ポケットモンスター虹 ~ダイ~   作:入江末吉

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VSスピアー 猛追のジン

「『猛追のジン』……まぁよ、一応これ他称だからよ。仲間から見た俺の評だからよ……つまり、伊達でもなんでもねーってこった」

 

フードを脱いだくすんだ金髪の男――ジンは三日月型の、ニッと歪んだ口元をこちらに見せつける。俺は背中にかかる圧で、思わず膝を降りそうになる。

ちらりと後ろを見る。ピエール先生をこのまま放置すると、間違いなく無事ではすまない。手っ取り早く、ポケモンセンターで応急手当を受けさせて病院に搬送したいが……

 

「あぁ、その先生を連れて俺から逃げられるとは思わない方がいいぜ。それこそ、猛追するんで」

 

ケタケタと笑うジン。その肩にゴルバットが止まる。俺はキモリと目を合わせる。キモリがコクリと頷き、俺はボールを取り出した。

リリースしたボールから出てきたペリッパーとユンゲラーがジンとそのゴルバットに向き直る。

 

「おっ、なんだ? トリプルバトルか? いいぜぇ、相手になって――――」

 

「ペリッパー! ピエール先生を【たくわえ】て、ユンゲラー! ピエール先生をペリッパーごと【テレポート】!」

 

「なっ! さっそく俺の前で逃げの一手かよ!?」

 

「行かせてもらうに決まってんだろ! 【エナジーボール】!」

 

ペリッパーがピエール先生を咥えて保護、ユンゲラーが俺の頭から、俺が思い浮かべた場所へペリッパーをジャンプさせる。それまでの僅かな時間を、キモリが稼ぐ。

放たれた新緑のエネルギーはジンの足元で弾けて炸裂、周囲に再び砂埃を巻き起こす。

 

……いや、ただの砂埃じゃない。エナジーボールが引き起こしたにしては、煙の量が多すぎる――!

 

恐らくはジンがゴルバットに持たせていたのだろう"けむりだま"だ。そしてその結論に思い至ったときだった。俺の耳は微かに羽音のような物を捉えた。闇雲に動くのは避けたかったがやむを得ず俺は前方に転がるようにして回避する。すると先程まで俺の腰があった位置に鋭い毒針のようなものが通り過ぎた。

すかさずポケモン図鑑を取り出し、そのポケモンを特定する。

 

 

『スピアー。どくばちポケモン。両手とお尻にある三本の毒針で、相手を刺して刺して刺しまくって攻撃する』

 

 

俺を強襲した影はすぐさま撤退、再び耳障りな羽音を響かせ、スピアーが移動を開始する。煙を晴らしたいが、たった今ペリッパーがポケモンセンターの上空付近にテレポートしてしまったため、【きりばらい】でこの煙幕を晴らすことが出来ない。

ただ選択ミスだとは思わない。ピエール先生を運べるほどの怪力もしくは運搬能力を有するのは、俺の手持ちではペリッパーだけだ。

 

「ゾロア、どうにかスピアーの場所を特定できないか……?」

 

ボールから出てきたゾロアが鼻を使ってスピアーの場所を探そうとするが、即座に咽てしまう。そのときだ、鼻が甘い香りを感じ取った。というよりかは、甘い匂いを混ぜすぎて逆に異臭になっているような、思わず袖で顔を覆ってしまう匂いだ。

これは……もしかして……

 

「すげー匂いだろ、けむりだまに混ぜておいた"モモンの実"と"シーヤの実"の匂いでよ。この匂いの中では【かぎわける】ことが出来るポケモンですら俺を見つけるのは不可能だぜ」

 

こいつ、思ったより策士だ。【かぎわける】はPGやその他の公的機関のガードマンたちがよく徴用するポケモンが覚える技で、それから逃げるために身に着けたであろう術を攻撃に転用してくるなんて……!

ゾロアは元々かぎわけるを使えるポケモンではない。それでも俺より鼻が利くと睨んだが、この煙の中では難しい。

 

「ペリッパーを逃したことを誤算だと悔やんでも遅いぜ、スピアー! 【ダブルニードル】!」

 

「ッ!」

 

その一撃は再び俺目掛けて撃ち放たれた。煙を突き破って現れたスピアーが両手の針を交互に突き出してくる。それが俺の頭部を掠め、ゴーグルのレンズにヒビが入る。今の一撃で確実に俺の位置と回避先を予測したスピアーの二撃目が放たれる……!

 

「ゾロア! 受け止めろ!」

 

しかし俺の眼前に飛び出したゾロアがその一撃をなんと口で受け止める。そのまま針を噛み砕こうとしたが、思った以上に硬質の針らしくゾロアの顎では不可能のようだった。

 

なら―――!

 

「受けた分キッチリお返しだ! 【しっぺがえし】!」

 

ゾロアが針を咥えたまま、背負投に似た要領でスピアーを地面へと叩きつける。スピアーの突きの勢いが凄まじいほど、受け流され地面へ叩きつけられたときのダメージは相当のものとなる!

しかし仕留めるにはわずかに足りなかったらしい、スピアーはゾロアを軽くあしらうと再び煙の中へと姿を消した。だけど今の攻防で起きた風圧が俺の周囲の煙を晴らし、多少は見渡しがきくようになった。

 

「いいぞ、よくやったゾロア! ……おい、どうした?」

 

急にゾロアが苦しみ始めた。針を受け止めきれずに口の中にダメージを受けたのかもしれない。ゾロアを抱え上げてみると、ゾロアが苦しんでいる理由がわかった。

毒だ、スピアーはあの【ダブルニードル】の瞬間にゾロアに毒を打ち込んでいたんだ。俺はカバンからモモンの実を取り出して、ゾロアにゆっくり食べさせる。弱りながらも咀嚼を繰り返しなんとか飲み下して解毒に成功したゾロア。しかし今受けたダメージが原因でか、動きが鈍くなっていた。

 

「ユンゲラー、お前は相手の位置がわかるか……?」

 

背中越しにユンゲラーに伝えてみるとユンゲラーはスプーンを曲げ、念力をフルパワーで駆使して敵の動きを読んでいた。ユンゲラーはかつて、俺とこのグラウンドで戦ったことがある。

そのことからも、このフィールドの形を完全に把握しておりそこを舞う異物の感じを念力で感じ取ろうとしているんだ。

 

「スピアーは恐らく、スピードを駆使して俺達の弱点をついてくるはずだ。そして、俺の逃走経路にもなりえるお前を狙ってくる可能性が、たぶん一番高い」

 

【テレポート】が使えるユンゲラー。自身も含め、俺をこの場から逃がすことは容易い。だけど、ジンの猛攻の前にテレポートするだけの時間が稼げず、時間を稼ごうものなら時間を稼ぐポケモンが置き去りになる。

それはダメだ、全員でこの場から逃げ出す。もしくは、あいつを倒す。それがこの場での最善手になるはずだ。

 

「あれを、試してみるか……」

「あれって、なんのことかな?」

 

直後、ユンゲラーが俺を後ろに蹴飛ばし、スプーンを巨大化させ不意の攻撃を受け止める。危ないところだった、今のは確実に俺の反応が遅れていた。

 

「まだるっこしいって思ってるだろ。けどな、周りもわからねぇ状態でスピードに追い立てられると、人間はいずれ余裕をなくす。数分が数時間に感じるほどにな」

 

煙の奥にゆらりと影が現れては、再び姿を消す。まるで幻みたいに、ジンの居場所が転々とする。まるでジン自身が影分身してるみたいに。

追い立てられ、だんだんと自分でも余裕が無くなってきているのを感じる。次の攻撃のタイミングが全くわからない。

 

「その余裕の無い時が一番攻めやすく、追われにくい。ちょっとの追撃でも、深追いは避けようって気分になるからな。そこに漬け込むのが、俺流よ」

 

肩に手を置かれた! 振りほどき、そのまま振り返りながらユンゲラーに指示を飛ばす。

 

「【サイケこうせん】!」

 

「無駄だ、そんなんじゃ当たらねえよ。もっと俺を追い立ててこい、その悪視界の中前に進み出す勇気があるのならな!」

 

そうだ、やつがこの煙幕の濃い空間を作り出してただそれだけで終わるとは考えにくい。あのスピアー、もしくはゴルバットがさらに何かしているとすれば……

図鑑でスピアーを検索する。相手のスピアーの特性、技構成をすべて把握すればきっと……!

 

「わかったぞ! 【なりきり】だ! あのスピアーになりきるんだ!」

 

ユンゲラーはスピアーが襲ってきたときのことを思い出し、そのときのスピアーの特性を自分へと浸透させる。"マジックガード"だったユンゲラーが"スナイパー"へと変わる。

次だ、俺はユンゲラーと戦うカイドウの姿をイメージする。キモリと共に挑み、簡単にあしらわれたあの戦いを、思い出す。そしてユンゲラーに"ある技"を使わせた。

 

「今度は周囲に【ひかりのかべ】を多重展開!」

「へぇ、防御を固めようってか! ならそれを突き崩してやる!」

 

ジンが迫ってくるのがわかる。それこそ、どこから走ってくるのか。それに付き従うスピアーがどこを飛んでいるのかさえ、鮮明に。

 

 

 

「今だ、放射状に【サイコカッター】!」

 

 

 

ユンゲラーを中心に念波の刃が放たれる。それをカイドウは屈んで、スピアーは上昇することで回避したのだろう。足音から、回避に成功した自信を感じる。

だが……!

 

「そんな攻撃じゃ当たら――――」

 

直後、ジンの身体に念波の刃が直撃。同時にスピアーにもサイコカッターが多重直撃、うち数発が急所に当たる。いや、正確には"急所に狙って当てた"。

腹部に念波の刃を受けたジンがグラウンドの上をごろごろと転がる。スピアーは元々、速度に重きを置いていたためか防御性能はそこまで高くなかったらしく、今の一撃で瀕死に追いやることが出来たらしい。

 

「今だ、俺たちをこの煙幕の外へ【テレポート】だ」

 

頷いたユンゲラーが俺たちを外へと逃がす。煙幕が広がっていたのは思ったより狭い空間で、その周囲に散らばっているものを見て、納得した。闇雲に攻勢に出ていたら踏んづけていたかもな、【どくびし】。

 

「や、野郎……今の攻撃、どうやって……」

 

ユンゲラーがジンにスプーンを向けて牽制する。下手に動けば攻撃する、の意味を持っている。キモリは念のため姿の見えないゴルバットによる奇襲を警戒している。

 

「お前は【ひかりのかべ】を防御に使用すると睨んでいたみたいだけど、それは大きな間違いだ。俺とユンゲラーは自身を中心に、放射状に放ったサイコカッターを反射させるように【ひかりのかべ】を展開したんだ」

「ば、かな……【ひかりのかべ】と【リフレクター】は正面から受けた攻撃をそのまま殆どを吸収しちまうはずだ……だからこそ防御に有効な技のはず……」

「あぁ、だから【バリアー】も使った。バリアーとひかりのかべの混合防御壁を俺とお前を閉じ込めるようにして張り巡らせたんだ」

 

倒れているジンを抑えつける。ユンゲラーが腰からジンのぼーるを念力で外し、さらに加えて念力でボールから出ようとするポケモンたちの動きを封じ込めていた。

 

「後もう一つ気になる……てめぇ、どうやって俺の位置を割り出しやがった。俺の脚をどうやって捉えやがった」

 

ジンは俺を見上げて、気づいたようだった。俺の額に浮かぶ、第三の目に。同様に、ユンゲラーの額にも同じ紋様が浮かんでいる。

 

「【ミラクルアイ】、元は回避率の高い相手に技を当てるってだけの技さ。けど、エスパータイプのポケモンが持つテレパシーと念写能力で、俺の思考とユンゲラーの思考が直接重なったんだ。俺にはわからなくてもユンゲラーにはお前たちの場所がわかっていたからな」

 

元はカイドウが使う高度な連携技だ。当然、俺はたったの数秒でリンクを切らなければ情報処理が追いつかずに頭がパンクするところだった。気を抜いたら頭が鈍器で殴られ続けるような痛みを感じる。

改めてあいつの凄さを知った。きっと他のジムリーダーはもっとすごいのだろう。そう思うと、道はもっと険しく思えた。

 

「なるほどね……俺は手持ちを封じられ、圧倒的不利ってか……」

 

「大人しくしろ、ゴルバットもボールに戻すんだ」

 

「けっ、バレてら……ほらよ」

 

ジンはあっさりゴルバットをボールに戻した。そしてそのボールを俺に手渡した瞬間だった。それはモンスターボールでは、なかった。

それはふるふると震え、まるで怒っているかのようにこちらを睨んでいた。

 

「"ビリリダマ"……!? ぐあぁっ!」

 

いつの間にかゴルバットを収めたボールとすり替えられていたビリリダマがバチバチと稲妻を走らせる。それを素のまま持っていた俺の手を徹して全身に走る。

 

「へっ、今日のところは引いてやるぜ。俺は引き際を弁えてるからな、今のお前は手負いだし絶好のチャンスだけど、急いて逃げ損じるなんてことがあっちゃあスピードホリックの名折れなのよね……! じゃ、あばよ!」

 

右腕の痺れと戦っている間にジンはユンゲラーからボールを奪い取り、ゴルバットを呼び出すとドームの破れた天井から逃げ出した。しかし疑問は消えなかった。

確かにすべてのボールを取り上げたはずなのに、どこにビリリダマ……ひいてはそれを収めるボールを隠し持っていたのか。

 

「とにかく、ビリリダマを落ち着かせないと……つっ!」

 

【でんじは】の影響か、身体が思うように動かない。痺れが抜けない。しかしビリリダマは相変わらず俺を狙っている。表情もいつもよりだいぶ険しい気がする。

ビリリダマは身を捻り、それを元に戻す弾性力を利用して衝撃波を発生させ、それを俺たち目掛けて飛ばしてくる。

 

「ゆ、ユンゲラーは【バリアー】! キモリはそのまま懐に潜り込んで【メガドレイン】だ……!」

 

キモリが突進、そのキモリに襲いかかる【ソニックブーム】をユンゲラーが遠隔からバリアーを張り防御。即座に解除してキモリが進行する道を作る。

ジンのスピアーもそうだが、うちのキモリだって速度には自信がある。次に会ったときは確実にこっちが追い回してやる……

 

【でんこうせっか】でビリリダマに接近し、撹乱しながらビリリダマの体力を奪い無力化に成功する。その頃、ようやくジンが放った煙幕が完全に晴れ、周囲が顕になる。

 

俺達がさっきまでいた場所の周囲に【どくびし】が巻かれていた。下手に動けば、俺が踏んでいた可能性もある。そう思うとゾッとした。テレポートで煙の範囲外に離脱したのは正解だったな。

そのときだ。グラウンドの陰の部分にビリリダマを収めていたと思わしきボールがあった。それを拾い上げるとボールに文字が綴られていた。

 

『レンタルポケモンNo.100 ビリリダマ』

 

レンタルポケモン、このスクールのポケモンバトル実技で使われているポケモンで自前のポケモンをまだ持っていない生徒に貸し出されているポケモンだったはず。

確かシュンのマッスグマたちもレンタルポケモンで、そこまで考えたときだった。

 

急激に後ろから強い力で首を締められた。あまりの衝撃に呼吸すら出来なかった。グラウンドの上を引きずられた俺は、いくつもの蔓が俺の身体を締め付けていることにようやく気がついた。

そしてようやくわかった。ジンはただ逃げるだけではなく、俺をどうにか始末するつもりだったらしい。

 

「"ウツボット"……!」

 

明らかに正気ではない様子のウツボットが【つるのムチ】で俺を拘束、そのまま自身の消化用の口に放り込もうとしているらしかった。

 

「やべぇ!! ユンゲラー!」

 

蔓が俺を離し、ウツボットの口に落下する寸前にユンゲラーが【サイコキネシス】で俺を空中にキープする。しかしそれを怒ったウツボットが俺の脚に再び蔓を巻きつかせて引っ張る。あまりの力に右足だけもげそうだ……!

キモリとゾロアがウツボットを攻撃するが、さっきのビリリダマよろしく正気ではないウツボットにはダメージが入っていないようだった。

 

「これは……こんらんしてる!?」

 

ウツボットの状態を図鑑で徹してみるとウツボットは混乱状態に陥っていた。まさに正気ではなかったわけだ。

恐らくはジンのゴルバットだ。恐らくやつの手持ちはスピード重視、あのスピアーがエースだとしてゴルバットは飛行用と逃走用のハイブリット型で、【ちょうおんぱ】と【あやしいひかり】でウツボットを混乱させ、その隙を使って逃げるつもりだったんだ。

 

「くそっ! キモリ! 頭にその尻尾【たたきつけ】てやれ!」

 

言うが早いか、キモリはウツボットの頭を横に振り抜いた尻尾で勢いよく殴打する。さすがに頭部への一撃は大きかったのか、蔓の拘束が緩くなった。

そのチャンスを見逃さずユンゲラーは再び【サイコキネシス】で、今度は俺を拘束している蔓を念力でこじ開けた。

 

「よし、逃げ出したぞ! ユンゲラー【さいみんじゅつ】!」

 

俺が離脱すると同時に、ユンゲラーがウツボットの頭に直接念力を流し込み、抵抗力を一気に削いだところで眠らせることに成功する。

だが、それは始まりだった。ボンボン、とモンスターボールからポケモンが飛び出す音がする。周囲を見渡すと、さながら地獄絵図だった。

 

 

 

ゴルバットによって混乱させ操られているレンタルポケモンたちがみんなこちらを睨んでいる。その数、十匹では足りない。こちらも総力戦で挑まなければ、きっとやられてしまう。

ボールから勝手に飛び出してきたメタモンは身近にいた戦闘不能のウツボットをコピーする。

 

「円陣だ! 背中をカバーしろ! 隙を見せたら、ひとたまりもないぞ……!」

 

ユンゲラー、キモリ、ゾロア、ウツボットに化けたメタモンが俺を背に庇うように円陣を組む。真っ先に襲い掛かってきたのは"サイホーン"だった。突進に自身の身体を回転の勢いを加算させている。

 

「【ドリルライナー】が来るぞ! キモリ! 【エナジーボール】と【タネマシンガン】で迎え撃て!」

 

タイプ相性は抜群のキモリが新緑のエネルギーを種の弾丸でコーティング、それを一斉に発射する。まず種の弾丸がサイホーンの勢いを殺し、真正面から新緑エネルギーを叩きつける!

しかしサイホーンは重量級のポケモン、多少自身に対して強力な攻撃を受けて勢いが削がれたといっても動きが止まるはずもなかった。各々がその場を飛び退いて【ドリルライナー】を回避する。

 

次に迫ってきたのは"ザングース"だった。ウツボットといい、授業用のレンタルポケモンにこんな危険だったり獰猛だったりするポケモンを混ぜておくなよ!

……いや、だからこそなのかもしれない。突然我に返ったように、俺は暴れているポケモンを見上げた。

 

ポケモンバトルは、特にルールも何もない、こんな野良の戦いでは何が起きるか分からない。旅の途中、例えばさっきのビリリダマにトレーナーが痺れさせられたら、痺れが抜けるまで動くことは出来ない。

だけど、その間になにもないとは言い切れない。自然の力で災害が起きて、それに運悪く飲み込まれることだってあるかもしれない。

 

だからこそ、授業で危険なポケモンの取り扱いを学ばなければならないのだ。そして、元ジムリーダーのピエール先生だからこそ、それが出来ていたんだろう。

なんとしても、この場を潜り抜けないと……

 

「ザングースは物理攻撃を受けたら【リベンジ】してくる可能性がある。ユンゲラー、対処できるか!」

 

そう指示するとユンゲラーは振り向かずに頷いた。即座に両手の中に稲妻を走らせ、溜め込んだそれを一気に萠出する。今のは、ユンゲラーの【チャージビーム】だ。溜め込んだエネルギーと放つエネルギーは別物であり、ユンゲラーは溜め込んだものの放たなかった余剰エネルギーをそのまま吸収、自身の特殊攻撃能力を増加させる。

ザングースは【チャージビーム】の直撃を受けるも、まだまだ健在といったようだった。

 

「次は"ハブネーク"か……!」

 

こいつをどうにかザングースにあてがうことが出来れば、敵は一気に二体減ったも同然! そしてそれを実行するには……!

 

「メタモン! ウツボットからザングースに姿を変えて、ハブネークを【ちょうはつ】しろ!」

 

キモリと共にサイホーンと向き直っていたメタモンがウツボットからザングースに変身し、ハブネークに向かってツメをチョイチョイと動かし、煽る。

当然頭に来たハブネークは真っ先に【ポイズンテール】をザングースに化けたメタモンに突き出してくる。しかし!

 

「【みきり】! そして今度はハブネークに変身してザングースに【ちょうはつ】だ!」

 

メタモンはハブネークの毒が染みきった刃尾を掴むとそのまま振り回して投げ飛ばす。復帰してくるまでに仕込みを終えておきたい。すぐさまザングースに向き直りハブネークの姿で挑発するメタモン。

ザングースもまた怒り心頭で【ブレイククロー】を繰り出してくる。しかしハブネークの姿で【みきり】は使えない。

 

「真っ向勝負だ! 【アイアンテール】!」

 

ザングースはハブネークをライバルとし、何世代に渡り数を増やしてきた。そのため、ハブネークによって毒を受けた個体が《《毒を受けた状態で強くなる》》という特性を得た。

つまりハブネーク特有の【ポイズンテール】は、返って悪手になる。鋼鉄のように硬くなった刃尾がザングースのツメと激突し火花を散らす。

 

「次だ、ザングースの視界からメタモンを消す……ゾロア! イリュージョンでザングースをハブネークの場所まで誘導しろ!」

 

メタモンが化けたハブネークに執心のザングースを引き離すべく、ゾロアがハブネークの幻を見せザングースをメタモンから遠ざける。再びウツボットへ姿を変えたメタモンは遠くで再び自分たちの戦いを始めたハブネークとザングースのペアを見て悪戯っぽく笑った。

 

「よし、このままなら……!」

 

いける、そう思った瞬間。俺の身体は容易く宙に浮いた。それどころか、身体に走る鈍痛が遅れてやってきた。

地面に叩きつけられたとき、自分が受けた攻撃が【すてみタックル】であると理解した。幸いだったのは、相手の身体がそこまで大きくなかったことだ。俺より大きなポケモンだったら今頃俺は挽肉になっていたところだ。

 

「"マリルリ"か……っ」

 

起き上がろうにも身体にじんじんと響く鈍痛のせいで立ち上がることが出来ない。マリルリは混乱して苦しそうな顔で俺目掛けて【バブルこうせん】を放った。

泡の雨が俺にぶつかっては爆ぜる。ちょっとした爆弾のような衝撃が身体を襲う。身体を丸めて必死に堪える。

 

しかし次の瞬間、泡が俺の元へ届かなくなった。不審に思った俺は、顔を持ち上げた。そこには、

 

「ユンゲラー……!」

 

カイドウのユンゲラーが俺を守るようにマリルリに対峙し、【ひかりのかべ】で泡の雨を受け止めていた。しかしマリルリが出力を上げると、ユンゲラーの防御を乗り越えて泡がユンゲラーを襲う。

 

「まずい、メタモン! 【グラスミキサー】でマリルリを攻撃しろ!」

 

即座にメタモンがユンゲラーのフォローに向かう。ウツボットの姿で発生させた葉っぱでマリルリを取り囲む。それでもマリルリは止まらず【アクアジェット】で強引にグラスミキサーの檻から抜け出す。

それだけじゃない。マリルリの腹部が若干赤くなっていることから、恐らく【はらだいこ】で攻撃を極限まで高めて放たれた【アクアジェット】だ。直撃すればユンゲラーではひとたまりもない。

 

ユンゲラーはそれに対し、【バリアー】を積層して防御するが徐々にそれが破られていく。それがユンゲラーの負荷になっているのか、ユンゲラーはついに膝を屈した。

水を噴射し、ユンゲラーに迫るマリルリ。

 

俺を庇って飛び出してきたユンゲラーに、マリルリがぶつかる。

 

その瞬間は、やけにスローモーションに感じた。

 

 

 

 

 

◇ ◆ ◇ ◆ ◇

 

 

 

 

 

ダイがジンを退け、暴走したレンタルポケモンと戦闘を開始した頃。カイドウはガードマンのポジションも忘れてとある場所めがけ、痛む頭や気だるい身体に鞭を打って足を急かしていた。

 

リザイナシティはもちろん都市地域であり、近くに水場が存在しない街だ。

そんな街中で空高く飛ぶペリッパーを見つければ不審に思うのが当然だ。それにダイのライブキャスターとも通信が切れ、ペリッパはダイの手持ちのポケモンだ。間違いなく何かあったと見ていい。

 

カイドウは徐々に高度を落とすペリッパーの着地地点をポケモンセンターと定め陸路で先回りする。ペリッパーは予測どおりポケモンセンターの前に着陸すると乗せていた人間を下ろした。それを見てカイドウ歯噛みした。

 

「教授……!」

 

自分の恩師ピエールが見るも無残な姿で運ばれてきたのだ。カイドウを見つけたペリッパーが大慌てで何かを捲し立てようとしていた。カイドウもそれで確信した、ダイが戦っているということを。

 

「ピエール先生!」

 

そのときだった、自分が指示しポケモンセンターにやってきていたシュンがピエールに駆け寄った。そして慌ててポケモンセンターの中から人を数人連れてくると、ピエールを担架で運んでいった。

 

心労が一気に襲い掛かってくるようだった。だがこうしてはいられない。一刻も早くスクールに戻りダイの助太刀に行かねばと、カイドウはペリッパーの背に乗った。

 

「ペリッパー、頼む。トレーナーズスクールまで飛んでくれ!」

 

カイドウの懇願にペリッパーは力強く頷いて再び空へと舞い上がった。

そのときだ、ふと自分の中に何かが舞い込んでくるような、そんなイメージをカイドウは感じ取った。

 

「これは、"進化の波動”……? まさか!」

 

この感覚に思い当たる節があるのか、カイドウは遠方の、トレーナーズスクールのある方角の空を見やった。

 

 

 

 

 

◇ ◆ ◇ ◆ ◇

 

 

 

 

 

【アクアジェット】で突進してきたマリルリは、ユンゲラーの手前で静止していた。

あれほどの勢いを以ての突進。いかなる防御だろうと撃ち抜いてしまいそうな砲弾の如き突進が、眼前で止まっていた。

 

否、ユンゲラーが【サイコキネシス】と【テレキネシス】を併用してマリルリの動きを止めたのだ。そして、ユンゲラーの身体はまばゆい光に包まれた。

 

「なんだ、この光……」

 

立ち上る光の柱と放たれる温かい粒子を身体に受けて、俺はぼうっとユンゲラーの背を見ているしかできなかった。

 

そして気づく、光の中でユンゲラーの姿が徐々に変化していることに。

身体はさらに大きく、ヒゲもものすごく伸びる。ポケモン図鑑がけたたましい音を立てて何かを知らせようとしていた。

 

「これは、進化……ユンゲラー、お前進化しようとしてるのか……?」

 

答えは帰ってこなかった。さらに言えば、必要ない。

この土壇場に、この状況を打倒しようと新たな力を身につけるのであれば……!

 

「――――”フーディン”!! 【じこあんじ】!」

 

ユンゲラー改め、新たな姿を得て進化したフーディンは【じこあんじ】で最強の自分をイメージ、それを催眠術を用いて自分に信じ込ませる。【はらだいこ】で極限までを高められたマリルリよりも、さらに強い自分を自分に投影する。

 

今こそ、進化した力を見せつけてやるときだ!!

 

「土手っぱらにぶち込んでやれ!! 【かみなりパンチ】! ワンツーラッシュだ!!」

 

カッと目を見開いたフーディンが空中で静止しているマリルリの無防備な腹部めがけて稲妻を宿した両の拳を高速で何度も叩き込む。

 

マリルリが喧嘩を続けているザングースとハブネークを巻き込んで吹き飛ぶ。今の攻防でマリルリは完全に戦闘不能。喧嘩の邪魔をされたザングースとハブネークは一時停戦すると邪魔をしたフーディンめがけて【ブレイククロ―】と【ポイズンテール】を放つ。

 

両方共強力で危険な技だ、()()()()()()()()

 

フーディンは一気に【サイコキネシス】でザングースとハブネークの二匹を操り空中でお互いをぶつけあわせて戦闘不能にする。迫ってきたサイホーンを【れいとうパンチ】で軽くノックアウトしてしまう。

 

あっという間に暴れていたレンタルポケモンを鎮めてしまったフーディン。俺は戦闘が終わったという感覚を得ないまま、地面へとへたり込んでしまった。

 

マリルリに受けたタックルの痛みが今になってじわじわと全身に走り始めていた。

 

「おい、無事か!?」

 

そのときだ。ドームの天井に空いた大穴、恐らくジンが攻めてきたときに開けた穴からペリッパーの背に乗ったカイドウが現れた。俺はサムズアップサインで答えるとグラウンドの上に大の字で寝転がった。

 

「む……お前、ユンゲラーか? 進化したのか……!?」

 

カイドウは俺の傍らに控えていたフーディンを見て驚いた。フーディンはカイドウの問に首を縦に振って答えた。

 

「戦闘中いきなりな、でもそのおかげで助かったぜ……」

 

イマイチタイミングと理由がはっきりしない。しかしカイドウには思い当たる節があったらしい。

 

「なるほどな、俺はお前にユンゲラーを預けた。そのとき、一時的にだがユンゲラーはお前の手持ちになった。そして、俺はここに来るためにペリッパーの力を借りた。その際、ペリッパーは一時的に俺の手持ちになった。つまりだ、これで俺たちの間で()()()()()()()()()()()()ということだ。そのおかげでこいつはフーディンへと進化できたというわけだな」

 

「そうか、そういえば交換によって進化する特別なポケモンがいるって聞いたことがあるけど、ユンゲラーがそうだったのか……」

 

フーディンを見上げるとなにやら達観したような、嬉しそう顔をしていた。

それもそうか、自力では進化できない……ん?

 

「ちょっと待て、カイドウ。アンタ、わざとユンゲラーのままにしてたってことか……?」

 

ユンゲラーの上を、フーディンを知っているのならその状態にしておく必要はない。

俺が尋ねると、カイドウはやや虫の居所が悪そうな、または苦虫を噛み潰したような顔をした。

 

「ひょっとして、お前……今までポケモン交換してくれる友達、いなかったのか?」

 

直後、俺に向かって放たれるシンボラーの【エアカッター】、どうやら図星らしい。

顔にいくつも青筋を浮かべて、明らかに不機嫌だとわかる顔でカイドウが笑った。目だけ笑ってないどころか怒りを携えていたんだけども。

 

「あぁ待て待て! 気にすんなよ俺も今回が初めてだよ!」

 

相変わらず俺に攻撃しようとするカイドウを宥めてトレーナーカードの裏面を見せる。

 

「”ポケモン交換をした回数:1回”……嘘はついていないようだな」

「わかってくれたか」

「だがお前が俺を愚弄したのに間違いはない。ちょうどいい、フーディンに進化したこいつの腕試しだ、付き合え……嫌とは言わせないぞ」

 

「ひっ……!」

 

その後俺たちはボロボロの様相になりながらも鬼ごっこのようなバトルを繰り広げたのだが、さすがにクタクタで何があったのかわからなかった。

 

朝には輝いていたスマートバッジだったけど、夕方にはもうホコリまみれになっていた。

カイドウに友人関係の話題はご法度らしい。今度会うときは気をつけよう。

 

 

 

 

 

◇ ◆ ◇ ◆ ◇

 

 

 

 

 

それはどこかも定かではない場所。()は満身創痍の身体を引きずって帰還した。

 

「リーダー、大丈夫ですかい?」

「あぁ〜、いや……無事ではねぇな。それなりの【サイコカッター】の直撃を受けちまったからな……」

 

彼の名はジン、バラル団が誇る強襲部隊をまとめ上げるスピードの鬼。部下からの信頼も厚く彼の数々の逸話から気づけば誰もが彼を『猛追のジン』とそう呼ぶ。

 

「でもリーダーのおかげで、あのスクールのレンタルポケモンどもは無事に強奪出来ましたからねぇ。けど、なんで野生のポケモンじゃないんすかねぇ?」

 

「バーカかおめぇは。野生のポケモンってのは、自然に生きてるからたくましさはピカイチだ。だがよ、群れの中で優劣がつきやすく、捕まえたポケモンがダメダメってことがある。けどな、トレーナーズスクールのポケモンってのは、教育用にちゃんと躾けられたり能力もそこそこの個体が使われるから俺たちが厳選する手間を省いてんだよ」

 

「なるほど! ()はそこんとこしっかりお考えなんすね! 納得っす!」

 

部下が陽気にそう言うが、ジンは少しばかり部下が持っている袋の中のポケモンが気の毒になってきた。彼も今でこそは悪事に身を染めた人間だが、元はポケモンを愛する一人のトレーナーだったからだ。

 

これからあのポケモンたちが受ける仕打ちを思うと、多少の罪悪感に身を裂かれる思いではある。

 

「だが、頭領(ボス)が考えているのは、こんなポケモン強盗紛いのことじゃねえ」

 

そのときだ、アジトの奥からスッと影のように現れた男がいた。ジンは彼を見上げ、隣の部下は喉からひゅっと音を立てた。

 

「い、イグナさん……」

 

「よぉイグナ、おめぇが言ってた『オレンジ色』に会ったぜ。新米トレーナーかと思いきや、肝が座ってやがる」

 

「そうか、お前はあいつから逃げおおせてきたってわけか」

 

ピリピリとした空気に二人の部下は胃が痛む思いだった。

 

隠密的行動を統率するリーダーのイグナ。

 

強襲的行動を統率するリーダーのジン。

 

その両者が隊の中で仲がいいのは構成員の殆どが知るものの、二人は今や「バラル団の掟の一つ」である、目撃者の徹底的な排除を行えなかった状態であり、いつ癇癪を起こしてもおかしくないのだ。

 

「しかしよぉ、参ったよなぁイグナ……俺達がしくじったとなるとよぉ」

 

「あぁ、頭領(ボス)は間違いなく()()()を動かすだろうな」

 

「あいつ? ジンさんもイグナさんも心当たりがあるんで?」

 

そう尋ねた部下の首に、白い雪のような腕が走った。生暖かいどころか、ひやりとした感触に首を撫でられ、部下が悲鳴をあげた。

 

「オレンジ色……アはha、面白そう……会ってみたい」

 

独特の抑揚でそう囁く声がした。ジンとイグナは「あっやべぇ、面倒くさいのに聞かれた」という顔をして、そのままその文字を顔にデカデカと書いていた。

 

「次は、私の、番で、いいよね? よね? あは、アハはha」

 

徐々に遠くなっていく声を受けて、二人の部下は涙目で言った。

 

「今のも、バラル団の部隊長っすか!? 気味が悪いっす!」

 

その声を聞いて、ジンもイグナも苦笑いを浮かべざるを得なかった。

 

「なぁお前、俺が『猛追のジン』って呼ばれてんのは知ってんだろ?」

 

「んで、俺が『執念のイグナ』。俺自身はちょっとというか、かなり恥ずかしいんだがよ。お互いそれぞれが「必ず仕留める」とか「必ず追い詰める」っていう異名から来てんだよ」

 

淡々と説明するイグナの言葉をうんうんと聞くバラル団構成員たち。

 

「だがよ、俺達の両方が失敗すると……あいつが出てくるんだ」

「あいつって、さっきの女の人っすか?」

 

ジンとイグナが同じタイミングで首を縦に振った。

 

 

「あまりのやばさに、俺たち両名がしくじらない限りは表に出てこない。しかしその実力は頭領(ボス)の懐刀と言っても過言じゃねえし、俺が思うに幹部連中よりやべぇ」

 

「そ、そんなにっすか……?」

 

「一言で説明すんなら、あいつは標的を必ず()()()。そして落とされたやつはいなくなっちまうんだ」

 

「な、なんすかそれ……神隠しっすか……?」

 

「「まぁ嘘なんだけどな」」

 

「ひどい! 騙された!! また怖い上司が一人増えたのかと思ったっすよ!」

 

その言葉を受けてジンとイグナが部下を睨む。失言したと口を抑える部下。

考えてみれば、それこそ今まで二人が仕留め損ねたトレーナーはそれこそコードネーム『オレンジ色』しかいないのだから、二人がしくじったら出て来るの下りから嘘だとわかる。

 

「だがあいつがやばいのは事実だぜ。『猛追』の俺と」

 

「『執念』の俺が合わさって、危険度マシマシにしたような女だ。部下はいねぇから、俺達があいつをこう呼ぶ」

 

ゴクリと、部下が息を呑んだ。

 

頭領(ボス)の懐刀にして、バラル団隠密特殊課リーダー。俺たちが狙った獲物を徹底的にマークし、ストーキングし続け、相手の精神に畳み掛ける容赦ない戦法を取る。狙われた相手は精神を病んじまうか、そのまま()()()()()()()()

ついたあだ名が『妄執のケイカ』……それがあいつの二つ名」

 

「あのオレンジ色も気の毒にな……まぁおめぇが仕留め損なえば俺が、俺が仕留め損なえばおめぇが。んで、俺ら両方がしくじったならあいつが……よく出来たサイクルだよな」

 

どこまでも病的な女が、オレンジ色――ダイの背後まで迫るまであと、少し。

 

 




新キャラ出しすぎ問題。でも幹部候補がわらわらいたほうが面白いかと思いまして。
反省はしていません、サーセン。


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