人は愛を求めるものなのよ。大衆受けする物語は、いつでも愛を描いた物語だわ。
「あとはハッピーエンドもね!」
「水着になったリア充さんは大人しく海に沈んでなさい、今忙しいのよ」
「なによー、ルナールなんて去年水着で海行って騎士様に見とれてぶっ倒れてるくせに~」
「そ、それはそれよ。わ、わかったわ。と、とりあえず今宵は神聖なる儀式の刻だから邪魔しないでほしいのよ。水着壊れ部屋にでも行ってベアとゾーイと遊んでいるといいわ」
「そこまで言うなら仕方ないわね。原稿、ちゃんと整理しながら作業するのよ?それと、ハッピーエンド以外は認めないから☆」
「ふふ、任せなさい」
ふぅ。やっと出て行ってくれたわ。なぜか彼女と私は『物語を独自の解釈するにもかかわらずオタク受け抜群、髪は部屋~』に入れられているのだけれど、今日だけは邪魔されるわけにはいけないわ。
こほん、話を戻すわ。
えっと。私が言いたかったのは、愛は美しいものということよ。どんな形の愛も、尊いものなの。いいえ、愛に形はない。愛はそこに在って、それだけで素晴らしいの。
例えば、男女の恋愛。例えば、親子愛。もちろん美しいわ。でも、それが愛のすべてではない。男同士でも、女同士でも、そこに愛は存在するわ。いいえ、生物を超えた愛も確かにある。ムツゴ〇ウ先生のような動物への愛。もっと言えば、無機物――家や、鉛筆にだって愛を注げる。すべてが愛。
そして、愛あるところに、物語はあるの。
この神から見捨てられた空の世界にも、無限に愛は存在する。私はこのグランサイファーに乗ってから、様々な愛を見てきた。
今日はね、その愛の物語を伝える回。
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今日は初回だから、優しい愛の話を持ってきたわ。
ふふ、私の大好きな「救国の忠騎士」
あら、誰かしら?「どうせ男同士の恋愛を描きたいだけだろうw乙www」とか思っちゃった哀れな子羊は。
私が今日紹介する愛の物語は、シルフ様と星の民の物語よ。
こんこん。
「ちっ、封印されし邪眼に射抜かれたいのはどこの骨かしら」
「入ってもいいか」
え、この声井上さんじゃない?井上和彦さんじゃない?ええ?
「いると思ったんだが…」
「は、はは、はいぃいいい!います!る、るるるるルナールです!どうされましたかっ!」
「おお、よかった。突然来てすまない。実はな、絵を描いてほしいんだ」
「え、ええ、絵ですね。わわ、わあたしでよければっっ!」
「ふっ、描いてくれるのか。助かる」
「ほめていただきこうへいでしゅ!アガッ」
「大丈夫か?」
ちょっと噛んだだけなのに真剣な顔でめっちゃ近寄ってくる――!逆にダメ!やめるのよ!やめてジークフリート様!私の心が溶けてしまうわ。私なんかの心配はいいから!いいのよ!いや…あっ。
ジークフリート様の伸ばした手が私の顔に触れたように気がするけれど、その先のことはあまり覚えていない。ベットに寝かされていたから、きっとジークフリート様に運ばれたのだろうけど――ああ、想像するだけで天が近づくわ!
シルフ様のお話はまた今度よ。
ふふふ、空の世界の愛の物語、お楽しみに。
ルナール先生には何度も登場していただいて、様々な愛を語っていただきます。
今日はプロローグ。
次回からいよいよ本格的にストーリーが進みます。