補給は後でいくらでもできる。材料は腐るほどあるのだ。ならば、一刻も早くこの事態を終息させナザリックの、アインズ様の身の安全を最優先で確保しなければならない。

 

 

「黒い集団、貴方の軍服のデザインに似た者たちが目撃されてるわ、都市の外でね。姉さんの御蔭で五人ほど見つけることができたわ」

 

「ほお~それは陽報で」

 

 

 この場に集められた三つの頭脳。

 階層守護者統括アルベド。

 ナザリック宝物殿の領域守護者パンドラズ・アクター。

 第三王女黄金の二つ名で知られるラナー・ティエール・シャルドルン・ライル・ヴァイセルフ。

 そして、最強のギルド、ナザリック地下大墳墓の最高司令塔ギルド長アインズ・ウール・ゴウン。

 アインズは耳を傾ける。自分より頭のいい三人の話にまずしゃべらせ何が最適なのかを判断する。それらをこれからの計画に組み込むために。

 

 

「デミウルゴスを斃した謎の軍服たちはアーグランド評議国の者だと分かりました。ラナー、アーグランド評議国の詳細は貴女の方が詳しいわよね?」

 

「はい、僭越ながら説明させていただきます。アーグランド評議国はアインズ様の掲げる他種族が一つとなる国家を運営する上でモデルケースとなる国です。亜人種の国家と言われてはいますが、少なからず人間も属している様。都市の管理運営は各亜人種族から選出された評議員による議会制であり、特に永久議員である5匹とも7匹とも言われる竜達の存在が有名であります。私もイビルアイのお話を齧った程ですが、如何でしょうか?」

 

「十分よ。この場でハッキリさせる必要があるのは、未知の敵ではなく目先の敵。アーグランド評議国とスレイン法国の対策よ。この二ヵ国は卑怯にも事前通告も宣戦布告も無しに仕掛けてきた。それもデミウルゴスを斃すファーストコンタクトのおまけつき。アーグランド評議国最大の脅威はドラゴン、牧場の戦闘跡を考慮すればドラゴンがデミウルゴスと魔将を斃したと考えるべきよ」

 

 

 息吹(ブレス)で薙ぎ払った跡と思われる抉られ、吹き飛び、消滅した破壊跡。

まともな攻撃でああはならない。あれほどの破壊力をもつ魔法、またはスキルを連続でズバズバ放つ存在はプレイヤーではなく強力な特殊能力を有するドラゴンならば納得ができる。何より、アインズ様の協力のもとそんな職業も燃費のいい魔法もないと結論付けた。冷却時間(リキャストタイム)を短縮する課金アイテムの可能性もあるが、アレはそう簡単には手に入らないアイテム。何より、そうバカスカ使えるアイテムでもないのだ。もしもプレイヤーなら、デミウルゴス戦で使いきったか、次の戦いで無くなる可能性が高い。それほど貴重なアイテム。

 

 

「故に、ドラゴンどもがナザリックに到達する前に討伐する必要があるの」

 

「アルベド様、それはドラゴンの攻撃にナザリックが破壊される可能性を考慮してですか?」

 

「いくら強力な広範囲攻撃をもつドラゴンでもナザリックを全壊させるのは無理でも、至高の御方が御作りになられたこの住まいを損傷させるのは可能と考えているわ。何よりナザリック内で自爆攻撃をやられると被害は想像もつかないわ」

 

 

ゲームが現実になるとは、非破壊のオブジェクトが破壊可能になると言うこと。どれだけ侵入者対策が万全であろうが、外からポンポン超位階魔法をぶっぱされてはたまったものではない。故に、ドラゴンは確実にナザリックから離れた場所で討伐する必要があるのだ。

 

 

「そして、問題のスレイン法国だけど――――――」

 

「わぁたくしぃの担当で御座いますね!」

 

 

ビシッと敬礼するパンドラズ・アクター。それを見詰める六つの眼に感情の色はない。

 

 

「それでは早速報告させていただきますが、スレイン法国の境界線に設置されていたサーチャーデーモンが破壊されました。もしものことを考えますと移動速度は最低でも一日いないにはエ・ランテルに到着すると予測されます。さらに動きからして三日以内には本隊が到着すると思われます」

 

「……ご苦労、お前達の情報はいつも私の助けになる」

 

「ナザリックに属するものとして当然であります!」

 

「支配者として、感謝の気持ちは忘れてはならなんのだアルベドよ。だが、二国同時攻撃に誘い出されていないか?手薄になったナザリックが攻め込まれれば意味はない」

 

「その件に関してですが――――――」

 

 

 アインズはスゥっと右手を突き出しアルベドの言葉を止める。

 

 

「お前の考えを疑うわけではない。だが、この戦いはこの世界初のギルド生命をかけた戦争となる。アイテム消費も資金も物資も終わってから考えろ、その上でこのアイテムを使え」

 

「そ、それは!?」

 

 

 アインズの渡したアイテムは、過去に自分たちの行いを正当化させ目的を与えることで、英雄モモンでマッチポンプした原因のアイテム。エ・ランテルもリ・エスティーゼ王国もアインズ・ウール・ゴウン魔導国の属国になった今、このアイテムが手元に戻っていても不思議ではない。

 

 

「ん~ウルベルト様が御作りになられたマジックアイテムではありませんかァ!!」

 

「そのアイテムは?」

 

 

 アインズが持ち出したマジックアイテムにアルベドとパンドラズ・アクターが驚愕し、効果を知らないラナーは首をかしげる。

 

 

「ラナーは知らなかったな、これは我が友ウルベルトが作り上げた悪魔を大量召喚する第十位階魔法『最終戦争・悪(アーマゲドン・イビル)』を六重で発動できるマジックアイテムだ。level10からlevel80までの悪魔を凡そ一万体召喚可能だ。無論、ドラゴンやプレイヤーには効果は薄いがそれ以外には丁度いいはずだ」

 

 

 四人による会議は迅速に行われた。方針、編成、作戦も決まった。

 まずは活動中の全僕を一度ナザリックに集結させ作戦ごとの編成に分けそれぞれの任務を命令する。

 エ・ランテルの外出禁止、これを破った場合死刑もあり得る。

 大まかにこれだけが決められた。今は外見を気にする余裕はない。何より敵対したくはなかった二国が攻めてくるのだ。大義名分は終わった後でいい。

 

 

「緊急招集だ!一刻も早くすべての僕をナザリックに集め戦闘に備えろ!アルベド、パンドラ、各チームごとの役割説明を任せる。ラナー、伝言(メッセージ)を使える僕を付ける。ニグレドの情報を基に敵がどう動くか逐一アルベドに報告しろ。情報の伝達速度が戦闘を有利に進める。……私も色々準備が必要のようだ」

 

 

 これより先は神話の戦い。

 英雄譚は進み続ける。

 魔王の闇で光を照らし、英雄の光で闇を落とすか。

 互いの終わりまで、それは分からない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ナーベことナーベラル・ガンマは冒険者として待機している部屋で帰投命令を受け取った。

 複数の僕がエ・ランテルを巡回しているとはいえ敵がいないとは限らない。これから命令通り街で活動中だった他の姉妹と共に転移門(ゲート)を使い皆で帰投するだけだ。ナーベラルが腰かけていたベットから腰を浮かせた時、ノックオンが響いた。

 

 

「すいませーん。是非モモン様とお会いしたいと言伝を預かっています」

 

 

 こんな非常事態に面倒な、と舌打ちをするが美姫ナーベとして対応し、一刻も早く合流しなければならない。

 

 

「どこの身の程知らずですかその下等生物(ナメクジ)は?モモンさ――――――んは留守です。私もこれから出かけるので即刻立ち去りなさい」

 

 

 扉を開き、存在の興味すらない人間の脇を通り抜けようとするが、通り道に腕が差し込まれる。

 

 

「何の真似です下等生物(ゲジゲジ)、用件を伝え終えたならさっさと退きなさい」

 

 

 ムッとするナーベラル、与えられた役目を全うするため出来るだけ穏便に追い返さないといけない。

 

 

「いえ、ちょっとだけお尋ねしたいことがありましてえ」

 

「なんです?早くなさい、下らない話だったら殺しますよ?」

 

 

 人間など大体が同じに見えるナーベラルでも、幸薄そうな顔は最も嫌う何も生み出さない怠惰の中の怠惰の下等生物の中の下等生物の塵と例えた方がスッキリする存在。

 

 

「おおこえ、いやほんっと一つだけ聞きたいんですよ」

 

 

 気だるげに頭をかきながら言った次の言葉に――――――

 

 

「モモンって、アインズ・ウール・ゴウンなの?」

 

 

 どうしようもないほど混乱してしまい――――――

 

 

「……マジか、"黒"かよ」

 

 

 自分が招いてしまった失態にどう弁明すればよいか思考し、こいつだけは此処で殺すと――――――放たれた首を断罪する刃を杖で防いだ。

 

 

「クッ!?」

 

「おい姉ちゃん、綺麗な顔して随分やろうとしたこと物騒だな。魔法詠唱者(マジック・キャスター)様の癖に物理とかありかよ」

 

 

 容赦のない斬撃を急所を守りつつさばき切るナーベラル。魔法詠唱者(マジック・キャスター)でありながらlevel63の身体能力と本人の戦闘スタイルが、創造者弐式炎雷の趣味もあり魔法騎士のような接近戦も出来る魔法使いと隙のない構成となっている。冴えない顔の人間よりlevelが少し上の御蔭で手数では負けているが、純粋な反射神経と力技で拮抗している。

 

 

「勘弁してくれ、魔法詠唱者(マジック・キャスター)で接近戦が俺より強いとか悪夢にも程があるだろ」

 

「ならさっさと死ね、この下等生物(ダニ)が」

 

 

 フル装備になれば一瞬で殺せるだけに、その隙が無いこの下等生物(ダニ)に苛立ちが募る。

 だが、プレアデスとしての使命がこの敵の正体を確信させた。

 

 

(転移も伝言(メッセージ)も発動しない。間違いない、こいつはデミウルゴス様を斃した仕立て人の一味ッ)

 

 

 ならば出来るだけ生かして、半殺しで生け捕りにする必要があるが、最終的に殺しても蘇生させ情報を抜き取ればいい。故に、この場は身体を消滅させる魔法は控えて殺せばいい。

 

 

魔法の矢(マジック・アロー)

 

 

 6個の光球を横に飛び紙一重で躱される。その瞬間、壁を破壊しながら距離を取り装備をフル装備に一瞬で着替える。完全装備のナーベラルに格下が敵う道理などない。

 

 

(やはり転移は発動しない。空間に作用する魔法は発動しないと見るべきか?)

 

 

 ナーベラルは雷魔法を専門とする特化型のプレアデス。現象を発生させる魔法は魔法の矢(マジック・アロー)と同じく問題なくこの領域で発動できる。

 何より、第一位階魔法の魔法の矢(マジック・アロー)を全力で躱す時点で敵ではない。

 

 

電撃(ライトニング)

 

 

 第三位階魔法電撃(ライトニング)は一直線に貫通する雷撃を放つ。

 それすら、障害物を利用し躱す。

 

 

(ほぼ確定ね。levelは近いけど、耐久性は下等生物(ゴミ)以下。威力の高い魔法は殺すどころか死体すら残らない。階位の低い魔法でちまちま戦うのは面倒ね)

 

 

 どの攻撃も逸らされ躱される。何故だか分からないが、雷の躱し方がやたらと巧い。

 

 

「……なんて惰弱、鬱陶しい。立派なのは逃げ足だけですか」

 

 

 耐久性の低い虫の相手がこうも面倒とは思わなかった。ならば、もはやそんな事を気にしなければいい。

 冒険者美姫ナーベの顔があるが、この場合は仕方ない。デミウルゴス様を斃した一味をこの手で殺さなければ気が静まらない。一刻も早くゴミ掃除を済ませ、ナザリックに帰投したのち生ゴミを報告すればいい。

 頭のスイッチが切り替わった相手に、暗殺者は絶望する。分かっていたはずだ、格上を敵に回すとはこういうことだ。

 

 

転移(テレポーテーション)

 

 

 ナーベラルは、暗殺者の背後に転移し一切手加減なくその性能を発揮する。

 

 

魔法三重化(トリプレットマジック・)龍雷(ドラゴン・ライトニング)

 

 

 逃げ場などない三方向から放たれる龍雷が炸裂し、光と熱の波濤に飲み込まれながら、暗殺者はゴミの様に吹き飛ばされた。――――――予想に反し、焼き爛れた死体の肉は見つからず、そこに空いた下の階へ続く穴を確認して思わず舌打つ。

 

 

(一階へ逃げたか、生き汚い下等生物(ゲジゲジ)め)

 

 

 飛行(フライ)で穴を降りるナーべラルだが、転移が問題なく発動したことに疑問を覚える。

 最初の転移と先の転移の違いが、この結界の法則を導き出す。

 

 

(成程、結界外への転移には邪魔をするタイプ。結界に干渉する魔法を遮断するのね)

 

 

 十全に戦える。ようはさっさと殺せばいいのだ。メイドらしく、害虫は全力で駆除する。

 ナーベラルは人間に、ナザリックに属さない他人に興味がない。これだけの戦闘に、まだ誰も暗殺者以外見ていない。その答えは、一階ロビーにあった。

 仄かな香り、鼻孔を擽る芳醇な香りは下等生物(人間)の血肉。無惨にも殺された者。生きたまま、手足を切り飛ばされ呻く者。腸を引き摺り、かき集める者。それからそれから――――――なんてどうでもいい風景だ。だから何?っと死にかけの虫けらより害虫を優先すべきだ。

 臓器がぶちまけられた一角から汚物が飛んでくる。

 避けるまでのない攻撃とは言えないそれは、ナーベラルの不快感を刺激するのに十分すぎた。

 それを美味しそうな香りと思ったのもそうだが、このメイド服がそんなものに汚されるのが我慢ならなかった。

 

 

電撃(ライトニング)

 

 

 なんて無駄な魔法、服を汚したくないたったそれだけの理由で、汚物を焼き付くす。

 それと同時にナーベラルの周りを転がっていた人間が破裂しその臓物と血の雨を降らせる。

 やっていることは素晴らしいが、下等生物(人間)の血肉で至高の御方から頂いたメイド服を汚すわけにはいかない。

 残らず雷魔法で焼き付くす。

 静寂と血の臭いが充満する空間。暗殺者の姿は影も見えない。ならば――――――

 

 

兎の耳(ラビッツ・イヤー)兎の足(ラビッツ・フット)兎の尻尾(バニー・テール)

 

 

 兎の耳(ラビッツ・イヤー)は頭部からウサミミが生え、周囲の音を詳しく探れる補助魔法。

 兎の足(ラビッツ・フット)は幸運値を上昇させる補助魔法。

 兎の尻尾(バニー・テール)はモンスターの敵対値を若干下げる補助魔法。

兎の耳(ラビッツ・イヤー)以外は効果が少しあればいい程度だ。耳を澄ませ暗殺者の居場所を特定する。

 

 

『おい』

 

――――――ッ!!

 

 耳元で囁かれた声に振り向いても、そこには誰もいない。

 

 

『こっちだよアホ』

 

龍雷(ドラゴン・ライトニング)ッ!!」

 

 

 声のした方向に攻撃をしても、あるのは肉塊のみ。

 ここまでコケにされたらナーベラルでも気が付く、方法はわからないが、音を操作されている。

 

 

『グロ耐性はその見た目のくせに人間じゃないから別にそうでもないのか。害虫の踏み潰された死骸があっても気にしない人の感性と一緒。同族、もしくは組織の仲間なら顔色変えるか?そもそも仲間とかいんのかよ、インポ魔王の慰め従者様』

 

 

 ――――――は?

 

 

 この負け犬風情は、よりにもよってアインズ様を馬鹿にした。

 殺す、確実に殺す。故にいざ、足を踏み出したその瞬間。

 

 

「な――――――ッ!?」

 

 

 突如として、音の氾濫が巻き起こった。

 物音がする。鼓膜の裏で、耳菅の奥で、そして遠く遥か彼方で、多種多様な音の奔流が、遠ざかりながら、あるいは逆に近づきながら。急激なドップラー効果で変化しつつ理解不能の不協和音を演奏していた。

 兎の耳(ラビッツ・イヤー)の効果により、高められた五感の一つ聴覚が完全にかき乱された。頭痛すら感じる音量が冷静さを削ぎ落としていく中、意識を最大限に一点に稼働させる。

 自分にとってこの程度、アインズ様に対する侮辱に比べれば何ら問題はない。

 冷静さを失い、感情のまま動くナーベラルの選択した攻撃手段は、全方位への乱れ撃ち。全力で解放した雷魔法で徹底的に、この宿泊施設ごと破壊すればいいだけと、放たれた魔法が粉砕し尽くすその間際に――――――ひときわ巨大な破壊音が、天井から鳴り響いた。

 崩落する天井もダメージにならないが、五感の聴覚、視覚が制限される。

 

 

『所でよ、アインズってそこまでたいした奴か?お前もその仲間も、インポハゲにいずれ捨てられる塵だろ。そもそも何様だ、要らないんだよお前なんかが濡らす下等生物様は』

 

「――――――、―――ッ」

 

 

 ナーベラルの持つあらゆる意識を消し飛ばした。

 何だ?こいつは、何を言ったのか?激しく沸騰する殺意が、思考回路と感情を、一つ残らずぶち切れさせた。

 

 

(一度ならず二度までもアインズ様を下等生物(人間)と同列と陥れ、あまつさえ私たちはいずれ捨てられるゴミだと?)

 

 

 殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す――――――

 暴走する忠誠心から、下等生物の死を強く願って意識が束の間乱れ狂った。

 

 

「はい、ご苦労さん」

 

 

 そして、僅かに手が遅れてしまう。

 この瀬戸際で、ほんの僅かに――――――ブレたのだ。

 

 

「あああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁアアアアアアアアッ!!!」

 

 

 瞬間、意識の隙間を縫う様に繰り出された攻撃は、限界まで増幅された、音、音、音、音――――――爆音の狂想曲。その衝撃にはナーベラルの五感を纏めてすべて崩壊させた。

 だから、それが暗殺者の殺人手法(キリングレシピ)。心の在り方に唾を吐くそのやり方は、最低で下劣な分、恐ろしく効果的だ。

 

 

「さよなら、虫けらに殺される下等生物」

 

 

 閃く冥府へ誘う死の刃。

 背後から囁かれた言葉を最後に――――――決着は訪れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 帰投命令を受けたユリ・アルファが合流地点に向かう最中、突如エ・ランテルに出現した機械蜂。

 感知スキル、アイテムの悉くに全く同一の気配と魔力が空間に充満し感覚がおかしくなる。

 ある程度仲間と固まっていた他の僕は、機械蜂を破壊している。だが、妹であるナーベラル・ガンマは一人だけだ。衝撃波で機械蜂を吹き飛ばしながら、ナーベラルの下へ駆ける。

 嫌な予感がするのだ。

 どうしようもないほど、もう手遅れだと第六感が警告する。

 足止めを受けながら、漸くたどり着いたナーベラルが居る建物の結界が丁度砕け散る。

 どうか無事でいてくれ、結界を張った敵をナーベラルが倒したと信じて。

 そして――――――

 

 

「きぃさまあああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁアアアアアアアアア!!!」

 

 

 大切な妹を殺した赤いマフラーを首に巻き付けた敵に全力で殴りかかる。

 ストレート直撃コース。回避が間に合わない敵は妹の身体を蹴り飛ばしてきた。

 カルマ値:150善のユリは、何より創造主やまいこの性格上、大切な家族を傷つけることができない。

 衝撃波も発生させていた拳を寸前で止め、ナーベラルを受け止める。

 

 

「こりゃチョロイわ。お前らって仲間想いなんだな」

 

 

 声の発した方向を振り向いて視界を埋め尽くしたのは――――――まだ生暖かい無傷の生首。

 

 

増幅振(ハーモニクス)

 

 

 白目を剥き、血を振り撒き、死者の髑髏が狂ったように震え出した。敗者の頭蓋は即席の爆弾と化し――――――脳漿の花火。火花の変わりに、血や目玉。千切れた耳、骨の欠片が飛び散って、ユリの意識を一瞬確かに忘却の淵へと追い込んだ。

 

 

「お前ら化け物でも人間と一緒なんだな……」

 

 

 ナーベラルと同じく閃く冥府へ誘う死の刃が――――――ユリの首を切り飛ばした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 








安心してください。ゆっくりですが、ちゃんと書いているnamazです。
分かる人は分かるかもですが、本気おじさんが何処で戦うか今回で予想は出来たと思います。残念ながら本気おじさんは次回です。そのまた次回かもしれない(笑)
 トリニティをやり直して本気おじさんの口調とか確認しているのでちょっと時間かかるかもなのでよろしくお願いします。
 それと、合宿の研修が多いので書く時間が失われていく(涙)
 五月にも合宿研修あるんだぜ?もういやd……本気で頑張らないと(光の奴隷
 

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