魔女幻想 ~ fantastic Magus   作:神風雲

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其弐「シルクロードアリス」

 

 

 

 

 博麗神社

 

 

 「前回の異変を解決して早数年。あれから何事も起こることなく平和的な世界が守られていた」

 

 「そうだね」

 

 「だが今私の身に恐らく今年最大の災難が迎えている」

 

 「そうなの?大丈夫?」

 

 巫女服を着た少女は息を吸い込んで言い放った

 

 「あんたのことよ!!」

 

 「ええ・・・・」

 

 桃色の髪の毛に白と赤の典型的な巫女服を着こなす少女「博麗靈夢」

 博麗神社の巫女であり、幻想郷の異変を解決する要員である。だがその割には少々力不足であり、時々魔理沙や魅魔に手伝ってもらっている身だ。

 

 (ちょっと魔理沙!行く当てあるって言うから信頼してたのによりにもよってなんであの巫女の神社なのよ!!)

 

 肩に乗っかったコウモリ、もといエリスがテレパシーで伝えてくる。かなり焦っているようだ。

 

 「仕方ないでしょここぐらいしか思いつかなかったんだから」

 

 (自分の家は無いの!?)

 

 「あるにはあるんだけど何年も魔界(あっち)に居たから多分家じゃなくなってる」

 

 返答は無かったが白目を向いていたので察せた。

 

 「あら何そのちっちゃいの」

 

 「ああ、新しい使い魔よ。一流の魔女となればこのくらい必要だと思って」

 

 「へぇ~そうなんだ。あら、この子白目向いちゃってるけど」

 

 「寝てるんだよ」

 

 上手く騙せた魔理沙であった。

 

 

 

 

 

 「そういえば靈夢、魅魔様はいるか?」

 

 魅魔は博麗神社と繋がりを持っているため、自然とここが住みかとなるのだ。つまり魅魔がいる可能性が高い。

 

 「ああ、そういえばさっきまで居たけど久しぶりの幻想郷を見回りに行くって出て行ったわよ」

 

 「そうなのか。魅魔様もなんだかんだ楽しんでそうだな」

 

 (それより結界はどうするのよ、こんなところじゃ結界なんて破れないわよ)

 

 「え?知らないのエリス」

 

 (えっ?)

 

 「幻想郷で最も結界の破りやすい場所。ここがその場所よ」

 

 エリスは黙った。

 

 「実際に幻想郷に来るのは初めてだからその反応も当然ね」

 

 幻想郷にはいくつか結界の繋ぎが緩い部分がある。その各所には要石があったり祠があったり将又神社が建っていたりする。その一つがここ博麗神社。

 巨大な結界は一つの壁だ。エネルギーの壁は中心部から発せられ、端に行くほど薄くなる。その薄い部分に補強役を添えることでなんとか結界を維持しているのだ。

 大結界と言われるのは大きさだけでなく、何重にも重ねて結界を張ってあることから大結界と呼ばれている。

 だが博麗神社の場合は違う。ここは外の世界と直接的に繋がっている場所でもあるため、幻想郷のどこよりもあちら側に行きやすいのだ。

 

 (なるほど・・・確かにこちらの知識不足だったわ)

 

 「ただここは靈夢もいるし魅魔様もいた。だからこっそりするのも難しいかなって」

 

 (リスクは高いけど外に行ける可能性では一番高いわね。大丈夫よ、短時間なら私で止められるわ)

 

 「エリスは行かないの?」

 

 (もちろん行くわ。でもまず成功例が無いとダメじゃない?」

 

 「実験体ですか・・・」

 

 (そういうこと、よろしくねかわいい魔法使いさん)

 

 「魔法使いじゃなくて魔女よ」

 

 (私からすればかわいい魔法使いよ)

 

 魅魔は出かけている、靈夢も夜は寝るため動かない。今晩が絶好のチャンスだった。

 

 

 

 

 

 夜 博麗神社

 

 

 「静かにね」

 

 (分かってるわ)

 

 月明かりだけが頼りの夜。迷いなど無く、参道の真ん中、正中を中心に大きく魔法陣を描く。

 コウモリは魔理沙の肩から降りて、空中で光の粒となって散会した。眩い光は徐々に量を増やし、人か悪魔かの姿をして形成された。

 赤いスカート、赤く大きな蝶ネクタイ、金髪をまとめる大きな赤いリボン。その容姿からは想像もつかないような大きな羽が背中から生えていた。頬には赤い星が描かれており、同じく星の形を模したステッキを持っていた。

 

 「どう?これが私の真の姿」

 

 「ほんとに悪魔なんだね」

 

 「当り前よ」

 

 よく見ると赤い花が金髪に映えており、赤が好きなのが伺える。ちゃんと女の子のようだ。

 

 「じゃ、始めるわよ」

 

 エリスは魔法陣の横に立ち、魔理沙は陣の内側へ入る。大きさ的にも一人ずつ送る感じだ。まだ成功するとも分かってないが魔理沙の心は好奇心と緊張で今にも跳ね上がりそうだった。

 

 「大気中の魔素を吸収・・・安定域を構成」

 

 ステップが進むにつれ、魔法陣は端から色を変えていく。魔理沙は詠唱の為に目を瞑っているが、瞼越しでもその輝かしさがはっきりと伝わっていた。

 

 「あともう少し・・・」

 

 その時、不運は訪れる。

 

 「あんた達!何やってるの!」

 

 「チッ、もう少しの時に邪魔してくるのね!!」

 

 エリスは魔理沙の援助を止め、大きな翼で魔理沙への視線を遮断した。

 

 「エリス!!」

 

 「あなたは続けなさい!巫女は私が食い止める!」

 

 悪魔の翼が両者の視線を遮り、エリスは二人の間で壁となった。

 

 「ごきげんよう巫女さん。こうして会うのはいつぶりかしら」

 

 「え?どこかであったかしら?」

 

 「覚えてないのね・・・でも、これを見れば思い出すんじゃないかしら!!」

 

 手のひらから貫通レーザーを放ちながら翼から小さな弾幕を撃ってくる。

 

 「パズルアスペクト!!」

 

 この世界にはまだスペルカードルールは存在しない。だがそれらしき技名を持った弾幕も少なくはない。

 

 「知らないわね!私の前から消えてくれると話が早く済むんだけど!!」

 

 陰陽玉を飛ばし、それをおとりにしてお札を連射する靈夢。だがその程度の子供だましでやられるほどやわな悪魔ではないエリス。

 霊夢は霊力を放出して攻撃する「霊撃」で戦闘を行う。楽天的な普段とは打って変わり、その戦闘スタイルは強者を叩き落とすためにある物であった。

 

 「さすがは博麗の巫女、前回に比べてかなり強力になっているわね」

 

 「昔はこんな力も狙われたのだけれど、所詮あなたたちは妖怪よ。退治される為に抗うの」

 

 「昼間に比べて随分冷静なのね」

 

 「ああ、もしかしてあのコウモリだったの。へえ、確かに似てるかもね」

 

 靈夢が一歩踏み出した瞬間、エリスとの間合いを一気に詰められ、胴体部に掌の一撃を加えられた。そのすぐ後に背後で踊り飛んでいた陰陽玉が靈夢の飛ばしたお札に弾かれエリスに向かって激突した。

 

 「クッ!スノウフレアッ!!」

 

 翼から大量の小粒弾を展開し、靈夢の接近を封じた。

 

 「あの一撃をもろに喰らって立てるなんて、どこかで会ったのは本当らしいわね」

 

 「え、えぇ」

 

 博麗の力は一度経験するとその強力さ故に脳裏に力が焼き付く。大抵の妖怪ならば消滅するが一部の生き残った妖怪は一瞬の恐怖を思い出し、咄嗟に防衛行動をするのだ。

 今のエリスもそれと同じ状態だった。

 

 「このままだと押し切られるわ。魔理沙、早くして頂戴」

 

 「全く、こっちに来て早々異変を起こすのかい」

 

 「こ、この声は・・・」

 

 エリスと魔理沙の鼓動が一瞬だけ重なった。

 それは第二ラウンドが発生した合図だった。

 

 「魅魔様ぁ・・・ちょっとタイミング悪すぎませんか?」

 

 「あんた自分から外の世界に行きたいって言ってたじゃないかい。折角他の異点を確認して回ったって言うのに。魔理沙、考え方が単調だね」

 

 「そういう魅魔様は念入り過ぎる気がするよ。現に私がここにいることが分からなかった。残念だけど私はここを出るよ」

 

 「別に私は魔理沙を止めに来たわけではないよ」

 

 その言葉に魔理沙は戸惑い、手元が狂いそうになった。

 

 「じゃ、じゃあ何しに・・・」

 

 「弟子の最後を見送ろうってんだ」

 

 「その言い方だと私が死ぬみたいになるでしょ!」

 

 「でも帰ってこれるか分からないんだろ?なら私は見送る側だ」

 

 その時丁度結界の一部が破れ、どこかへと繋がった。

 

 「あっ」

 

 徐々に魔理沙の体が薄くなり、ゆっくりとどこかの空間へ転送されていく。

 

 「どうやら成功したらしいね。頑張りな魔理沙。あたしゃどこからでもあんたを見守っているよ」

 

 「ありがとう魅魔様、土産話くらい聞かせてやるぜ!」

 

 「変な口調だね」

 

 魅魔は少し笑った。戦闘しながらそれを聞く靈夢とエリスは両者攻撃を止め、地へ足を下ろした。

 魔理沙の体が半透明を超えた時、魅魔に最後の笑顔を送った。

 

 「じゃあ私も行きましょう。ごきげんようさようなら!」

 

 エリスも魔法陣に飛び移り、透明になって向こう側へ消え去った。

 

 「結局行っちゃったのね」

 

 少し悲しそうな声で靈夢が呟く。魅魔も足を下ろし、靈夢に近づいて頭をそっと撫でた。

 

 「なによ」

 

 「意外とお前も行きたかったりしてな」

 

 「そんなわけ・・・ないじゃない」

 

 「悲しかったら泣いていいんだぞ?」

 

 にやけながら魅魔が靈夢をからかう。

 

 「うっさい!退治するわよ!」

 

 「怖い怖い」

 

 それでも少し悲しげで物足りなさを隠しきれていない靈夢。魅魔も、ほんの少し心の中の何かが抜け落ちた気がした。

 

 

 

 

 

 




途中から何書いてんだ俺みたいな感じ
暇なときまた修正入るんじゃないかなやる気があれば

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