とある日の幻想郷の人里・・・
その一番端に一つのお店が建っていた。そこは人里の中で在りながら昼間はとある妖怪が営業している道具屋である。だが、里の人々からは安くて使い易く、タダで直してくれると言う事でよく利用している事で有名であり、妖怪も利用する事でも有名なお店である。
何時もの様に時間が流れていたが、その日は赤い霧が人里に流れてきていた。
その霧を吸い込んだ事で体調不良を起こした人間が続出したため、今店の中には店主以外に誰もいない。店主である妖怪は椅子に腰を掛けて本を読みながら過ごしていたが、ため息を吐きながら空中に向かって声を掛けた。
「そろそろ出て来たらどうですか?」
店主がそう言うと空中が裂けた。そのスキマから一人の妖怪が姿を現した。
「相変わらず、勘は良いみたいね多々良小傘・・・」
「そちらも相変わらずの胡散臭さね八雲紫・・・」
そして、暫くの間沈黙が続いた。
だが、沈黙に耐えかねた多々良小傘口を開いた。
「・・・・・・それで、今回はどんな面倒事を持ってきたのかしら?」
「あら、それじゃあ私がいつも面倒事を持って来ているみたいじゃない?」
「その通りじゃないの。それで、用件は?」
「・・・これを見て頂戴」
先程とは違い真剣な表情を浮かべ紫は懐から一枚の写真を取り出した。
そこには、金髪のクリスタルがついた羽の少女が写っており、その背後にぼやけてよく見えないが人型の何かが浮かんでいた。それを見た小傘は驚愕すると共に懐かしさを感じ、それと同時に紫が何故自身の下に来たのかを察し、ため息を吐いた。
「はぁ、やっぱり面倒事見たいね」
「えぇ、その写真は私のスタンドである『ハーミット・パープル』がポラロイドカメラで今回の異変について念写したら浮かんできた物よ」
「つまり、この子のスタンドが今夜発現する」
「Exactly、その通りでございます」
紫のふざけている返答を聞きながら、今の状況を理解した小傘は立ち上がり、店の奥へと声を掛けた。
「店番お願いね・・・」
『了解しました!!(わかりました)』
店の奥からの二人の返事を聞いた多々良小傘は店の外へと向かい始めた。
そのへに向かい八雲紫は・・・
「・・・それじゃあお願いね、幻想郷のもう一人のバランサー、多々良小傘」
「その名はあまり好きじゃないんだけど・・・・・・まぁ、任せて置きなさい八雲紫。私と、私のスタンドである『シャドーメイカー』にね」
そう言いながら多々良小傘は八雲紫に見送られながら異変の元凶の下へと向かって行った。
~・~・~
霧の湖の近くにある洋風の館・・・
そこでは紅い霧の異変を起こした主、レミリア・スカーレットとそれを解決しようとしている博麗の巫女、博麗霊夢が弾幕ごっこを行っており、もうすぐに決着が付こうとしていた・・・・・・
「これで終わりよ!霊符「夢想封印」!!」
「ぬぁぁぁァァァぁぁ!?!」
博麗霊夢のスペカを真面にくらいレミリア・スカーレットは館へと落ちていった。
それを追う様に霊夢が下りて行くと、レミリアが立ち上がろうとしていた。
「イタタタ・・・」
「さぁ、勝ったんだから早くこの霧を消しなさい!」
「わかっているわよ」
そう言いレミリアが霧を消そうとした時・・・
『ドカ――――――――――――――ン!!!!』
と音を立ててレミリアと霊夢のすぐ横の壁が吹き込んだ。
「今度は何よ!!」
「この感じ、まさか・・・・・・」
壁が壊れた際にできた砂煙が少しずつ晴れてきた。
そこには金髪のクリスタルがついた羽の少女が立っており、その背後に猫のような顔を持つ人物がその少女に付き添う様にして立っていた。
「・・・オ姉サマ、私ト・・・アソボ!!!!」
その顔に狂気を浮かべて・・・・・・