この鬼殺隊士に祝福を!   作:冬威

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爆裂少女とパーティを!

 

 

 

ジャイアントトード2匹の討伐を終え、「駆け出し冒険者の街 アクセル」へと帰路につく。

 

魔力切れを起こし、動けないめぐみんを背負いながら歩いている。

 

「あのさ、色々と聞きたい事があるんだけど…」

 

「ッ⁉︎…何ですか?」

 

一瞬ビクッとめぐみんは震えたが、平静を取り繕おうとしていた。今から言われる言葉に心当たりがあるのだろう。

 

「あの爆裂魔法がすごい事は分かった。でも、カエル1匹になんであの魔法を?明らかにオーバーキルじゃない?」

 

「私は爆裂魔法しか使えません」

 

ピタッと足を止め、そのまま質問を続ける。

 

「…なんで?」

 

「私は爆裂魔法が好きなんです!他の魔法を覚える気はありません‼︎これだけは譲れないのです‼︎」

 

人の背中で熱く語るめぐみん。あの魔法しか使えないって事は毎回倒れて動けなくなるという事では?

 

「でも、魔力切れで倒れるんだよね?それなのに冒険者になったばかりの俺にクエストの同行を?危なくない?」

 

「うっ、それはそのう…、もう何処のパーティーにも拾って貰えず。丁度、前衛職でパーティーを組んでくれる人を探しているところにシンジロウが…」

 

そこから先は黙り込んでしまった。要は一発で倒れるめぐみんは、言い方は悪いがパーティー内で使い物にならず、何処にも入れてもらえないと。それでたまたま声を掛けてきた駆け出しの中の駆け出しの俺を捕まえたと。

 

「…クエストの前に言って欲しかった」

 

「…ごめん、なさい」

 

はぁとため息を付き、再び歩き出す。

 

(めぐみんの残念な感じの正体が分かった…。悪い子ではないんだけどなぁ。どうするか)

 

 

 

 

 

 

 

ギルドにつき、受付でクエストの完了報告を済ませる。冒険者カードに討伐したモンスターが自動的に記載されるようで簡単に完了報告が出来た。

 

ジャイアントトード2匹目で10,000エリス。2人で割って5,000エリス。めぐみんに借りた登録料1,000エリス。手取りは4,000エリス。

 

これで、今日の宿が取れればいいが…。その前に。

 

ギルド内の設置されたテーブルの一つで俯きながら待っていためぐみんに報酬を渡し、席につく。

 

「それで?めぐみんは今後も他の魔法を覚える気はないんだよね?」

 

「…はい、私は爆裂魔法を極める為だけにアークウィザードになったんです!そこを曲げるつもりはありません‼︎」

 

とても真っ直ぐな目をしていた。本当に真剣なのだろう。

 

「…俺1人じゃ、カバーするのは無理だよ」

 

俺の言葉にめぐみんは再び俯いてしまった。

 

「だから、他にもパーティーを組んでくれそうな人を探そう。せめて後1人は欲しい」

 

驚いた表情をしためぐみんが顔を上げ、すぐに嬉しそうに笑った顔はとても可愛らしかった。

 

「いいんですか⁉︎逃がしませんよ⁉︎シンジロウは我と爆裂魔法を極める道を、共に歩んで行くのです‼︎」

 

「いや、俺は爆裂魔法使わないから、使えないから」

 

「ふふふ、シンジロウは今日この時から私のパートナーになったのです!これからよろしくお願いしますね、シンジロウ‼︎」

 

「うん、よろしくな。めぐみん。…ところで、めぐみんってなんだ?」

 

俺はずっと思っていた事をついに口にした。

 

「おい、本名だといっただろう。私の名前に言いたい事があるのなら聞こうじゃないか」

 

さっきまでの笑顔が一瞬で消え去り、ジト目で睨みつけてくる。

 

「ちなみに両親の名前は?」

 

「母はゆいゆい!父はひょいざぶろー‼︎」

 

「…それより、お腹空かない?」

 

「おい、私の両親の名前に言いたい事があるなら聞こうじゃないか‼︎このちょび眉‼︎」

 

「…今、何て言った?」

 

そう、今まで黙っていたが俺の眉毛は麻呂ではないが、範囲が狭くちょびっとしかない。剃っているわけでもない。コンプレックスだ‼︎

 

シンジロウはめぐみんの顔にアイアンクローをかまし、ギリギリと力をいれる。めぐみんは抵抗するも力の差で焼け石に水だ。

 

こうして俺とめぐみんはパーティーを結成する事に。

 

 

 

 

 

 

 

アイアンクローの後、ギルドで食事をしながら、聞けなかった事を聞いた。

 

名前から始まり、めぐみんは高い知能と魔力を持ち、里の殆どがアークウィザードという、魔法のスペシャリストである紅魔族らしい。

 

紅い瞳が特徴で、魔力を高めると紅く輝くらしい。そして、話を聞く限り感性がとても残念な一族のようだ。

 

一通り話し終え、スキルの取得を勧められ冒険者カードを見てみるとレベル3に上がっていた。

 

筋力と敏捷のステータスが他よりも伸びている。それにもとからあったスキルポイントに加算されポイントが4に。試しに取得できるものはないか、スキル欄を見てみると…。

 

《水の呼吸 》 2ポイント

《壱ノ型 水面斬り》 1ポイント

《弐ノ型 水車》 1ポイント

 

(おお、カードを作った時には無かったスキルが出ている)

 

俺は全てのスキルポイントを使って取得した。《弐ノ型 水車》まで取得すると、新たなスキル《参ノ型 流流舞》 1ポイントと《壱ノ型》、《弐ノ型》それぞれの+1が現れた。

 

(強化出来るってことか?どちらも必要ポイントは3ポイントだ)

 

「シンジロウは変わったスキルばかりですね?それは鬼殺隊士の専用スキルでしょうか?」

 

ジャイアントトードの唐揚げを頬張りながら、めぐみんはカードを覗き込んできた。

 

「そうみたいだね。基本の型はポイント少ないけど、強化するにはポイントが沢山いるんだろうな」

 

「そうですか…。ところで気になっていたのですが、シンジロウが持っている剣の色が変わってませんでしたか?紅魔族的に凄く刺激されるのですが」

 

最後の一言はともかく、めぐみんに日輪刀について簡単に説明をする。

 

「成る程、持ち主によって色が変わる。それは何とも良いですね。シンジロウの紫はきっと闇の力をしめしているのですよ!」

 

「あっ、自分そんなんじゃないんで」

 

一通り食事を終えるとギルドを後にし、街を案内してもらう。取り敢えず、何か防具が欲しいので武器屋に行ってみたが…。

 

手持ちで買えそうなのは無かった。コツコツと貯金するしかないな。

 

最後に駆け出しの冒険者が泊まれる場所を教えて貰うと、基本的にお金のない冒険者はタダで泊まれる馬小屋を使うらしい。

 

手持ちのお金で、宿に泊まれないこともないが1日が限度。そうなると馬小屋しかないな。と考えているとめぐみんが一つの提案をしてくれた。

 

「私の泊まっている宿は、格安で狭くて最低限の物しかありませんが。1ヶ月分を前払いして泊まれるんです。人数が増える分は1,000エリス払えば毛布を貸してもらえます。一緒に泊まりますか?」

 

「それは嬉しいけど、いいの?俺は一応男だよ?」

 

「構いませんよ。シンジロウの事は信用していますから!」

 

そう言うとめぐみんは、本日何度目かの笑顔を見せ、俺の手を引っ張り楽しそうに走りだした。

 

 

 

 






一つしか貰えない特典。それをどうやって武器と能力持ってきたか?皆さん大体気づいているでしょうが…。

そして、めぐみんとの同せゲフン、ゲフン!ルームシェアが始まりましたが、14歳と13歳だから、ロリコンじゃないから。うん、後悔はしてない。

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