ダンジョンに近代兵器を持ちこむのは間違っているだろうか 作:ケット
「これで全員そろったな。
『バベル』の治療室から出た噂だが、リヴィラで、前から情報を集めろって言っといた『妙な音』が何かとんでもないことをしたらしい。クロッゾの魔剣って話もある。
この絵を見ろ。しっかり回せよ。顔はわからねえが、これが今調べた限りの『妙な音』の背格好だ。
白髪赤目の、子供みたいな冒険者を連れていたことがあったらしい。ガキのでもいい、情報を手に入れたら……」
「どれだけの金づるになるかわからねえ。何としても、何か探り出せ」
「いくらでもやる。何杯でも。腹がはちきれるまでな」
……
「お?なんだ?そいつと商売したことがあるかもしれない?ほう……おまえならできるさ。そのときはなんでもやるよ。なんでも、な」
……冒険者だ。こいつも。こいつらも。
……一万ヴァリス別にくれた、あの男も。その近くにいた、白い髪の男の子も。
……冒険者など……
「ベル・クラネルは、キラーアント多数を瞬殺した」
【タケミカヅチ・ファミリア】の報告に、エイナ・チュールは頭を抱えていた。
【ロキ・ファミリア】の幹部に誘われてダンジョンに同行した瓜生もそうだが、とかく【ヘスティア・ファミリア】は、変なのだ。
それでエイナは、どうしても確認したくなった。絶対服従まで誓って、ベルの【ステイタス】を見たいと言った。
男の子の、裸の上体……ベルはひどく恥ずかしがっている。
(痩せすぎ?)
と一瞬思ったほど肉の落ちた背や腕……その下には違和感がある。触れると鋼。育ちはじめている、見せるためではなく戦うための、戦士の肉体。
どぎまぎしながら、エイナは神聖文字を読んだ。
そして驚嘆することになる。報告は正しかった……
ベル・クラネル Lv.1
力: B 702
耐久: D 524
器用: C 615
敏捷: B 741
魔力: I 0
(冗談でしょ、普通ここまで伸びるのに二年はかかる……こんな数字までいかないで引退する冒険者だって多いのに!)
でも、何度見ても数字は変わらない。
魔法やスキルには、さすがにプロテクトがかかっていた。
それから、彼の装備を見てみる。
一番上は軽装鎧。
だがその下。かなり質のいい、軽さ最優先の鎖帷子。
背の刀と、腰の黒い脇差、斧やナイフ。
かなりの金額になる。
(お金は十分にあるみたい……上層の稼ぎで買えるものじゃない、ウリーさんね。
うん、分不相応ってほどじゃない……)
丁寧にみると、
(ちょっと手首あたりが弱いかな?膝あてはあるけど)
「明日、時間あるかな?」
その夜遅くに帰ってきた瓜生は、翌日には【タケミカヅチ・ファミリア】の屋台のため倉庫を借りてまで莫大な在庫を出した。それから再び、なにかから逃げるように【ロキ・ファミリア】幹部とともに深層に向かった。
ベルは、エイナとのデート。
私服でメガネも外した彼女は、とても新鮮で美しかった。多くの冒険者が振り返る年上の美女とのデートは、経験の少ない彼にはかなり刺激が強いものだった。
前も、エイナの紹介で瓜生と来たことがある、【ヘファイストス・ファミリア】の新人冒険者用新人鍛冶師の店。
一度来ていたので騒ぐことはなかったが、それだけに少年は隣の美女をずっと意識しては、アイズのことを考えて懊悩していた。
そして、なぜか主神ヘスティアがバイトしていたことにもびっくりした。
「ベルくん、ウリーさんにかなりいい装備を買ってもらってるね。でも、手首とか足とか、結構弱いところもあるんだ。
ここで、いいのを買うべきよ」
そしてエイナはベルに、手の甲から肘までを守るプロテクターを買った。誰にでもすることではない、どうしようもなくベル・クラネルに、死んでほしくない……その思いで。
冒険者は簡単に死んでしまう。死んでほしくない……
伝えられたベルは、真剣にエイナの目を見つめた。
彼の胸には、わずかな疑問もわくのだ。暮らしていくだけと、強くなるための無茶……いつでもそれを選ばされる。
迷いを払うためにも、意識がなくなるまで体を動かしたい……そう思った。
楽しんでいるエイナは、その時の同僚がどんな修羅場にあるか知らない。
リヴィラからの知らせが、異常な短時間で届いたのだ。奇妙な女調教師のことは伏せているが、多数の食人花、そしてそれをとりこんだ女の姿の……とんでもない異常事態だ。
しばらくしてから、歩いて上がる冒険者たちが続報を加えていくことになる。『妙な音』による圧倒的な殺戮、どこからともなく出てきた莫大な物資のことも……
しかもエイナは、自分が担当している瓜生が、怪物祭りで異様な攻撃をしたのを見ている。その情報を合わせると、とんでもないことになるのだが……プライベートの彼女には関係ない。
……もし携帯電話があれば、親の葬式中であっても職場に呼び出されていただろう。その埋め合わせは、翌日に否応なくすることになる。
ベルがエイナを家まで送った帰り道。ちょくちょく感じる視線とは別の視線を感じた。
デート中は、そりゃもう男どもからの殺気を濃密に感じていた。ウォーシャドウ7匹などよりずっと激しい。
だが、それとも異質な、奇妙な視線をいくつも。
まだ早いし、【タケミカヅチ・ファミリア】の屋台をのぞきに行くか……と、広場に出かけた。
屋台は今日も、行列ができていた。ダンジョンではこの上ないものである塩羊羹や塩飴、べっこう飴。極東の珍しい服を着た美女美少女。珍しい、美しい緑色の茶。
(うん、流行ってる。孤児たちが幸せになってくれるといいな)
そう思ったときに、ベルに声をかけた小さい子供がいた。
「あ、あの、すみません、リューという人を知っている人、知りませんか」
そう話しかける、10歳ぐらいと7歳ぐらい、二人の女の子。
何人にも邪険に扱われ、涙目になっている。切られた革帯を、大事そうに持っている。
話しかけられたベルにとって、それは胸を絞めつけられるものだった。彼女たち同様のおのぼりさんとして心細い思いをした時から、一月も経っていない。
その間の濃密な経験があっても、忘れるほどではなかった。
「リュー、さんでいいんだね?ウリューさんかも」
「え、知っているんですか?連れてってください。アストレアさまから、伝言があるんです……」
オラリオに長い者なら、全力で警戒するだろう。リュー、アストレア、どちらの名前でも。
だが、ベルは何も知らない。『27階層の悪夢』も、『疾風』が起こした惨劇も。
そして、ベルはシル以外のウェイトレスとは、まだそれほど親しくはない。
「それより、今夜の宿とかは?もしよかったら、すっごく狭いけどうちに来ない?」
ベルは真っ先にそれをいう。そうしてもらいたかったことを、する。
客観的に見れば、
(だまして売り飛ばすつもりか……)
と思われる状況だなどと、考えるはずもない。
「宿やお金は……」
「いつのまにか、カバンが切られてたの。リューさんへのお手紙も、その中……」
「そう、辛かったろうね。もう大丈夫。ウリューさんは今留守だけど、すぐに帰ってくるから。安心して」
涙をこらえる二人を、ベルはホームまで連れて行った。
廃教会への道で、ベルは突然いつもダンジョンで感じているような殺気を感じた。
路地から、剣を抜いた男が飛び出してくる。
「このクソガキ……ち、人違いか。知ったことか、ぶっちめて売り飛ばしてやる。どけ」
売り物になりそうな少女二人を見たならず者は、殺気をベルにぶつけてくる。怒りと酒に半ば狂っている。
ベルはとっさに、肌身離さぬ脇差『ベスタ』を抜いた。
「ほ、いっちょまえに……」
と剣を振りかぶる。
対人戦が初めてのベルは、
(人を殺傷することができるのか……)
それに、おびえた。
また、ならず者の叫び・表情は、それ自体が上位モンスターの咆哮(ハウル)のように、心そのものをぶったたく。
がくがくと震える足、だが心のどこかが、
(腹で深呼吸!肩の力を抜け!)
と命じる。刃を手にした時点でそうなるよう、何万回も繰り返している。
すう、はく……深呼吸が終わると、ふっと視界が広がる。
目の前の男二人は、まるで弱く見えた。【タケミカヅチ・ファミリア】のメンバーと比べても数段弱い。
それだけではない。後ろにかばった女の子二人も、どちらも両手一本ずつ、40Cほどの棒を持っている。
(この子たちでも、勝てそうだな)
と思ってしまう。
いつも通り、足を止めることなく歩もうとしたとき……
「その人に手を出すな」
と、顔は知っている『豊穣の女主人』のウェイトレスが声をかけてきた。
そして、彼女のすさまじい強さの一端も目にした。
物陰では、その四人を一人の小人が見送っていた。
だが、ウェイトレスは彼女も鋭くにらむ……それがわかる。
彼女は、白髪の冒険者のホームを確認しようとして尾行していた、その最中にうっかり、以前かかわりがあった冒険者に会ってしまった。そして隠れたところに、ベルたちが通りかかったのだ。
小さい女の子を連れてきたベルにヘスティアは驚いたが、孤児の神でもありすぐに受け入れた。
「せっかくお金はあるんですから」
このことである。ベッドの下までは気づいていないが、ファミリアの資金として千五百万もらっているし、少し手間はかかるがもっと大きな額が預けられている。
まっさきに、量優先のたっぷりの食事を作り、食べさせる。
厚切りのハムをフライパンで軽く焼き、パンと牛乳をつけて先に出す。
「まず食べたまえ!これからどんどん、もう無理ですっていうぐらい食べさせてあげるから!」
ヘスティアが少女たちとともに食べ始める。ベルは料理をつづけた。
瓜生が出して置いてあるインスタントラーメンを作り、卵を落として出す。
故郷でよく作っていた、カブ・カブ葉・ジャガイモ・ベーコンのスープを大鍋いっぱいに。買い置きのパスタもたっぷりゆで、スープをかける。
バタークッキーを開ける。
ベルとヘスティアの優しさに、心細かった大きい方の少女は泣きながら食べていた。小さい方の少女は無表情だが、食べる量はすさまじかった。
大きい方がティティ、小さい方はビーツ。
ティティは濃い目の金髪をポニーテールにしている。ビーツは短く太い黒髪。
翌日。ベルは夜明け前から、普通の人は十分燃え尽きる素振りとルームランナーランニングをして、薄めのオートミールを腹に入れてからダンジョンに出かける。
自分とは別に、パンにチーズをのせて焼き、ベーコンエッグも作ってヘスティアと、ティティとビーツに出す。
「この子たちはボクが面倒を見るよ。ベルくんはダンジョンに行くといい、ついでに買い物もしてくれると助かる。この子たちのおなかのためにも、死んでもらっては困るよ」
「はい。バイトは休めるんですか?」
「休めないけど、まあなんとかするよ」
ヘファイストスに泣きつく、ともいう。
「そこの冒険者さま」
ソロでダンジョンに入ろう、とギルドを出たベルに、犬人の小さな少女が声をかけた。
ほぼ同時に、
「おーいベル!」
赤毛の大男が大刀を背負い、大声をかけてきた。
「はい?」
ベルはどちらに応えていいかわからなかった。
知り合いなのは、赤毛の大男……【ヘファイストス・ファミリア】のヴェルフだけ。
「…………」
3人の間に、沈黙が流れる。
「リリ、というしがないサポーターです」
「俺は【ヘファイストス・ファミリア】の鍛冶師、ヴェルフ……クロッゾ」
苗字はとても苦々しげに、小声。
「く、クロッゾ!? 魔剣鍛冶の?」
リリは驚き、
「あの、それで……リリさん?」
ベルはまず小さい子を見た。
「俺は名字が嫌いなんだ」
とヴェルフが吐き捨てる。
「その、わたしは、しがないフリーのサポーターで、冒険者さまのおこぼれにあずかりたく……」
「ヴェルフは?」
「顧客(ファン)のパーティに入れてほしくて。ランクアップして鍛冶スキルがほしいんだ」
「クロッゾ……妬まれて同じファミリアの者に疎外されているのですね。パーティを組んでもらえないほど。というより、ランクアップできたらポイ捨てで、こちらの方はまたソロに逆戻り、と」
リリの言葉に図星を刺され、ヴェルフはうっと詰まる。
「う、うん。パーティかあ」
【タケミカヅチ・ファミリア】は屋台が忙しくなってしまい、時々しか組めないという。ベルは毎日でもダンジョンに潜って、できるだけ成長したい。
……ソロだと、大型のバックパックがあっても、魔石を拾う時間の制約で限界が見えている。かといって、拾わずに下層に急ぐのも、
「それを別のモンスターが食べて『強化種』になったら、ほかの冒険者が死んでしまう。すごいマナー違反なのよ!」
と、エイナに言われている。
「うん、じゃあ……よろしく!」
ベルには、むしろ現実感がない。膨大な出来事に、頭がパンクしかけている。
「そうそう、行く前にちょっと来てほしいんだ」
と、ヴェルフは強引にバベルの、新人冒険者と新人鍛冶師の店に行った。
「ああ、新人鍛冶師が新人冒険者に……とんだ押し売りですね」
リリが小声で。
「これ、おまえ向けに打ったんだ。もしいいと思ったら、買ってくれ。半額で。もし手元になければ貸すから」
ヴェルフは、祭りにも行かず短剣を作っていた。
刃渡り28センチ・柄が13センチ。極端に厚く、幅も広い。
両刃で、断面が100・40・40度ほどの二等辺三角形。和槍の穂のような刃だ。平たい面が出刃包丁のようにかすかにへこんでいる。
柄は刃の鉄を分厚いまま延長し、荒縄を巻いただけ。鍔も刃・柄の延長を細長く打ち延ばし、丸めてDガードとしただけの一体構造(インテグラル)。厚手のグローブをつけても握れるよう大ぶりだ。頑丈無比で、手が濡れていても滑ることはない。
鞘も、粘りのある木でつくった簡素なもの。
刃紋も飾り皆無の直刃。
ナイフを外し、短剣を差し添えにすると、実用本位の脇差と申し合わせ協力してデザインしたように調和した。
魔剣ではない。
(折れない、切れる、滑らない……)
それだけに、技量のすべてを注いだものだ。
見せてもらった、ベルのナイフ……瓜生が出したボウイナイフ、厚さ8ミリ近い頑丈すぎる品に刺激を受けて打った。
「銘は入れるな、名前もつけるな、って言われたがな」
そうは言ったがヘファイストスも、椿・コルブランドも、高く評価した。
椿はその話を聞いて、
(ならば拙者も……その者がランクアップしたら)
と、定寸で厚重ねの打刀を打ったものだ。
「うわあ……」
ベルは値札を見て、迷わずレジに持って行った。
「よっしゃあ!」
とヴェルフは大喜びする。
「これは、実用に徹したいいもの……いや、クロッゾ家……魔剣ではないのですね?」
「俺は魔剣は絶対に打たねえ」
リリの問いにヴェルフが返す。
「でもいい品でしたよ」
と言いつつリリは、
(大した金にはなりそうにない、でもクロッゾ家をプレミアにすれば、勝手に魔剣と勘違いするバカを……)
と計算していた。
ちなみにそれからヴェルフの、同じ系統の武器が、何本か売れた。……変な名前と、クロッゾの苗字がついた銘をつぶすことを条件に。
大ファミリアのレベルが高い者が、後輩に勧めることが多かった。
それに気を良くしたヘファイストスは、眷属全員に剣と短刀を作らせた。
大金がかかる不壊属性(デュランダル)も使わない。材料も良質だが安価。その制約で、
(折れない、切れる、滑らない……)
ことだけを追求し、一切の飾りを捨てた、厚い武器。
『ドウタヌキ』と名付けられたそのシリーズは、オラリオの実力者たちに評判となった。
【ゴブニュ・ファミリア】をはじめ、鍛冶系ファミリアはどこも模倣した。特にランクアップが近く、心根の高い初級冒険者によく贈られ、名誉の品となった。
少し軽食をとり、契約を固めて、あらためてダンジョンに向かった。
まず一階でそれぞれが、一匹ずつゴブリンを倒す。
ベルの、刀での袈裟切り。オラリオに来て20日経ったかどうかで、素振りの回数は何万か……腰がしっかりと据わり、首筋から腰まで一本の線が走ると、ゴブリンの体が二つになる。ベルはたゆみなく歩き抜けている。
ヴェルフの、ハンマーをふるって鍛えられた剛腕での大刀は、負けずに胴を両断した。
リリさえ、ボウガンで一匹仕留めて見せた。
「リリは冒険者の才能がなくてサポーターです。これからはそう扱ってください」
と引っ込む。
「うちはサポーターでも立派な……」
ヴェルフが言おうとするのを、
「それは【ヘファイストス・ファミリア】のような、成功した大手だからです。そうでないファミリアのほうが多いんですよ」
「まあ、そうだな」
「でも、飛び道具が使えるのなら」
ベルはつい、この間までの相棒を思い出す。
「飛び道具が?」
リリがさりげなく言うのを、ヴェルフの大声がかき消す。
「あいっかわらずとんでもねえ修行してるな!こないだからも一段上がってるぜ!」
と、ベルの肩をバンバン叩く。
「これなら、10階層ぐらいならいけるな」
と、嬉しそうに早足で歩きだした。
リリが舌打ちをする。飛び道具の話をもっと聞きたかったのか。
ベルはうれしかった。自分のパーティ。仲間。
初めて組んだのに、ずっと組んできたように息が合う。ヴェルフの高い攻撃力と思い切り、リリの的確な指揮・知識・魔石を取る熟練・邪魔な死体をのける手早さ、どちらも極上だった。
八階層まで行き、じっくり稼げた。ソロなら換金所に往復するしかなくなり、それで時間がなくなるだろう。
強化されたゴブリンの群れを、ベルとヴェルフはあっさりと切り倒していく。
「これでも、10階層でソロをしようとしたら死にかけたんだよなあ」
とヴェルフがうめくのに、下の階層の恐ろしさを痛感する。
「当たり前です!」
とリリは、別階層の恐ろしさもしっかり語り聞かせてくれる。
ダンジョンを出て、大金を三つに分けてから……それでもソロより倍以上多い……仲間たちに昨日会った孤児の話をした。
「ちょっと待っていただけますか?どんなバッグか、もし聞いていれば」
リリが簡単なこと、とでも言うように聞く。
「え、その、赤い花柄で、金メッキの金具だったって」
「あるかどうか……お金などは期待しないでください」
分け前を受け取った犬人の少女は、そう言ってごみごみした、ちょっと危なそうな街に入り……紅茶のおかわりが来るより短い時間で戻ってきた。そのバッグを持って。
「工房で修理待ちでした。お金は全部取られていますが、布のたぐいは無事です」
「あ、ありがとうリリ!ヴェルフも、また明日!」
と、ベルは大喜びでホームに走ろうとし、思い出して食料品店に寄る。
「結構使えるな、リリスケ」
ヴェルフの言葉に、リリは軽く肩をすくめた。
金などどうでもよかった。バッグの裏地と表の間には、手紙が縫いこまれていたのだ。
「リュー・リオン様」
と宛名が書かれた……
とんだ勘違いだがもう遅いし彼女も忙しいだろう、ともう一晩泊めて、明日行くことにした。
少し迷いましたが、今回から瓜生以外のオリキャラや、クロスオーバーの入ったオリキャラを出します。
ベルの成長についていけそうなのを。
時系列が少しわかりにくいですが、
1日(前に描いた【タケミカヅチ・ファミリア】とのダンジョン探索の直後)エイナがベルの背中を見てデートの約束。
昼に瓜生は深層へ出発、日付が変わるころに装甲車で帰ってくる。その時に積んできて『バベル』の処置室に搬入した重症患者から情報が伝わる。
2日デート当日。その昼頃に【ソ〇マ・ファミリア】会合からリリが探りに出て追われる。ベルが子供たちと出会い、絡まれる。
瓜生は【タケミカヅチ・ファミリア】に商品を供給。
【ロキ・ファミリア】幹部は『バベル』に報告。
3日ヴェルフ・リリの二人とベルはダンジョンへ。
瓜生と【ロキ・ファミリア】は再度ダンジョンに出発。
という感じで考えています。