「フ、フラン、何故此処に!?」
レミリアは金髪の少女で妹である、フランドール・スカーレットが此処にいる事に驚いた。
それと同時に妹が狂気に囚われている事にも驚いた。
昔、とある人物が対応してくれて納まっていたのに・・・
そして、フランに付き添う様に立っている人型を見てレミリアは・・・
「あ、あれは・・・まさか!?」
レミリアが人型に驚いている間にフランはレミリアへと接近しており、人型がレミリアを殴ろうとしていた。
「しまった!?」
『シュバッ!!』
何とか人型の拳を左手で受け止める事が出来たが、レミリアは一瞬嫌な予感が通り抜けた。
その後すぐに右手に『神愴「スピア・ザ・グングニル」』を出すと自身の左腕を切り離した。
その直後に人型がスイッチを押すような動作をした。
ドカ―――ン!!!
という音と共に切り離した左腕が、塵一つ残さず爆発した。
それを見てレミリアは冷や汗を流した。
「クッ!ギリギリだったわね・・・(あれをくらってたら確実に死んでいたわね・・・)」
「ちょっと、大丈夫アンタ・・・」
レミリアの状態を見てさすがの霊夢も心配そうに声を掛けた。
「えぇ、これくらいなら血をかけるれば直るわ。それよりも、貴方はフランを止める事が出来るかしら?」
「今さっきの様子を見た限り、消耗してなかったら何とか出来たかもしれないけど、今の状態じゃあ厳しいかもしれないわ。札がもう少ないから・・・」
「そう・・・・・・如何したものかしら」
霊夢とレミリアがそう話している間にフランは攻撃の態勢に入り、二人に攻撃しようとしたが、突然現れた鎖によってフランと人型は縛られた。
「ナ、ナニヨコレ!?」
フランと人型が鎖を振りほどこうとしていると、上空から一人の妖怪が現れた。
「ぎりぎり間に合ったわね」
レミリアと霊夢はその声と姿を見て、驚いた。
『『小傘!!』』
どうやら二人とも小傘とは知り合いらしい・・・
「あら、二人とも御久しぶりね」
そう言いながら小傘は自身の背後にフランとは違う人型を出しながら・・・
「さて、此処からは私の仕事よ。二人とも下がってて頂戴・・・」
「わかったわ」
「気を付けなさい、フランの後ろにいる人型は触れたものを爆破する様な力があるようよ・・・・・・」
霊夢は小傘の力を知っているので言う通り下がり、レミリアはフランの後ろにいる人型について忠告して下がった。
それを確認した多々良小傘は、フランの方へと向き直った。
それと同時にフランとその人型が巻き付いていた鎖を引き千切った。
小傘は、フランの右手首に何もついていない事を確認した。
前に一度会った時に渡した特別性のブレスレットが無くなっている事を・・・
「そして、久しぶりね。フランドール・スカーレット・・・いや、狂気というべきかしら?」
「オ前ハアノ時ノ!!此処デ始末シテヤル!!!」
「ふぅ、戦ってあげるけど、此処ではないわ!!」
そう言いながら多々良小傘は懐から小さい箱を取り出したと思うと自身とフランの間へと投げ飛ばした。
すると小さい箱が光りはじめ小傘とフランを包み込んだ。
光が晴れるとそこには誰もいなかった・・・・・・
~・~・~
小傘を送り出した紫は店内のカウンターへと着いた。
それと同時に奥から一人の妖怪が姿を現した。
「紫様じゃないですか。いらっしゃい」
「あら、朱鷺子ちゃん。いつものやつと今日のおすすめをお願いできるかしら?」
「お任せください!オーイ、今日のおすすめを一つお願い!!」
『わかりましたー!!』
奥に声を掛けた朱鷺子は後ろの棚に並べられている酒の中から『本醸造酒(紫専用)』と記された物を取り、コップと共に紫へと差し出した。
「はい、いつものお酒ね」
「ありがとう・・・」
「料理はもう少しお待ちくださいね」
「えぇ、時間が掛かるほど美味しいものですからね・・・」
そう言いながら朱鷺子が注いだ本醸造酒をゆっくり、味わう様に飲み始めた。
「そう言えば、小傘さんが動いたという事はそれほどの事があったのですか紫様?」
「えぇ、紅魔館のメンバーの一人がスタンドに目覚めたみたいなの。それも、正気を失ってね・・・」
「・・・なるほど。それなら小傘さんが動くのも納得できます」
朱鷺子と紫がその様な会話をしていると、奥から料理を持った一人の妖怪が現れた。
「お待たせしました。今日のおすすめの香草焼きです」
「まぁ、美味しそうだこと。さすがはミスティアちゃんね」
「もう、褒めても何も出ませんよ紫様・・・」
小傘が戦いに出ているというのに此処は和やかな雰囲気が漂っていた。
いや、これは信頼がなせることなのかもしれない・・・・・・