ポルカ〜剣の王の伝説〜 作:ガラスのハート
イワンの目の前にそれはアルバートよりも、巨大な男が現れた。
これにはアルバートも驚いていた。
「あいつが噂のタイラントと言われる男か・・・」
タイラントはイワンを見下ろす。
「いやあ、残念だよ、あんたの所のチビ助やられちまったな」
イワンは冷ややかな目でタイラントを見つめていた。
タイラントは惚けた表情を浮かべる。
「何だっけ、ギガントスレイヤーとか呼ばれているみたいだが、俺とぶつかれば3秒で終わったな・・・」
イワンは少し大きな声を上げた。
「それは違う!」
タイラントはイワンを睨みつける。
「ああ、どう違うんだ?」
イワンの声は少し小さくなった。
「3秒もかからない、いや、コンマで試合が終わるだろう、長くて1秒だ」
タイラントは大きな声で笑った。
「だよな、あんなチビ助に3秒もかからねえか」
イワンはクスクスと笑った。
「勘違いするな、小物め」
タイラントは眉間にシワを寄せた。
「何だと?」
イワンはタイラントを指さす。
「お前が瞬殺されると言っているのだ」
タイラントは巨大なハンマーをかつぎあげた。
「死んでも、恨むなよ?」
イワンもシャシュカを構える。
「分かった、3秒で終わらせてやる」
タイラントはハンマーをふりおとした、イワンはハンマーを避けて、ハンマーの上に乗ると、タイラントの肩を駆け上りそのまま首に腕をかけて絞め落とした。
この間、3秒
タイラントは白目を向き泡を吹いて気絶。
イワンはタイラントの頭を踏んづける。
「私がなんて言われてるか知ってるか、ブラックスノーの毒蛇だよ」
イワンは観客席のポルカを睨みつけた。
「次はてめえだぜ」
ポルカはイワンの異常な程の殺意にため息をついた。
~☆~
ポルカは会場のバーで酒を飲んでいた。
すると、井川がいきなり後ろからポルカに斬りかかった。
ポルカはすぐに身体を振り向かせ、テーブルに足を起き、剣を抜いて刀を受け止めた。
「おみごと!!」
井川は刀を鞘に収める。
「凄いで御座るな、背中に目でもついてるのでござるか?」
ポルカは剣を鞘に戻してテーブルから降りた。
「勘だよ 」
井川は唖然のした。
「勘で御座るか?」
ポルカはうなづいた。
「ああ、勘は昔から強くてな」
ポルカは井川に酒を出す。
「試合では負けてやるつもりは無いからな」
井川は強くうなづいた。
「拙者も悪いが本気で行かせてもらう、剣神の首を貰い受けに参る」
ポルカは少し嫌そうな顔をしたが。
「何だか面白くなってきた、いつでも取りに来い」
ポルカは何だか嬉しそうにさっていった。
井川が生唾を飲んだ。
「どうしたのだ、ポルカ・・・」
ポルカは通り掛けにアルバートの足をわざと踏みつけた。
アルバートは目を丸くした。
「どうしたんだ、ポルカ!?」
ポルカはなんだかルンルンとしていた。
「何時でも、かかってきやがれ!」
ポルカはそう言い残すとスキップしながら、その場を去っていった。
アルバートの顔が青ざめた。
「命を狙われすぎてストレスにやられやがった、それに目覚めては駄目だポルカ・・・」
~☆~
試合が始まる。
ポルカはいち早く会場で井川を待ち構えていた。
ポルカは最初はなんだか嫌だった試合が少し楽しく感じ始めた。
なれたというよりはヤケ糞という方が近いのだが。
井川が出るとポルカは途端に落ち着きを取り戻して、呼吸を整えた。
井川が居合いのポーズに入った。
「いざ、尋常に勝負!!」
ポルカは剣を鞘から抜いたその時、井川の鞘から刀が解き放たれる。
剣先が音速を越えて、鋭き刃がポルカを襲った。
ポルカはそれを1歩分後ろに下がりぎりぎりで避けた。
「速いのは尖端だけか・・・」
井川は刀を返す。
刀術の心の恐ろしい所は初激の後の返し刀だ。
高速の二振りがポルカを襲う。
ポルカの首に切り傷が入る。
半身、ずらされた。
ポルカは片手で井川を突き飛ばした。
「今のは驚いた、此処では見た事の無い技ばかりだ」
ポルカはしみじみと思いにふける。
「思えばこういう事は嫌いだと避けてきたが、結局は自分には剣しか無いのだから此処や戦場が自分の居場所なのかも知れない」
井川は身体を起こして刀を横一線に振った。
ポルカは剣で刀を受け流す。
ポルカの剣が井川の首めがけて伸びる。
井川は身体を反って剣を避けて、刀を再び横一線に振るう。
ポルカは井川を蹴っ飛ばして井川を突き飛ばした。
井川はポルカの側面に向かって走る。
「チェストオ!」
井川は刀を横一線に振った。
ポルカは剣で刀を受け流す。
鋼と鋼がぶつかり合い、火花が散る。
井川は息を切らした。
「何だと、一戦目や二戦目よりも強くなってやがる!?」
どんどん研磨される鋼のように、白刃の王は強くなっている。
「ハッカペル!!」
ポルカは叫ぶ。
そしてポルカはそのまま川井に斬りかかる。
井川はポルカの一撃を受け止める。
井川の手がしびれる。
勝てる気がしない。
ポルカは井川の肩を斬りつけた。
井川の肩から血が吹き出す。
手を抜かれているのにこのザマだ。
ポルカは剣の柄で井川の額を割った。
井川は額から血を流す。
「巫山戯るな!!」
アレキサンダーが乱入して来た。
アレキサンダーはポルカにハルバードど斬りかかる。
ポルカは剣でハルバードの一撃を受け流すが、余りのパワーにポルカは後ずさった。
雷獣はポルカにハルバードを振り落とす。
ポルカは剣でハルバードを受け止める。
驚きはそのあとだった。
ポルカは手首を回して、一つ踏み込みアレキサンダーを片手で突き飛ばした。
アレキサンダーは勢いよく吹っ飛び、壁に叩きつけられて気絶した。
井川は歯を食いしばった。
「そんな、合気だと?」
井川は気絶したアレキサンダーを見つめた。
「俺のために・・・」
井川は刀を鞘に収める。
「気合いで負けたら負けだ」
井川は目をつぶった。
全神経を刀を集中する、斬り捨てることだけを考える。
ポルカがハッカペルと叫ぶが、それさえも井川の耳には入らなかった。
斬り捨てる、それだけだ。
一点の曇り無き心、明鏡止水の心とはこの事かと思うほどだ。
ただ、この刀を速く抜く、それだけを考える。
ポルカが斬りかかった。
井川は目をみひらいた。
「チェスト!!」
ポルカが吹き飛ぶ、井川の居合は全てが音速を超える。
ポルカの額が切れていた。
よくぞ、そこまでたどり着いた。
ポルカは額の血を拭う。
ポルカは深く息を吸った。
「ハッカペル!!!」
それは今まで聞いたことないほどの怒声だった。
ポルカは高速で剣を振り回す。
速すぎて井川は防ぎきれず、身体の至るところに切り傷がうまれる。
一撃一撃が重すぎて、井川は手が痺れて刀を落とした。
ポルカの蹴りが井川の顎を打ち上げた、井川は両膝を地面につき、倒れた。
ポルカは倒れた井川をしばらく見つめていた。