ポルカ〜剣の王の伝説〜   作:ガラスのハート

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皆のおかげで第2部までやってこれました。
色々とおかしい所があったり。
駄文だったり。
作者がヒビだらけのガラスのハートだったりしましたが···。
これからも暖かい目で見守ってくださったら幸いです。
皆さん本当に有難うございました。




第15話

 周りは火の渦で覆われている。

 

  その中をアルバートが沢山の兵士を連れて突っ着ていた。

 

「最前線こそ、我らの誇り!」

 

ヴァンガード(前線を守る)、全ては連合軍のために!!」

 

  アルバートは大剣でつきづきと敵兵を薙ぎ払う。

 

「我らの命で後衛を有利に進めるのだ、走れ、走れ、足を止めるな臆病者は連合軍にいらん!!」

 

  アルバートは槍が刺さろうが剣で斬られようが矢が刺さろうが弾丸が体を貫こうが斧が深い傷を与えても馬に蹴られても石を投げられても鈍器で殴られても進軍を辞めなかった。

 

  その大剣で目の前に立つものは誰これ構わず切り捨てた。

 

白兵戦がもつれ込んだ、8方が敵に囲まれた。

 

「俺は連合軍のヘラクレスだぜ!!」

 

 1振りで数人の命が消し飛ぶ。

 

  1振りを誰も防げない。

 

  1振りが勝利を手繰り寄せる。

 

  1振り、また1振りと・・・。

 

  気がつけば誰もアルバート以外は誰も立っていなかった、味方は気が付かぬまに全滅していた。

 

  確かに無茶な作戦ではあったがヘラクレスの活躍により、前線は守り通した。

 

  しかし、後衛から軍は来ない。

 

  誰も味方は来ないまま、3日が過ぎ去った。

 

  後にこの作戦は見直されて、無かった事にされていた。

 

  ヘラクレスとその見方は全て死んだ事にされていた。

 事実上、あの戦いで生き抜く事は非常に難しい死んだと思った方が妥当だ。

 

  しかし、アルバートは生き残ってしまった。

 

  昔の友人と何とか当たった。

 

 すると、名前を変えるように進められた。

 

「連合軍に帰っても責任を取らされるだけだ、一生の不名誉となる」

 

  アルバートは歯を食いしばって怒りに震えた。

 

「何だと! それならあの前線で死んだ仲間は皆が犬死にしたというのか!?」

 

  アルバートは机を強く叩いた。

 

  ポルカが目を丸くしていた。

 

「どうした、アルバート?」

 

  アルバートは酒を飲む。

 

「物思いに老けてたか」

 

 ポルカはクスッと笑った。

 

「おまえらしくもない」

 

 アルバートは酒を再び飲む。

 

「そうだな、次の対戦相手を倒したら次はおまえだポルカ」

 

 アルバートは大剣を手に取って会場に向かう。

 

(そうだ、ヘラクレスの1振りは勝利への道だ。誰に求められんさ、あの白刃の王でさえ!)

 

 ヘラクレスが会場にたった。

 

 すると、今までこの会場で見た事が無い人物が現れた。

 

 その物は修道士の格好をしていて、目元は暗くて顔が確認取れない。

 

 その男はヘラクレスが戦うはずだった人間の首をヘラクレスに投げつけた。

 

 そして、中指を立てる。

 

「ヘラクレス、乱入試合だ」

 

 ヘラクレスは大剣を強く握って、鬼のような形相になった。

 

「なる程な連合軍のアサシンか!!」

 

 ヘラクレスは大剣を振り上げた。

 

「アサシン如きが奇襲もかけずにこの俺に正面から勝てるとでも思っているのか!!」

 

 大剣が振り落とされる。

 

 受け止めることの出来ない一撃。

 

 全ての盾を打ち砕く強烈な1振り。

 

 英雄の一撃。

 

 アサシンはその一撃をククリ一つで受け流した。

 

 大剣はアサシンの右横をすれて、地面にくい込んだ。

 

 アサシンはもう片手からククリを取り出して、ヘラクレスの足を切りつけた。

 

 しかし、カットラスが欠けるほど頑丈な皮膚はまるで鋼の鎧、ククリでは傷一つ入らない。

 

 男は口元が笑う。

 

「流石はヘラクレス、何を食べたらそんなに硬くなれるのだい?」

 

 ヘラクレスは左腕を振り落とす。

 

 アサシンはそれを受け止めて肩膝をついた。

 

 アサシンの頭から赤い血がダラダラと流れる。

 

 凄いパワーだククリが鋼にくい込んだよ」

 

 アサシンはククリの刃でヘラクレスの腕を受け止めたのだ。

 

 ヘラクレスは腕を引き、すぐに蹴りを放つ。

 

 今度はククリが足の裏に突き刺さって貫通した。

 

 アサシンは吹き飛ぶがすぐに体制を立て直して、アルバートに飛びかかる。

 

 アルバートは大剣を横一線にふる。

 

 アサシンはククリで大剣を受け流して、顎に上段蹴りを叩き込んだ。

 

 溝に掌底、膝の内側にローキック、再び顎に上段蹴り、肝臓にブロー、ストマックに一本拳、首に飛び蹴り。

 

 怒涛の乱舞を叩き込む。

 

 そして、顔面に飛び蹴りが入った。

 

 ヘラクレスはそのタイミングに動き出し、蹴りを受けながら前進して大剣を振り上げる。

 

 アサシンはヘラクレスの左肩に左足を掛けて左に移動して、大剣を避けてコメカミに一本拳を叩き込んだ。

 

 アサシンは飛びバク宙で地面に着地する。

 

 ヘラクレスは急所への打撃なんて効いてねえぜとばかりに再び大剣を振り上げた。

 

 アサシンの喜びは絶頂に至った。

 

「流石はヘラクレス、楽しませてくれる!」

 

 アサシンは大剣を避けつつ、カウンターに掌底をヘラクレスに叩き込んだ。

 

 ヘラクレスは鼻血をだした。

 

「人の体の殆どは水だ、それを利用すれば衝撃を体内に伝える事も容易にできる」

 

 アサシンは顎を強く掌底で叩いた。

 

「流石のお前も顎への打撃は効くようだなどうだ脳が揺れて気持ち悪いだろ?」

 

 アサシンはヘラクレスの金的を蹴りあげる。

 

「どうした、ここは鍛えてないのか?」

 

 アサシンは懐から銃を取り出してヘラクレスの胸に当てた。

 

「アルビダとの試合は見ていた、貫通しなくてもこれから弾丸は心臓に届く計算だ」

 

 銃声音が響く。

 

 銃からは黒煙が立ち込めた。

 

 アルビダがアサシンを狙撃したのだ。

 

 アサシンは紙一重で弾丸を避けていた。

 

 アサシンはアルビダに銃を向ける。

 

「雑魚は引っ込んでろ!!」

 

 沢山の観客席にいる海賊がアサシンに銃を向ける。

 

 アサシンはその時大量の投げナイフを投げた。

 

 投げナイフは遠くの海賊達の額を外すこと無く突き刺さった。

 

 アサシンは軽々と放たれる弾丸を避けて、確実に抵抗するものを殺す。

 

 皆がその死神のような姿に恐怖した。

 

「ハッカペル!!」

 

 その時、白刃の王の声が響き渡った。

 

 皆がポルカに顔を向けた。

 

 ポルカが闘技場に出てきた。

 

 ポルカはアルバートに触れると救護班を呼んだ。

 

「大変だ、微力ながら死に至らしめる毒が身体に廻っている、救護班は直ちに私の支持する薬草を持ってこのおとこを見て欲しい」

 

 アルバートは大剣を握りポルカを睨みつけた。

 

「これは俺の喧嘩だ!!」

 

 ポルカはアルバートを無言で睨み返した。

 

 アルバートはそれに恐怖して、落ち着きを取り戻した。

 

 ポルカは怒っていた。

 

 アルバートはポルカの肩を持つ。

 

「やめろポルカ、連合軍を敵に回すつもりか!?」

 

 ポルカは無言で立ち上がりルークに声をかけた。

「救護班と一緒にアルバートを頼む」

 

 ルークはすぐに駆けつけてアルバートの元によった。

 

 アルバートがルークを睨む。

 

「お前もだ、あのアサシンは連合軍の意志なんだぞ!」

 

 ルークは首を横に降った。

 

「貴方は私の夢だった、ヘラクレス亡き連合軍に未練は無い」

 

 ポルカは俯いているがその顔は怒っている。

 

 アサシンはククリを握りしめた。

 

「まさか、白刃の王とやり会えるなんてな!!」

 

 ポルカは黙りだ。

 

 だけど思う、無口で俯いていて陰気臭いけど、自分の信念は曲げない鋼の様な意思を持つ男。

 

 その意志も身体も一振りの鋼である。

 

 皆がポルカを応援する。

 

 イワンの試合の時では考えられなかった現実。

 

 皆が思った、恐怖を前にしてもポルカが残された、ポルカがいるじゃないか。

 

 ポルカは一言だけ、大声で叫ぶ。

 

ハッカペル(叩き斬る)!!」

 

 ポルカは猛スピードでアサシンに飛びかかり剣を振り落とした。

 

 アサシンは剣を紙一重に避けて、掌底を放つ。

 

 ポルカが突き飛ばされた。

 

 皆の歓声が止まる。

 

 アサシンは自分の腕を見て笑う。

 

 僅かにポルカの剣が振れたのか切り傷が入っている。

 

 そして、ポルカに与えたのダメージはほぼ突き飛ばしただけのゼロ。

 

 ポルカが息をつくまもなく、再び切りかかる。

 

 アサシンは剣を紙一重に再び避けて蹴りを顎めがけて放とうとする。

 

 しかし、その蹴りをポルカの足で受け止められて足の指が膝にくい込む。

 

 ポルカはそのまま自分の足を引いて、アサシンの重心をずらす。

 

 アサシンは両手のククリでポルカの首にクロスするように切りかかる。

 

 ポルカは剣の柄でアサシンの額を殴り、アサシンを地面に叩きつける。

 

 今度はアサシンは地面に片手をつき、逆立ちするように片足でポルカの顎を蹴りあげる。

 

 アサシンはそのまま、ポルカの膝にローキックを叩き込む。

 

 そして、強烈な一本拳の右フックをポルカのコメカミにかけた。

 

 ポルカは白目を向いて肩膝をつく。

 

 アサシンはククリを振り上げる。

 

 ポルカの剣は光で反射して、蒼く輝いた。

 

 ポルカはアサシンの手首を掴み捻って体制を崩させて、服の襟を掴み背負い投げた。

 

 ポルカは相変わらず俯いていたままだが小さな声で呟いた。

 

「これは試合じゃない、俺の得意な戦争だ」

 

 アサシンはすぐに立ち上がりポルカに投げナイフを投げつけた。

 

 ポルカはそれを全て剣を振り回し払い除ける。

 

 何という振りの速さ。

 

 アサシンは上着をポルカに投げつけた。

 

 ポルカは剣で上着を切り捨てる。

 

 アサシンはその隙にポルカの死角に潜り込み、中腰の状態から首の後ろの脊髄めがけてククリを伸ばした。

 

 ポルカの後ろ蹴りがアサシンの顔面に入った。

 

 アサシンの顔に横一線に足刀がくい込み、血が吹き出した。

 

 アサシンが火炎瓶をポルカに投げつける。

 

 ポルカは火炎瓶を剣で払う。

 

火炎瓶が割れ、その場は炎に包まれた。

 

「ハッカペル!」

 

 ポルカは炎の中から飛び出す。

 

 炎を斬った。

 

 白刃の王に切れない物は無い。

 

 アサシンは小さな盾を取り出した、盾にはダイヤが埋め込まれている。

 

 しかし、ポルカはそのダイヤごと盾を切り裂き、アサシンの脇腹を剣先が掠める。

 

 アサシンは鎖を取り出して、ポルカの足に巻き付け引っ張る。

 

 しかしポルカは巻き付けられた時に剣で鎖を切り、アサシンの手元には切れた鎖が返って来ただけだった。

 

 アサシンはポルカに玉砕覚悟で飛びかかる。

 

 袖から刃が飛び出す。

 

  ポルカは手首を剣を持った方の手の甲で払い、アサシンの顎を直突きで砕いた。

 

 まるで蹴りの様な威力のパンチ。

 

 ポルカはアサシンの肩に足の指をくい込ませて、地面に引き倒す。

 

 手のように器用な足。

 

 だけど、その全てがしょぼく思えてしまう。

 

 彼は地上最強の剣士なのである。

 

 ポルカは剣を横一線に降る。

 

 アサシンはククリを受け流そうとするが、剣は突如起動を変えてアサシンの左鎖骨を切り裂いた。

 

 雲の様に姿を変えるが如く、剣の起動を操るポルカの器用さ。

 

 アサシンはもう左手が動かない。

 

 ポルカはアサシンを蹴り飛ばした。

 

「ハッカペル!!」

 

 ポルカは剣を振り上げて、掛け声と共にアサシンに切りかかる。

 

 アサシンはククリで剣を受け止めようとする。

 

 剣はククリを切り裂き、アサシンの右肩から鎖骨までを切り裂いた。

 

 勇猛なポルカの一撃。

 

 ポルカの剣技を見れば例え口から火を吹いても誰も驚かないだろう。

 

 アサシンは地面にうつ伏せに倒れた。

 

 ポルカは空を見上げる。

 

 ポルカは剣士として成長している。

 

 ポルカの力を支えている物は何だろうか。

 

 ポルカはアサシンを切り捨てると一瞬だけエリカの方に目をやって、無言でその場を立ち去った。

 

 ポルカは会場を後にしてサーモンスネークと野原をかける。

 

 やるだけやったら、無言で去る。

 

 それがポルカである。




〜オマケ〜

アホポルカ④

ポルカは怒っていた。

アサシンは笑顔を向ける。

「まさか、白刃の王と殺れるなんて」

 ポルカは少しいい気になる。

「確しか地上最強の剣士なんだってな」

 ポルカは照れる。

「失望させんなよ」

 ポルカは叫ぶ。

ハッカペル(叩き切れ)!!」

 アサシンはポルカの剣を紙一重に避けて掌底を叩き込んだ。

 周りの歓声が途絶える。

 剣はアサシンを捉えて首に切り傷が走った。

 アサシンは首を抑える。

「手加減された、もう半歩踏み込まれていたら・・・」

 それに比べポルカに与えたダメージはポルカの痩せ我慢によりほぼゼロ。

 ポルカは鼻血を腕で拭う。

「やれやれ、ちょっとエッチな想像をしていたら斬り損ねたぜ」

 アルバートが息を呑む。

「いや、その言い訳には無理があるだろ、医学的にエロい妄想をしても鼻血は出ないと検証されているし」

 ポルカはアルバートの腿に剣を刺した。

 アルバートは悲鳴をあげる。

「済まないアルバート、手元が狂った」

 そうこうしているうちにアサシンがポルカに飛びかかった。

 ポルカはすぐに振り向きアサシンの手首を掴み、いつの間にか用意していた風呂桶に片手で放り投げる。

 アサシンは風呂桶の中の水でビショビショになる。

 しかも、目や鼻に激痛が走り全身がヒリヒリし始める。

 ポルカはいつまにか用意した、長い棒でアサシンを無理やり風呂桶に沈めた。

「アサシン、これが俺達の怒りだ!!」

 アサシンは数分間悶え、何とか風呂桶から飛び出す。

 すると、凄まじくまるで真冬に裸で外に出たように寒いではないか。

 目や鼻や口はヒリヒリととても痛く、まるでこの世の地獄だ。

「ポルカ、俺に何をした!?」

 ポルカはにやっと笑う。

「我が祖国ではハッカがそこらじゅうで取れるのだ、そのハッカ油が大量に入った水にお前をつけてやっただけのこと」

 アサシンはこのヒリヒリはハッカに含まれるメンソールのせいだと理解した。

 ポルカは悶え苦しむアサシンを長い棒でビシビシと叩く。

「その状態ではまともに戦うことも出来まい」

 ポルカは三十分こんな戦いを続け、アサシンの足腰を立てなくした。

 ポルカは足腰立たないアサシンにアミを被せて、再び長い棒で殴り出した。

 ポルカはこんな戦いを今度は一時間続けてアサシンを倒す。

 ポルカは立ち上がる気力も失ったアサシンをしつこく棒でしばらく叩き動けない事を確認すると勝どきをあげた。

 皆が呆れて声も出ない。

 しかし、ポルカは満足そうに会場を後にして、サーモンスネークと一緒に草原をかけた。

 やるだけやったらどんな勝利であれ喜んで去る。

 それがポルカなのだ。

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