「ぼっこぼこにしてやるわん!」
「…っておっしゃってますけどソーンさんお願いできますか?」
「私は天性の狩人――この一撃は外さない!」
びりびり。
やはり誰が何と言おうと、こうなるのである。
九界琴を装備したグランとソーン。まだ最終解放前ながら、十分な力を発揮していた。否、十分、などという言葉で形容すべきではないかもしれない。このPTは、ケルベロスのManiacやHellに、いまだ1度も攻撃をされていないのだから。
もちろん、Hellではソーンの奥義が発動されるまでに攻撃は何度か受けた。とは言うものの、受けたのはよくわからない「パワーダウン」であり、実質ダメージは0に等しかった。ソーンの奥義、それは麻痺だ。相手の動きを1分間封じる。その間に、種族不明グラン、大天司長(?)ルシオ、半身半魔アーミラ、ダジャレ王ソーンというメンバーで殴り続けるのである。無言で。ひたすらに。
「また遊べるね!」
あっさり倒れるケルベロス。
「ああ、済みましたか」
ほんとそんな感じ。いやルシオ、お前はスタメンとしてもっと倒した実感を持つべきだ。仮にも星晶獣同士で、だぞ?などとグランがぼんやり考えていると、あっという間に次の戦闘が始まる。次はEXだ。めんどくさがりのプレイヤーなのか、PTの変更はなく、そのままのPTで戦闘が始まる。
「追い詰めるわ」
即死。
「私、やる!」
「みりやもやるー!フレーフレー!あはははは!」
ぼこぼこと、討伐。
「邪悪なるものよ、去れ!」
心優しいケルベロスは去ってくれる。
「ち、Hellはでねーし泥は泥ってかwははっ」
次の戦闘が始まる。
「追い詰めるわ」
即死。
「私、やる!」
「みりやもやるー!フレーフレー!あはははは!」
ぼこぼこと、討伐。
「邪悪なるものよ、去れ!」
心優しいケルベロスは去ってくれる。
「ち、Hellはでねーし泥は泥ってかwははっ」
以下省略。
「いやぁ、エンドレスエイトとは違って、たった4回だからね、コピペしてもいいと思ったんだけど…」
「作者さん、さすがにそれは…」
「でもさ、グラン。君たちがいかに延々と同じ動作を繰り返していたか、読者に伝えたくない?」
「それを言葉で端的に伝えるのが作者の仕事でしょう!この苦しみ!この痛み!いつ終わるか分からない、無限のループ!僕たちはただ操られるままに、敵を倒し続けてきたんだ!何回も!何十回も!何百回も!!」
「…なんかすまん。でもおかげで強くなっただろう」
「あのさ。今回集めた武器、装備してんの?」
「お、落ち着いて?セレバハだから…その…オルタナの代わりに前回作った1本は入れてるけど…」
「こんなに頑張って集めた武器を装備してないの!?ねぇ!?」
「許してくれとは言わないよ」
「当たり前だよ!」
「いやぁほんとにすまないね…」
「…もういいよ」
「ごめんね…じゃあ、ゼノウォフいこっか」
「それが最期の言葉でいいんだね?」
グランがこんな風に怒るのは本当に珍しい。いつもだったら「僕に任せてください!」とどんな無茶でもやってのけるのに。そこがかっこよかったのに!
「主人公だって…モチベは下がるんだよ…」
確かにそうだ。討滅戦が終わったら、撃滅戦だ。その次は四象降臨。休む暇はない。そして何よりゼノウォフは、非常にめんどうな技を放ってくる敵だ。デバフ全消し、バフ消し、絶命・混乱、単体攻撃全体攻撃…なんでもありなのだ。しかも有利属性となる風属性には、敵からのデバフを防げる「マウント」アビリティ持ちがいない。ストレスがたまらないわけがなかった。
「よし、分かったよグラン。ゼノウォフはやめよう。代わりに、ゆぐ剣5本、4凸しよう。真理の土を500個と、土エレメントを1000個…あ、今300個あるからあと700個ね。それと、剣のエレメントを――ん?プシュケーが全然足りないね」
「行きたくない、と言ったら?」
「あまり強制はしたくないんだけどね。クエストボタン押してオート周回するだけだよ」
「くっ…」
「グラン。空の果てを目指すのだろう?そのためには、クエストを周回して、ドロップを――」
「そうだ!空の果て――寄り道してる場合じゃない!行かなくちゃ」
…よく考えたらそうじゃない?あれ?ゼノウォフ倒してる場合じゃないよね?依頼受けてる場合じゃないよね?頑張れグラン!私たち騎空士は、君がお父さんに会えるその日を、楽しみにしているよ!
光パ描きたかったのに…麻痺、殴る、終わり!で全く話が広がりませんでした。反省。描きたいことが4行で終わってしまい、本当に焦りました。
ジュリエットお持ちの方は違うのでしょうか。
フェリちゃんには別の機会に登場してもらいます。お楽しみに。
ティターン来る気配ないので、ゆぐ剣解放頑張ります!