人は、人間を知り成長する。
その人間は他者かもしれないし、自分かもしれないし、種族や価値観が違う誰かかもしれない。
本気で関わり、知るという行為は、凝り固まった狭い視野を拡張するということ。
内と外、外と内の境界線を取り除き正直に生きる。
たったそれだけで、人間は新しく生まれ変われる。
ならば、永久機関を覚醒させ到達した頂きには何が座しているのか?
ルベドは"人間を知り成長すること"を願った。
願いにより、その能力を変質させ成長させるなら、より攻撃に適した成長はしない。否、出来ない。
これ以上の高火力は理論上不可能。
兵器として殺傷力を向上させるのはルベドが好まない。
「肉体に残留する反粒子一部解析完了。出力、
故に、これこそが肝要であり、科学と魔法と人間のハイブリッドたる
それは応用力、つまり異能の出力を任意に変化させることが可能なのである。
以前のルベドは
三の強さしか持たない敵にも、四か五の力であれば事足りるというのに
適切なだけの出力を、適した展開に応じて引き出すことができない。
よって損傷の度合い、戦力の秘匿性、多様な状況力への適応力――――――どれを取っても任意調節ができるプレイヤーには劣ってしまう。
故に、一々損傷する無限大なんて過剰火力を加減が効く任意調節に組み換える。奇しくもこの機構は創造者タブラが望んでも得られなかったルベドの欠点。故の
「――――――壊れろ」
自己の放出する質量に損傷させることなく世界を否定する消滅の闇を五指で握り砕いた。
開幕
「イタタッ……おかしいでしょ五千倍の出力差なのに、防ぐたびに手首消滅って!!」
『
万象全てを否定する反粒子は異界法則から飛来した未知の物質。他者を知り、自分を知ることに長けているルベドの星をもってしても異なる独自法則の解析は困難を極める。それなのに、たった五千倍の出力差で打ち消せると感情論で盲信した。
(浅はかだったのは私の方。いけない……ケアレスミスが多い。歯車だけだった前の私じゃあり得ない
見逃し、不注意、都合のいい思い込み、人間性の獲得は狂いのない精密機械の規則正しい歯車の音色を歪ませる。
「ヒューマンエラーか……修正を加える」
縦横無尽に重力を無視した立体軌道へ移行。空間を漂う素粒子がくまなく反粒子のざわめきを教えてくれる。接近戦はまだ勝てない。先の正拳突きは意表を突いたから命中しただけ、過信は出来ない。徐々に出力を上昇させ反粒子を解析する。
『……出鱈目ね。彼女の出力ならやり方はいくらでもある。それこそ、被害を度外視すればね。……これは!?ゼファーッ』
「無限大のエネルギー行使と学習する無限覚醒。成長し続ける狂気の星。期待され期待する明日へと繋ぐ流れ星。嗚呼クソ……知りすぎる」
此方は自分のことを知って貰う気なんて更々ない。だが、彼が知る光の英雄と匹敵する熱量を待ちながら全て平等に成長を促す在り方は、『なんだこいつ』と僅かに"知りたい"と思考してしまった彼等の頭に、ルベドを受信してしまう。
ルベドの素粒子は誰でも平等に異界法則の恩恵を与える。
それが敵対者で、宿敵で、殺すべき同族だとしてもルベド自分を隠さない。"知りたい"なら教える。それが例え次の行動だとしても"知りたい"なら教える。
だからこそ、ルベドから自分を完全に閉鎖している冥王は『てめーにはもう教えねーよバーカ』と素粒子を通して飛んでくる罵倒がちょっと悲しい。
相手を尊重するにしても一方的に知られるのは釈然としない。互いに"知る"のが醍醐味なのに、拒絶する人間は初めてだから想定していなかった。
<でも……人は少なからず自分のことを理解して欲しい。知って欲しいと願っている。貴方にとっては大切な人がそれに該当する。普通はそれでいいのよ。家族、恋人、友達でもいい。限られた人に知ってもらえればいいと願う人もいれば、上司や部下、同僚にライバル、挙げ句の果てには見知らぬ他人でさえ自分を理解して欲しい。知って欲しいと願望する人もいる>
おそらく……いや、殆どの人が私のような生き方を望まない。でも、それでいい。閉鎖的でも、開放的でも、他者を知り、自分を知ることを止めない人をルベドは見限らない。
<でも欲を言えば皆が『空』に至ればと……切に願ってる>
それこそが、人間が到達すべき頂と信じている。
全人類が、幻想と夢見る那由多の領域まで成長できたなら――――――それはきっと、素晴らしいと想うから。
「これ以上――――――俺の中に流れ込むんじゃねえええええええええええええええええええええええ!!!」
止めどない情報の渦が弾かれる。素粒子の繋がりを拒絶する。
「つまりこういう事か。私は成長するお前らも成長してくれ無理強いはしない自分のペースで好きなように成長してくれ。堕ちるも上がるも人間の成長なら私は常に心を開いてる。例え歩みが遅くともいずれは皆が『空』へ至るって………………神様か何かだろ」
優しい正論。ゼファーの知る破滅の正論とは異なる成長へ導く"守護神"『
ゼファー・コールレインが太陽系を放逐された闇の
月を除けば惑星の中で最も早く動く水星は、太陽に最も近く公転軌道を周回しているため、観測するのは非常に困難。水星軌道周期の約半分に相当する期間は、太陽の光に埋もれてしまって見ることができない。そう、最も太陽の輝きに焼かれながら太陽の力を外へ伝えてゆく惑星は、光でありながら完全には染まらない流動性を有する『翼のある使者』。
「神……ね。そんな大それた者になるつもりなんてないわ。だけど……うん、
水星は古くから知性とコミュニケーションを司る。太陽や月は個人の人格に関わる部分を象徴するが、水星はそれらを外部へ伝達したり交流するための働きを促すもの。
「ねえ
ルベドの願いは人類全てが空へ至ること。永久機関は素粒子を効率よく世界にばら蒔く散布機。破壊は求めていない。だがママ、邪竜がそうであったように、死の淵でしか自分を知れない者もいるのも確か。
「一度私を受信すればもう切断は出来ない。なのに反粒子って卑怯だね。私の思いも否定する」
「ふざけるな。一度繋がったから分かる。お前、まだ能力制限してるだろ?」
「当たり前でしょ。強弱もつけれない通信機なんて欠陥品。私を除いて他の人は、知りたいことを知るだけ」
『私だけ?まさか……』
「ええ、うん。全人類の三割とは受信したわ。制限を設けると知りたい人の知りたいことしか受信しないけど、誰かに知って欲しいと無意識に渇望しただけで、制限を取り除いた人はそれを全受信する。後はそうね、私は精神をかいして相手に語りかけることも出来る。
するとどうなる?誰だって声の主を知りたくなる。お前は何者だって。そう思わない人も勿論いるだろう。でも、人間であるなら知って欲しいと誰もが渇望している。それでも塞ぎ混んでいる人は、もっと語りかければどんな人間でも知って欲しいと思ってしまう。そうなれば――――――
「だから私は、
「――――――はぁ?」
明かされた戯言にゼファーはしばし瞠目した。
頭が理解を拒絶して呆れる事数秒後、徐々に言葉が浸透していきゼファーは心底ゾッとした。
真っ当だ。正論だ。愛する人、家族の他にまずは隣人を知ることが平和への一歩。ああだから、それはつまり――――――
『あなたまさか……全人類の記憶と体験を受け止めるつもり?それも、
「そうよ」
短い肯定はまるで規則正しい歯車のように揺ぎなかった。
「重要なのは、皆がちゃんと知ること。知らないから争いや悲しみが生まれる。勿論闘争を望むものも私は否定しない。それらの行いは、その人にとっての成長の証なんだから」
制限を解除すれば、まず最初に必ずルベドの生まれてからこれまでの全てを知る。思いの丈が電波の強弱を決めるならば、誰よりも知ってほしいと願う彼女の生涯を
全人類が公平にルベドと同じ体験をさせる。
生まれてからの激動。出会いと別れ。心の形。様々なルベドが実際に体験した人生を、痛みを、心の答えを、まるで自分の生きざまのように融合する。
しかも、それが終われば全人類がこの惑星生命をルベド同様知ることになる。一人の人間に、何十億人の『これまで』が際限なく流れ込む。
「世界は理不尽で満ちている。その最たるのが『力』『知』『優劣』。三つ目は『権力』と置き換えてもいい。人間は絶対に平等には成れないし対立する生き物。スレイン法国はちゃんとした人間以外を排除し、外敵要因を無くそうとした。もしそれが成功しても今度は人間同士で争うでしょうね。アインズ・ウール・ゴウンは強者の立場で全ての種族を平等に治めようとした。見方を変えれば見下しているし結局は『力』で抑え込んで平等という名の『優劣』が発生してしまう。なら、負けないために成長するしかない。勝つための成長はあっても。負けるための成長を願う人はいない。冥王として星となった貴方は私が出会ってきた人間の中でも駄目野郎。怠惰の化身。塵屑と評価してもいい。そんな人でも『何か』のために諦めきれないという真理。四割がた受信を完了したけど、眩しく生き続ける事は難しい。四割の内多数が貴方のように生きている」
光だけでは人は燃え尽きる。闇だけでは人は堕落する。ママが求めた灰色こそが人の本質であるならば、私は全てを肯定する。
「人の生涯は成長の過程……終わりがないゆえに――――――ゼファー・コールレインこそが人の可能性」
『はい?』
「意外?でもゼファー・コールレインは人の生涯を費やしてやっと辿り着けるかも分からない
"冥王"ゼファー・コールレインは愛する家族と親友に。
"絶死絶命"カグラは片思いの二人と迷える人形に。
"永久"ルベドは皆から。
「無論待つという言葉に嘘はない。いきなりじゃ駄目。まずは弱で慣らしてから五年か……十年もあればいいか。事前にやりますって勧告すれば混乱も起こらない。そうすれば、皆が平等に成長する世界が切り開かれるの!!」
その世界こそ、絶対に素晴らしいものだとルベドは信じている。
「世界は不平等だ。なら、人は生きると死ぬこと以外に、成長するチャンスくらい平等にするべき」
その願いは相互理解。一人では成せないごく当たり前のコミュニケーション。
「何度でも私は言うわ。人は一人じゃ生きられない。そして、成長するには"知らなければならない"。例えそれが苦痛だとしても、貴方たちのように"答え"に至ってくれると信じている。だって、人は必ず何かに成長する生き物なんだから」
他人を信じる優しい正論の星。ルベドが語る世界が実現すれば素晴らしい黄金時代が到来する。そう、
「ふざけるなよこの馬鹿野郎がッ。いいかよく聞けこの知りたがり女。確かにお前の信念は尊く素晴らしい。天晴れな御題目だ。だがな、誰もお前みたいになれないんだと自覚しろ」
彼等でさえ、ルベドのほんのごく一部を受信してしまっただけで、自分が自分では無くなるかのような別の誰かに上書きされると脳組織が拒絶した。
それを全人類に?猶予を与えるから慣れておけ?馬鹿も休み休み言え。大切な身近な人を知るだけで大変なのに、どうでもいい他人を知れだと?それも人間種・亜人種・異形種の全てをって――――――
「価値観が違いすぎる。皆総じて人間?あほだな……死ねよ。出来上がるのは理想郷なんかじゃない――――――死体の山だ。誰も脳と精神が耐えきれない。お前のような機械じゃないんだ。そこから理解しろ」
当初ゼファーは殺すつもりだった。だが、こいつの願いは破滅を生まない。もしかしたらその方がいいのでは?と思わせる。
この場であと少し改善されたなら、戦わなくても良いとさえ考えている。
「"知る"ことで成長するのなら、もう少し大人しくなることを覚えろ」
だから頼む――――――こんな俺なんかよりも皆に誇れる素晴らしい星。
「ごめんね……それでも知りたいの。その先がどうなんな苦難だとしても――――――皆が成長を遂げた明日は私の成長になる!!」
「だから子供なんだよッ!!」
「子供は成長の証だよ!!」
第八層を蒸発させる想像を絶する域の超新星が――――――滅びに撒き散らされた。
同じ階層に資格のないものが踏み入れば塵すら残らない選ばれた者の神域。
調律者、超越者の遥か頂に到った天上の存在。神と謳われる領域までその存在を昇華させた
両者にとって不本意ながらこれが事実上の世界頂上決戦。
「凄い凄い凄い凄い凄いほんとうにすごい!!どこまで出力を上げれば突破できるんだ反粒子ィッ!!」
「テメェ―もさっさと自滅してろ。無限出力がご自慢なんだろ?」
「分かってて言ってるよね?出力が上がれば上がるほど私は自壊する。方向性は決められてもブレーキみたいにオンオフ切り替えは時間がかかる。首とおさらばしちゃうよ。だけど――――――決められるなら私は躊躇なく撃つの」
無限と闇の究極が激突し、粒子に満ちた空間が断ち切り、砕き、破壊される。
「オオオオオオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォッ――――――!!」
「ハアアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァッ――――――!!」
激突し合うは憎悪と歓喜の超新星。ことこの戦いにおいて小細工は通用しなくなった。
僅かな希望を抱いていたゼファーは完全にルベドを害ある者へと格付け。ナザリックが蒸発する莫大なエネルギーが対消滅を繰り返し、弾け合って周囲へ余波を撒き散らす。
広範囲高出力を垂れ流すルベドは、
「あまり好みじゃないけど確実性重視。逃げ場のない拡散するエネルギーを対消滅し続ける貴方たち反粒子と、無限上昇する素粒子……どちらが先に圧し勝つかなッ!!」
太陽に生きる水星は、光に焼かれながら闇を知る"不完全"。
死にたいと心の底から渇望した。もう嫌だと歩みも止めたこともある。だが、ルベドは生まれてから一度も誰かを恨み、妬み、憎悪したことがない。
故に、星としての力は分け隔てのない愛の感情。
雄たけびの鼓動を奏でる『永久機関』は、全ての役割を担う
成長という光だけが呼応する
強さも弱さも人間の全てを受けとめ見守る『守護神』は、成長するための犠牲を厭わない矛盾性を宿している。
優しい"守護神"『
二面性を認識しそれでも光を優先的に伝えるその在り方はまさしく水星。
それが、ああ――――――ひたすら目障りで。
「要は自分に追いついて欲しい訳か。全人類と繋がったお前自身――――――自分を停滞させたくないから。全ての人間を知ってしまった未来への保険。お前や俺のような明確な脅威になるライバル、宿敵、同格の相手が欲しいわけだ。そりゃそうだ。格下嬲って成長も糞もない。闘争に於ける語り合いを重視しているお前はもう俺しか居ない」
ルベドが、ゼファーがそうであるように、新たな星を創生させる最も効率のいい成長は闘争。そんな糞みたいな結論を実行しようとしている。
「誰構わず人の心を見るってことは、当然殺し合いに繋がる。……ああそれ以前に脳が焼け死ぬか」
「面白い意見ね。ええその通りよ。椅子の上で考えただけで人は成長する?実際に行動を移した者、痛みを知る者が成長を果たすの。何事にも良い側面と悪い側面があるように、
こいつは何も理解していない。人類九割死亡から未曾有の大戦争――――――どのみち死体の山だ。
「頭悪いだろお前?寝るときもクソする時も……大切な人と同じ時間を分かち合う時も"誰かの声を聞き続けろ死ぬまで"。……無駄な強化が一番の傍迷惑だ。疾く死ね」
成長し続ける永久機関の出力。ナザリックを消し飛ばすだけでは済まない破壊力を有して轟く。視界全域を埋め尽くす無限の波濤。蠢き唸る反粒子、奈落の星はその深度を深めていき――――――光が消える。
「干渉性特化ッ!!ここまで相性が悪いなんてッ」
どれだけ出力を上げようが、無限のエネルギーは純粋な素粒子。容易く干渉され乗っ取られる。
それだと説明がつかない。
「今までの素粒子を変換し溜め込んだ反粒子か!!」
「自滅は得意だろ」
今の今まで蓄積した奈落の闇がルベドの素粒子を対消滅させる。
上がり続ける出力が間に合わない。
「実戦における経験の差。知識だけじゃどうしようもないほど私と貴方には隔たりがある」
戦闘技術は我流もいいとこ。ご丁寧な出力上昇も徐々に上げるのは倍加した場合の調整が効かないから。
もしももう少し成長する猶予があれば、完全なる出力調整までこぎ着けた。
お行儀のいい成長は一旦終わり。ルベドもまた、光に焼かれた
「水飛沫のような火力じゃもう敵わない。ならば――――――
機械仕掛けの神の如く両腕が高らかに広げられたその瞬間、出力差は兆を軽く突破し、京、垓の領域へと突入しながら大気の圧を纏わせ一点へ向けて集束していく。
「潰れろ――――――
瞬間、ゼファーという対象座標へ無数の光線が殺到した。
集束性、拡散性、操縦性に秀でた誘導性のレーザーはミステル・バレンタインの超新星。広範囲に及ぶ貫通光学兵器。拡散性の星は全方位へ無数の煌めきとなり、永久機関のエネルギーが終わることのない光の波が雪崩込む。回避の隙間がない連射性と拡散性が強化された弾幕は、闇を払いながらたった一人へと迫る。
オリジナルより密度が違う。一撃の威力も連射性も弾幕も桁違い。
土壇場で自身と相性のいい
成長する時間があれば大抵の星を理解しより上位に使いこなす。
「いくぞ、ヴェンデッタ――――――!!」
「ええ、彼女にあなたを殺させない」
呼びかけに応じて歌を奏でる
煌めくオーロラはしかし、闇を凝縮した禍津の誘いに他ならない。レーザーを遮断する
「相手を知りたいと言ったな、ルベド」
「ええ、どんな人間に対しても誤解なく、分け隔てなく――――――」
「それならお前には秘めていたものはないのか?秘密にしたい
「生まれてから一度もないわね」
「
「どういう意味?」
「俺たちはな――――――普通の人間には、隠しておきたい部分が必ず存在する」
一歩。
「秘密を作って、否定されることを恐れているの?そんなものがなければ、知って貰えば人は幸せになれると――――――」
『違う、そうじゃないわ。内に秘めていることこそが大切で、守らなくちゃいけなくて……傷も、痛みも、涙だって――――――それは誰にも奪えない、わたしたちだけの真実』
「確かに誰かがいないと生きていけない。誰かがいるから生きていける。でもな俺達たちの
『そこに、あなたの助けは必要ない』
攻撃の波が一呼吸遅れ、更に一歩。
「だいだい誰にでも自分を理解してほしいなんていうのはな。生まれたての赤ん坊が言う事なんだよォ!!」
子供ですらない。そんな事実を前に気づく――――――気づかされてしまう。
「…………わたしが、孤独に負けていると?」
微かに、彼女の言葉が濁る。ただの寂しがり屋のガキ。周囲に"答え"を求めすぎる、よくできた嫌味な子供。
人間は、誰にも知ってほしくない部分を持っている。
『ほんとうに……本当に大切な人だけに知ってもらうために――――――』
太陽の中央に飛び込んだと同時、
「――――――そのために、生きてるんだよオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!」
「行くぜ……合わせろヴェンデッタアアアアアアアアアアアアアアア!!」
「ええ、ゼファー!!」
「貴様の言葉が私を成長させる!!なあそうだろ……ゼファーコールレインッ!!」
対消滅、並びに対振動の二重奏。特殊な周波数を帯びた粒子の揺らぎを伝播させ、未来を夢見る双瞳を深々と一文字が刻まれた。
(いたい、何も見えない――でも――――――)
脳まで達していなくともその傷は致命傷。それは同時にこのチャンスを逃せば脳、心臓、永久機関の何れかが破壊される一手を打ち込まれる。
修復機構を後回しにそろリソースを視力以外の器官強化に注ぎ込む。
消失前の視界情報から軌道予測を算出+聴力情報から誤差修正―――――計算から完了まで0.1秒。
「――――――私の勝利だッ!!」
那由多を突破し、摩訶不思議を踏破した無量大数の右ストレートが完全に正中線を撃ち抜いた。
「ぐぽぉ……」
命中した感触と全く同時、異物が肋骨と周辺の肉をぐじゅぐじゅに溶かし、ルベドの核を五指で掴んだ。
蝕まれる恐怖と痛み。その正体を再生した眼球が認識した。
「グギッ、あぅ……な、ぜぇ生きている!?」
捻った蛇口のように滴る血は適切な処置を施さなければ死に至る重傷。消し飛ばした右腕は言うにお及ばず。巻き込まれた右腹と右足は深く削がれ、頭部からも激しく血を流す。中身の損傷は想像以上に最悪といってもいい。
だが、強者の喉笛を噛み切る銀狼の眼は『無限』をも奈落の闇へ誘う冥府の扉。
「あがァ!!」
反射的に後ろへ逃げようとしたルベドに、永久機関を掴んだ五指の力が増す。
「逃げるなよ……なぁ、ルベド。お前に俺の能力をちゃんとした形で使用したのは初めてだったな。騙されたのは生まれて初めてか?おい」
「ガハッ、……振動操作、……まさか音まで!?」
ギリギリずらされた。騙す人は知っていても、実際に騙されたのは初めてで――――――永久機関に干渉をしている!
「は、デス……やめ、ろ」
「やめるわけねぇだろ。勝利を抱いた時点でお前は『水星』から『無限』へ天秤が傾いた。確実に殺すなら当然
勝利を願う光に逆襲劇を。
脳と心臓を侵しても永久機関からまた復活する。
それは以前のコイツかは不明だが、それもルベド。
「憐れな奴だよ。甘えられる守ってくれる人がいない。……
絶体絶命の危機に、この惑星を終わらせる全方位
「なあ!?そんな、どうして!!?」
永久機関がルベドで、素粒子が肉体を構成するために常に循環している。それの意味することは。
「あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」
消滅する。対滅する。否定される。拒絶される。ルベドを構成する全てが冥府の供物に捧げられる。
異界法則へ至った独自法則をあの一瞬で干渉するのは不可能。ルベドの回路をもってしても他者の法則を解析するのに膨大な年月を費やす。それが可能とすれば、永久機関を創った者、深く理解している者、そして。
「小細工されていた?歯車を壊しながら永久機関に事前に楔を打っていた!?」
「俺と繋ぐパイプが、予め作ってあるんだ。後は注ぎ込むだけでいい」
「わたしは……おわるの?もうこれいじょう、せいちょう……できないの?」
『それを決めるのはあなた次第よ。成長の仕方は千差万別。あなたは確かに成長する人と人を繋ぐ星。私達はあなたを否定したけど、その有り方は尊く素晴らしく必要とされる煌めき』
面積が無くなる肉体をヴェンデッタ優しく抱きしめる。
触覚は失われているはずなのに、暖かくて、つい今日の出来事の筈なのに。
「……ママ」
最後の時、人は成長する。
最後の最後で、本当の大切なものを実感できたから――――――
「……想いは伝えられていく」
それが、繋ぐということ。
素粒子と混ざりあった反粒子が、極彩色の粒子を散らして――――――消えた。
万象対滅させる
万象繋ぐ
最後走り書きになっちまったよ……
星辰伝奏者……凄い考えました( ´Д`)
※変化したNPC大雑把にまとめた(感想のコピペ)
セバス=愛に生きる男
コキュートス=武士道とは死ぬことと見付けたり
ペストーニャ=皆さん助けます!特に子供!
マーレ=ママ、お姉ちゃん※一番拗らせたヤバイ奴
シズ=?
ソリュシャン=嗜虐心と食欲の化身
ルプスレギナ=虐殺旅行世界一周
ルベド=なんか機械仕掛けの神様ぽくなった
アルベド=?
パンドラ=?
その他=?
モモンガ=絶望
皆、Switchは買ったか?俺は買った、一月前に。そのせいでスプラトゥーンにはまったが、問題は今日(昨日)から発売されるDies iraeだ。どんだけリニューアルするんだよ(半ギレ
全部ついてるボックス買ったと思ったら、Switchって……買ったけど(ガチキレ
取り敢えず、アプリゲームでたらめカウントダウンボイスに出てきた全員当ててやる!