『此処ハ・・・何処ダ?』
光から解放されたスタンド、ザ・フールを使役する犬は周りを見渡した。
そこは幻想郷ではまず見られない高い建物が並んでおり、道には見られない車輪がついた物もあった。
それらを見渡していると、建物の端を曲がろうとしている朱鷺子が見えた。
その時、朱鷺子は犬に向かって挑発するように振り向きながら笑っていた。
『ナ、待チヤガレ!!』
犬は急いで朱鷺子の後を追った。
そして朱鷺子が曲がっていた所を曲がった時、一枚の紙が犬へと向かって来た。
それをザ・フールで弾いた時、その折れ曲がった隙間から途轍もない異臭が放たれ犬の鼻へとダメージを与えた。弾かれた紙は広がり、そこからパンパンに膨れ上がった缶が現われ、その一部には斬りつけられて開けられていた。
それを見た犬は朱鷺子に対して大きな怒りを覚えた。
犬である自分にこのような仕打ちをした朱鷺子を許せなかったのだ。
例えそれが戦いの中であったとしても・・・・・・
『ダガ、彼奴ノ能力ハ、ワカッタ。紙ニ色々ナ物ヲ補完スル事ダ。能力ガワカレバ対応スル事ガ出来ルゼ』
そう言っていると犬の後ろから矢が迫った。
それを察し、フールで矢を叩き落とした。
『ソッチノ方カ!!』
そう言いながら矢が飛んで来た方にある建物の上へと駆けはじめた。
それを建物の上から確認した朱鷺子は・・・
「ふふ、こっちに来なさいスタンドを使う犬よ。この建物内でこの戦いを終わらせてあげる・・・」
そう言い朱鷺子は建物内へと入って行った・・・・・・
~・~・~
建物に入ろうと犬が扉を開けるとその隙間から一枚の紙が落ちてきて開いた。
そこから新たに多くの折りたたまれた紙が放たれ、そのすべてが開いた。
そのすべてから炎が放たれ、犬へと向かった。
その炎をフールの形を変えて防いだ。
『ナルホド、コノヨウナ罠ヲ仕掛ケルコトガデキルノカ・・・。注意シナケレバ・・・』
犬は歩きながらそう言った。そして階段に来た時に上から何かが転がり落ちてきた。
それを見て犬はフールを自身を囲う様にドーム状態にしながら・・・
『バ、爆弾ダト!?手段ヲ選バ無スギダロ!?』 ドッカ―――ン!!!!
犬が爆弾と言っていた物が爆発したがそこまでの威力は無く周りの物も壊れてはいなかった。
そう、
『(ナンダ、爆弾ノ癖ニ威力ガ無イジャナイカ!?マ、マサカ俺様カラ視覚ヲ奪ウタメノ、フェイク!?ハ、ハヤク確認シナケレバ)』
威力が無い事に動揺してフールのドームを解除してしまった・・・
解除した隙間から色々な臭いが入り込んできた。
いや、臭いだけではない。
流れ込んできた物が目に入り犬は涙を流した。
『ギィヤアアアアァァァアァアアアアアアア!?!?!?!??ガゴッ!?ゴホォアッ!?』
その苦痛を体感したことにより犬は恐怖を抱いてしまった。
そして、そのサインを出してしまったのだ・・・朱鷺子の前で・・・・・・
「お願いね、エニグマ」
階段の影から下りて来た朱鷺子はエニグマを出現させて攻撃した。
するとエニグマは犬と重なり、犬はその下にできた紙へと引きずり込もうとする。
『ナ、ナニィイ!?カ、紙ニ吸イ込マレル!?』
「・・・・・・吸い込まれる前にやって置かなければいけない事があったわね」
朱鷺子はそう言いながら手に取った注射器を犬へと刺した。
すると、犬は抵抗をやめて意識を手放した。抵抗がなくなったため瞬時に紙へと吸い込まれ、折りたたまれた状態になった。
それを回収すると共に空間が輝きだした。
「やっぱりあの人が作る薬は良く効くわね。今度お礼しなくっちゃね」
朱鷺子のそう言う言葉を最後に・・・・・・