明久「もう『待たせすぎ』なんて言わないからさっさと書いてくれる?」
いきなり辛辣過ぎない!?まあ、遅れている分ちゃんと書こうかな。
明久「まあ、楽しませてくれよ?」
…何様なんですか。
オリジナルバカテスト 第11問
「take care of」の意味を書きなさい。
吉井 明久の解答:世話をする
教師のコメント:正解です。少しずつですが理解できるようになりましたね。
哀川 悟の解答:テイク ケア オブ?
教師のコメント:…まだまだですが、読めたところに感心します。
STORY10 11月の試験召喚イベント
11月22日 明久Side
七橋T「えー、今年度から試験召喚システムが導入されたことに伴い、毎月、クラスor学年対抗のちょっとしたイベントをやろうということになりました。今月はクラス対抗の純粋なトーナメントを実施します。協議の結果、我ら3組はチーム数偶数化のために飛び入り参加してくださった2年5組と対戦することになりました。全力で頑張りましょう!」
なぬっ!?トーナメントで2年生と勝負するの!?や、ヤバいって!まともに点数を取れていない僕たちが2年生と勝負するなんて前代未聞じゃないの!?
瑛梨奈「えー、他の案もありましたがフェアにならないという結果に至ったため、募集を募った結果、2年5組の皆さんが急遽、こちらのトーナメントに参加してくれることが決まりました。学力では当然負けていますが、技術操作に関しては誰もがスタートラインです。気負わず焦らずに頑張っていきましょう」
まあ、最初のイベントだからあまり心配することなく自分は自分らしくやれることだけを頑張ろう!
瑛梨奈Side
私は2年5組のプロフィールをとある人物から提供してくれたものを参照した。対価として1年3組のプロフィールも与えたけど…。これによると、やや理系に傾いてるので先生は多分、数学か理科の先生を連れてくると予想する。こちらも対抗したいので3人くらい先生を連れてくるけど対してこっちはやや文系寄り。しかし、理系科目単教科で高い点数を取っている人もいるので誰か理系の先生を1人置いておきたいところ…と思ったけど、相手のフィールド形成に乗っかろうと思う。ただし、1対多勢で襲い掛かってきたら即撤退になるかもしれない。
優子「理系科目が得意な人はこの中に3人いるよね?3対3だったら大丈夫な気もするけど…」
瑛梨奈「そうね、最初のうちは戦わせてあげて、相手が加勢に入ったらこっちも応戦するみたいな形でいきましょう。そのためには補欠の人も入れなきゃね」
明久「代表が瑛梨奈さんだから、この教室で待機するのが無難かな。どこを拠点にしても問題はないって先生は言うけど」
瑛梨奈「試合は2日かけて行われて、1試合120分…それでも悠長なことしてる暇はないから相手をつぶす作戦で行こうと思うけど」
どっちかの代表が戦闘不能になったら試合終了になるというのは誰でもわかるけど、どっちも生き残っている場合は『クラス全体の残りの総合科目の平均×生き残っている人数』で勝敗が決まってしまうからなるべく消耗は避けたい。ただ、代表を除いて全員必ず1回は戦闘に参加するというのがルールになっているので、何もせずじっとしていることはできない。だから、何かしらのアクションを起こして相手より多くの対価を得ることが必要になってくる。フィールド形成の宣告をいち早く先に起こすべきか、相手のフィールドでも技術で差をつけるか…
瑛梨奈「みんな聞いて。試合は明日からで、私たちの試合は午後の第3試合よ。点数は夏休み前の期末テストを参照して調整するみたいだけど、点数に不安を感じる人は放課後か明日の1・2時間目を使って補充試験を。配置などの詳しい情報は明日の開戦1時間前に伝えるからそれまで待ってて。じゃあ、明日も最高の一日にしましょう。解散!」
優子「瑛梨奈はどうするの?このままでいく?」
瑛梨奈「そうね…今の点数に不満はないからこのままでいくかな。受けなおしたら点数減りそうだし…」
明久「それほど出来がよかったってことだね。僕は世界史をもう少し取りたいから放課後にやるけど」
優子「それならすべて受けなおしたら?最近の明久君の勉強力は割と上がってきているから、もしかしたらこの間の模試よりいい点数取れるかもよ?」
明久「うーん、それもそうだね。じゃあ、そうすることにするよ」
瑛梨奈「哀川はどうしたいの?点数的に最下位に近いからできることが限られてくると思うけど…」
悟「俺は『観察処分者』だ。ならば、その特典を生かせるような動きがしたいからどのみち他と違う行動になってしまうな」
それもそうか。哀川と明久君は『観察処分者』、物体に干渉可能だから他の人と違う戦い方もできるはず…ならばそれはそっちに任せたほうがいいのかも。ヘマしたら即刻私のところに引き戻すけどね。
-夜- 幸久Side
自分は割と点数が高かったほうだからこのままでも十分戦える。ただ、得意な教科に伸びしろがみられるため、もう少し伸ばそうか思案中である。
ピーンポーン
あれ、誰だろう…
ガチャ
悟「よお」
幸久「悟?」
幸久「なんで僕たちの家に来たの?」
悟「なんだかここ最近眠れない日々が続いてな…、明日の試合に響くと迷惑にもなってしまうから何とか解決策を探そうとしたんだがいい方法が思いつかなくてな…仕方ないから幸久の家に来たという訳だ。その…今日と明日だけ泊めてくれないか?親は了承済みだからさ」
幸久「うーん、それならいいけど本当に僕たちの家に来て眠れるの?」
悟「確証はないが少しはマシになるかな…と思って」
すでに3人もいる家に、眠れないという理由で来て本当に眠れるのかが疑問なところである。まあ、自分で決断して来た訳だから突き返す理由もなければ素直に泊めるのが筋だろう。しかし、『悠大君』という選択肢はなかったのだろうか。そっちで何か思うところがあれば自分の家に来るのも納得がいく気もするけど、信頼できる人に頼るわけでもなく自分のところに来たってことは、何かそれ相応の理由があったのだろうかと思いかねない。
幸久「わかった、入って」
悟「ありがとう」
僕は悟を自室へ招き入れた。空き部屋もなかったし、兄ちゃんの部屋に入れてもなんだかなぁ…と思ったし、リビングで寝かせるわけにもいかないので自分の部屋という結論に至った。
幸久「悟はテスト受け直さないの?」
悟「受け直しても今の力量じゃ上がる気がしなくてな…、もうちょっと勉強に本腰を入れられたらなと思ってはいるが、せっかく『観察処分者』になったんだ、その称号でしかできないことをやりたいって思うだろ?」
幸久「うーん、そうなのかなぁ…」
自分的には雑用をやるのはあまり得意じゃないので、仮に『観察処分者』になってもすぐに脱出できる方法を考えるんだけど。悟だったら、とことん『観察処分者』というものを追求して満足する結果が得られたら次のステップに移行する…というような人なんだろうね、きっと。自分のなかで悟の性格に確信がもてないのが現状である。
悟「だから勉強のほうは何となくで進めてきているが、分からないまま次の段階に進んでも結局そこでつまづくというのはさすがの俺でもわかるから、そろそろ重点を置くべきかと考えてはいる」
ああ、特殊な『バカ』ってそういう意味の…。つまり、学力はそれ相応なんだけど要領ははっきりしていて、何もできない『バカ』とは本質的に違うという…そういうことなんだなと今、理解できた。
幸久「これで学力が上位相当になってきたらその先はどうしたいの?」
悟「…俺、お世話になってきた
自分?自分は…そう言われてみれば、はっきりと考えたことなんて一度もなかった。バレーボールが元々得意だから選手生命を背負うのもいいなとは思う。経済事情が好きなので経済学者とか統計に関わる仕事もいいなと思う。兄と職業が被るのだけは嫌なので、教師という選択肢は外したい。うーん…、いきなりは決められないなぁ。
幸久「自分の心の中にこれだというものが浮かんでないからはっきりとは言えない」
悟「そうか。ただ、2年から職業に関して文系か理系かに分かれていくから、せめて方向性だけでも決めたほうがいいんじゃないか?」
そうだ、2年からコース選択で受ける授業が段々変化していくから、今のうちに決められるところは決めなきゃいけない。どっちが自分に適しているのかなぁ?
幸久「そうだね」
悟「なんか、話していたら眠れるようになったかもしれない」
幸久「本当?胸の中に溜まっていた不安が減ってきたのかな」
悟「そうかもしれない。何を以って不安だったのかは俺でも説明できないが、とにかく今日はちゃんと眠れそうだ」
さみしかったのか、不安があったのか、ストレス気味だったのか、おそらく悟のなかで何かが解消されたのだろう。話をしていたら気づいたのだが、自分がオールマイティでいるのは別に悪いことではないが、なにか自分に特徴が持てるようになりたいと考えたときにはやはり、自分の得意なカテゴリーを見直して点数の向上に努めたほうがいいのだろう。…とすると、一番効率的なのは社会系だろうか。兄とは反対に世界史が苦手なのでやるつもりはないが、現代社会ならできそうなのでこれを軸に他の教科も強化してみようかな。現代文も結構できるけど、さらなる理解には時間がかかるので、今回のイベントに向けて取り組むのはあまり得策ではない。あとは…化学基礎もやるか。というわけで、明日は現代社会と化学基礎を受け直そう。
ガチャ
明久「あれ?まだ起きているの?もう11時回ったよ?」
幸久「うわっ、勝手に入ってくるなっていつも言ってんじゃん!」
悟「お邪魔してます」
明久「ゆっくりしていってね。眠れなかったらハーブ系のお茶あるからね」
悟「あ、ありがとう」
悟って学校じゃあ兄と普通に会話しているふうに見えるけど、実際はちょっと接しづらかったりするのかな?僕と話していると本音が時々漏れてたりするから安心されているのかもしれない。それでも、親友の関係である悠大君には及ばないかもしれないけど。
11月23日 -社会科教室 1時間目-
一応、昨日結論を出した通り、現代社会と化学基礎を受け直すことにする。あの後、悟が寝た後でも勉強したから12時過ぎちゃったけど睡眠時間は十分取れているし、最高のコンディションだと自分でも思う。
教師「これより、現代社会の試験を始めます。試験は30分で、解答用紙は多く設定してますので思う存分取り掛かってください。では、はじめっ!」
今回は、政治の話かぁ。ここ、そんなに得意な分野じゃないけど直前まで復習していたので分かることには分かる。記述式の問題もあるが、どうやって採点するんだろうか気になるところではある。
30分後…
教師「そこまでです。以上で試験を終了します。結果は2時間目の途中で反映させますのでそれまでしばらくお待ちください」
結果は割と早く反映させるみたいだから3・4時間目を利用した第2試合からの人でも受けることができた。今回は馴染みのある人は見られなかったが、アウェーの中でも十分力を発揮できたと思う。さあ、次は化学基礎だ。
-化学教室 2時間目-
教師「これより、化学基礎の試験を始めます。この試験は記述式の問題を設定してないので時間は20分とします。最初は3枚配ってありますが、それ以上に欲しい方はお知らせください。では、はじめっ!」
考える時間は結局変わらないが、言葉で書いてみてどうのこうのとかいうわけではないので、さくさく次の問題に行ける。しかし、4枚目欲しい人は指で4と表現しながら挙げるって珍しい手法だと思う。5枚目なら5?それって、何かあるって誤解させられるんじゃ…
20分後…
教師「そこまでです。以上で試験を終了します。結果は3時間目が始まる頃に反映させます」
人によって採点スピードが違うから先生も選んだほうがいいのかこれ…。化学基礎は十分復習してたから効率良く先に行けたかな。ミスがあるとそこから減点されるって聞いてるけど…
-教室 4時間目-
瑛梨奈「えーっと、幸久君は現代社会と化学基礎を受け直したのね?総合点数は…4119点。すごい、122点アップよ!」
幸久「おーそこまでできたのか。やっぱり現代社会の71点アップが大きいね」
テストで122点上昇って普通の世界じゃ余程のことがない限り無理なんだけど、特殊な点数配分してるからこういうこともあり得るんだよね。
瑛梨奈「で、明久君は全て受け直した割に1306点で132点しか上がっていない…」
明久「いや~、ちょっとずつ頑張っているけどなかなか上がらないもんだね」
優子「まあ、慌てるほど点数上昇は見込めなくなるし、このくらいが普通なのかもね」
他の人は前回のテストから間が空いてたから、大きく点数上昇した人もいれば、あまり上昇しなかった人もいる。全体的に見ればどうなったんだろう?
瑛梨奈「えーっと、今回の補充試験の結果、文系寄りから両刀型に変わったので、理系組が来ても十分やりあえるはず…!」
ということは、理系科目の点数上昇が多発したからその分持ち直した感じか。後は相手の作戦と操作レベルにかかっているけど、先行体験してるし、今回は行けそう…?
瑛梨奈「となると、最初の隊列は文系4人と理系6人でよさそうね。1クラスに43人というのは相手も同じ…第2隊列で12人配置が良さそうかしら。学校中が範囲になっているから伏兵の用意もしないと…」
幸久「体育が得意な人?」
瑛梨奈「それもそうだけど、知略が欠けていたら元も子もないでしょ。だから両方備えている人がいいんだけど」
悟「その役割…俺にやらせてくれ」
瑛梨奈「哀川?別行動するって言ってなかったっけ?」
悟「その役割の中で…だ」
きっと悟のことだ、なにか自分の中でなにか作戦があるんだろう。
-昼休み- 瑛梨奈Side
瑛梨奈「さあ、いよいよ5時間目から戦いは始まるわけだけど、とりあえず今回の配列を発表します」
前列…吉澤、齋藤正、金井綾、今井雪、波田、竹内陽、有吉、野村、高澤、山寺、犬寄、児玉、高柳、筒香、以上14人(理系7人+文系7人)
中列…吉井明、今井潤、国崎、高橋、土屋佳、竹内榮、桜田、杉戸、水上、丸山、上野、矢井田、以上12人(理系3人+文系9人)
伏兵…哀川、金井諒、柳川、新田、土屋明、木内、渡邊、櫻井、丹波、以上9人(理系8人+未分類1人)
護衛&補欠…木下、桐谷、吉井幸、細川、細田、渡部、園田、以上7人(理系2人+文系5人)
代表…坂井 瑛梨奈(両刀型)
瑛梨奈「以上が今回の配置になります、あらかじめ列内で作戦を個々に決めといてください。何か意見のある人は私のところまでお願いします」
ふう、各々のタイプを把握しながら戦力を分散するのはなかなか難しい。何ができて何ができないのかを知っておくのもルーム長としての努めといったところかしら。
幸久「お疲れ様…よくこんなに編成を組めたね。一人一人の個性を把握するって結構大変なんじゃ…」
瑛梨奈「そうでもないの。ノートに書き写せば記録になるし、変更があっても修正はちょっとで済むから、この人はこういうところが強みなんだなというのが一目で分かるように書き記しているの。ほら、これがそう…」
幸久「うわあ…、細かいところまでよく観察している…」
そうでもしなくちゃ作戦が立てられない。自分があと半年お世話になるクラスメイトだし、これくらいの把握はしたっていいと思っている。2年で結局クラス替えがあるみたいで一見、無駄なことしているように見えるけど、実は2年になっても相手(敵)の情報として見ることができるから、次にどんな作戦で行こうか立てやすくなるという利点がある。
瑛梨奈「みんな、質問とか意見とかはなさそうね。…よし、いざ、敵陣へ」
「「「「「「「「「「おぉーーーーー!!!!!」」」」」」」」」」
本当は、1日目の終了まで書きたかったのですが、次回に回そうとします。
明久「でも、150000字書けるんだから、行けるはずじゃ…?」
それはそうなんだけど、一話ごとが極端に長くなるとなにか変なものを感じるでしょ?
明久「うーん、そうかなぁ…」
いつも3000~4000字くらいでまとめてあるけど、今回は倍の6000字になっちゃったし、これ以上次のことを書くと10000字超えるんだよね。それは自分的になんか微妙だと思って…
明久「なら、それはそういうことにするか」
共感してくれてありがとう。というわけで次回はいよいよ初戦~最終戦まで一気に仕上げたいと思います!ので、次もお楽しみに。