この鬼殺隊士に祝福を!   作:冬威

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プロローグ

 

 

倉富 真路郎(くらとみ しんじろう)さん、死後の世界へようこそ。貴方はつい先ほど不幸な事故で亡くなりました。貴方の人生は短いながらに終わってしまったのです」

 

真っ暗な空間の中に、俺と目の前にいる女性の周りだけ不自然に明るく、小さな机と椅子だけが置かれていた。

 

目の前の女性は一言で言うと美少女で、綺麗な水色の長い髪と瞳。青を基調とした服に、淡い紫色の羽衣。

 

その女性は椅子に座り、優しく俺に人生終了を告げた。

 

(…俺はいったい?)

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーー

 

「よっしゃ!新刊ゲット‼︎」

 

俺、倉富 真路郎。14歳。中学3年生になったばかりだ。部活の帰りに本屋に寄り、友達に勧められてハマった「鬼滅の刃」の新刊を買って浮き足立ちながら、人気の無い夜の公園を横切っていた。

 

(本誌で読んでるけど、やっぱ単行本で読むのも楽しみだよな〜。ん?)

 

暗くてよく見えないが、正面から人が来たので避けた。

 

はずだったのに…。

 

ドン、

 

「…えっ?」

 

急激に脇腹が熱くなり、冷や汗が溢れ出す。ぶつかって来たのはパーカーを被った男。その男は手にしていたものを更に深く突き刺す。激痛が走る。

 

その場に膝から崩れ落ち、脇腹に刺さったもの…。包丁にソッと手を添え男を見上げると…。

 

男の口元が歪み、笑みを浮かべていた。

 

(そう、いえば…。最近不審者が出るって。…マジ、かよ)

 

そのまま男は立ち去り、去って行くその背中を見つめることしか出来なかった。

 

 

 

(…あ、あぁ。gorilla champion‼︎(ゴリラ チャンピオン‼︎)ってなんだ?…)

 

 

 

記憶の最後にあるのは、男のパーカーの文字だった。

 

 

ーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

(ああ、俺は本当に死んだのか)

 

「突然の事で戸惑っているでしょうが、先ほども言いました通り、貴方は不幸な事故で「事故⁉︎あれ事故だったの?通り魔に刺されて死んだのかと…」」

 

「「……」」

 

水色の女性は机に置かれた紙に目を移し、静かな時間が流れる。

 

「貴方は通り魔の快楽殺人により、亡くなってしまいました。…私は女神アクア。日本で若くして亡くなってしまった人を導く女神です。これから貴方に二つの選択肢を渡します」

 

ニッコリと微笑み、何事も無かったかのように話を進め出したアクアと名乗る女神。

 

(…快楽殺人て)

 

「一つは生まれ変わり新たな人生を歩む。二つ目は天国的な所でお爺ちゃんみたいな生活を送るかです」

 

「…天国って行きたいって言って、行けるんですか?閻魔様とか四十九日だとか…」

 

よくある閻魔様の話とかを聞いてみると、女神は少し焦りながら話を進めた。

 

「ま、まぁ、いいじゃない細かい事は!因みに天国はテレビとか漫画やゲームなんて娯楽は一切無いわよ?」

 

(いきなりフレンドリーになったよ)

 

「それは…。ちょっと嫌かな」

 

「でしょ?そこでいい話があるの!貴方を別の世界に送ってあげるわ‼︎この世界はね魔王に滅ぼされかけてるの!そこで貴方には勇者候補として頑張って欲しいの‼︎」

 

聞いてもいないことをベラベラと喋り、訳の分からない選択肢を出して来た。

 

「はっ?魔王?勇者候補?」

 

「そう!それでね!転生者には特典として"チート"を一つあげるわ‼︎この中から好きなのを選んでね‼︎」

 

(…すんごい分厚いカタログを渡された。国語辞典以上だろ。どんだけチートあるんだよ…。)

 

異世界転生は確定されたらしい。

 

カタログをめくっていくと、「聖剣エクスカリバー」や「神槍グングニル」なんてファンタジーのメジャーどころから、よく分かんないがゲームやアニメの武器や能力なんかもあるみたい。

 

「ねぇ?決まった?私、退屈なんですけど〜。何か喋りましょうよ〜」

 

(…退屈て。そうだな〜)

 

「さっき何で死因間違えたんですか?」

 

カタログをペラペラめくりながら、疑問に思った事を聞いてみた。

 

「そっ、それはアレよ!資料にちゃんと目を通すのを忘れてて、大体事故死でしょうと思って‼︎ほら、多いから‼︎」

 

凄い慌て出した。聞かないほうが良かったみたいだ。

 

「…俺より先に転生した人もいるんですよね?どんなの持って行ったんですか?」

 

「そうよ?うーん、大体の人は聖剣だとか魔剣だとか強い武器か、魔力カンストとか身体能力チートとか、好きなアニメのキャラの能力かしらね」

 

(…そんな凄そうなチート持ちが何人もいて、魔王は倒せない?それってメッチャ強いって事?)

 

「どう?決まった?」

 

「…いやぁ、この中に書かれてる事が、よく分かんないんですよ」

 

凄そうなのは分かるが、それがどれ程の強さなのか分からない。そもそも強力な力なんて使いこなせそうにない。そして危険な世界に持って行くものを適当に選ぶ事も出来ない。

 

「そうなの?だったらそれ以外でもいいわよ?」

 

「いいんですか?じゃあ、刀…」

 

と、言いかけて俺は考えこむ。

 

「あっ、デザインとか凝りたいので、紙に書いた内容をくれませんか?」

 

「いいわよ?じゃあこれに書いて!あっ、性能もちゃんと書いてね!そして書きながら私とおしゃべりしなさい‼︎」

 

それからは紙に特典で欲しい刀を書きながら、アクアと他愛のない話をしつつ、その異世界の情報を集めた。

 

どうやらこれから行く世界はLv.があり、魔法があり、冒険者になりスキルや魔法を覚える。亜人と人間が暮らし、そしてモンスターがいる。まさにゲームのような世界だ。

 

「あの、出来たんですけど…。これって特典二つになるんですか?」

 

俺は書き上げた紙をアクアに渡した。

 

「鬼滅の刃」の色変わりの刀【日輪刀】

・絶対に壊れない

・熟練度により攻撃力上昇

刀身に「悪鬼滅殺」と刻まれ。鞘は立ち拵えの黒。鍔は丸型に半円を描くように藤の透かし。柄糸は白の刀が描かれていた。

 

「絵上手ね。別にこのくらいどおって事ないわよ!てゆうかコレでいいの?」

 

「はい、()()()()()()()()()()()()でお願いします」

 

「分かったわ、()()()()()()()()()()()()通りね!じゃあ、そこから動かないでね」

 

アクアに渡した紙は光となり、俺の手元にとんできた。そして、足元に青い魔法陣が浮かび上がり輝き出した。

 

「さあ、勇者よ!願わくば、数多の勇者候補の中から、あなたが魔王を討ち滅ぼす事を祈っています。…さあ、たばち、旅立ちなさい!」

 

(フツーの所で噛んだな…。それにしてもバレてないみたいだけど、本当に特典は()()()かな?)

 

こうして俺は異世界に転生した。

 

 

 





このすば!のアニメをみてどハマりしました。あんなに笑えるアニメを久しぶりに見ました。

タグに関してはこれから増えていく予定です。また、このタグをつけたほうが良いとご意見あればどうぞよろしくお願いします!

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