ダンまちにアクシズ教を!【更新停止】 作:アクシズ
「ダンジョンへ行きましょう!」
アクアがこう言い出したのは【アクア・ファミリア】と【ヘスティア・ファミリア(仮)】の共同ホーム『聖なる水と秘密の炉』がある程度、綺麗に整い(上にある教会はボロボロのまま)かずみんが次は教会を直すか、周辺の廃墟を破壊するかどうか考えていた時のことである。
ちなみに元々何とか住むこと出来る程度だった、『教会の地下隠し部屋』は業者を入れたり、かずみん自身【鍛冶スキル】(※1)を発揮し、秘密の隠れ家として、十全な機能を誇るものへと変化していた。一番力を入れたのは『お風呂』だ。シャワーだけなんてとんでもない!と、元々シャワー室のみだった場所を拡張し、立派なお風呂が出来上がっている(かずみんの炸裂魔法(※2)と、アクアの土木工事スキル(※3)が火を噴き、あっという間に完成した)
そして誰より活躍したのが、ぱーるばぁてー。彼女の持つ時空間魔法【ターレルラマット】は時間を止めるだけじゃなく、名前の通り空間にも作用することができ、自身が特定した空間を広げたり縮めたり出来るという。とんでも魔法であった。最初は4人がまぁ余裕を持って入れる程度の広さだったお風呂は、今では余裕を持って泳げる程に。活躍出来たと彼女も大喜び。
そんなぱーるだが、彼女には一つトラウマがある。まだ何もわからない小さい頃に、人攫いに会いアクアかずみんに助けられた。ここはまだいい。その後故郷かもしれないアマゾネスの国へ行ったら修羅の国だった。ここもまだ何とかなる範囲だ。ただし、なついていたお姉ちゃん(かずみん)の頭が目の前でパァーンなったのはいけなかった。
本人曰くそれは、あのカーラだかカーリーとかいう頭おかしい神のせいであって、わたしのせいではない。だそうだ。ある程度大きくなっても戦闘行為が嫌いなまま。勿論嫌いなことなど、全力で否定するアクシズ教。アクアやかずみんが前線に出て、モンスターと戦っている時も、船の中で待っていた。
そして皆でお風呂に入っている時、こんなことがあった。
「こらぱーる、お風呂の中を泳ぐなんてはしたないですよ」「わーいわーい!」「あ~お風呂で泳ぐって気持ちいいわね~」「ボクだって負けないぜ!」・・・・・・・「わたしも混ざりますよ!まてぇ~」「「「「キャッキャ」」」」
そうしてはしゃいでいる時にふとぱーるが呟いたのだ「今度みんなが戦う時は、ぱーるも一緒がいい」
アクアがこんな事言い出したのは、あれが原因なのだろう。念の為と【ステータス】の更新も久しぶりに行った。
Lv.1 ぱーるばぁてー
力 :I 18
耐久:I 18
器用:I 78
俊敏:H 138
魔力:F 318
《魔法》
【ターレルラマット】
・時空間魔法。
・詠唱式【
・解呪式【そして刻は戻る】
《スキル》
走り回るのが好きなのと、かずみんと実験がてら【ターレルラマット】発動を何度も行っているからか、魔力の伸びだけは中々のものだ。
かずみんの【ステータス】はLv.わん→Lv.つぅ(※4)になっただけで、他に記されてる内容は変わっていない。
「アクアが急に変な事いうのは慣れたけれど、君は行っちゃ駄目なんじゃないかな」
「大丈夫よ!私の神威は高貴過ぎて、がずみん以外理解出来ないみたいだし、みんな私の事ただのヒューマンとしか見えないんでしょ?何も問題ないわ!」
「そうアクアが大丈夫といえば、大丈夫なんですヘスティア」
うんうん頷くかずみん。
「ボクはかずみん君のアクアへ対する盲信がちょっと怖いぜ・・・」
♢
『ダンジョン』それは『神々』でさえ、その先に何があるのかわからないとされる『未知』に溢れる地下迷宮。そこにいるモンスターの『核』である『魔石』や『ドロップアイテム』は莫大な富をオラリオや冒険者達に与える。
ここはそんな『ダンジョン』の直上に建造された白亜の塔『バベル』その地下一階。
何千人もの冒険者を収納出来る程の広場。そこは蒼と白色を基準とし、まさにアクアの為にあるかのようです!とっても高貴な気配が漂ってますし!絵画とかのセンスも中々のものです!
ナニカが突然紛れ込んだが、とにかくここは冒険者が一同に集う場所。
ここにも意気揚々と出発しようとする【アクア・ファミリア】の姿があった。
先頭を歩くアクア。身長165C程、彼女の姿はいつもと変わらない。その綺麗に澄んだ水色の髪を、少し濃くした蒼色を基準とした服。とても短いスカート───えっそれパンツ見えてない?と二度見する者多数───アクアのパンツの有無は神秘なのです!・・・そして『女神の証たる神具』(※5)淡い紫色の羽衣を体に巻く姿は、美形揃いの『神々』にでも匹敵するほど美しい。
その後ろには身長130C程の色黒の少女。おそらくアマゾネスであろう、軽装に身を纏い、どこか緊張した佇まいから、初めてダンジョンに挑んだ頃を思い出させる。
そして最後は全身を漆黒で包む見るからに
広い空間なのに、その目立つ三人は何故か前後一直線に歩いていた。(※6)
そして────ダンジョンの入り口にて・・・・・・衛兵に捕まった。(※8)
「なによあんた、私の栄光なる行進を妨げるとは、天罰でも喰らいたい訳!?」
ただ親切心で止めた衛兵は、グイグイ詰められていた。
「ちょっと落ち着け!落ち着いて下さい。お願いします!」
「あんたら『恩恵』ないだろ?俺達はダンジョンに力ない者が、入り込まないように監視してるんだ。んで『神々の恩恵』を受けていないあんたらを、はいそうですかと入れてあげるわけにゃいかないんだよ」(※7)
「それは聞き捨てならないですね!これを見てもらおうか!」
そう言って自身の背中を披露する黒衣の少女。
「いきなり何しやがる!?ってそれ【ステータス】か?────っておまえ・・・プッあっはっははは!!!冒険者の真似事がしたいのはわかったが、ちゃんとした【ステータス】くらい見てからにしろよな!」
「くくっ確かにな【
笑われた黒衣の少女の瞳が、これでもかと輝き出す。
「アクアどうしましょう。母がくれたこの大事な恩恵を笑われました!なんだか爆裂魔法ぶち込みたくなってきましたよ!具体的にはあの頭上。偉そうに建っているバベルの塔に!!」
「ちょっ落ち着きなさいかずみん!あんた達もほらあやまって!さっさとバカにしてごめんなさいってかずみんにあやまって!!」
とっさにかずみんと呼ばれた黒衣の少女を羽交い締めする、アクアと呼ばれる蒼い少女。
「ああっすまなかったなお嬢ちゃん。でもダンジョンってのは本当に危険なんだ。ちゃんと冒険者になってからにしような!」
優しく頭を撫でられながらも、そう諭されるとかずみんも怒りを収めた。もしかしたらチョロイ子なのかもしれない。
「ふん、しょうがないですね、アクア一度出直しましょう。許可証みたいの持ってくれば構わないでしょう?」「ああそうしてくれ」
「面倒くさいわね~まぁいいわ!もう今日はこのまま遊びいきましょ!」「うんいくー!」
「そうしましょうそうしましょう」
こうして騒がしい一行はダンジョン入口から去っていった。
♢
そこはこの世の『美』すべてが集まったの如く、美しい空間。窓辺から見える景色からして、地上ではなく『空』に近いだろう高所。
そしてその美しい空間でさえも霞むような『究極の美』の体現者は、今日も日課である『下界』の子を眺めて過ごしていた。
「ねぇオッタル────面白い子を見つけたわ」
何やらダンジョンの入り口から強烈な反応を感じ見てみたんだけれど、本当に面白いと美しく笑った。
「ふふっ信じられる?あの子の
天高くあるこの場所からダンジョンの入り口など、途轍もない距離がある上見えるはずないのだが、この存在の『眼』には少女の“輝き”がはっきりと“視えていた”。
「・・・・・・・・」
オッタルと呼ばれた身長2Mを優に超えるであろう、大柄な
「連れてきて頂戴。穏便にね。それとあの蒼髪の子もちょっとおかしな存在みたい。
「〇〇〇〇様のお心のままに」
オッタルと呼ばれた男が、命令と共に優雅に立ち去る。
「ああっ───本当に下界は退屈しないわ」
〇〇〇〇様・・・何だかボスっぽい存在が出てきたが、かずみん達の明日はどっちだ!?
(※1)鍛冶スキル 武具やアイテム等作製出来るスキル。かずみんはそこまで器用でないが図画工作の範囲では色々出来る。このすば世界では金の力をふんだんに使い、優秀なアイテムクリエータやウィズなどと共に、様々な物を作り出した。基本は魔力担当。
(※2)炸裂魔法 比較的低威力の爆発の魔法。岩盤を砕く威力があるため、土木工事に役立つ。上級魔法並みの取得難易度。
(※3)土木工事スキル アクアが一時行っていた、土木工事のバイトで培った技術。持ち前の才能と水の操作による乾燥から、かなり手際よく工事を進めることができ、砦の城壁を短時間で修復し、さらに補強を重ねてより強固なものに造り変えてしまった。等の逸話がある。
(※4)Lvつぅ Lv2と同意。かずみんの身体能力は魔法使いらしく、あまり高くないが、レベル2になった事や、スキルの恩恵もあり、魔法を使わなくてもレベル1以下の存在に負けることはそうそうないであろう。ただし直接攻撃は当たらないが・・・
(※5)女神の証たる神具 「神器」と同義。強力な耐久力を持ち、あらゆる状態異常を受け付けず、様々な魔法がかけられているという。任意で出現・消失させる事ができる。
アクアはこれを毎日水洗いして干している。曰く色々使い道があるそうだ。
(※6)前後一直線 RPGの基本。
(※7)恩恵の有無 原作にあったかはうろ覚えで確かではないのですが、この世界では他人が恩恵を得ているかどうか程度は恩恵持ちの人には分かるということに。アクアの力の元は世界が違うからか、ダンまち世界の住民にはわからないので、三人共一般人に見える。
(※8)衛兵 独自設定。入口に誰かを入れない為の、人員がいる描写は原作にはないはず。この衛兵はガネーシャ・ファミリアの人でなく、どこぞ知らない人達なので、アクア達の事は知らなかった。流石に都市の出入口やすべての施設の警備を、ガネーシャ・ファミリアに一任されるとは思えないので。