ポルカ〜剣の王の伝説〜   作:ガラスのハート

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第19話

戦争の火蓋は切って落とされた。

 

ブラックスノーから配給された武器を手に持ち、沢山の兵士が集まった。

 

目指すは連合軍本部、白き砦。

 

ポルカは愛馬サーモンスネークに跨る。

 

そこにいるポルカの姿はまさに一騎当千、無敵の騎士である。

 

作戦では途中の山脈にこっそりと気づいた砦で黒騎士の軍と合流する事になっている。

 

そこにアルバートもいる。

 

ポルカ達は馬を走らせる。

 

決心はいつだって出来ている。

 

~☆~

 

砦は燃えている。

 

黒騎士が両手に大剣を持ってアルバートと背中を合わせていた。

 

「バレちゃったな⋯⋯」

 

黒騎士がため息をつく。

 

アルバートが笑ってみせる。

 

「腐っても黒騎士だな、お前は怪しいから目をつけられるのだ」

 

黒騎士が笑い返す。

 

「盗賊に落ちぶれた騎士に怪しいと言われるようじゃ俺もダメだな」

 

アルバートは背中に大剣を背負い、金棒を構える。

 

「なんで、大剣を2個も持ってんだ?」

 

黒騎士がクククと笑う。

 

「単なる力自慢さ、お前こそ背中の大剣は使わんのか?」

 

アルバートは金棒を見せつける。

 

「こいつが折れたら使うよ」

 

黒騎士が大笑いした。

 

「使うことはなさそうだ!!」

 

アルバートが真剣な顔をになる。

 

「来るぞ」

 

黒騎士が大剣をクロスさせる。

 

「来るも何も囲まれてるだろ?」

 

アルバートが金棒を振り上げた。

 

「そうだったな!!」

 

黒騎士達は白騎士の奇襲をくらい、ほぼ全滅してしまっていた。

 

砦は燃やされて、周りは四面楚歌だ。

 

今は此処が最前線である。

 

アルバートは叫ぶ。

 

獣のような雄叫びをあげる。

 

黒騎士が二つの大剣を横一線に同時にふる。

 

これを防ぐ術はない。

 

アルバートも同じ。

 

アルバートの強烈な一振りを防ぐ術はない。

 

黒騎士は両手の大剣を力任せにしかし的確に刃長をめいいっぱい使い周囲の兵士を薙ぎ払う。

 

アルバートは金棒を力任せに振りまわしてこれまた周りの兵士を薙ぎ払う。

 

2人の余りの強さに周りの兵士は成すすべがない。

 

強靭なアルバートの肉体に剣や槍が触れることすら叶わない。

 

黒騎士も同じ。

 

二つの大剣というデタラメな装備なのにその強さのせいか、デタラメに強い。

 

すると、突如投げナイフが飛んで来てアルバートの片目を貫いた。

 

アルバートはナイフを引き抜き投げ捨てる。

 

周りはアサシンに囲まれている。

 

黒騎士がため息をつく。

 

「遂に前線にアサシンを出し始めたぞ、白騎士もヤケクソだな」

 

アルバートが地面につばを吐き捨てる。

「此処では俺達の方が強いって事を一生記憶に焼き付けてやらなければな!!」

 

アルバートが金棒を横一線に振り回す。

 

一瞬で数人のアサシンが消し飛んだ。

 

黒騎士も負けずに大剣を地面に叩きつける。

 

爆弾が飛んできた。

 

砂煙を巻き上げて弾け飛ぶ。

 

アルバートは煙を振り払うように金棒をふる。

 

周りは見えないが確かに手応えがある。

 

全身に痛みが走る。

 

激物を掛けられたようだ。

 

この程度で、怯むヘラクレスでは無い。

 

アルバートは蹴りを放つ。

 

足にナイフが突き刺さったが恐らく1人を蹴り殺しただろう。

 

アルバートは足に刺さったナイフを抜く。

 

もはやアルバートの身体には毒に対する耐性が生まれていて毒が効かない身になっている。

 

煙が晴れる、周囲は敵だらけ。

 

アルバートは黒騎士を探すが見当たらない。

 

いや、いた、後ろに。

 

黒騎士の黒い鎧がアルバートの目に飛び込む。

 

黒騎士は大剣を振り落とした。

 

黒騎士はもう1度剣を振り上げる。

 

その身体に頭はツイてない。

 

黒騎士はそのまま、倒れた。

 

「それでも連合軍の黒騎士か!!」

 

アルバートは怒りに任せて金棒を振り回す。

 

バリスタの矢が飛んできて、アルバートの横っ腹を掠めた。

 

流石にアルバートの身体は気づつく。

 

「敗走の兵だと思って舐めるなよ、きっと俺達の意思を次ぐものが後から来る!!」

 

アルバートは金棒を振り落とす。

 

「俺はいつだって、前線を守ってきた!!」

 

アルバートは再び金棒を振り落とす。

 

「ここはいつだって、地獄さ!!」

 

アルバートはまた地面に金棒を振り落とした。

 

雷のような轟音が鳴り響いた。

 

フロントガード(正面を守る)!!」

 

アルバートの身体がパンプアップして、膨れ上がり1回り大きくなる。

 

アルバートは金棒を振り落とす。

 

アサシンがそれを避けるとすかさずフェイクに変えて金棒の起動を変えて横一線に薙ぎ払った。

 

アサシンの1人が剣で切りかかる。

 

アルバートは金棒で剣を砕き、叩き潰す。

 

棘が生えている金棒は受け流せない。

 

アルバートのその姿はまさに雷神。

 

アルバートが金棒を振り落とすと雷のような轟音が鳴り響き、大地が裂ける。

 

連合軍の援軍がやって来た。

 

アルバートの肩にバリスタの矢が刺さる。

 

アルバートは突撃する。

 

バリスタを叩き壊す。

 

周囲の敵を薙ぎ払う。

 

倒れた敵を踏んづけ、天高く雄叫びをあげる。

 

「俺はアルバートだ!!」

 

アルバートをカノン砲が取り囲んだ。

 

アルバートは金棒を振り上げる。

 

「うおおああお!!」

 

アルバートは金棒を振り落とした、金棒はへし折れて身体に沢山の破片が突き刺さった。

 

しかし、カノン砲から放たれた弾丸はその一つだった。

 

沢山のまる縦と剣を持った男達が駆けつけてきた。

 

それはかつて戦ったアリウスが率いる義勇軍だった。

 

「雷神の如き男よ、良くぞ我々がくるまで耐え抜いた!!」

 

アルバートは半泣きになる。

 

「援軍が⋯来たのか⋯」

 

ホーテがアルバートの傷口をレイピアでほじった。

 

「ほら、泣くなよ、似合わねーから」

 

アルバートはホーテを睨みつける、そして大きな声で笑った。

 

義勇軍はアリウスだけでは無い。

 

様々な傭兵が集まっていた。

 

アルバートは背中の大剣を手に取り、再び敵兵士に切り込んだ。

 

敵兵士が引き始める。

 

この戦いにかったのだ。

 

とっ思いきや矢が飛んできて敵の仲間が仲間を射殺した。

 

敵兵士達は後ろから矢が飛んでくるので死にものぐるいでこちらに突っ込んできた。

 

死にものぐるいの兵士は強い、引けぬと思ったらヤケになり無限の勇気が沸いてくる。

 

アルバートは怒り狂った。

 

「仲間を射殺すなんて、白騎士てめえは人じゃねえ!!」

 

しかし、お陰でこちらは押され気味になった。

 

アリウスとホーテとアルバートは背中を合わせる。

 

アルバートが肩を落とした。

 

「ポルカ達がこちらに向かっている、生きてるものはそちらに合流する為にひいてくれ!」

 

アリウスがアルバートの膝を叩きホーテがアルバートの傷口を指で抉った。

 

「ヴァンガード、前線こそ兵士の誉れ!!」

 

アルバートは半泣きになって、謝った。

 

「よくぞ言った、その通りだ」

 

首のない黒騎士が立ち上がった。

 

アルバートが目を丸くする。

 

「生きてんのか!?」

 

アリウスがつばを飲む。

 

「そう言えば血は流れてない⋯⋯」

 

鎧の下から黒騎士の頭が出てくる。

 

「実はどうすれば敵から頭を守れるかを考えてな鎧を上にあげると頭をまるまる隠せる鎧を作ったのだ」

 

黒騎士はため息をつく。

 

「しかし、目の前が見えなくなるのと脇腹にスペースを必要とするため防御が甘くなるのが欠点でな、もう少し研究が入りそうだ」

 

アルバートはため息をついた。

 

「馬鹿なんじゃねえのか?」

 

黒騎士はムッと顔をしからめさせた。

 

「変態とはよく言われるが、馬鹿と言われるのは生まれこの方初めてだ、何だか泣けてきたぞ」

 

アルバート達が敵を見据える。

 

「最後まで戦うぞ!!」

 

その時、敵兵士の背後が段々と騒がしくなる。

 

そして聞こえる、白刃の王の轟音が。

 

「ハッカペル!!」

 

ポルカとサーモンスネークがかける。

 

敵をなぎ払い、沢山の味方を連れて。

 

敵兵は瞬く間に鎮圧されて降伏した兵は捕らえた。

 

黒騎士が焼け落ちた砦の頂上から白い砦を見下ろす。

 

「白騎士、いまそこに向かうぞ⋯⋯」


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