咲き晴れ!   作:アウトサイド

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「共同作業ってやつですか?」

――宮守女子高校「寂しさ」

 

「…………」ギュー

 

「あー……」ダルー

 

「えっと……どうしよ……」アセアセ

 

「何これ? どうして京太郎がシロと塞を抱きしめてるの?」

 

「あーうん、二人が卒業したあとの話しだしちゃってねー。ほら、私たちが卒業したら麻雀部も無くなっちゃうし、きょーたろーくん一人残っちゃうことになっちゃうからねー。それできょーたろーくん、ちょーさびしくなっちゃったみたいで……」

 

「あー、なるほどー」

 

「キョウタロウ……」

 

「……でも、それで二人の胸に顔を埋める必要はないよね?」

 

「しかも二人のお尻をがっちりホールドしてるよー」

 

「……ねえ、京。そろそろ離さない?」

 

「いやです、離しません」

 

「んっ……ちょっ、京太郎くん、胸に顔を押し付けたまま話さないで……」テレテレッ

 

「くすぐったい」

 

「……ハレンチ!」バンッ

 

「そんな絵を描くエイちゃんが一番ハレンチだよ!」バッ

 

「えー、どんな絵だったのかちょー気になるよー!」

 

「トヨネは気にしちゃだめ!」

 

「ね、ねぇ、京太郎くん、私たちが悪かったから、ね。さすがに三人に見られながらっていうのはちょっと……」カオアカイ

 

「私は別にいいけどね」

 

「……」ギュー

 

「ちょっ、シロのせいで余計、その、おおお尻に手がぁぁ……」ウーハズカシイ

 

「でも、たまには甘えさせないと私がダメになる」ヨシヨシ

 

「それは、そうだけどぉー……」コトワレナイ

 

「それに、私たちが卒業しても大丈夫。私が京のお嫁さんになれば万事解決だから」フンスッ

 

「ちょっ、シロォ!?」

 

「むむ、まさかのお嫁さん宣言!」オオー

 

「シロ、ダイタン!」スゴイ

 

「だ、ダメだよー! きょーたろーくんはうちのお婿さんに来てもらうんだから!」ワーッ

 

「いやいや、トヨネまで何言っちゃてんの! ていうか、京太郎くんもさすがにそこはダメな場所だから!」テヲツネル

 

「イタタッ、いやでも、シロさんのお嫁さん宣言ですよ! 喜ばないわけがないでしょ!」

 

「いや、そこでなんで私じゃなくて塞のお尻に手が伸びるのか……」アキレ

 

「あー、京太郎って塞の影響でお尻好きになったよねー」

 

「サエのお尻、おっきい!」カキカキ

 

「お尻おっきいって言われてもうれしくないし! ていうか、エイスリンはさっきからいかがわしい絵を描きすぎよ!」

 

「それもきょーたろーくんの影響だよねー」

 

「私、エイちゃんが京太郎の私物のえっちな本を漁っているところを見た!」ビシィッ

 

「ちょぉぉおっ! エイスリンさん何やっちゃってくれてるんですかぁ!」

 

「だいじょうぶ! ちゃんと勉強した!」グッ

 

「私はそーゆー問題じゃないと思うよ、エイスリンさん!」

 

「うわぁぁぁ、うちの麻雀部が京太郎君に毒されていくよぉぉ!」

 

「……そういう塞が一番影響を受けていると思うけど……」ジトー

 

「うん、シロの言う通りだと思う。お洒落に無頓着だった塞がお化粧し始めたのも京太郎の影響だし」

 

「スキンシップ、ふえた!」

 

「さえ、最近毎日きょーたろーくんの教室に会いに行ってるしねー」ニコニコ

 

「えっ、いやっ、そそそそんなことないし!」ガーッ

 

「おー照れてる照れてる」

 

「すみません、シロさん。やっぱ俺の嫁は塞さんで」

 

「へうっ!」

 

「それはダメ。私がお世話する」

 

「シロがお世話をする……だと……っ!?」

 

「てんぺんちい!」

 

「だーかーらー、きょーたろーくんは私のお婿さんだってばー!」

 

「あははっ、これなら当分の間寂しくなさそうです!」

 

 このあとめちゃくちゃに楽しんだ。

 

 カンッ

 

 

――片岡優希「エイプリルフール」

 

「俺たち!」

 

「私たち!」

 

「「付き合い始めました!」」

 

「へー、そうなんだー」ドクショチュー

 

「あっ、部長、お茶入れましょうか?」

 

「うん、ありがとう、和」

 

「いやいや、おんしらもう少しくらい付き合ってやってもええじゃろ?」

 

「……俺たちとしては想像以上にドライな反応で驚きなんですけど……」ドンビキ

 

「そうだじぇ! せっかく部活の仲間が付き合い始めたというのに、その反応はないじぇ!」

 

「もー、仕方ないなぁー。わー二人が付き始めたんだー、おめでとー」ボウヨミ

 

「えっ、何その反応。もしかして俺たち祝われてない……?」

 

「あー、すまんかったのぉ。二人がそうやってネタをやっているというのに……」

 

「ですがまこさん、二人も二人で性質が悪いですよ」

 

「んー、もしかして二人とも知らないんじゃないの?」

 

「えーっとさっきからなんの話をしてるんだじぇ?」コンワク

 

「いや、何の話って二人だってわかってるんでしょ? 今日は四月一日、エイプリルフールだよ。日本語でいうなら四月バカだっけ?」

 

「そうですね、そしてこの日についた嘘は一年間叶わないというジンクスがあります。二人もそんなウソをつくんじゃありませんよ」

 

「まー、その話知らない人も多いらしいし、仕方ないんじゃない? そういうわけで、二人もがっかりしないでいいわよ? 所詮、ジンクスなんだから気にすることはないわよ」

 

「まあしかし、一応ちゃんとネタばらしはしておけよ? エイプリルフールにはネタばらしをするんが礼儀じゃからな」

 

「「「「ハハハハハハッ!」」」」

 

「あの、俺らマジで付き合い始めたんですけど……」

 

「諦めろ京太郎、あれはもう聞いちゃいないじぇ……」

 

 このあと(誤解を解くのに)めちゃくちゃ必死になった。

 

 カンッ

 

 

――辻垣内智葉「母の日」

 

「智葉さんは、母の日に何を送りますか?」

 

「母の日、もうそんな時期か……」

 

「ええ、エイプリルフールもとっくに過ぎましたしね」

 

「その話はやめろ。あれでどれだけネリーに四月バカだと言われたことやら……」タメイキー

 

「あはは、智葉さんは変なところで真面目ですからね。いや、あの嘘に関しては俺も驚きましたけど」

 

「唯一の救いがちゃんとネタバレをしたことだな。オカルトに精通しているだけあって、そこは律儀なようだ」

 

「ええ、でももう四月も終わりますし、母の日が終われば次は父の日……プレゼントを贈るにしても学生だからあまり高いものは望めないですからねー」ウーン

 

「こういうときは、花でも送ればいいんじゃないか? あれなら安いだろ」

 

「いやいや、今お花って想像以上に高いんですよ? もちろん、ものにもよりますけど、花束とかだと意外にしそうな気も……」

 

「そうなのか? まあ、うちの親も花をもらって喜ぶとは思いにくいしな」

 

「そうですか? こういうときは感謝の心を籠めれば、喜んでくれると思いますよ?」

 

「しかし、どちらにしても私に花は似合わないだろう? ああいうのはもっとこう……明華のような清楚さがな……」

 

「さーとーはーさん? 智葉さんは十分に清楚可憐ですよ? この前のあれなんてもう……」

 

「おいこら、今何を想像した?」

 

「え、お風呂上りの智葉さんです」キッパリ

 

「……お前、最近はっきりとものをいうようになったな……」

 

「でも、ぐだぐだものを考えるよりはいいでしょ?」

 

「ああ、臨海に来たころのなよなよしていたころより好感は持てるな」ウン

 

「皆さんに鍛えられましたからねー。まあ、麻雀じゃいまだに勝てませんけど」

 

「これでも全国だからな。そう簡単には負けてやらんが……しかし、お前が強くなっているのも事実だ。お前、今は二軍といい勝負ができているんだろう?」

 

「ええ、ようやくですね」

 

「ようやくというが、麻雀未経験者が短期間でここまでこれたんだ。彼女たちもいい刺激になっているといっているしな。というか、モテているしな」ムーッ

 

「はははは、智葉さん怒っています?」

 

「よし決めたぞ、京太郎。母の日と父の日、その両方で私たちの手料理をふるまおう」

 

「共同作業ってやつですか?」

 

「ふんっ、お前は器用だからな」

 

「分かりました。では、精いっぱいおいしいものを作りましょうか!」

 

「ああ、頼んだぞ。私の彼氏くん」

 

 このあとめちゃくちゃ料理した。

 

 カンッ


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