オーバーロードVS鋼の英雄人 『完結』   作:namaZ

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男は、英雄と認め
女は、悪魔と断ずる




ツアレとセバス(後編)

 途絶えた意識は瞬きにも充たない刹那の忘却。

 ヴァルゼライドでさえ、違和感を覚える程度のセバスの忘却は、気のせいと切り捨てるには危険であり、この直感を放置することは己の首を絞める行為と断言する。ヴァルゼライドの眼光が、セバスの瞳を射抜く。

 その瞳の熱量は先とは比べるまでもなく燃え盛り、熱く、アツく、身を焦がす炎は確かな覚悟を秘めていた。

 違和感の正体が実現する。

 

 

「――――――これは」

 

 

 誰もが予想だにしなかった展開。

 ヴァルゼライドもこの急激な変化は想定していなかった。

 

 

「……フゥッ!!」

 

 

 未来予知に等しい見切りに綻びが生じる。攻略された竜のモンクが変動する。

 一つ一つの挙動に迷いはなく。為すべきことを真っ直ぐ定めた竜の全身全霊が牙を剥く。

 より鋭く、より繊細に、より力強く、最強種としてのポテンシャルを十全に生かすモンクへと軌道修正されていく。いく百いく千と繰り返された殺戮舞踏。

 強固な鎧に阻まれながらも僅かに命中していた光刃が徐々に、だが確実に、掠りもしなくなる。

 

 

「懐かしい夢を見た……そんな気がします」

 

 

 その言葉はヴァルゼライドに対してや、ましてや自分出すらない誰かに語りかけた無意識に零れ出る想い。

 

 

「嫌い……だったのでしょう。真逆の性質は反発し、目を合わせれば歪み合う。もしナザリックの仲間でなかったなら……」

 

 

 全てにおいて相容れない。賛同も賞賛も喜びも、かけ離れた種族としての――――――設定の(サガ)だとしても。

 

 

「私も貴方もただの、本当に……心底、えぇ……勝手に先走る愚か物(馬鹿)だ」

 

 

 自己の存在に多大な影響を及ぼしたお父様(たっち・みー)

 憧れの正義の味方のように、初めてこの手で救うことができた少女(ツアレ)

 互いに正反対に走りながら憎たらしくも並び立つ、気に食わない馬鹿(あくま)

 死んだと聞かされたときは心底清々した。僕の中でもアインズ様により頼られていて……ろくな情報も残せず無惨に死んで……嗚呼――――――

 

 

「デミウルゴスを殺ったのは……貴方ですね?」

 

「……醜悪な悪魔のことならば肯定しよう。あれこそが、倒すべき悪そのものだ」

 

 

嗚呼やはりと、不思議と胸に落ちる。

確証もない。されど、この男ならばと。

 

 

「えぇ……彼こそが悪なのでしょう。"悪であれ"悪魔らしい"魔であれ"。その性質上、衝突することの方が多かった」

 

「……仇討ちか?」

 

「それこそまさか。悪魔のための復讐など笑い種です。これは只の……個人的な、そう――――――八つ当たりだよ"英雄"ッ」

 

「――――――ッ!」

 

 

 前へ前へ勝利を目指し更に加速する男が初めて、攻撃を中断し防御と回避に全神経を総動員させた。

 人外との超至近距離戦は何度も経験している。無論、竜といった巨大な怪物も斬り伏せてきた。その全てに共通している事柄がある。人外は、人間のような技を持たない。人外でも剣や武器などを巧みに操るものは存在するが、最後は生まれもっての生物としての性能に頼る。

 ヴァルゼライドに言わせれば、"技の極み"まで鍛練する人外がいないのだ。

 当たり前だ。耐性がなければ石化する魔眼と種族としてこの世界で上位に位置するバジリスクが、何を想定して鍛練すると言うのだ。冒険者?基本的に奴らは人間を見下す。強いやつがいるのは知っているが、強靭な爪と尾で片付くと考えているのが殆ど。

 上位種族の頂点が一つ――――――ドラゴン。それが、武術を学ぶか?例外はいよう。だが、かじる程度の技術だけで十分。其れだけで、達人を鏖殺する。

 そもそも技術とは、弱者が強者に勝つための手段。

 それを、最強種ドラゴンが人間の型としではなく竜として極めれば――――――この結果は必然で、同時にヴァルゼライドの異常性を浮き彫りにする。

 竜のモンクの攻撃範囲は点や線を越えた面制圧。余波だけで人間を肉塊にする弾幕の嵐を、避け続ける。

 あまりに不可解。パワー、スピード、テクニックは段違いに上昇している。それを危な気であるが全て回避――――――道理に合わない。

 

 

「納得いかない顔だな。それ程不思議か。俺が対応していることが」

 

「……我々のような魔法、スキル、マジックアイテム(奇跡)の力で補う戦闘ではなく、卓越した技術、並外れた観察眼のみで――――――まさかッ」

 

 

 天才だろうと努力家だろうが、初見の技を完璧に対応出来るものは存在しない。だが、セバスの竜のモンクは違う。修正されより鋭く攻撃的になった竜のモンクは基盤となる型が既に攻略されている。

 前の面影がある以上初見必殺になり得ない。

 

 

(ならばと行きたいが、制限時間は僅か)

 

 

 限界は近い。だが、この"英雄"に何が何でも一撃を喰らわせないと怒りが収まらない。

 一般メイド(あの子たち)は最後まで己を貫いた。

 ツアレ(彼女)は最後まで運命に抗った。

 ならセバスは――――――

 

 

「グルゥアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!!!!!!!」

 

 

 ――――――正直な気持ちを解放した。

 

 スキル:光聖竜の咆哮。一定範囲の敵を強制的に弾き飛ばす。

 竜と"英雄"の距離二十メートル。

 急激な変化は凶暴化による攻撃力、速度上昇でモンクを捨てた――――――否、怒り狂う竜の咆哮はセバスを曝け出した。

 

 理屈や大義で誤魔化すな。

 死を、当然であると受け入れるな。

 ああ死ねよ英雄、貴様は竜の宝に手をかけた――――――ツアレをッ!!

 

 大気を震わせる竜の怒りを肌で受け止めたヴァルゼライドは全細胞を尖らせ、スキル効果が切れると同時に地を蹴り抜いた。

 無条件強制的に抵抗を許さず距離をとらされた現象。際限なく高まるエネルギーが竜の口内に集束される。

 竜の代名詞。単純にして最強の一撃。物語に登場する伝説の最強種ドラゴンの最大火力。

 だが、欠点もまた存在する。無慈悲な破壊はチャージタイムのリスクを拭えない。ならば、打たせる前に討つ。勝利する最善策を瞬時に選び実行する精神。常人なら躊躇するその選択をヴァルゼライドは当然と選択する。その僅かな戸惑いが生死に直結すると知っているから。

 

 

(そう来ると信じていたッ!)

 

 

 この世界の人間で彼ほど勝利を目指し、誰かのために戦う存在はいない。同じ目的を掲げ誰かのためにと戦う人間は確かに存在する。だが、熱量が足りない。怒りが足りない。それに伴う経験と決断力が足りない。

 その全てを逆手にとる。

 聖竜形態、光聖竜セバスティアヌスの特殊スキル。

 スキル発動にタイムラグ、チャージタイムなどなく。この形態で一度しか使用できない切り札。

たっち・みーが設定したスキル:正義の柱。強制的にエフェクトが表示され周辺に浮かび上がるその姿こそ、セバスが掴み取った正義(ツアレ)の味方。

 

――――――私は最後まで、己のが正義を貫くッ

 

 

 

" 正  義 "

 

" 降  臨 "

 

 

 

正義の審判者(ジャスティス・ジャッジメント)純銀の聖騎士(たっち・みー)ッ!!」

 

 

 正義(ツアレ)の化身として純銀の聖騎士を象った消滅の光が、悪を断罪する正義(誰か)に光を振り下ろした。

 自ら死地へ飛び込んでしまったヴァルゼライド。中途半端な防御も回避も意味をなさない。だからこそ、一瞬も速度を緩めず顎が地面に接触する程前のめりに限界を越え更に加速する。

 

 

「ウオオオオオオオオオオオオオオオ――――――ッ!!」

 

 

 流れ星と化した天霆(ケラウノス)の煌めく閃光。勝利(まえ)勝利(まえ)へ――――――先行する精神に肉体は自壊していく。全身筋肉の筋挫傷、腱断裂……etc。骨が圧し折れないのが不思議なほど亀裂が走る。"ギチギチ""ゴキッ"と人の身体から発してはならない音。

 限界を超え限界を超え限界を超え――――――増幅し膨れ上がった光刃が、消えた。

 いいや、否。その比類なき意志力で極限まで膨れ上がった質量(裂光)を刀身に集束、凝縮させた光。

 無駄を省き、削ぎ落とし、"貫通"のみへ特化させ、必殺へと昇華させた力は、純銀の聖騎士を象った消滅の光(たっち・みー)を薙ぎ払い肉体を崩壊させ更に加速した。

消滅の光を真っ向から突破した肉体は、皮膚は焼きただれ、細胞は消滅していく。よって――――――

 

 

「勝つのは、俺だああああああああああああああああああッ!!」

 

 

 これにて幕引き。問答無用の縦一文字が竜の頭蓋を捉えた。

 世界最高の強度と性能を誇る絶対無敵防具。その兜が二つに割れた。

 これにより証明された。悪を滅ぼす光を正当方(現存ルール)で防ぐのが不可能という真実。

 生きてはいまい。竜であろうと生き残れない。それでも、その挙動から目を離さない。この竜は何が何でも抗う存在だと知っているから、完全に生命活動が停止する瞬間まで次には移れない。己の全てを上回る強者を前に、もしもは残してはならない。

 

 

「なん……だと!?」

 

 

 男は致命的なミスを犯した。蔑ろになどしていない。その想いを尊重し対等であると認めた。故にこれは優先順位の問題。最強種ドラゴン。絶対的強者とメイドの少女。脅威など明確。なにより、ヴァルゼライドでさえ竜の余波で致命傷を負っている戦場で、戦う力を持たない彼女に何ができる?

 これはそんな齟齬が生んだ"英雄"の認識外の出来事。

 

 

「これが、私達の意地だァッ!!」

 

 

 握り締めたフォークが、ヴァルゼライドの眼を貫いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 地獄を生きてきた。幸福も祝福も笑顔さえない。女性として奪われるものすべてを凌辱され犯された。人が想像しうる欲望を受け止め続けたこの身は穢れ汚れきっている。抵抗など許されない暴力。クスリ。男など、幼い頃遠い記憶として残映する父と、女を欲望の捌け口としか認識していない獣しか知らなかった。

 男を恐怖し拒絶する。それだけの心的外傷(トラウマ)を刻まれた。男の下衆な欲望や視線に敏感になっている彼女にとって、男は女を玩具としか認識していないという固定観念が生まれていた。これを完全否定出来る男はそうはいない。誰でも1度は滅茶苦茶にしたい。自分の都合のいい女が欲しいと夢見るのが男の性。

 だけど、だからこそツアレはセバスに恋をした。

 世界はこんな人がいるんだと、誰よりも優しい日溜まりの太陽は、ツアレの心を甦らせた。連れ去られる前、12歳の幼き頃の甘い初恋。

 私は、何も成長していない。

 男に遊ばれ、男に滅茶苦茶にされた人生。男は自分とは違う生き物。なのに、嫌悪しか懐かなかった異性を好きになってしまった。

 私の心は、12歳のあの頃からまったく成長していない。幻滅し、諦めて、殴られた記憶しかなかった大きく、ゴツゴツしたあの人の手は――――――温かかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………綺麗」

 

 

 私とは違う。何処までも羽搏ける大きな翼を兼ね備えたドラゴン。

 その姿は幻想的で、大きくて、何処へでも飛び立てるはずの翼は、重く、思く、想く、地に縛られている。鎖は私だ。

 それがどうしようもなく悔しくて。悲しくて。貴方だけなら勝てる戦いを邪魔しる私が赦せなくて――――――嬉しかった。

 

 

『俺のような塵屑と違い、彼女は気高い意思を宿している。その尊い想いを誰かと比べるなど侮辱にしかならんよ』

 

 

 激化する戦闘。語り合う"英雄"の主張に、私は全力で否定する。

 

 

『気遣う行動は素晴らしい。立派だ。だが、誰よりも足で纏いになりたくない男の邪魔をしている彼女の気持ちを何故汲み取ろうとしない?』

 

 

 何も分かっていないのは貴方だ。人の心に勝手な理屈を当てはめて一人で納得しないで。

 

 

『誰よりも守るべき彼女を陥れているのは己だと知れ!!』

 

『――――――ワタシハッ!!』

 

 

 セバス様、貴方が悲しむことなど何もないのです。私は何処までも身勝手な女。戦う力など無く、本気を出せない貴方の後ろで守られている弱者。愛する男の邪魔をしたくないなら、自ら安全圏の外に出ればいい。死ねば万事解決。愛する男が、力のすべてを使い勝利するだろう。

 効率的。理屈的。ああだとしても、この握り締めたフォークがそれを許さない。この殺意の意思は、紛れもなく私のもの。

 怒りすら忘れ、世の中を呪うことしか出来なかった私が、幸福を奪った悪魔を相手に、初めて抗う。そう、怒っているのだ。

 生きてて欲しかった。それがどれだけ屈辱的な敗北でも、彼女たちには生きてて欲しかった。

 

 

「返してよ……これ以上、奪わないで……ッ」

 

 

 故に、ツアレは立ち向かう。奪われるだけの人生とはお去らばだ。救われるだけの傍観者に成りたくない。恩を返す。この思いのすべてをぶつける。

 そして気づく、感情の赴くままに本気を出したあの人の姿を。私を絶対守るのだと、光が包み込む。

 

 スキル:光聖竜の城壁。一定時間、対象を無敵にするスキル。継続時間は、levelが低いほど延長される糞スキル。

 

 それが、ツアレを守っている。だから、本気で戦っている。これがなんなのかツアレには理解できない。でも、そんな優しい二人だから彼女たちは命を懸けた。

 

 

 "も~しょーがないなぁツアレわ。これで最後だよ?"

 

「……嘘」

 

 

 宿るは導く力。消滅し、二度と戻っては来ない一般メイドがツアレに託した意思。

 メイド服は決戦兵器。そう口にした男がいた。メイド服が好きで好きで好きで大好きな彼は、メイド服を蔑ろにする野郎を懲らしめるために全く役にたたない機能を付けた。

 戦う力を持たない一般メイドクラスのlevelが使うこと前提の効果。 

 

 発動条件:四十一着のメイド服を傷つけた者が対象となる。

 効果:魔法、スキル、特殊攻撃を除く通常攻撃を一撃だけ必中100%にする。※予備のメイド服を身に纏う者が効果を発揮できる。なお、戦闘行為が終了するまで衣装チェンジ不可。

 

 level100同士の戦闘において装備は重要。誰が耐性も何もない唯のメイド服で勝てる。

 そんな理屈も効果もツアレは知らない。でも。

 

 

"私達が案内するから!!"

 

 

 確かに聞こえたのだ。もう会えない、触れ合えない、大切な……友だちの声。

 皆の勝利は勝つ事じゃない。抗うこと、最後まで抗って邪魔してやること。

 そうだよね。ムカつくよね。侵入されて殺されて友達がピンチなのに、黙ってやるほど私達(メイド)は優しくない。

 

 

「私を、連れてってください。セバス様のところまで」

 

 

 皆さんが引っ張ってくれる。一人じゃ抗えない。私はそんなに強くない。でも皆となら――――――

 理屈ではない。技術でもない。導かれるままツアレは、存在しないはずの"英雄"の死角まで回り込んだ。

 

 

「これが、私達の意地だァッ!!」

 

 

 "唯の人間"ツアレが、英雄譚に致命的な亀裂を刻んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 音速にすら達していない攻撃が命中した。予備動作、重心、持ち方から攻撃するまでの動き。その全てが何処にでもいる唯の少女。猪突猛進の無謀な攻撃が、英雄のセンサーを掻い潜り見事一子報いたという事実。

 残った眼光がツアレを捉えた。

 傷をおったヴァルゼライドは条件反射の領域で、己を傷つけたツアレに振り下ろした刃を返す。

 

 死――――――悪を殺す王者の覇道を一身に浴びる。level100の超越者すら死を覚悟するギラつく眼光をツアレは睨み返す。竜の加護も皆の力も無くなった。それでも、心は最後まで抗ってみせる。

 

 女は、覚悟を決め結果を示した。

 なら、男は――――――

 

 

「――――――ツアレェエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエッ!!!!!」

 

 

 切り裂かれた開口部から漆黒の燕尾服が飛び出す。竜化の時間切れ。鎧のみを残し人型に戻ることで、前頭骨を吹き飛ばされるだけですんだ。しかし、光の猛毒はセバスの脳を侵食し身体を動かすことが不可能な激痛と吐き気、倦怠感が襲い掛かる。狂えば楽だ。気を失いこのまま死を選択すれば地獄の激痛から解放される。

 

 

"ふざけるな"

 

 

 愛する女が、目の前で殺されかけている。うじうじ悩む男が起き上がる理由はそれだけで十分だろ。

 

 

「貴様は来ると信じてたぞ!!」

 

 

 攻撃を受けた時点で、どのような形にせよセバスが来ると確信していた。

 愛し合う男女をヴァルゼライドは危険視する。戦う力を持たないはずの少女が、予想外の一手を繰り出し手傷を負わされた。愛とは起爆剤なのだ。ならばこそ、女が示した愛に、男が応えぬ道理はない。

 ツアレに滑らせた返しを、セバスに向け更に返した(カウンター)

 聖竜形態の時よりも素早いセバスの動きも、必ず来ると解っていれば後は合わせるのみ。

 少女の覚醒は予想外。男の覚醒は想定内。

 結局、英雄譚は破綻せず物語は鋼の英雄の勝利に――――――

 

 

 

 

 

―――――ビキ――――――

 

 

 

 

 

「なに!?」

 

 

 地下9層『ロイヤルスイート』の一画が崩壊する。地下8層『荒野』の戦闘に耐えきれなかったギルド構造として有り得ない事態。降り注ぐ地下8層と地下9層の質量と反粒子。

 ヴァルゼライドとツアレを巻き込み降り注ぐ脅威を前に、これまでにないほど追い詰められる。

 反粒子の理不尽な効果を誰よりも理解してるヴァルゼライド。

 このままセバスを斬り捨てても瓦礫と反粒子に押し潰される。瓦礫と反粒子を対処しようとすればセバスの手刀がヴァルゼライドの核を破壊する。両方を同時に対処できるほど、甘くはない。

 どうしようもない、詰み。今のヴァルゼライドに突破するのは不可能。

 理不尽な状況に追い詰められた。故に、理不尽そのものは決断する。

 

――――――この男は、決意と呼ばれる概念が結晶化したような存在である。

 

 

「まだ――――――ッ!!」

 

「手を伸ばせええええええええええ!!!!」

 

 

 ヴァルゼライドなど眼中にない。セバスはツアレを助けるために命を懸けて殺すべきアインズ様()の敵。ナザリックの敵をこの一時忘れさり、伸ばされたツアレの手を確りと掴んだ。

 障害がなくなり、回避に専念するヴァルゼライド。

 ツアレを助けるため自ら飛び込んだゼバス。

 反粒子が、愛する男女(二人)を呑み込んだ。

 

 

 

  

 

 

 




次回『愛する二人』


■■■■■■:次回……絶対。

投稿速度:遅いときと速いときの差が激しい。気分で1日の書く文字数が決まる。最低でも1ヶ月に一回は投稿するよう心掛けてます。

ゾンビのあふれた世界で俺だけが襲われない:ergなので、18歳以上がプレイしよう。暇潰しにやったら、結構良作。メインヒロインここ最近で一番好きかも。3作まで発売中。

オーバーロード:好きだよ?オーバーロード大好きだよ?本当だよ?好きじゃないものこんなに調べて書かない。

異世界もの(ステータスやらlevel有り):好き嫌いで色々あるけど、これだけは言いたい。赤ん坊から結婚するまで長期連載する人マジ凄い。さらに、技能系を増やし続けて10~30(これでも少ない)の設定を忘れずに戦闘シーン書く人マジ凄い。矛盾する人もいるけど。


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