オーバーロードVS鋼の英雄人 『完結』   作:namaZ

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オーバーロードVS鋼の英雄人中編

 ティアード・ロゼッタは諦めない。

 何度も挫折し、折れながらも、着実に一歩一歩努力を積み重ねえてきた女性がいた。

 彼女は何処にでもいるちょっと負けず嫌いな活発的な少女。

 少女はいつも三人で行動を共にしていた。

 大好きな幼馴染。スラム街で生きる大切な仲間――――――家族。

 智将担当アル。武力件総大将担当クリス。そして、特攻隊長担当ティア。

 三人の中で特に何も考えてなかったのは私。大人顔負けの二人は例外として私は何処までも子供だった。

 上から下まで膿の溜まった国を楽園にしたい。そう言った私の言葉が全ての始まりだった。

 アルバート交渉術や戦略を、台無しにしたのは一度や二度ではないし、まだまだ弱かったクリスを罠にはめ泥だらけになった間抜け面をアルと笑ってやったりもした。そんなまだ世間を知らないずる賢い子供だった。

 分水嶺は私が犯されそうになった時。実際入りかけたけど、アルとクリスが助けてくれて――――――誓ったんだ。強くなる。誰にも負けない英雄になる。こんなどうしようもない現状を打破したい。

 私たちは三人で全てを共有した。知識も技術も武力も三人は一緒に学びスラムで強く生きていた。

 年齢に達すると軍に入り、戦場で数々の武勲を輝かせた。一番の出世頭は以外にもアル。やっぱ頭が切れる奴は違うね。次にクリス。クリスがクリスしてる理不尽な権現は敵からしたら絶望しかない。

 私にはこれといった才能がなかった。クリスのように一点に吹っ切れることもなく、詰まらないくらい一歩一歩実力と知識を身に着けていった。

 そこからは本当に大変だった。いつも一緒だった三人はそれぞれの戦場で武勲を積み重ね。いろんな人達と出会い。話。仲間を増やしていった。中には眼鏡をかけた変態もいたが……まあいい。

 ドデカい事が起こるたびに私たち三人は大きな渦の中心にいた。戦争も政治も――――――粛清も。

 クリスは英雄となり王となった。

 私は名目上王妃になっている。

 私以外いなかったってこともあるけど、私はクリスとそういう関係になるのが一つも想像できない。むしろ忠実なる参謀アオイちゃんでいいよね?

 今回の魔王騒動ではあのギルベルトでさえ何人死に、勝算があるのかも予測が難しいと教えてくれた。

 神への戦いは全滅への片道切符かもしれない。だから、素性を隠し私を置いて男二人は最前線へ――――――納得できるか。

 この想いがなんなのかハッキリさせたい。もう一度クリスに出会えたなら、私は私の答えを自覚できる。

 なのに、クリスは死にかけで、規格外の骸骨を前に、ああ神様って本当に要るんだって確証できたから――――――

 

 

「うるさい。話しかけるな声も出すな。貴方が出していいのは断末魔だけよ」

 

 

 ――――――治療したギルベルトが語った憶測と神に至る道が確立された。

 

 

「――――――勝つのは私達よ」

 

 

 眠らされていたゼファーの肉体を調べたギルベルトが"貴女ならば、共に至ることが出来る"と、太鼓判を押したのだ。眼鏡は変態で気色悪いうざい奴だが、クリスに関わるあいつは信頼できる。

 

 

「……なぜ、ここにいる?」

 

「戦力は多いに越したことはないでしょ?いくらクリスがクリスだからって流石に三人での本拠地攻略は目眩と頭痛がしたわよ」

 

 

 本当に馬鹿ばっか。三人とも実力と頭もいいのに肝心なところは脳筋なんだから。

 

 

「そうでは……」

 

「そうじゃないって?分かってるわよ。自分たちが死んだ場合の保険が王妃()だってことくらい。英雄が死んだ後も、英雄と共に在り続けた者が皆を引っ張れば混乱は最小限で済む。ええ……分かってるのよそのぐらい!!」

 

 

 踏み込みが音を置き去りにする。肉体負担度外視のリミッターを外した100%を超えた300%。崩壊し続ける肉体を再生し続けることで血が流れることなく死ぬような激痛が際限なく襲い掛かるだけで化け物の領域に至れる切り札。ゼファーなら血反吐を吐き無様な悲鳴を上げながら武器さえ取りこぼし地べたを這いずり回る醜態を晒す激痛を表情一つ変えることなく実行する姿は、だてに規格外(トンチキ)の幼馴染をやっていない。

 実際その一撃は超越者(level100)すら殺せる死神の刃とかしている。

 

 

「……無駄だ」

 

 

 時間移動を使うまでもなく、引力逆転がティアを吹き飛ばした。

 太陽の数百倍~数千倍の超質量を持つ天体ブラックホールの引力を逆転させた攻撃とはいえない防御としての力を出力と方向性を絞って一瞬だけ解放。

 結果、引力に圧し潰される。

 

 

「すごいな……踏み込みから剣筋の軌道も全く見えなかった。姿がブレてあ、来るなってことは理解できた。それだけで十分俺は対処できてしまう力がある」

 

 

 積み重ねた努力も覚悟も『鈴木悟』は彼女に及ばない。だけど、アルベドとパンドラが至らせてくれた世界最強の力には絶対に追いつけない。

 

 

「ズルだと思う。ほのぼのとした剣と魔法の世界に、世界観ルール無視の宇宙戦艦で波動砲ぶっぱするぐらい異界法則は反則だ。殺しはしない。貴女も英雄も、俺の法則が流出した世界で、幸福だったあの日を生きてくれ」

 

 

 誰もが幸せだった過去があるはずだ。

 辛くて、苦しい時も、ふと振り返ると一緒に居てくれた人がいたはずだ。

 あの時は気付かなくても、今になって理解して後悔する人は大勢いる。

 その見つけた祝福を星を渡る者(スフィアトラベラー)なら取り戻すことが出来る。

 

 

「永久静かに立っている過去を――――――もう一度」

 

 

 これは、英雄譚ではない。

 

 

「これこそは――――――絶望に幕を下ろす、人心への()()()

 

 

 人は決して未来だけじゃ生きられない。

 これから訪れるプレイヤーよ、アバターに呑まれるな。ゲーム時代を思い出せ。

 憎しみも、恨みも、怒りも、それを懐く前の祝福を取り戻せ。

 自分が一番輝いていたあの日に回帰しよう。

 『鈴木悟』がゆっくりと歩きだす。

 これから訪れる新世界を夢見て一歩一歩噛み締めて。

 

 

「……幸せに生きろ?馬鹿じゃないの。私たちのような人種が、過去に満足してろ?出来るわけないでしょうが」

 

「ふー……これから神殺しやら世界を変えるやらそれで元の世界に帰れるのか緊張の場面で人がアレコレ気持ちとか思考とか精神とか色々葛藤してるんだから邪魔しないでもらえる?」

 

 

 引力に轢かれた肉体はヴァルゼライドとさして変わらぬ損傷具合。

 煌めく星の力により治しながら立ち上がる姿はなさがら不死兵(ウンゲホイヤー)

 治癒系能力者と分析しつつ意味のないことだと切り捨てる。

 あの回復効果は自分限定。仲間にも使用可能なら最初の時点でヴァルゼライドを回復させればいい。

 もっとも重力の檻を無力化しなければ永久に逃れる術がない。

 

 

(他者への治癒は接触か?まあいい。まあいいが――――――)

 

「そこらの欠陥がある法則と同じにするな。俺が尊ぶのは現在だ。それが過去か未来かの違いに過ぎない。未来がいいなら未知を楽しめ。突き進んで前へ前へ前へ――――――全てが終わってからでも死の間際でもいい。ふと振り返って楽しかったあの頃を夢見たなら……回帰すればいい」

 

 

 何度でもやり直せ。未知を堪能しろ。俺の法則に穴はない。

 過去に未練を、未来に希望を夢見る限り、星を渡る者(スフィアトラベラー)の資格は誰にでもある。

 

 

「それに俺は『ユグドラシル』ほど高潔じゃない。未来しか進めないようなマイノリティなんて知るかよ。人はな……物語の登場人物じゃないんだよ」

 

 

 時よ、止まれ――――――時間停止。

 『時』の歩みは三重である。

 未来はためらいつつ近づき、現在は矢のように速く飛び去り、過去は永久に静かに立っている。

 『鈴木悟』が求めるは『現在』。速く飛び去る現在をこの現在に固定すれば、未来は永久訪れない。

 

 

「時間停止魔法とどう違うかって言われると、時間対策のしようがないってことくらいかな。後流石に永久には止められない。神に匹敵する力とは言っても()()神ではない俺には世界法則を永久に止める力はない」

 

 

 停止したティアの傍まで移動し、右手人差し指をお凸にそえる。

 

 

「——————そして時は動き出す」

 

 

 未来へ動き出した『鈴木悟』は"トン"と軽くお凸を突っついた。

 スパンッ!!治癒能力で首だけが飛ぶのを防げたティアは『鈴木悟』が狙った通りヴァルゼライドと同じ重力場まで吹き飛んだ。

 

 

「人型とはいえ今の俺は最強最大の天体だ。太陽の数千数万倍の超質量を有する俺が物理的に弱いわけないだろ」

 

 

 ティアの刃は致命傷にならない。他のlevel100もそうだ。だが能力の性質上貫くことに特化したガンマレイだけは『鈴木悟』を何度も殺せる。

 重力場にて身動きが取れなくなった二人を確認し、視線を切った。

 これでもう、邪魔者はいない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 超重力の影響か、傷の治りが遅い。

 どれだけ力を籠めようとビクともしない。

 呼吸に全集中しなければ息が止まる危険性がある。

 そんな命の危機の中、自然と二人の双眸が見つめ合う。

 

 

「なるッ……ほどね。やっと自覚できたわ」

 

 

 クリスの瞳の奥を見詰め、やっと答えを知る。

 

 

「やっぱ私……王妃向いてない。だってクリスとキスしたり、生産行為したりして……一緒に子育てするんでしょ?しわが増えて老後は孫に曾孫。私とクリスは国を代表する仲良し夫婦に……あー想像できない。クリスも無理でしょ?」

 

「無理だな。俺は元よりこういう人間だ。生理現象など気にもしたことがない。むろん美しいさも可愛さも理解はできる。共感もしよう。だが、俺が一端の父になれる姿が想像できない。理想とする父像は理解できるが自分となるとな」

 

 

 ふっと苦笑いを浮かべる珍しいクリスの顔を堪能する。絶対にこのネタでいじってやる。

 

 

「……絶対私を王妃に選んだの消去法。仲のいい女性がいるわけでもないし、王妃とするなら功績と人間性を考慮すれば知っている私しかいない。何より自分のようなクズと生涯ともにするのは可哀想。それなら幼馴染であり迷惑かけたりかけられたりしている私なら妥協点」

 

 

 あれ?周りの好意に気付きながら、迷惑はかけられないからしゃーなし私を選ぶって十分クズなのでは?

 私もクリスもその辺疎いし一番のアホは了承した私か。

 

 

「帰ったら王妃決めよ。いやなんて言わせないんだから」

 

「……………………絶対か?」

 

「やるといったらやる。一人候補いることだしね」

 

 

 アオイちゃん感謝してよね。

 

 

「ねぇ、一人で戦わないで。私もアルもそんなにも頼りない?」

 

「今回は確証がなかった。戦うからには勝利する。だが、負けた先も考えなければならない」

 

「……それが私とアルとアオイ?」

 

「そうだ。女神(アストレア)審判者(ラダマンティス)、俺たちがいなくともお前たちなら大丈夫と信頼している」

 

 

 クリスらしい。戦いに絶対はない。クリスが死んだ場合あらゆる作戦と保険を常にかけている。それを全て台無しにして単騎でどうにかしちゃうのが『英雄(クリス)』。

 

 

「今回は少数精鋭を逸脱した戦争になっている。スレイン法国と協力して国境で押し寄せる化け物を退治して、各国に協力を仰ぎ対処している――――――総力戦。負ければ死んでも魔導王に遊ばれる未来しかない。でも話してみると事前の人物像と違うわね。なんか目的あるっぽいし、過去がどうとかさっぱりだけど――――――」

 

「「気に食わない」」

 

 

 やぱりクリスとは感性が合う。だてに幼馴染じゃない。

 魔王を目前にして生涯唯一、そして最大の敗北に殲滅されて――――――否。

 

 

「そうだったな……お前はいつもそうだ。なら……俺と共に闇に立ち向かおうティア」 

 

 

 ならば——―———鋼鉄の乙女(ティアード・ロゼッタ)は決断する。

 すべては、勝利を得るために。

 

 

「勝負よ、クリス……私を喰らって再誕して。今日だけで三つの特異点が生まれて、私たちに出来ないはずはない—————―できる?」

 

「抜かせ——―———見くびるな。俺は勝つ。必ず勝つ。お前が見込んだ俺がそんなヤワな奴に見えるか。確率など踏破するだけのこと。そして必ず人々に光を齎すのだッ!!」

 

「—————―ああ」

 

 

 轟く宣言に、思わずティアは身震いした。

 誓ったんだ。強くなる。誰にも負けない英雄になると。

 

 

「そうよ、私たちの約束は誰にも邪魔なんかさせない」

 

「だからこそ……創世の焔と雷を、今こそ二人で掲げに往こう」

 

 

 そう、すべては——————

 

 

「「すべては、勝利をこの手に掴むためッ!!」」

 

 

 光と光の超新星。

 絶大な正義(プラス)大儀(プラス)の重ね掛けが、ここの出鱈目な新生を顕現させた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「天昇せよ、我が守護星——————鋼の恒星(ほむら)を掲げるがため 」

 

 

 ——————では、未来を目指し駆け抜けよう。

 

 

「巨神が担う覇者の王冠。太古の秩序が暴虐ならば、その圧政を我らは認めず是正しよう。勝利の光で天地を照らせ。清浄たる王位と共に、新たな希望が訪れる」

 

 

 それは、至高。

 それは、最強。

 それは、究極。

 それ以外に、形容すべき言葉なし。

 

 

「百の腕持つ番人よ、汝の鎖を解き放とう。鍛冶司る独眼よ、我が手に炎を宿すがいい。大地を、宇宙を、混沌を――――――偉大な雷火で焼き尽くさん」

 

 

 謳い上げる全能の証明。

 我に能う敵なしと、傲岸不遜にただ単騎(一人)

 全てを凌駕せんと、王の宿命が発動する。

 約束されし絶滅闘争(ティタノマキア)の覇者が、最後の勝利を掴むために今ここに立ち上がる。

 

 

「絶滅せよ、破壊の巨神。犯し貪る者を赦しはしない。共に往きましょうクリス――――――勝利を掴む為に」

 

 

 掲げられた対等の証明。

 王は一人では非ず、傲岸不遜に駆け抜けた足跡を飛び越えて並び立つ。

 

 

「——————ああティア、勝つぞ」

 

 

 三柱が生み出した膨大なエネルギーとティアが解れ合い、クリスの肉体が高次元の存在に生まれ変わる。

 

 

「聖戦は此処に在り。さあ人々よ、この足跡へと続くのだ。約束された繁栄を、新世界にて齎そう」

 

 

 そして男から生まれずるのは、一片の闇をも許さぬ"光"だった。

 世の絶望と悪を、己の敵を、余さずすべて焼き払う絶対の焔。

 その名は――――――

 

 

超新星(メタルノヴァ)――――――天霆の轟く地平に、闇はなく。閃奏之型 (プロシーディング スフィアパニッシャー)ッッッ!!」

 

 

 交わる二つの想いが、次元を超え――――――新たな特異点が創生された。

 ここに『悪の敵』が星誕する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………………ばかな、ありえないッ!!」

 

 

 これは夢なのか?

 単体で完成していた矛盾のない英雄譚が崩れ去る。

 クリストファー・ヴァルゼライドとは、英雄とは、孤独で孤高であるもの。

 ナザリックNPC全てと繋がったパンドラと、愛に生きるアルベドが分析した人物像と矛盾が発生する。

 最前線において彼の者は一人。誰も並び立つ者がいない英雄譚の主人公。その足跡に続く者はいても、並び立つ対等なライバルは存在しない。

 誰も英雄には追い付けない。

 前へ前へ進み続ける光の奴隷は、自身を信仰する光の亡者を生み出してしまう。

 彼のライバルになりえるのは同じ光の奴隷。

 互いに進み続ける舞台装置は順当に覚醒し、特異点へ至るだろう。

 だが、彼女は違う。

 何処までも現実を生き、光の奴隷にも光の亡者にもなり切れない半端モノ。

 

 ここで意見は分裂する。

 パンドラは運命と可能性を信頼する。彼女は確かに極端に狂うことも精神的超人になることも出来ない英雄譚のライバルを名乗るのに役不足。だが、それまでに積み重ねてきた物語こそ、互いを対等と認識し背中を預ける何かがありライバルと認めたのだと称賛する。

 アルベドは愛に生きる者だからこそパンドラの意見に反論する。英雄もまた人を愛するのだろう。彼女もまた彼を愛している。これは英雄譚などではなく、最後の最後に気付いた愛の物語。

 

 

「……そんな単純な関係じゃないさ。パンドラ、アルベド。彼らは愛だのライバルだのそんな分かりやすい括りにははまらない。物語に執着している限り絶対に理解できない。……あぁ羨ましいなぁ。本当に対等なんだ。苦悩を分かち合い。楽しみを共感する。あいつらはどこにでもいるただの――――――そう……ただの友人だ」

 

 

 究極の関係とはなにか?

 愛の絆? 

 家族の血縁?

 組織の命令?

 友との時間?

 

 どれも正解でどれでもないんだろう。

 アルベドとの愛に溺れたい。

 パンドラの親子の絆を育みたい。

 ナザリックのギルド長として慕われたい。

 友と……面白可笑しく過ごしたい。

 だからこそ――――――俺は過去の未来の現在を手に入れる。

 

 

「世の中はままならない事ばかりだ。だからこそ――――――あの日を永遠に、未来を明るくしたい。すべては幸福に包まれる。邪魔をするなよ断罪者」

 

「貴様が齎す幸福に興味などない。過去は戻れない。時間は過ぎ去るもの。どんな結末を迎えようと人は前に進むしかない。貴様の我が儘に他人を巻き込むな」

 

 

 その身は最大最強の天体ブラックホール。引力と重力を支配者し時間移動を司る星を渡る者(スフィアトラベラー)

 定められた英雄譚を超え、友と共に明日を目指す星の裁断者(スフィアパニッシャー)

 

 そこに強弱など存在しない。

 万象を書き換え宇宙法則さえ無視する独自法則。到達者は世界を破壊し塗り替える資格を持つ。

 原初『ユグドラシル』が座するは宇宙の始まりにして終わり。世界の中心にして外側。空に落ちた観測不可侵領域にて『鈴木悟』は神殺しを実行する。

 世界を見守り続けた矜持。

 自分ではなく仲間や人々のために編み出された平等な独自法則。

 そこに間違いがあったとしても込められた思いは本物だから。

 

 

「『ユグドラシル()』を殺す。俺は、俺のために罪を背負うのは躊躇わない――――――ま、過去に戻れば元通りだがな」

 

 

 五指をかざす。それだけで重力が一千倍増大する。

 抗うことさえ許されない支配者の力。

 時間移動の副産物に過ぎない逃げられない重力場が、平等に万物を圧し潰す。

 高水準の付属性がヴァルゼライド以外に影響を一切与えない。

 卓越した技術も『鈴木悟』の前では意味がない。

 重力も引力も時間移動もそんなモノではどうしようもないのだ。

 だからこそ――――――

 

 

「——————まだだッ!!」

 

 

 不可視干渉不可能の重力を、気合の一刀両断で霧散させた。

 

 

「……………………………………はぁ!!!!?」

 

 

 重力を霧散させる。それは干渉性が高くなければ不可能。

 『鈴木悟』は今一度、星辰閃奏者へ至ったヴァルゼライドのステータスを可視化する。

 

 

基準値: B

発動値: AAA

 

集束性:EX

拡散性:E

操縦性:D

付属性:AAA

維持性:C

干渉性:D

 

 

「干渉性Eだと?集束性型の一点特化がどうすればこんな現象を……まあいい。闇に呑まれたいならそう言え、墜ちろ――――――黒体空引(ダークネス・ノヴァ)

 

 

 集束性、拡散性、操縦性、付属性、維持性、干渉性オールA以上の万能型。

 六属性による暗黒天体の創造は世界や周囲に影響を与えず英雄のみに作用する。

 集束、集束、集束、絶滅光(ガンマレイ)を纏うことで光刃と化した刀剣。

 新たにつくり変えられた肉体は、砕かれた骨も肉も再構築され強化された。

 だからなんだ――――――光速さえ飲み込むブラックホールの超重力。

 太陽系銀河系全てを呑み込み拡張を続ける最強の天体。

 光では、星を渡る者(スフィアトラベラー)には絶対に勝てない。

 光は重力からも時間の楔からも逃れられない。

 

 そう、故に――――――これこそが集束性の到達点。 

 

 

『これは――――――ッ!?父上!!』

 

 

 万象そのものが悲鳴を上げ――――――世界が砕け散った。

 

 

 

 

 




「超新星Metalnova――――――天霆の轟く地平に、闇はなく。閃奏之型 ProceedingSphere Punisher」
カタカナ表記の方が読んでていいかなと思いました。

人生初の夜勤工事で最近まで何も書いてなかったnamaZです。
九月からも夜勤あるらしいが正直不透明すぎて何も言えないです。
このまま決着まで書こうかなと思いましたが、そうすると何時投稿できるか分からなかったので、切りのいい所で投稿しました。

ここまで多くのスフィアが誕生しました。
星辰伝奏者《スフィアリンカー》
星辰滅奏者《スフィアレイザー》
星辰閃奏者《スフィアパニッシャー》
星辰時奏者《スフィアトラベラー》

オリジナルが二つほどありますが他二つに負けないくらいのスフィアだと思ってます。
星辰閃奏者《スフィアパニッシャー》……いったいどんな能力なんだ(汗

幼馴染の初登場シーンは24話「ルプスレギナ・ベータ」で登場してます。

それと誤字報告ありがとうございます!感想のほどお待ちしております。


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