結婚して子供までいる男のIS 作:ホロホロ
午後の授業も終わり、寮に帰ってきた俺は食事をとり、風呂にも入ったので後は寝るだけという時に、廊下の方から癇癪を起こした女の声が聞こえてきた。
俺の中の野次馬根性が見に行けと囁いているが、生憎と俺は修羅場に飛び込むほどバカではな。触らぬ神に祟りなし。触らぬ酢豚に祟りなしってね。
次の日、一夏とツンデレの仲が悪くなってた。具体的に言うと自覚無しで浮気してた夫と、その嫁の様な感じだ。見てるこっちまで空気が悪くなるから、さっさと仲直りして欲しいものだ。
原因は一夏だと思う。いや、一夏以外ありえない(断言)
鈍感系主人公を地で行く野郎だ。・・・原作主人公だったな。あいつ。
そういえば、クラス対抗戦は1組vs2組。つまり一夏vsツンデレだ。何このご都合展開・・・
あれから数週間たち、5月に入った。相変わらず、ツンデレの機嫌は直らない。一夏君は原因が解らず首を傾げる始末。
そして仲直りもしないまま、遂にクラス対抗戦が始まってしまった。
俺は子供達と一緒に、コーラとポップコーンを両手に試合観戦だ。これで帽子でも被ったら、野球観戦に来たおっちゃんになってしまうな。
おっ!一夏とツンデレがアリーナに入ってきた!
ツンデレの専用機は濃い赤色?茶色?をした機体で、名を
対する一夏は、真っ白な機体だ。この前の代表決定戦が(主に俺がでしゃばったせいで)
『それでは両者、試合を開始してください』
アナウンスと共にビーィ!っとブザーが鳴る。
それと同時に両者が動いた。
一夏が瞬時に刀を展開し、ツンデレに向かって切りかかるが、ツンデレが持つ青竜刀・・・?っぽい何かに阻まれてしまった。
そこからツンデレは曲芸の様な攻撃で一夏を追い詰めている。
「この勝負、どちらが勝つと思う?」
俺が兄妹に質問をしてみる。
「普通に考えたら鳳なんだろうけど・・・一夏はなかなか爆発力があるからな・・・」
「兄さんが一番」
若干一名的外れなことを言っていたが無視をする。なぁに、今に始まったことじゃないさ。
改めてアリーナを見ると、ツンデレが何かを仕出かす直前だった。
甲龍の肩の装甲がスライドし、中心の球体が光る。その瞬間に一夏が吹き飛ばされた。
甲龍に搭載されている見えない衝撃砲『龍咆』だ。名前に男のロマンを感じる。乗ってるのは女の子だけど。
この勝負はツンデレの勝ちかな。今の一夏じゃどうあがいても龍咆を攻略出来ない。俺だって写輪眼がなければ見切れないだろう。
「負けたな。俺トイレ行ってくるわ」
兄妹に一言断りを入れてから、俺は席を立った。
用を足し、俺はアリーナの観客席に戻ろうとした時に、
『現在、校内に10機のISが侵入しました。生徒は速やかに非難ーー』
こんな放送が流れてきた。
「まぁ・・・ゆっくり行っても大丈夫でしょ」
そう呟きながら外に出た時に、いるではないか。
侵入したISが
『はいは~い!聞こえてますか~!まずは自己紹介だね!私のことは束さんって呼んでね!』
ISの目?の様な場所からホログラム?が出てきて空中に、映像を映す。
ホログラムに映っているのは女性。しかも不思議の国のアリスみたいな恰好に、メカっぽいウサ耳。頭大丈夫かな?
『早速だけど、束さんはあなたに興味があります!特にあなたの眼にはね。だから大人しく捕まってちょうだい☆』
てんさい に めを つけられた
▲たたかう
にげる
こうさんする
戦う以外ありえないwwwここは自分『
でもどうしようか・・・敵は超☆絶兵器ISが八機。結構な規模の街を落とせるレベルだ。間違っても生身のおっさんが一人で敵う相手ではない。
だが、忘れないでほしい。息子に活躍の場面を奪われてるとはいえ、俺は転生者だ。それはもう自己の欲求のままに転生特典を決めた転生者だ。
だが、目立ちすぎる特典を使ったら化け物扱いだ。相手はIS以外でも何かしらを使って此方を監視している。それから逃れるにはどうしたら良いか?どうすれば隔離出来るか?
答え 世界を塗り替える。
単純だ。電波も物体も何もかも通らない、この世界とは隔離された世界に行けば良い。
「いつから俺の眼が万華鏡写輪眼だと錯覚していた?」
恐らく、眼の模様が目まぐるしく変わっていることだろう。三つの勾玉から万華鏡へ。そこから波紋が広がっていく。
クソウサギが何かを感じとったのか、IS八機に攻撃命令を出してきた。
『ッ!今すぐ捕獲して!』
捕獲って・・・俺はグルメ食材かなんかか?捕獲レベルとかついちゃうの?
IS八機が一斉に飛びかかってくる。
「『輪廻写輪眼』・・・この眼は闇がよく見える・・・」
この眼と万華鏡写輪眼を使うと何故か厨二臭い言動をとってしまうのだ。そして戦闘意欲が激増する。アドレナリンがドバーっと出ている気がする。
「それじゃあ・・・
飛びかかってくるISも含めて、いざ彼方へ!
俺が選んだ空間は始球空間。一言で言えば何も無いMP回復ゾーンだ。
電波すら届かない最果ての地だ。流石の天災でも監視は続行不可能だろう。
「クソウサギとの接触が出来ない貴様達には何を言っても解らないと思うが・・・冥土の土産だ!見せてやろう!完成体須佐能乎を!」
俺の周りに、質量を持ったエネルギーが形成される。それはやがて骨に成り、皮膚が付き、鎧を着る。
鎧を着終わると、さらにエネルギーが増大する。今までとは比べ物にならない大きさだ。
最終的には何百mはあろう天狗に成る。俺は天狗の額の部分にいる。
ISは約3~4m以下の大きさだ。人間とアリと言えば分かるだろう。桁が違う。それはまさに、
「赤子を殺すより楽な作業よ」
元から無人ISというのは知っている。ならば手加減の必要はない。
「さぁ!俺を楽しませてみろ!」
倒したISの残骸を始球空間に放置し、俺はアリーナに戻ってきた。
今頃、IS八機がいきなり姿を消したことに学園中が驚いているだろう。先生方!お勤めご苦労様です!
アリーナでは、まだ戦闘が行われている。
片や一夏はツンデレと一緒に戦い、片や兄妹達でもう一機を・・・
『ドガァ!バギィ!』
そんな破壊音と共にISを破壊している夏美の姿があった。