ダンまちにアクシズ教を!【更新停止】   作:アクシズ

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はじめに。

オラリオ着くまでの章を再編集する予定です。大筋は変わりませんが、原作『この素晴らしい世界に祝福を!』の知識がなくとも、入り込みやすいよう出来ないかと現在思案中。

このお話は『ほのぼのしたオラリオ生活』がメインになる予定です。

オリ主が最強になり、無双していくような話を期待される方の、希望には添えないかと思います。

その代わり一風変わった我らが主人公ベル・クラネルが、原作開始から登場してダンジョンに挑戦していきます。ちなみに今はまだ原作開始直前で活躍はしてません。


そんなゆるめなダンまちですが、楽しんでもらえれば幸いです。

2017/4/13





かずみん7~14歳 原作開始前
《英雄》の生まれた日


 我が母は偉大だ。かつて『最後の魔王』が世界に混沌と破滅を(もたら)した時、救いを求めた人々の為、自らが異界の『勇者』を率いて魔王討伐に赴いたのです。

 

 そして厳しいの戦いのすえ、魔王を討伐した母は、後の世を人々に任せ、天界から世界を見守り続けたという。

 

 わたしは母が率いた『勇者パーティ』(※1)の子らの子孫である。アクアは気が向いた時昔の仲間の子孫を眺めたりするそうで、生まれてすぐに両親が亡くなってしまったわたしを、不憫に思い育ててくれたのだ。

 

 この黒い髪に紅い瞳、黒マントに黒ローブ、トンガリ帽子を被り、左目に眼帯という外見はその勇者パーティにいた紅魔族の勇者めぐみんとお揃いらしい。

 

 アクアは水を司る女神であり、水色の美しい髪に、抜群のプロポーションを持ち、神として高い能力も持っていると、ぱっと見は完璧な反面、性格はお調子者で能天気。かつ、グータラで空気を読まない。おまけに、威勢が良い割りには打たれ弱く泣き虫で寂しがりやの構ってちゃん。しかも、口が悪く、ケンカっ早いため、度々、問題を起こす素晴らしきトラブルメーカーと多くの属性を備えている。なんて素敵な母なのだろうか!

 

 そんなアクアに育てられたわたしの生きる目的は、素晴らしい母の教えを《アクシズ教》(※2)として世に広めることである。だが───7才にして気付いてしまった。

 

 人間が生きる事のできる精々100年という、短い時間(トキ)では到底この教えを広めきる事ができないと!

 

 実はとある魔法の研究者が対魔王用に作り出した、魔力を増幅する改造手術を施された改造人間『紅魔族』の末裔であるわたしなら、頑張れば200年くらい生きれるかもしれないが、そんな長生きは普通出来ないらしい。くやしいです。

 

 ならば長生きしている者に聞いてみようと、最初は家庭教師のウィズを頼った。彼女は最後の勇者が生きていた頃を知るアンデッドの王リッチーだ。わたしもリッチーになってはどうだろうかと思ったが、『そんなことしたらアクア様に私、成仏させられちゃいます』とのことで諦めました。

 

 一応アクシズ教の教えでは悪魔殺すべしとあるが、実はわたしの住むアクセルの街には悪魔が結構な数いる。代表的なのはカラススレイヤーのバニルさんだ。かなりの大悪魔らしいのだが、【見通す力】(※3)(わたしはこれを【リーディング・シュタイナー】と呼んでいる)という何でも見通す便利なスキルを教えてくれたり(本家の性能には劣るらしい)、歓楽街のボス的な存在であるサキュバス達は色々と面白い話を聞かせてくれる、中々気がいい連中だ。

 

 アクアが言うにはそれなりに長い付き合いだから、大目に見ているらしいが、本来悪魔とは決して許してはいけない存在らしい。そう言われてはリッチーの次の候補である悪魔転身も出来なくなる。

 

 ただそのことをバニルに相談したら、『汝ならば“神”にすら成れるかもしれんぞ』とのことで、人の身から神へと至ることが出来る可能性が高い別世界があり、その先で神に成るわたしが見えたらしい。バニルはやっぱりいい悪魔です。

 

 その後は世界間移動することをアクアの後輩であり、この世界で最も信仰を集めている(遺憾ながらアクシズ教ではない)エリス教団のご神体、女神エリスに相談し(エリスは親戚のお姉ちゃんみたいな存在だ。下界に降りてくる時は盗賊クリスとなって一緒に遊んでくれる)、このたびアクアと仲良く二人で別世界へやってこれました。

 

 ちなみにアクアにはただ異世界旅行へ行きましょうとだけ言っている。流石に神自身が異なる世界へホイホイ行くわけにはいかないらしく、人間に似せたダミーに宿るような形で力がかなり制限されるようだが、わたしもいることだし問題はないだろう。(さっさと神にならないと流石に怒られそうでちょっと怖い)

 

 我が名はかずみん。伝説の勇者の子孫にして、『べるぜるぐ王家』(※4)に連なる者、紅魔族随一の血筋を誇るアークウィザード!なのだから。(※5)

 

 

 

 

 

 

 世界間移動による酔いのようなものから覚め、辺りを見渡すとどうやら森の中にいるようだった。

 

「森の中ですか、まぁいきなり海の上へ転移とかにはならずよかったと思うべきですかね」

 

 最初の一歩はまずまずのスタート。

 

「そうね、まずは人里を探しましょ!美味しいご飯とお酒があるといいわね」

 

 出だしがまぁ悪くなかったからか、中々気分良さそうなアクアだが、気を付けなくてはならない。

 

 我が母はとっても『不運』である。なのでなるべく一人にしてはいけないと、エリスやウィズから強く聞かされてる。そんな不幸パワーに負けないように、『幸運を司る女神』であるエリスからたっぷりと『祝福』を貰っている。感謝。

 

 とりあえずアクアの言う通り、人里を目指してあてもなく彷徨っていると何やら声が響いてくる。

 

「誰かぁぁぁっぁあl助けてぇぇぇぇぇぇぇっぇえぇぇ~~~~~~!」

「ふむアクア、早速出番がきたようです。助けを求める人へ救いを齎すことにしましょう!」

「えぇそうね、あなたの雄姿はしかと観ているから頑張って!」

 

 声の方へと進んでみれば、ちょっとした広場のようになっている場所で、わたしと同じ年くらい(おそらく10才未満)で『白髪の少年』が、奇妙な生き物に襲われているようだ。まずは木の上に上ってっと。よし準備完了だ。

 

「天知る、地知る、我が知る!そこな少年よ、わたしが来たからにはもう大丈夫!」とうっというかけ声と共に素敵に着地。

「我が名はかずみん、正義の味方アクシズ教徒にして、悪をしばくもの!」

 少年はわたしの掛け声を聞いた瞬間は嬉しそうにしていたのに、この姿を見てから焦ったようにいい放つ。

「何でこんなところに女の子が!僕が時間を何とか稼ぐから誰か大人を!助けを呼んで!僕じゃこのモンスターを倒せない!」

 

 どうやらこの少年はさっきまで助けを呼んでいたというのに、わたしが同じ年くらいの可憐な美少女だと気付くと庇うつもりらしい。

 

「その男気は素晴らしいですが、ここはさっさと倒してしまいましょう。【ファイアーボール】」

 次の瞬間、わたしの手のひらから放たれた炎の塊が、そのモンスターへ直撃してモンスターは爆散した。

 

「・・・え?・・・」

「危ないところでしたね、ですが運がよかった。この正義の味方『アクシズナイト・ミラクル・かずみん』にかかれば、あのようなモンスターなど木端微塵です!」ふっ──決まりました。これだから“正義の味方ごっこ”(※6)はやめられない。

 

 その場にはすでにモンスターの姿はなく、それを確認した少年はやっと理解したのか溜息をつきながらその場へと座った。

「えっとまずはありがとう!僕はベル。ベル・クラネル。僕と同じ年くらいなのに凄いねかずみん!しかも正義の味方とか恰好いいや」ほぉこのカッコ良さを初見で見破るとは、この少年出来ますね。

 

 そこへ少し離れたところから見ていたアクアがやってくる。

「かずみ~ん、今の名乗りからモンスター討伐までの流れ中々良かったわよ!ビデオカメラ持ってくれば良かったわ」

「あぁそれなら持ってきてますよ。まぁ今のは緊急時でしたし、次からは撮影お願いしますね」

 

 どうやら急に現れた我が母に戸惑ってる様子のベルに、アクアは笑顔を向けて。

「あらっこの子かずみんと同じ紅い瞳をしているわ可愛いわね。私はアクア、“水の女神アクア”よ、よろしくねベル!」

「えええっ!?女神様・・・ですか?僕神様と初めて会いました──それと助けてもらいありがとうございました!」

 

 どうやらこのベル少年は随分純粋なようですね、知らない人間ならアクアが女神を名乗っても大抵残念そうな顔をするというのに、それともこの世界では神という存在が結構身近にいるものなのでしょうか。

 

「うんうん礼儀正しい子は好きよ。ベル助けてあげたわけだし、お礼したいでしょうから私達をもてなす権利を上げるわ!」

「それなら情報が欲しいですね。実はわたし達はここら辺に詳しくないので、ベルがわからないのなら、家族の方とかに色々と聞きたいです」

「あっはい!では少し離れてますが、ついてきてください。お爺ちゃんはまだ帰ってないと思いますけど、それまで僕でわかる限りのことは」

 

 じゃあよろしくねとベルの後をついていく、「ベルはこのようなところへ一人で何をしてたのですか?」「今晩のご飯にと木の実を取りに来てたんだ。モンスターが現れるなんて今までなかったのに・・・」ベルはアクアのトラブル体質に巻き込まれたのかもしれませんね。今回は良かったですが、何かと面倒な星に生まれているのかもしれません。

 

 試しにと見通す力(リーディング・シュタイナー)を発揮させて見つめてみると、ぼんやりとだがベル少年の大きくなった姿が見えてくる。

「英雄?」

「え?」

「いえ、ベルを見ていたらふと英雄という言葉が浮かんできまして」

 その言葉を聞いたベルは何やらもの凄く嬉しそうです。

 

「僕の夢はね『英雄譚』にあるような立派な『英雄』になることなんだ!」

「あらっ素敵な夢ね、女神アクアがその夢を祝福してあげる!きっとベルは将来英雄になれるわ!」

「わぁ!ありがとうございますアクア様!」

 

 この瞬間閃いてしまいました。仮にこの少年が『英雄』になるとして、その『英雄譚』に『アクシズ教』の名が乗るとしたら素晴らしいことではないのか。これは天啓です!

『アクシズ教徒になれば君も未来の英雄だ!計画』これは楽しみが増えました。

 

 今日はまさに《アクシズの英雄》が生まれた日に、なるかもしれませんね。

 

 

 




注釈を入れてみました。読まなくとも特に問題はなく、裏設定みたいなものです。
ダンまちSSなので、ダンまちの用語説明とかは基本しません。
このすばのスキルや独自設定などの補完的なもののつもりです。

(※1) 勇者パーティとは女神アクアが率いたとされる伝説のパーティ
冒険者 佐藤 和真
紅魔族のアークウィザード めぐみん
クルセイダー ダスティネス・フォード・ララティーナ
この三名が主にアクアに付き従がった勇者達。魔王討伐には更に多くの勇者達が参加したとされる。

(※2)アクシズ教 女神アクアを称え、ほめてほめて甘やかす宗教団体。主な教義にこのようなものがある。
『アクシズ教徒はやればできる。できる子たちなのだから、上手くいかなくてもそれはあなたのせいじゃない。上手くいかないのは世間が悪い』
『汝、我慢することなかれ。飲みたい気分の時に飲み、食べたい気分の時に食べるがよい。明日もそれが食べられるとは限らないのだがら……』

 要約すると『欲望のままに生きろ』

(※3)見通す力 本来は相手の考えていることや過去の記憶、未来に至るまで幅広く対応したリーディング能力。どれだけ明確に見通せるかは相手との実力差によって決まり、格下の相手ほどはっきりと見えるが、対等な相手や格上の相手、及びそれらと関係が深い事物のことは見通せない。

 かずみんの場合、嘘付いてるかどうか分かったり、見えて数時間前後のことが分かる程度の能力。(元々の能力者バニルのイタズラで予知に嘘が混ぜ込まれたりする)どういう訳か、ベルに対してはそれなりに未来の姿が垣間見えた。

(※4)べるぜるぐ王家 かずみんの真名は、べるぜるぐ・すたいりっしゅ・そーど・かずみん 一応王族。

(※5)アークウィザード 魔法使い系の上位職。上級魔法を使いこなすことが出来る。

(※6)正義の味方ごっこ 困っている人を発見したら、結局的に介入し助けることを、アクシズ教布教活動の主にしている。後単純にヒーローごっこが楽しいお年頃。

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