咲き晴れ!   作:アウトサイド

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「幸せの、重み!」

――大星淡の場合「おこた」

 

「ねぇ、きょーたろ。おこたを出したのはいいけど、これちょっと小さくない?」

 

「仕方ないだろ、曲がりなりにも麻雀部なんだし、そう大きいもので場所取りできねーよ」

 

「ふむふむ、なら仕方ないね。んじゃー、ほいっ」ポンポンッ

 

「……何してんだ?」

 

「だからー、きょーたろも入りなよー」

 

「お前、さっき小さいって言ったばっかりだろ」スタスタ

 

「とかなんとか言いつつも、来てくれるきょーたろってば、やっさしー♪」

 

「うるせーよ。ていうか、本当に小さいな……これ、絶対一人暮らし用だろ? むしろ、なんでこんなものがウチの部室にあるんだよ?」

 

「菫曰く、テルーが持ってこさせたものらしいよー」

 

「何をやっているんだ、あの人は……」

 

「んー、きょーたろ、足じゃまー」

 

「仕方がないだろ、俺は淡よりも大きいんだから」

 

「なんだとー、私が小さいと申すか!」

 

「どこのキャラだよ、それ。ったく、仕方ねぇなぁ」ダキッ

 

「あわわっ! ちょっ、きょーたろ、なんで後ろから抱き着いてんの!」

 

「んー? こうすりゃ、俺もお前も温かい。その上、癒しが手に入る。一石二鳥だろ?」

 

「い、癒しって……きょーたろは、私を抱きしめると癒されるの?」

 

「おう、バリバリ癒されてっぜ」

 

「あわー♪ なら仕方ないね♪」

 

 このあとめちゃくちゃ癒された。

 

 カンッ

 

 

――竹井久の場合「暑い秋」

 

「あっついわねー。なんで十月、それもここ最近涼しかったのに、いきなりこうも暑くなるのよー」

 

「よく言う異常気象のせいじゃないっすかー? ていうか、部長。胸元開いて仰ぐの止めてもらえませんか?」

 

「んんー? 何よ、京太郎のくせに、一丁前に顔を赤らめちゃって」ニヤニヤ

 

「いやいや、京太郎のくせにってどんな罵倒ですか!? ていうか、曲がりなりにも女の子なんですから、そういうのは止めてくださいって言ってるんです!」

 

「ちょっ!? 曲がりなりにもってどういうことよ! これでも立派に美少女やってるんだからね!」

 

「……いや、部長。自分で自分のこと美少女っていうのは、さすがにどうかと……」

 

「……奇遇ね。私も自分で言って少し恥ずかしくなったわ」

 

「まあ、部長が美少女ってのは事実ですけど」ボソッ

 

「~~~~~~ッ!?」ボンッ

 

「あっ、聞こえました? って、痛いですっ! 痛いですってば部長! 照れ隠しが痛い。あと前! 前がはだけてます!」

 

「くぅ~~~~ッ! 見、る、な!」ポコポコッ

 

「あーもうっ! 仕方ないなぁ!」ガシッ

 

「キャッ! な、なによ……ていうか、近いってば!」

 

「って、暴れないでください! せっかく抑えたんですから、暴れると――あぶなっ!」

 

「サ、サンキュー……倒れた先がベッドで良かったわー」

 

「良くはないでしょう、下手したら部長が頭打ってたかもしれないんですから……」

 

「で、健全男子の京太郎としては、この二人でベッドに倒れ込むという状況どうする?」カァー

 

「……どうって……どうしましょう?」

 

「あいっかわらずヘタレねぇ」ヤレヤレ

 

 このあとめちゃくちゃからかわれた。

 

 カンッ

 

 

――宮永咲の場合「膝枕」

 

「……」ナデナデ

 

「んー…………」ゴロゴロ

 

「誰も来ないなー」

 

「誰も来ないねー」

 

「……というか、何故に俺は咲を膝枕しているのであろうか……?」

 

「京ちゃん、愚問だね。そんなの、そこに京ちゃんのお膝があるからだよ!」キリッ

 

「膝枕されてる状態でキメ顔つくられてもなー」ナデナデ

 

「~~~♪」スリスリー

 

(かわいい)

 

「京ちゃん、今私のことかわいいって思ったでしょ?」

 

「うぇ!? なんで分かった!」

 

「ムフフー、何年幼馴染をやっていると思ってるの? それくらいお見通しだよ。それに、京ちゃんってば、結構分かりやすいし。麻雀やってるときでも、ときどき顔に出てるよ?」

 

「おー……まさか、俺がそんなに分かりやすい奴だったとは……そうか! だから俺は麻雀で負けてるのか!?」

 

「いや、それは単純に京ちゃんが弱いから」

 

「ぐぉっ! なかなかに鋭いフックじゃねぇか……」ガクガク

 

「ちょっと、揺れると寝心地が悪くなるんだけど?」

 

「お前、なんか今日俺に厳しくね?」

 

「フーン、和ちゃんの体操服姿に見とれていた京ちゃんなんて、知りませーん」

 

「おまっ、あれは仕方ないだろ! だって、あんな凶悪なおもちしてんだぞ! 見ないわけにはいかなイテテッ! こら、足を抓むな!」

 

「京ちゃんは、もう少し幼馴染に尽くすべきです」

 

「これ以上どうしろと……」

 

「罰として、京ちゃんはみんなが来てもこのままの刑に処します」

 

「はいはい、分かりましたよお姫様」

 

「うん♪」

 

 このあとめちゃくちゃ膝枕した。

 

 カンッ

 

 

――高鴨穏乃「水遊び」

 

「うひゃひゃーい!」バッシャーンッ

 

「おーい、穏乃! いきなり水の中に飛び込む前に、軽い準備体操くらいしろ! ていうか、ジャージのまんま入ってんじゃねーよ!」

 

「へいきへいきー! 山の子風の子の私が水着の準備を怠るとで思ったかー!」

 

「いや、山の子風の子なのに水着かよ! ……つーか、お前何も持ってきてないけど、着替えはどうした?」

 

「……あ」

 

「まさか、本当に忘れているとは……叔母さんに着替え持っていけって言われてよかったよ」

 

「おー、サンキュー京太郎! と、いうことは私は存分に遊ぶことが可能ということだ! ってなわけで、京太郎もこっちに来なよー。この季節の沢は気持ちいいよー」

 

「知ってるっつーの。おぉっ、冷たっ!」

 

「ふっふーん、隙あり!」バシャッ

 

「うおっ、てめっ、いきなりは卑怯だぞ!」

 

「油断大敵って奴だよ! わぷっ!」パシャッ

 

「そしてこれが反撃という奴だ!」

 

「ムー、やったなぁー!」バシャンッ

 

「うわっ、お前、細っこいくせに水しぶきでかすぎんだろ!」

 

「山に鍛えられたからね!」

 

「だから山と水は関係ねぇから!」

 

 このあとめちゃくちゃ遊んだ。

 

 カンッ

 

 

――宮守女子高校「雪」

 

「うぉー、相変わらず雪がちょーすごいよー」キラキラ

 

「長野でも積もりますけど、俺がいたところはそうでもなかったですからねー。この景色は結構新鮮です」

 

「……ねぇ、トヨネと須賀の間を私が歩くってどうよ?」ムー

 

「どうって言われても……親子?」スットボケ

 

「言った! 塞が言ってはいけないことを言った!」フンガー

 

「迷子になるとダルイから、手でも繋げば?」ダルー

 

「家族!」カキカキ

 

「おおっ、見事な大人と子供の身長差」

 

「身長差言うなー!」

 

「あっ、でもそれなら私と京太郎くんはふーふってことだね!」

 

「訂正。高校生と小学生」

 

「断固阻止!」

 

「えー!」

 

「親子扱いは嫌だけど、小学生扱いでもあんま変わんないんじゃ……いやいや、とにかく夫婦発言禁止ー!」

 

「疲れた。須賀おぶって」

 

「はい!」

 

「ダーメ、シロは自分で歩く。須賀くんも甘やかさない」

 

「うぇー」

 

「甘やかしてるつもりないんだけどなー」ポリポリ

 

 このあとめちゃくちゃ甘やかした。

 

 カンッ

 

 

――原村和「おこた」

 

「な、なんでこんなことに……」

 

「そりゃああんた、麻雀で負けた罰ゲームよ」ヒラヒラ

 

「だ、だからってなんで須賀くんと一緒に炬燵に入ることになるんですか! しかも私が須賀くんの膝の間に収まるなんて……」

 

「あー、和? 嫌なら普通に断ってもいいんだぞ?」

 

「あっいえっ、嫌というわけでは……むしろ、嬉しいっていうかなんでもありません! ああああの、私重くはありませんか?」

 

「いや、和が重いっちゅーことはないじゃろ。仮に重かったとしてもそりゃあ胸のせいじゃけぇのぉ」

 

「幸せの、重み!」シャキーン

 

「染谷先輩、いきなり何言ってるんですか! す、須賀くんも変な風に動かないでください! そ、その……当たってしまいますので……」

 

「ほほう、和には須賀くんのどこが、どこに当たっているのかしらねー?」ニヤニヤ

 

「あうあうあうあう」シュポー

 

「こりゃ部長、ええ加減にせんかい」

 

「いや、言い出しっぺ染谷先輩でしたよね? っておい、和大丈夫か?」

 

「うぅー! だから須賀くんのナニがナニして、私のナニにナニのようにナニなんですよ!」

 

「うぉーい、和! 言わなくていいから、むしろお願いだから言わないで! って熱っ、なんか和、熱っ! って、部長も先輩も笑ったり呆れてないで助けてくださいよー!」

 

 このあとめちゃくちゃ顔が赤くなって気まずくなった。

 

 カンッ




以前削除した作品の再掲です。
なお、更新速度は気まぐれによりますので、平気で長期放置します。

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