ダンまちにアクシズ教を!【更新停止】 作:アクシズ
かずみんが朝起きたら、そこはネコネコパラダイスだった。胸元には小さい黒猫にゃんぱすー、右を向けばアーニャ猫耳、左を向けばクロエ猫耳。ここに来てすっかり猫好きになってしまった彼女は、これはいいものだと堪能する。
なおここ数日アクア出汁によって、美肌効果ばつぐんお風呂に浸かっている彼女達は、まるで赤ん坊のように、スベスベでプルっプルな肌になっている。
半魔神になった日から数日が過ぎ、そうやく落ち着きを取り戻したかずみん達の元へ、『
『
それは50階にフレイヤのプライベートルームなどがある摩天楼施設『バベル』の30階を丸々使った大広間。オラリオ中の【ファミリア】においてLv.2以上の団員を保有している神々が集まる会。
三ヶ月に一度『俺がガネーシャだ!』ばかりで話が進まないガネーシャ以外の神が、適当に議事進行役に選ばれ、まぁ色々出た問題を処理したり、情報交換をしたりといったことをし、一応『神』っぽく働いているんだぞ!っと『下界』の子供達へのアピールの場でもあるらしい。
そしてその本命とも言える議題の中心になる案件は『Lv.2』以上にランクアップした子供達への命名式だ。この命名式はオラリオに来たばかりの神々への『通過儀礼』になるそうだ。
本来ならアクアのみだったのが、異例の半魔神にして、Lv.2以上の団員を抱えるかずみんも参加することになった。
それを心配したヘファイストスが、これらの情報をかずみんに教えてくれたと同時に、念の為色々準備を促す。でも本当に忙しいのか、かずみんをふもふもし、ちょっと嫌だ肌がプルっプルじゃない!と驚き、一緒にお風呂へ入りながら、ヘスティアに軽く説教かますと颯爽と消えてしまった。
『今回の『
神会参加にあたってまず【アクア・ファミリア】がオラリオに来てからの出来事を振り返るかずみん。
・ポセイドン、アストレアの紹介状を持ってガネーシャと会い仲良くなった。
・ヘスティア、ヘファイストスと仲良くなって、ヘスティアとは共同ホームを持つことになった。
・正義の味方アクシズ仮面という謎の存在が、気まぐれに都市に蔓延る悪をしばきだした。
・フレイヤ、オッタルと仲良くなって、ダンジョンをアクアが掃除し、少し綺麗になった。
・アクシズ教徒が1000万を達成し、信仰されたアクアが謎進化。かずみんは半魔神へと成った。
・かずみん猫を初の眷属にする。そして猫人アーニャとクロエも団員に加わった。
ちなみにかずみんが思いつきで『オラリオのテッペン取りますよ!』と使命を与えてみたら、本当にオラリオ中にある猫コミュニティを統一してしまった優秀な黒猫、にゃんぱすー。おかげておいしいご飯を捨てると評判の、お店情報などが入るようになった。その功績をもってなんと、にゃんぱすーはランクアップを果たした。
Lv.つぅ到達に半月程、全世界最速記録である。まぁこのバグっぽい表示といい、どう処理されるかはまだ誰もわからない。組織をまとめあげてからは、大体かずみんの傍にいる。外へ出かける時など肩の上か、帽子の中に搭載されている。
これらの情報を知っているのは、アクア達以外のオラリオにいる神で、ヘファイストス、フレイヤ、ガネーシャ。外ではアストレア、ポセイドン、ニョルズ。どこだろうとテレポートにより一瞬で離れた場所へ行けるかずみんは、外の神々やアクシズ教徒達の元へも、よく遊びに行っている。
アーニャ、クロエが【かずみん・ふぁみりあ】に入団する際に、ニョルズと『豊饒の女主人』の店主ミア・グランドと話合いの席を設けた。
ニョルズからは、クロエは眷属とはいえ【ファミリア】とは離れて暮らしていた子であるし、かずみんになら任せられると、てゆうかお前が半神だと!?と驚きつつも祝福してくれた。
ミア・グランドはその内容は兎も角、二人がまた夢に向かい新たな【ファミリア】と共に生きることを我が子のように喜んだ。またニョルズに同じく神となったかずみんには驚いてはいた。『豊饒の女主人』が店員を増やし、引き継ぎが済んだら完全に【かずみん・ふぁみりあ】として活動する予定である。
そんなオラリオに来てから、色々やらかしてるアクアとかずみんは、準備万端の状態で、初めての『
♢
『
その会場内はいつもの会開始とは、雰囲気がだいぶ違っていた。
「さぁ第何回だったかしら?ともかく神会、始めるわよ?」
「「「「「「「「イエス!マム!」」」」」」」」
最後にその場に立つ姿を見たのはどれくらいぶりか、男神のアイドル、女神フレイヤが議事進行役をかってでた。そしてその姿はいつもにまして輝いているときてる。普段はたいして反応を見せない神々でさえ、ついその美しさには見惚れてしまう程だ。
この珍しい光景には古い付き合いの“女神ロキ”も何かあると睨んだ。
(なんやなんや、フレイヤが進行役わざわざやるっちゅうのは、一体何やらかす気や?・・・お~怖っ怖っ。そしてあの姿、ええ化粧品でも開発したか?)
嬉しいハプニングに男神と一部の女神は湧き、フレイヤが嫌いな神々は何が起こるかわからないと恐怖した。
「はいはいお静かに」パンパンと軽く手のひらを合わせ、音を鳴らせば会場には静寂が訪れる。
「今日はね~面白いわよ?オラリオに新しい神が遊びに来たわ─────そして新たな神が生まれた」
「「「「「「「「・・・は?」」」」」」」」
一瞬なんのことだかと、不思議な顔をする神々を無視して司会進行する。
「さぁアクア、かずみん、いらっしゃいな!」
皆一斉にフレイヤが呼びかけた扉の方を向く。そして・・・・・・・・扉が轟音と共に爆ぜた。
「「「「「「「「え?」」」」」」」」
「フハァ~ハッハッハ!我が覇道の道を塞ぐ扉など不要!アクア、障害は排除しましたぞ!オラリオの神々よ刮目せよ!我が母を!」
そう言ったかずみんは、アクアに宴会スキルを使いスポットライトを当て始める。
「初めまして!私はアクア───そう誰が呼んだか、麗しの水の女神アクアよ!新参だと思って舐めてかかると、アクシズ教徒1000万の力を得た、このアクア様のゴットブローが炸裂するわ!仲良くしてよね!」
元気いっぱい挨拶して水の女神を名乗る少女。まったく神威を感じない事や他にも色々ツッコミどころが沢山あるが・・・
「「「「「「「「何か凄いのが来た・・・・・・」」」」」」」」とりあえずこれに尽きる。
アクアの名乗りが終わり、次は自分の番だが同じネタじゃつまらない。この日の為に用意した宴会スキルを披露する。
「さぁ次は我の出番だっ!・・・・・・」
今日は気合い入れて、全身黒づくめの勝負服を着こんだかずみん。ポーズは一番気合いの入る右手でマントを後ろへ払い、左手は左目眼帯へ添える。そしてその眼帯から禍々しいモノが溢れ出る。
「なんやて!?」「おいおい穏やかじゃないな」「ちょっと何する気よ!」
「我が名はかずみん!女神アクアの娘にして、半魔神となった者!この身に封印されし邪神を掌握し、いずれ完全なる魔神となる者!」
外は晴れているのに、雷の音が鳴り響く。そして満足したのか禍々しいものを引っ込めてひと言。
「あっどうも初めまして、まだ神なりたての新参ですがよろしくして下さい」とペコリと頭を下げる。
「「「「「「「「───あっどうも・・・」」」」」」」」
基本的に優しい神々であった。
激しい自己紹介が終わった後、何でもないような顔をしつつ議事進行役をするフレイヤに、色々と気になりすぎる新顔達への接触はままならず、その話は最近あった出来事へと移行する。
この場でフレイヤ以外に最も発言力を持つとされるロキは、一先ずこの流れに乗るようだ。いきなり物騒なのが飛び込んできたと思えば、新顔らしく下手に出る。本当に危険な存在ならウラノスやガネーシャあたりがはじくだろう。おそらくフレイヤが司会役かったのは、神会にきた神々に、過度な接触をさせない為。とすると既に取り込んだか?
とまぁよく回る頭を駆使して、フレイヤの思惑を読もうとするロキだが、実際のところ、ただフレイヤはアクアやかずみんのことを気に入り、まわりの神々と仲良くなることで、自身との交流する時間が減るのを嫌がっているだけだ。あのアクア風呂の影響も大きいだろう。最近じゃ暇をみつけては入浴に来ている。おかげで『美』の女神の美しさ加減はとどまることを知らない。
そしてオッタルがかずみんに言った言葉『俺はもう近いうちに死んでしまうかもしれない』とても意味深である。
「さて次は何かしら、ダンジョン内の様子がおかしい。気付いたら17階層で『
「何言ってるのよフレイヤそれは私がっむぐう」どこかで水の女神が己の功績を讃えなさいとばかりに、アピールしようとしたが、そこは娘がインターセプトした。流石にダンジョンで神が大暴れしたとは言えない。
「「「「「「「「フレイヤ様!全然大丈夫です!フレイヤ様!」」」」」」」」
上目遣いでごめんね攻撃をもろに受けた神々は、完全にフレイヤの言いなりだ。
「なんやそない『ロキ・・・この件はもう大丈夫。ちゃんと防止策は用意したわ』・・・ちっ」
その防止策とは勿論アクアダンジョン禁止令である。そのアクアも『あんな臭い場所二度と行かないわよ!』とのことであるが、かずみんに関しては特に制限はしていない。半魔神になったとはいえ、ダンジョンの反応は普通のヒューマンと、なんの変りもないものであると確認済みだ。
「それでこの様子がおかしいというのは、多分モンスター出現率低下の可能性と同じよね。これも既に回答は用意してるわ」
「随分とまぁ準備のよろしゅうことで」
「ふふっこれは私の【ファミリア】内で開発した、ダンジョン浄化薬の影響ね。とりあえず18階層までの直通路にならそれなりの効果を発揮したわ。何だかモンスターが嫌がってその空間にあまり入らなくなるようね。ただ残念ながら19階層以降では効果がなかったみたい」
「うちのママが『まるで聖域にいるかのような神聖な空間』とまで言わせる効果を出す薬・・・か」
何やらまた色々考えているのだろうけど『すべてアクアの御業です!』流石の『トリックスター』天界きっての頭脳を誇るロキでも、まさか神ともあろうものが、ダンジョンが臭かったを理由に掃除してしまうという。アホみたいな答えへたどり着けるかはわからない『何を言う!アクアをただアホだなどと許しませんよ!アホ可愛いなら許しますが』『そうよそうよ!私が浄化してあげたってのにそれを奪うなんて酷いわフレイヤ!』何やら不思議な電波が届いたが、ここは話を進めよう。
「あと最近になって『アクシズ仮面』とかいう正義の味方を名乗る者が現れたと思えば、更に一人増えコンビ名が“ふたりはアニャみん”だそうねとても可愛らしいわ。私好きよこういうの」
『うんうんあれはいいものだ、今度アクアも一緒にやりましょう!アクアの分も作ったんですよ!』『そうね、正義の女神はアストレアだけじゃないと思い知らせてやろうかしら!』コソコソ小声でやり取りする者達。
「「「「「「「「フレイヤ様!ならば応援しましょう!フレイヤ様!」」」」」」」」
もう完全にフレイヤの独擅場である。
「はいっそれじゃ次『命名式』始めましょう」
「「「「「「「「フレイヤ様!ハイ!フレイヤ様!」」」」」」」」
途中から完全にフレイヤに『魅了』されている神々のテンションに流石のアクアも引いていた。ちなみにかずみんは『元気のいい神達ですねぇ』などとニコニコしてた。
先に言っておこう『命名式』にて神々は戦慄した。
本来この命名式というものは、新たにランクアップした子供達に、神々にとっては痛々しい『中二病的センスの二つ名』を付けるという、主に新参であったり【ファミリア】としての力のない神が、オラリオにおける先輩神達から受ける嫌がらせであった。
誰が想像したであろうか・・・・・・このイタイ二つ名が子供達に取って、とても素晴らしい響きであるなどと。
自分が手塩に掛けて育てた子供が【
それは可愛い子であるがある程、その二つ名を誇らしげにする姿を見るたびに、遠い過去の思い出、黒歴史を呼び起こす。
神とはいえ、その万能の力を封じた者達は下界では病気にもかかる。その余りにも痛々しい思いは、時に頭痛や腹痛、嘔吐などの症状を発症させる。
そしてここに、そんな中二ネームを心の底から最高です!と言わんばかりにノリノリになって提案する新しき神がいた・・・・・・・・
これには流石のフレイヤですら苦笑いである。
その余りに酷い提案の数々に、今はまだ新参者ゆえ、最初はただそこで先輩神達の雄姿を見学するがいいと、それとなくその場から外されたかずみん。だが飛び交う二つ名に紅い瞳を、キラキラさせていたのは言うまでもないことである。
しかしかずみんがこれ以上こじらせたらヤバイと、危機感知能力を十全に発揮した神々は、最終的にこれまでにない程の優しい二つ名をつけ続けた。
「さて、次は【アクア・ファミリア】のかずみんね・・・」
「はいはいはい!わたしは実は自分に付けたい二つ名を用意してきてるんです!言っていいですか!?」
「───ええいいわどうぞ」
「フフフ・・・わたしは魔神という言葉にとても惹かれまして、二つ名でも是非使っていきたいと思うのです!そしていつかはこの半分の半を越えてスーパーな存在になる。そう!
「ていうのはどうでしょうか?」
「「「「「「「「・・・そ、その・・・いい二つ名だね?・・・」」」」」」」」
「そうでしょう!そうでしょう!やりましたよアクア!ではこれでお願いしますフレイヤ!」「良かったわねかずみん!」
もうすでにアクアは、このかずみん的美的感覚に対し、何も思うことがないようだ。これが母の愛なのだろう。
「───じゃあかずみんの二つ名は【
「「「「「「「「・・・異議ナシ」」」」」」」」
「これが最後のファミリアね【かずみん・ふぁみりあ】よ」
「初めての団員であり、団長はLv.2であるにゃんぱすーか・・・最初から2とかやるやないかい・・・って猫!?猫人やのうて猫!?」
「「「「「「「「ファ!?」」」」」」」」
「ええそうです!にゃんぱすーは凄いですよ!ランクアップするまでの期間はナント半月です!子分達がオラリオ中にいますからね。おいしいお店の情報なら誰にも負けません!」
万能の力を持たぬ神々では、この子が何を言っているのかわからなかった。もしかしたら万能でも理解は出来なかったかもしれない。
「かずみん、今度も自分でつける?」
「ハイ!出来れば・・・ちゃんと考えてきてはいるんです。この子はオラリオのテッペンでありボスです!そんなこの子にふさわしい名は!」
「「「「「「「「・・・名は?」」」」」」」」
「【
「「「「「「「「意外と普通だぁ!」」」」」」」」
まぁオラリオの名を冠するとは、中々ないことなのだが、もうこの場から早く立ち去りたいとすら、思い始めている神々は、二つ返事で承認した。
「次はアーニャ・フローメル」
「彼女は可愛らしいキラキラしたのを希望したので【
「「「「「「「「(だからって☆付けることないだろう!!!)」」」」」」」」
「はいそれじゃラストね、クロエ・ロロ」
「とくに希望がなかったので、カッコいいの真剣に考えました!【
「やっぱり長い名前だとカッコよく感じますよね!」などと言うかずみん。彼女の中で短い名前は可愛く、長いとカッコいいのだろうか・・・
「「「「「「「「・・・異議あるだろう!本当にいいのかそれで!」」」」」」」」
「え?もしかしてカッコよすぎましたか?」
「「「「「「「「・・・異議ありません。すみませんでした」」」」」」」」
こうして『
ロキ弁には自信ありません。
次回幕間的なものを一話入れて、その次から新章突入予定です。
おそらく一話目のタイトルは《再会》ベル・クラネル とかになるかと思います。
感想を見るにこのすばファンの方が多そうな気もしますが、ベル好きな方もいますよね?
沢山活躍してもらう予定ですのでお楽しみに。