どうか楽しんでいってください!
今回甘めです。二重の意味で。
食堂へと続く木組みの廊下を暁さんと並んで歩く。お昼時に二人で並んで歩いていた時は、会話が途切れることはなかったのだが、先ほどのことが響いているのか会話が素っ気なく、長いこと続かない。
「な、なぁ暁さん。」
と、声をかけただけで暁さんの肩がビクッと震え、
「な、なんでしょうか司令官さん」
といった具合に若干引きつった笑顔で答える。
これが結構心に来るんです。はい。辛いです。
流石にこのままでいるのは俺としても本意ではない。というかこのままじゃ嫌です。絶対に。
と、いうわけで!この話題なら暁さんのテンションも上がるであろう!という話題を思いつきました!これでダメなら俺にはもう思いつかない。そしてしばらくはこんな感じで過ごさなければならないから俺が死んでしまう。メンタル的に。
「やっぱり暁さんは甘味は好き?」
執務室を出るときはかなりテンション高めだった…はず!…どうだ?
話題を振ると、暁さんは暫くポカンとしてから…
「はいっ!好きですっ!」
と、言い放った。
きっ、きききき、きっきっきっ、来たー!!
暁さんのテンションが上がった!目がキラッキラしてる!
そんな暁さんも可愛いです!
よかった…これで微妙な雰囲気で過ごさなくて済むぞ!俺のメンタル面の健康も補償されるぞっ!
「やっぱり好きなんだ。女の子だもんな」
女の子って甘いものが好きっていうイメージあるよね。
「今日はどんなの食べるか決まってるの?」
二つ目の質問に続いた!いけるっ!これはいけるでっ!
「それが…実は二択で迷ってるんです…」
まぁ間宮さんのとこの甘味はどれも美味しいんだろうしなぁ。
「どの二つで悩んでるんだ?」
「あんみつにするか…ようかんにするかです…」
ふーむ、なるほどなるほど。どっちも美味しいよな。
どうしたものか…せっかく聞いたんだから解決の手伝いをしてあげたいよなぁ。
さてさて、どうしたものか…。あっ。
「俺が解決してあげるよ」
「ほ、本当ですか!?」
うわ、ビックリした…。そんなに本気で悩んでたのか…。
「まぁ任せてくれよ」
さぁ、そんなこんなでやってまいりました、間宮食堂。
「暁さん、どっちにするか決めた?」
まぁ、どっち選んでも変わらないんだけどね。
「………今日はあんみつにします!」
だいぶ考えた末にあんみつに決まった。
そうかそうか。なら…
「あんみつとようかんお願いできるか?」
そう妖精さんにお願いした。
妖精さんは急いで何かを書き、敬礼してから去っていった。
そう。これが俺の考えた解決法。
名付けて、『二択で悩んでるなら両方食べてしまえばいいじゃない』作戦。
え、なに?作戦名?パクリだろって?違います。オマージュです。リスペクトです。パクリじゃないです。
「いっ、いいんですか…?司令官さん…」
俺の注文で察したのか少し申し訳なさそうに聞いてくる暁さん。
「いいんだよ。俺がしたくてしたことなんだからさ」
「で、でも…」
あまり反応がよろしくない暁さん。
…レディすぎるのも考え物だなぁ。
そんなことを考えた俺は、
「じゃあこれは俺のお礼だ」
最終手段にでた。
「お、お礼…ですか?」
「そう、お礼。今日はたくさん世話になったしなぁ」
特に執務で。暁さんがいなきゃ絶対まだ終わってないだろうし。
それに暁さんがいなきゃ不十分のまま提出した課題とかもあっただろうし。
「そっ!そんな!いいんですよそんなこと!私は当然のことをしたまでですから!」
「それでもさ、ありがとう。暁さん。」
やっぱり感謝は大切だよね。うん。
「わかりました…そういうことなら…」
やっとわかってくれた時タイミングよく妖精さんが持ってきてくれた。
お昼ご飯の時と同じようにお礼を言ってから受けとる。すると妖精さんもお昼の時と同じように敬礼して去っていった。
「さ、食べよう。暁さん」
せっかくの出来立てなのだ。時間をおいてしまうのはもったいない。
「は、はい」
暁さんはおずおずとあんみつを口に運ぶ。
あんみつが口に入った途端ふにゃーっと顔が緩んだのはもはやお約束。幸せそうでなによりだ。
「じゃ、俺も一口…」
俺もようかんを半分に切って口に運ぶ。
なんだこれっ!?うまっ!暁さんがあんなに悩むのも納得だ。
じゃ、この美味しさを暁さんにも味わっていただこう。
机に備え付けられた小皿を1枚とり、ようかんを一切れ乗せる。
「暁さん、はいこれ」
「あっ…ありがとうございます…!」
うんうん。うれしそうな暁さん見れて俺もうれしいよ。
はいそこ、ちょっと気持ち悪いとか思わない。俺も若干思ったから。
楊枝を使ってようかんを口に入れた暁さんは頬を緩ませる。幸せそうですね。可愛いです。
「はぁ~…しぁわせぇです…」
うっわ、なんだこの可愛い生き物。
しかし突然ハッとする暁さん。さらにそのあと少し考えたと思ったらあたりを見回してあたふたし始めた。
「えっと、暁さん?どうかした?」
「いっ、いえっ!なんでもないです!大丈夫です!暁は大丈夫です!」
暁さん。それはあかん。金剛型の3番艦に怒られるぞ。
お、なんか決めたっぽいぞ。
「しっ、司令官さん!」
と、突然大声を上げる暁さん。
「はっ、はい!」
いきなりのことにつられて大きな声をあげる俺。
「もっ、もしよろしかったらわ、わたっ、私のあんみつ食べませんか!?」
と、言い放った。
「…ん?」
とりあえず整理しよう。
え?暁さんそれで悩んでたの?そんなの気にしなくていいのに…。
まぁ、ありがたくもらっておこうかな。
「ありがとう。もらうよ」
さて、スプーンスプーンっと。
あ、あれ?ない。スプーンないぞ!?
チラッと暁さんを見ると俺から視線をそらして赤面しながらもじもじしている。
うわ、かわいい。
「あっ、あー、えっと…」
ヤバい、どうしよう…。取り消したほうがいいのか…?いや、でも取り消すのは暁さんに失礼な気もするし…。
なんて考えていると、暁さんが耳まで真っ赤にしてあんみつの乗ったスプーンをこちらに向けている。
ここまでされて取り消しなんていえるかっ!
意を決してあんみつを食べる。
…緊張で味がわかんない…。
なぜだ…お昼ご飯の時も同じようなことしたはずなのに…。
やっぱりさっきのことが原因なのか…。
「お、おいしいよ。ありがとう。暁さん。」
こんなことしか言えないくらいには頭が働いていなった。
「い、いえ。お粗末様…です」
うん、暁さん。それはちょっと違うかな。
暁さんも相当緊張しているらしく、アホの子みたいになってる。
こんなやりとりを間宮さんに微笑ましいものを見るような目で見られていたことも知らずに俺たちは食堂を出た。
この事実を夕飯の時に知ることになるのだが、それはまた別のお話。
なんだこいつら。付き合いたてのカップルかよ氏ね。
はい。今回は2600文字も書いてました。タイピング疲れた…。
こんな感じですがこれからもどうかよろしくお願いします!
あ、あと今回急いで書いたので誤字がひどいかもしれませんので何かあれば報告下さい。
それではまた次回お会いしましょう!
以下おふざけ。
提「暁さん、お菓子好きかい?」
暁「うん、大好きさ!」
はい。やりたかっただけです。