ポルカ〜剣の王の伝説〜   作:ガラスのハート

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一先ずは第1章最終話です。
読んで下さった方、ご教鞭して下さった方、暖かい目で見て下さった方、本当にありがとうございました。m(_ _)m


第7話

 ポルカは小さな村にたどり着いた。

 

 その村では貧しいながらも少しの食べ物を何とかやり繰りして過ごしている。

 

 しかし、その中に自分は殆ど食わずに馬に食べ物を与える変わり者の爺さんが一人おった。

 

 ポルカはその爺さんの元に近寄ると爺さんとハグを交わした。

 

「お待ちしておりました、スチールポルカ様、貴方のサーモン・スネークは元気ですよ」

 

 黒毛の馬は大きな声でなく。

 

 ポルカは馬に抱きついた。

 

「ありがとな叔父さん」

 

 叔父さんは少し暗い顔をする。

 

「本当にいくのかい?」

 

 ポルカは馬に跨りうなづいた。

 

「相棒も帰ってきた、それに祖国に帰るのに何の問題がある事か」

 

 叔父さんはポルカにお酒を渡す。

 

「分かった、止めはしない、お前の祖国を取り戻しにいけ!」

 

 ポルカは酒を一気に飲み干して大声を上げた。

 

「ハッカペル!!」

 

~☆~

 

 それは地を走る風だった。

 

 ポルカは祖国の城めがけて馬を走らせる。

 

 今はブラックスノーの砦。

 

 ポルカは1人の軍隊。

 

 沢山の矢がポルカに降り注いだ。

 

 ブラックスノーの兵士は笑った。

 

 なんでたった1人のあの男を恐れなければいけないのだ、俺達には弓も矢もある、銃も砲も火薬も玉も沢山ある、勇敢な戦士が血を求めて剣を握っている。

 

 そして何よりも砦がある。

 

 たった1人のあの男を恐れなければ何故いけない?

 

 その答えは簡単だった。

 

 ポルカとサーモンスネークは矢を受けても怯むことなく突っ込んでくる。

 

 それは衰えを知らない大木のようにつよく。

 

  ポルカは弾丸の雨を受けた。

 

 だが ポルカは尚も走ってくる。

 

 身体じゅうに矢が刺さり穴があく。

 

 ポルカは間一髪で急所だけは外させていた。

 

 砦の外ではパイクを構えた長槍兵が槍で壁を作り、待ち構えていた。

 

 もう遅い、白刃の王は一騎当千の騎兵だ。

 

 馬に乗った彼を止められる者はいない事を彼等は知ることになる。

 

「ハッカペル!!」

 

 白刃の王は剣でパイクを横に払い馬で歩兵を踏み潰した。

 

 あの馬の名前はサーモン・スネークと言う、それはドラゴンという意味だ。

 

 白刃の王はドラゴンに跨った戦神その物だった。

 

 陣が崩れた歩兵をつきづきとなぎ払い城の門めがけて神は翔ける。

 

 神の剣の1振りは分厚い門を切り裂き活路を開く。

 

 彼の前に壁なんて無用、白刃の王は彼に襲いかかる勇敢な戦士達をつきづきと打ち破った。

 

~☆~

 

 イワンは困り果てた。

 

 噂を聞き、援軍として向かった。

 

 本国からも援軍を呼んだ。

 

 しかし、どの村もブラックスノーを泊めることは無かった。

 

 挙句の果ては村を焼き払い井戸に糞を投げ込んだ。

 

 盗賊にはゲリラ的に何回も襲われた。

 

 傭兵はいくら金をつもうとブラックスノーの仕事はしなかった 。

 

 東からの風来坊が単身でブラックスノーの兵士を食い止めた。

 

 海からの増援は海賊達に襲われた。

 

 このチャンスを伺い連合軍も重い腰を上げた。

 

 全ての人がブラックスノーの敵でポルカの味方だった。

 

だけどイワンも諦めなかった。

 

「俺は忘れない前の南下の時をあの勿忘草に誓ったんだ」

 

「沢山のブラックスノーの英雄達が一つの砦にこもり一年間もほぼ全滅するまで戦い抜いた」

 

「目の前で沢山の仲間が死んだ、当時の将軍も前衛で戦い抜き仲間をかばって死んだ」

 

 イワンは馬を走らせる。

 

「まってろ、ブリザードイワンが行くぞ、全てが我々の敵だという事は覚悟の上だ、それでも南下の悲願の夢を祖国の為に民の為に私はこの手で持ち帰る!」

 

イワンの後ろに沢山の騎兵がついてくる。

 

「勇敢な戦士たちよ、あの砦を護ろう、もう二度と砦を沈めてなるものか、奴らのアギトを喰いちぎれ!!」

 

騎兵達はサーベルをかかげる。

 

「ダアーーーー!!!」

 

 勇敢な戦士たちは草原を草原を翔ける。

 

 ポルカは城の周りの兵士を一掃した。

 

 すると、沢山の馬のヒヅメの足音が聞こえる。

 

 大地を揺らして怒りに肩を震わしてこちらに向かってくる。

 

 ポルカは馬を走らせる、騎兵の集団に向かって。

 

 イワン達はサーベルを振り上げる。

 

「ハッカペル!!!」

 

「ダアーーーー!!!」

 

 騎兵の一撃は強烈だ、剣の降る力に馬の加速が乗る。

 

 下手すればサーベルが折れて肩が外れる程だ。

 

 イワンとポルカの剣が触れ合い火花を散らした。

 

 ポルカはそのまま、剣を振り回して他の騎兵を斬り殺した。

 

 イワンの剣を握る手が痺れる、ポルカの奴は何でこうも馬鹿力なのだ。

 

 馬上でやつに勝てるやつなんていない事は分かってる、奴は魔法で守られているように強い。

 

 イワンは歯を食いしばる。

 

 しかし、倒さねばならない、祖国ブラックスノーの為に。

 

 イワンは馬をターンさせて、大急ぎで走らした。

 

 ブラックスノーの騎兵としての誇りがイワンにはある。

 

 イワンは意地でポルカの馬と並列に並び、剣を切り結ぶ。

 

 いくたとも火花が舞い上がり金属と金属がぶつかり合った。

 

 ポルカは手が痺れてついついサーベルを落としそうになる。

 

「これでも喰らえ!」

 

イワンは馬から飛び上がり、ポルカに体当たりをかました。

 

2人は落馬して地面を転がりもつれる。

 

 しかし、ポルカは全身が一振りの鋼、ポルカの指がイワンの肩に深くくい込んだ。

 

 イワンはポルカのマウントをとり、ポルカの顔面を剣を持ってない方の手で何回も殴った。

 

 ポルカの指が肩から抜けるとイワンはサーベルを振り上げる。

 

 ポルカの手刀が飛んできてイワンは半身になって避けた。

 

 ポルカは立ち上がりイワンに斬りかかる。

 

 イワンは殺意無き一撃でポルカの腹をかすめた。

 

 ポルカの腹に切り傷がうまれる。

 

「例えこの命尽きようと我等の牙はお前達を苦しめ続けるぞ、敗走の兵だと馬鹿にしてると酷い目に合うぞ!!」

 

 イワンはデタラメに剣を振り回す、ポルカは殺意無き攻撃をなんとかして避けて受け止めるが身体に沢山の生傷が増える。

 

 ポルカは剣を体で受けてイワンにショルダータックルをかまして突き飛ばした。

 

 イワンは尻餅をつく。

 

 ポルカは剣をかがげた。

 

 イワンは余りの光景に戦いを忘れて生唾を飲んだ。

 

 剣に青空が映り込み群青色に輝いた。

 

 キラキラと蒼く光り輝く剣をかかげてその背にお城がそびえている。

 

 これが群青の剣、それは鏡のように研ぎ澄まされた戦神の剣のことだった。

 

 全てを鋼に刻んだポルカ自身の心そのものにも感じ取れる。

 

 馬に乗れば一騎当千の騎兵、馬を降りれば地上最強の剣神。

 

「ハッカペル!!」

 

 ポルカは剣を縦一線に振り落とした。

 

 イワンも殺意無き攻撃をくりだす。

 激しい火花、飛び散る金属片、空を舞う刃。

 頭蓋骨から脳、脊椎、臓腑を切り裂き剣事イワンを断ち切った。

 

 地面に刃の先が突き刺さる。

 

 ポルカを砦から出てきた兵士達が襲いかかる。

 

 ポルカに休む暇は無い。

 

 ポルカは可能なかぎり剣を振り回した。

 

 日が暮れた、群青の剣は夕日で緋色に輝いている。

 

 ポルカは死体の山の上に座り込んでいた。

 

 そこにアルバートがやって来た。

 

「祖国が真っ赤っ赤じゃねえか」

 

 ポルカは俯いたまま、涙をこぼした。

 

「お前か、ひとつ聞いていいか?」

 

 アルバートはポルカの隣に座った。

 

「聞くだけなら無料だ」

 

 ポルカは血塗れの手を見つめる。

 

「もしも、私が死んだら妖精の花園に私の魂はいけるのだろうか・・・」

 

 ポルカは大事な剣を地面に突き立てて、それに映る自分を見つめた。

 

「きっと、王女様は妖精の花園で妖精達と楽しく過ごしているに違いない、我侭だができる限り王女様の側で守って差し上げたいのだ」

 

 アルバートは緋色の空を見上げた。

 

「王女、王女とうるせえよ、お前はロリコンか?」

 

 ポルカは眉間にシワを寄せた。

 

「俺は王女様の帯刀だ、王女様の為に戦うのが生まれ持っての運命だ」

 

 アルバートは大剣を担いで立ち上がる。

 

「くだらねえ、生まれてきたことに意味なんてねえよ」

 

 アルバートはポルカの前に立ちふさがる。

 

「ただ、生まれてきて、最後は皆誰しもが死ぬのみだ」

アルバートは死体を踏んづける。

 

「死ねば、それはただの屍だ」

 

 ポルカは剣を抜いて立ち上がった。

 

 アルバートは大声を上げた。

 

「まだ分からんのか、生まれてきたこと俺達が求めるような都合の良い理由なんてある訳ないだろ!?」

 

 ポルカは緋色に輝く剣をアルバートに向ける。

 

「黙れ!!」

 

 アルバートは大剣を身構えた。

 

「こいよ、剣士の最高峯よ!! 」

 

 ポルカは飛びかかった。

 

「ハッカペル!!」

 

 アルバートは大剣を地面に刺してその後に隠れた。

 

最高に研ぎ澄まされたポルカの潜在能力はダマスカス鋼の大剣でさえも切り裂いた。

 

「何時もの冷静さが全くないな!!」

 

 アルバートはポルカの顔面にラリアットをかました。

 

 ポルカは背中を反って、地面をの垂れた。

 

 アルバートは地面につばを吐き捨てた。

 

「今ので1回殺したぜ!?」

 

 アルバートの手にはナイフが握られていた。

 

 アルバートはナイフを地面に投げ捨てる。

 

「こいつは使わねえ」

 

 アルバートはポルカを蹴っ飛ばした。

 

「どうした、剣神!?」

 

 ポルカは地面を転がる。

 

 アルバートはポルカの上に馬乗りになる。

 

「いつまで王女の影にしがみついてるつもりだ!?」

 

 アルバートはポルカの顔面に沢山の拳を叩き込んだ。

 

 日は沈み青色の月が顔を覗かした。

 

 雪が降った、今は冬季なので白夜は見られなかった。

アルバートは手を止めた。

 

 空を見上げる。

 

「ちくしょうが・・・」

 

 青色の月がポルカの剣に映り込み剣が蒼く輝いた。

 

 アルバートは目を丸くした。

 

「剣を離してない、てっことはまだ息がある!?」

 

 ポルカは体重100キロを超えるアルバートを軽々とひっくり返してマウントを取り返した。

 

「調子に乗るなよ、馬鹿力だけ野蛮人が!?」

 

 今度はポルカがアルバートの顔面になんべんも剣の柄を叩きつけた。

 

 アルバートがポルカをひっくり返すと、ポルカはアルバートの頭をつかみ、もう一回してアルバートの頭を地面に叩きつけた。

 

 そのまま、アルバートの片足をつかみ、棒の様に振り回して地面に叩きつけた。

 

 アルバートは懐から隠しナイフを投げつける。

 

 ポルカはナイフを剣で払う。

 

 そのまま、アルバートをもう一振りして地面に叩きつけた。

 

 アルバートのブーツがちぎれて、アルバートは片足裸足になり、ポルカから開放された。

 

 アルバートは落ちているサーベルを広いポルカに斬りかかる。

 

 ポルカはサーベルを剣で払い除けて、アルバートの防御をがら空きにした。

 

 ポルカの剣がアルバートの首元に触れる。

 

 アルバートは笑顔になった。

 

「そうだ、お前はまだまだ強くなれる」

 

 ポルカは知った。

 

 生まれてきたことに意味など無いことに。

 

 ポルカは受け入れられなかった。

 

 知っても尚、生まれてきた意味を考えていた。

 

 それは決して死ぬまで導き出せない答え。

 

 自分は何で一振りの鋼なのだろうかそれさえもカフカである。

 

 ポルカはアルバートの腹に蹴り叩き込む。

 

 アルバートは腹を抱えて後ろに下がった。

 

 結局自分は何の為に剣を振るっていたのだろう、死んでしまった女王の為か無き英霊の為か自分しか居ないのに祖国を取り戻すためか。

 

 結局、斬りすぎてよく分からない。

 

 ポルカは一つの答えに出た。

 

 今、変わらなければいけない。

 

 ポルカは剣を鞘に収めて城に祈りを捧げた。

 

「さようなら王女様、皆に精霊の加護があらんことを...」

 

 さあ、これからは何の為に剣を振ろうか。

 

 この剣は何の為の剣か・・・。

 

 とりあえず、踊る子羊亭で飲もう、エリカを見れば睨まれるけど癒される。

 

 井川の奴と手合わせしてやろう、きっと喜ぶぞ。

 

 アルビダとまた、酒を酌み交わそう、なんて言ったて親友だ。

 

 この土地は放浪者たちに譲ろう、食べ物も井戸も豊富だし土地も広い。

 

 ブラックスノーの勇敢な戦士達の英霊碑を建てよう、死ねば皆同じ平等な屍だ。

 

 ポルカはアルバートに手を差し伸べた。

 

「さあ、アルバート、お前をこの白刃の王の従者にしてやるぞ」




~オマケ~

アホポルカ③

 ポルカとイワンは馬で翔ける。

 幾とも剣が交差して火花が舞い上がった。

 イワンはポルカに飛びつき二人とも落馬して絡み合った。
 ポルカはそのとき、イワンの口に何かを放り込んだ。
イワンは慌ててそれを吐き出した。

「てめえ、何を入れた!?」

 ポルカは大声で笑う。

「我が祖国の特産の世界で一番不味い飴サルミアッキだ!!」

 イワンは口を抑える。

「何だ、この味はアンモニア!?」

 ポルカは黒くて菱形の飴を口に入れた。

「みんな、不味い不味い言うけどこれって結構美味しいと思うよ」

 イワンは両膝をつく。

「うう、これが上手いとか逝かれてやがる」

 ポルカは黒色のウォッカを差し出す。

「サルミアッキ味のウォッカ、ウォッカ好きだろ?」

 イワンは首を横に降った。

「やめろ・・・」

 ポルカは黒色のウォッカを飲み始める。

「おかしいな祖国では、国民的味なのに」

 イワンはまだ、口からアンモニアの匂いが取れない。

 ポルカの持ってるウォッカのビンには原材料・塩化アンモニウムと書かれていた。

 イワンは顔を真っ青にする。

「食べても大丈夫なのかよ・・・」

 イワンはカルチャー・ショックを受けて、立ち直れなくなり、そのまま精神病棟を出られなくなった。

イワンの家族が涙ながら医者に話しかける。

「父はどのような様子で?」

 医者は首を横に降った。

「完全に手遅れです、イワンさんは重度な中毒にかかっています」

 病棟の奥から叫び声後聞こえた。

「俺にサルミアッキを食わせろ!!」

扉を叩く音が響く。

「あの味がわすれられなくなっちまったんだよ!!!」

めでたしめでたし。

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