遊戯王 INNOCENCE - Si Vis Pacem Para Bellum - 作:箱庭の猫
しばらく日常回が続くので、お話のリクエストを募集してみようかと思います!( °∀°)
詳しくは、活動報告をご覧ください!
コメントお待ちしております!
「ソウカドさん!ぜひ
「…………
数瞬ポカンとしていたボクだったけど、念のため辺りを見回してみる。
この渡り廊下には現状、ボクと女の子しかいない。
どうやら彼女が言う『ソウカド』とは、ボクの事らしい。
そもそも、こんな至近距離で声をかけられた時点で、それ以外の可能性なんてなかったか。
「えーっと……ボクは
「ふあっ!?ご、ごめんなさいなのです!間違えたのです!」
女の子は頭を…というより上半身を、90度ピッタシに
「あははっ、良いよ良いよ。
『総角』って『ソウカド』とも読めちゃうしね。
我ながら珍しい名字だなって、いつも思ってる。よく人から『なんて読むの?』とか聞かれるし。
「うぅぅ…インタビュイーさんの名前を思いっきり間違えてしまうなんて…こんなんじゃ
「新聞部?」
「あっ!も、申し遅れたのです!わたし、中等部2年の
「へぇ~!
高等部の、落ち着いた色合いの
しっかし中等部2年か。ということは、年齢は14歳くらい?若いなぁ。
(にしても、この学園って部活とかあったんだね)
「ところで、ボクに取材って言うのは?」
「は、はいなのです!実は今度の『ジャルダン校・選抜デュエル大会』に出場する生徒の
「えっ…それでボクのところに来たの?」
「そうなのです!なんと言っても
「うひゃあ、エントリーしたのは
「情報を
嬉しそうに敬礼する
何か既視感があると思ったら、この小動物っぽさ……ルイくんに似てる気がする。
実際ルイくんより背も低くて小柄だし。
「はぁ、なるほどねぇ。でも注目って…気恥ずかしいな。九頭竜くんに勝てたのだって、ほとんど運が良かっただけだし…」
しかも昨日、同じランク・Aの
「またまた、ご
「なんて嬉しくない喜ばれ
「というわけなのでして、
「……まぁ、ボクで良ければ」
「ありがとうなのです!」
インタビューとか生まれて初めてだな。ヤバイ、何故か緊張してきた。何を根掘り葉掘り質問されるんだろうか。
……と、ボクが身構えているのを
ん?デュエルディスク?
「では総角さん!いつでもどうぞ、なのです!」
「えっ?なんで、ディスク付けてるの?」
「これが
「インタビュー・デュエル?」
「この広大な学園内に、正確な情報を迅速にお届けする為に編み出した、新聞部の伝統デュエルなのです。デュエルを
「…それはまた何と言うか……
「もちろん、デッキの内容を
「そういう事なら…良いよ、やろっか。
「「
セツナ
「では
(…!いきなり3枚の
「さらに!手札から【カードカー・
【カードカー・
「そして、召喚した【カードカー・D】をリリースする事で、カードを2枚ドローするのです!」
召喚された【カードカー・D】は、早くもフィールドから退場し、記文ちゃんは2枚のカードをデッキから引いた。
「この効果を使用した場合、わたしのターンは終了なのです」
「なら、ボクのターン。ドロー!」
さぁて、始めますか。インタビュー・デュエルというのがどんなものか予想もつかないけれど、ボクはボクの
「ボクは【竜の
【竜の
「モンスター効果発動!手札のドラゴン族を1枚、墓地へ送る事で、【竜の尖兵】の攻撃力を、300ポイントアップする!」
【竜の尖兵】 攻撃力 1700 + 300 = 2000
「うっ!攻撃力2000なのです!?」
「バトル!記文ちゃんに
「くあぁ!」
記文 LP 4000 → 2000
(あれ?すんなり通っちゃった。絶対リバースカードで妨害されると思ったのに…)
「……ボクはこれで、ターン終…」
「待つのです!リバースカード・オープンなのです!」
「えぇっ!?ここで!?」
「
記文ちゃんのフィールドに、不気味な
盤面には、アルファベットと数字が羅列しており、
かわいい顔して、意外とホラーチックなカードを使うね。一体どんな恐ろしい効果が…
「【ウィジャ盤】は相手のエンドフェイズ
そう記文ちゃんが言うと、青白い手が独りでに動き出して、プランシェットの中心に空いた穴の中に、『D』の文字を示した。
「!」
するとフィールド上空に、『D』の文字が
直感で、危険だと察知した。
「そして、このターンで最初に刻まれる文字は…これなのです!」
【死のメッセージ「
プランシェットが移動し、奇怪な音を響かせながら、新たな文字をフィールドに
今度は「E」か…この【ウィジャ盤】は、ボクに何を伝えようとしているんだ?
「これで、残る文字は「A」「T」「H」の、三つなのです」
「A、T、H…?……はっ…!『
「その通り!なのです!『DEATH』の五文字が揃った時、死の宣告によって、あなたの敗北が決定するのです!」
「……!!」
ゾッとした!なんだそれ!?
「つまり、ボクに残された時間は
「なのです!」
「ッ…!」
「わたしのターン、ドロー!モンスターをセットして、ターンエンドなのです!」
守備モンスターをセットするだけの、たった
狙いは【ウィジャ盤】の効果による『特殊勝利』。とすれば守りを固めてくるのは自明の理か。
(ともかく、今はあの【ウィジャ盤】を何とかしないとね…!)
記文ちゃんは思った以上に、やり手みたいだ。楽しくなってきた。
ペロッと上唇の
「ボクのターン!」
(…!やった、このカードなら、ウィジャ盤を攻略できる!)
「
「!」
「これで【ウィジャ盤】を破壊する!」
「させないのです!トラップ発動!【宮廷のしきたり】!」
「なっ!?」
【罠はずし】の効果を【宮廷のしきたり】に
「【宮廷のしきたり】が
「やっぱり対策はしてくるかー…そりゃそうだよね…」
(だったら…守りを打ち崩して、速攻あるのみ!)
「【フェアリー・ドラゴン】を召喚!」
【フェアリー・ドラゴン】 攻撃力 1100
「行くよ!【竜の尖兵】で、壁モンスターを攻撃!」
竜の尖兵の
裏側表示だったカードが反転し、そのモンスターの正体が明らかになる。
【
「げっ!?」
「フフフッ、その反応は知っているのですね!【薄幸の美少女】が破壊された時、相手モンスターの戦意を
フェアリー・ドラゴンと竜の尖兵は、やる気を無くして戦闘不能となった。
「くっ…!ターン
「この瞬間!ウィジャ盤が三つ目の『メッセージ』をフィールドに
【死のメッセージ「
「デッキから【死のメッセージ】カードを、
記文ちゃんは、デュエルディスクのサーチ機能で【死のメッセージ「A」】のカードを取り出して、それを
フィールドには「D」「E」「A」。すでに3つのメッセージが
五文字の全てが
「…ねぇ記文ちゃん!もうカードをセットするスペース、無いんじゃない!?」
よく見ると、記文ちゃんのディスクの
セット出来るカードの上限は、フィールド
その5ヶ所のスペース全部にカードが置かれていては、新たな『メッセージ』カードを出す事なんて出来ない。
「心配には及ばないのですよー、
ディスクの『フィールド魔法カードゾーン』に、1枚の
それと同時に、フィールド全域が
「!これは…うげっ!?」
「【ダーク・サンクチュアリ】の効果で、わたしは【死のメッセージ】カードを、モンスターカードゾーンにも置くことが出来るのです!」
「!?」
「モンスターを1体セットして、ターン終了なのです!さぁ、あと2ターンしか残ってないのですよ!」
「やるね…ボクのターン!」
こうなると、もう無駄にターンを浪費している
(…記文ちゃんのフィールドには守備モンスターが1体のみ。ここで攻めない手はない!)
「【竜の尖兵】で、セットモンスターに攻撃!」
再び【竜の尖兵】が先んじて攻撃を仕掛ける。
攻撃力2000もあれば、
「
「うわっ!?」
突如、竜の尖兵の身体から、
セツナ LP 4000 → 3000
「…ッ…!?」
死ぬ
「【ダーク・サンクチュアリ】の、もうひとつの効果なのです!相手モンスターが攻撃する時、2
「…でも、まだ【フェアリー・ドラゴン】の攻撃が残ってるよ!行け!」
続けて【フェアリー・ドラゴン】の攻撃。ここは、ダメージ覚悟で
「すごい度胸なのですね!受けて立つのです!【ダーク・サンクチュアリ】の効果を発動!」
来る…!当たりか外れか…確率は2分の1。なんだか九頭竜くんとの
「…ざんねん。
「うっ…!」
セツナ LP 3000 → 2450
またもや悪霊に強襲された。つくづくツイてない。
結局このターンも、記文ちゃんのライフを減らせずに終わった。
「ターンエンド。あははっ、参ったなぁ。強いね、記文ちゃん」
「ウィジャ盤!効果発動なのです!」
身の毛のよだつ怪音。耳に残りそうだから
「デッキから【死のメッセージ「T」】を、モンスターゾーンに守備表示で特殊召喚!」
【死のメッセージ「T」】 守備力 0
「モンスター
さぁ困ったぞ、いよいよ
「わたしのターンは…ドローだけして、終了するのです」
「遂にボクの
「そうなのです!あなたが『ターン
「……ボクのターン…」
正直、中等部の子だからって、甘く見てたのかもしれない。
フィールドに現存している【死のメッセージ】カードは「D」「E」「A」「T」の4文字。
ここに
勝利条件は
1・【ウィジャ盤】を対処する。
2・記文ちゃんのライフを
以上、
いずれにせよ、このターンで
「…ゾクゾクするね……良いよ。先輩として、カッコイイ逆転
「負けないのです!」
「ドロー!」
たった今ドローしたカードを横目で確認し、ボクは口角を上げた。そして早速そのカードを使用する。
「ボクは手札から
4枚の手札を全て除外して、デッキから1枚のカードをサーチする。
ボクが選んだ
「ボクは【
「なっ!?」
「フフッ、気づかないとでも思った?【死のメッセージ】カードは、1枚でも
これで記文ちゃんのコンボは途切れる
「甘いのです!
「ッ!」
「【魔法除去】の対象を、【ダーク・サンクチュアリ】に移し替えるのです!」
ダーク・サンクチュアリの空間が
【ウィジャ盤】を
「【ダーク・サンクチュアリ】が消えても、モンスターゾーンに召喚した【死のメッセージ】は、フィールドに
「なら!【フェアリー・ドラゴン】で、セットモンスターに攻撃!」
フェアリー・ドラゴンの攻撃対象に選択された、セットモンスターが表側表示になる。
【執念深き老魔術師】 守備力 600
相手モンスターの守備力より、フェアリー・ドラゴンの攻撃力の方が高い。
「フッフッフー、引っ掛かったのです!【執念深き老魔術師】の、リバース効果!【竜の尖兵】を、破壊!」
老魔術師が死に
「くっ…!」
「これで
「…………」
「
「……それはどうかな?」
「えっ?」
「記文ちゃん。
「なっ…!り、リバースカードも手札も無い状態で、何を言ってるのですか!?」
「【竜の尖兵】のモンスター効果!相手のカード効果で墓地へ送られた時、墓地からドラゴン族の通常モンスター1体を、特殊召喚できる!」
「ぼ、墓地から!?そんなの一体いつ……あっ!」
「そう。最初に竜の尖兵の効果で、手札から墓地に捨てたカードだよ」
「まさか…そこまで見越して…!?」
「現れろ!ボクのデッキの
【ラビードラゴン】 攻撃力 2950
「これが
「モンスターゾーンに
「し、しまったのですー!!」
「チェックメイトだ!【ラビードラゴン】で、記文ちゃんに
- ホワイト・ラピッド・ストリーム!! -
「なのですうぅぅぅッッ!!!?」
記文 LP 0
デュエル終了後、記文ちゃんは
ボクは近くの自販機で購入した、2本の缶コーヒーを両手に持ち、彼女の隣に座る。
そして、1本を記文ちゃんに手渡した。
「はいコレ」
「ええっ!?良いのですか!?」
「楽しい
「あ、ありがとうなのです!」
記文ちゃんは目を輝かせて缶コーヒーの
「それで、どうだった?インタビューの方は」
「はいなのです!とても良い記事が書ける気がするのです!ご協力、感謝なのです!」
「良かった。記文ちゃんの記事も楽しみにしてるよ」
あっ、そろそろ授業の時間だ。早めに教室に帰るとしよう。
「じゃあ、ボクは行くよ。頑張ってね」
「もちろんなのです!……あっ!最後に
「なに?」
「今回の『選抜デュエル大会』への、意気込みを教えてほしいのです!」
ふむ、意気込みかぁ…特に考えてなかったけど……それじゃあ、こう答えよう。
「打倒・
記文ちゃんにインタビュー・デュエルを挑まれてから、数日が経過した。
教室で端末をいじって
PDAのメニューを開くと、一通のメールが届いていた。どうやら全校生徒に一斉送信された物のようだ。学園からのお知らせだろうか。
メールのアイコンを指先でタップすると、内容が画面いっぱいに表示された。
「……あぁ、そっか。これって…」
それは学園の新聞部が配信した、例の『選抜試験』に関する記事だった。
タイトルは『第××回・選抜デュエル大会!!注目株に、突撃インタビューをしてみた!!』と、大々的に書かれている。
先日、記文ちゃんが言っていたヤツだ。
文面には、生徒達の
きっと、この中の何割かは、あの記文ちゃんのインタビュー・デュエルを受けたんだろう。
凶悪な【ウィジャ盤】コンボに、さぞ苦しめられたに違いない。
マジでか!本当に載っちゃってるよ、ボク!まさかの新聞デビューだ!
ちょっとドキドキしながら、自分の欄を拝読してみる。
『
ジャルダン校に
その卓越した予測不可能な
打倒・
…………
まぁこれだけの人数を特集してたら、
ボクは別に問題ないけどね。載せてくれた事に感謝しなきゃ。
(…そう言えば、アマネやルイくんに九頭竜くん、あと、カナメは載ってるかな?)
仲の良い友達や、知り合いの記事を探して、PDAの画面に夢中で指を走らせる。
選抜デュエル大会か……せっかく参加するなら、とことん楽しまないとね!
Q・インタビュー・デュエルって?
A・奴をデュエルで取材せよ!
まるで意味が分からんぞ!!