遊戯王 INNOCENCE - Si Vis Pacem Para Bellum - 作:箱庭の猫
運命の二人……もとい、宿命のライバル対決、決着です!
『コレはとんでもない事が起きてしまったぁ~~~っ!! これまで
カナメ
九頭竜
【ABC-ドラゴン・バスター】 攻撃力 3000
【
九頭竜くんの【リボルバー・ドラゴン】に次ぐ新たな切り札 ── 【ABC-ドラゴン・バスター】の
今まで誰が相手だろうと、顔色ひとつ変えず、余裕の表情で勝ち続けてきた、あのカナメがだ。
そしてカナメの対戦者にして、彼の膝を折った張本人こと九頭竜くんは、そんなカナメを見下ろすと……
「………くっ……ククッ! ── ハハハハハハハハッ!!」
心の底から愉快そうに、大口を開けて笑い出した。言っちゃ悪いけど……あんなに凶暴な笑顔は初めて見た……!
「
「…………」
九頭竜くんが笑いたくなるのも無理はない。彼は2体の最上級モンスターを従え、ライフポイントもカナメの3倍以上。
オマケに手札もまだ2枚あるから、1枚だけでも残しておけば、手札コストと引き換えに相手ターン中にもカードを除外できる【ABC】の効果を、次のカナメのターンで確実に発動可能。
対してカナメはモンスターも場に居なければ手札も
これってもしかして……もしかしちゃうの!?
「ヒュー♪ こりゃスゲぇ。やるねぇ、キョーゴのヤツ」
ボクと一緒に観戦している、髪色がアッシュグレーで両耳にトランプのピアスを付けた二枚目 ──
「……ねぇ、狼城くん」
「ん?」
「カナメ……負けちゃうと思う?」
「なんでぇ、見守る彼女みてーに心配そうな
「そ、そりゃあ、まぁ……カナメにリベンジしたくて、ここまで来たんだし……」
ボクは頭の後ろを軽く
「ほぉ~? つまりオレぁ眼中にねぇと」
「あっ、ち、違うよ!? そういう意味じゃなくて!」
「ハハッ、わぁってるって、ジョーダンだよ。……まっ、どうなっかはオレにも分かんねっけどよ、このまますんなり
「………」
舞台に視線を戻すと、ずっと
「………素晴らしい……」
「あ?」
「この痛みだ……この痛みこそが俺を本気にさせる……! フッ……フフフ……ハハハハッ……!」
そして……ゆっくりと身体を、左右にフラフラ揺らしながら立ち上がった。すると ──
「 ── ハハッ、ハハハハッ! フハハハハハハハッ!! 素晴らしいッ!! 素晴らしいぞ九頭竜ゥッ!!」
「っ!?」
こ、今度はカナメまで笑い始めた!?
天井を
数秒後、それが止まったかと思うと、カナメは息を大きく吸って首をガクンと下げ、九頭竜くんに顔を向けた。
……その表情は口角が吊り上がり、目はこれでもかと言うくらい見開かれて、ゾッとするほど
「そうだコレだァッ!! この全身が焼けつく様な、極限の勝負ッ!! これこそ俺が待ち望んでいた
……カナメって、あんな笑い方もするんだね……ちょっと、というか……かなりビックリしたよ。
「どんな気分だと
「……チッ! ふざけた野郎だ……。何を
「フフフッ、九頭竜……! 俺のフィールドを、よく見てみろ!」
「!?」
ボクは一瞬、自分の目を疑った。
さっきまで九頭竜くんのフィールドにいた筈の【ABC】が……
いつの間にか ── カナメのフィールドに瞬間移動していたんだ。
【ABC-ドラゴン・バスター】 攻撃力 3000
「なっ……バカな!? なんで俺の【ABC】が、てめぇの場に居やがる!?」
「
「てめぇ……っ!」
『よ、鷹山選手、九頭竜選手のモンスターを壁とする事で追撃を防いだァーッ!』
3体のユニオンモンスターを合体させて融合召喚した【ABC】には、逆に分解して元の3体に戻れる第2の効果があったけど、それを使えるのは相手ターンだけ。
コントローラーである九頭竜くんのターン中なら、カナメのカード効果をサクリファイス・エスケープで回避する事はできない。
カナメはダイレクトアタックされるのを想定して、この
「……俺はこれで、ターン
「どうした九頭竜! もっと減らせ! もっと俺を
「うるせぇっ!! てめぇのターンだ、さっさとしやがれっ!!」
「フフフフッ……ここからが本当の
いきなりハイテンションになったカナメは、普段の彼からは想像もつかないほど
「俺は手札から
(野郎……こんな時に引きが冴えてやがる……!)
「まぁだだァッ!! 【マジック・プランター】発動ッ! 【連撃の帝王】を墓地へ送り、さらに2枚ドローするゥ!!」
「連続ドローだとっ!?」
「当然だ! 俺のデッキには、手札増強カードを大量に入れてあるのだからな!」
(クソッタレがっ……! あのクソガキと同じ様な真似しやがって!)
『なんと恐るべき引きの強さ! 鷹山選手、
「さて、手札の補強は済んだ……。 ── 始めようか九頭竜ッ!!」
「!」
「手札から速攻魔法・【帝王の
「なにっ!?」
「俺はお前の【可変機獣 ガンナードラゴン】をリリースし! 【
【風帝ライザー】 攻撃力 2400
「【ライザー】の効果発動! 召喚に成功した場合、フィールドのカード1枚をデッキの一番上に戻す! 俺が戻すのは……【ABC-ドラゴン・バスター】!!」
「!?」
「だが! 融合モンスターはメインデッキには戻らず、エクストラデッキに戻る! 『バウンス・ウィンド』!!」
【風帝ライザー】の起こした突風に煽られて、カナメのコントロール
どうして【ABC】をリリースしなかったんだろう? ボクはその疑問を口に出す。
「わざわざ九頭竜くんのエクストラデッキに戻すなんて……あんな事して何の意味が ──」
「分かんねーのかセツナ君よぉ? これで、もっぺん【ABC】を召喚すんには、また1から素材を揃えなきゃいけなくなったんだぜ」
「あっ……!」
「 ── が、肝心の素材モンスターは、とっくに3体とも除外しちまってる。……まっ、【異次元からの
……【ABC】は、ほぼ封じられたも同然……!
あれだけ感情的になってても、カナメの冷静な判断力は健在ってわけだね。
「さらに俺は【真源の帝王】の効果を発動! 墓地の【連撃の帝王】と【帝王の烈旋】をデッキに戻し、1枚ドローする!」
これでカナメはこの1ターンで、通常のドローと合わせて7枚もカードを引いた事になる。
「【命削りの宝札】を使ったターン、お前にダメージは与えられない。俺はカードを1枚伏せ……永続魔法・【アドバンス・フォース】を発動してターンエンド! エンドフェイズに【命削りの宝札】の代償として、手札を全て捨てる」
最後に1枚だけ残った手札を墓地へ送って、カナメのターンは終了した。
「さぁ九頭竜! お前のターンだッ!」
「ケッ、言われるまでもねぇよ! 俺のターン!」
( ── ! ククッ、分かってんじゃねぇか、俺のデッキよぉ)
「【強欲で貪欲な壺】を発動! デッキの上から裏側で10枚カードを除外し、2枚ドローだ!」
『あぁーっとッ! 九頭竜選手も負けじと手札を4枚に増やしたぁ!』
「俺がてめぇに遅れを取るなんざ有り得ねぇんだよっ!! 手札から【シャッフル・リボーン】発動! 復活しろ ── 【ガンナードラゴン】!」
【可変機獣 ガンナードラゴン】 攻撃力 2800
「まだだっ! 墓地の【シャッフル・リボーン】を除外して効果発動! 俺はフィールドの【前線基地】をデッキに戻し、もう1枚ドローするぜ!」
(……よし、来やがったな。次はお前の番だ!)
「行くぜ、バトルだ! 【ガンナードラゴン】で【風帝ライザー】を攻撃!」
「くくくっ、そうだ! その調子だ!」
【ガンナードラゴン】は頭部と車体の砲身から、計4発の砲弾を射出した。
半分は【風帝ライザー】に被弾し、もう半分は超過ダメージとしてカナメを狙う。
だけど標的となったカナメは身を
「ハハハハハハハッ!!」
う、撃たれながら笑ってる……!
カナメ LP 1000 → 600
「さらに
【リボルバー・ドラゴン】 攻撃力 2600
── ! この流れは……ボクと
『出たァァーッ!! 九頭竜選手を象徴するエースモンスター・【リボルバー・ドラゴン】ッ!! 【シャッフル・リボーン】の効果でエンドフェイズに除外されてしまう【ガンナードラゴン】を、更なる上級モンスター召喚の布石にするとは、なんという高度なタクティクス! さすがIQ200は伊達じゃないッ!』
「【リボルバー・ドラゴン】か……フフフッ。やはりお前と言えば、そのモンスターだな」
「俺はターンエンドだ。除外した【シャッフル・リボーン】の効果で、手札を1枚除外する」
スゴい……なんて高次元な闘いだ……! 一瞬でも
だと言うのに……いや、だからこそか。
「フフフフフフッ、ハハハハハハッ!! アーッハハハハハッ!!」
カナメは、今が幸せの絶頂と言わんばかりに、また半狂乱で笑い声を上げた。
(
「俺のタァ"ーンッ!!」
(
「リバースカード・オープンッ! 永続
【始源の帝王】 守備力 2400
「【アドバンス・フォース】の効果により、レベル7以上のモンスターをアドバンス召喚する場合、レベル5以上のモンスター1体をリリースして召喚できる!」
「チッ! レベル8の【
「その通りッ! 俺はレベル6の【始源の帝王】をリリースし ── 現れるがいいッ! 【
【烈風帝ライザー】 攻撃力 2800
どこからともなく吹き込んだ強風と共に現れたのは ── 風の帝王、その最上位。
「アドバンス召喚に成功した事で、【烈風帝ライザー】のモンスター効果発動ォ! フィールドのカード1枚と、自分または相手の墓地のカード1枚を、好きな順番でデッキの上に戻す! 俺が戻すのは ── お前の場の【リボルバー・ドラゴン】と、俺の墓地にある【マジック・プランター】!」
「っ!」
「『リジェクション・ウィンド』!!」
【ABC】の時と同様、【リボルバー・ドラゴン】も暴風に巻き込まれてフィールドから消し飛ぶ。
そして九頭竜くんとカナメは、【烈風帝ライザー】の効果対象となった自分のカードを、それぞれのデッキの一番上に戻した。
『なんとっ!? これで九頭竜選手の場は、ガラ空きだぁーっ!!』
「ぐっ……!」
「バトルだァッ!! 俺の渇きを受けてみろ九頭竜ッ! 【烈風帝ライザー】で、ダイレクトアタックッ!!」
次に【烈風帝ライザー】は、自分の身体に烈風を
「吹き
九頭竜くんの手前の床に激突した【烈風帝ライザー】。硬い盤面をも
「ガァァァァァッ!!」
九頭竜 LP 3500 → 700
『九頭竜選手に
「 ── っ!!」
そのままステージ上に背中から叩きつけられる ── かと思いきや……
「くっ!」
九頭竜くんは、空中で体勢を立て直して見事に着地し、
そして直後 ──
「…………勝負が見えただぁ……?」
怒りの
「ナメんじゃ……ねぇぞぉォォォオッ!!」
「!」
『ヒィッ!?』
「
激昂しながら九頭竜くんが発動したのは、後攻1ターン目にセットしていた伏せカード。
「手札を1枚捨て、俺が受けた戦闘ダメージ ── 2800以下の攻撃力のモンスターを、デッキから特殊召喚っ! 出やがれぇぇぇっ!! 【デスペラード・リボルバー・ドラゴン】!!」
【デスペラード・リボルバー・ドラゴン】 攻撃力 2800
『お……おぉーっとぉ! 九頭竜選手、やはり転んでもタダでは起きないッ! またもや鷹山選手に対抗するかの様に、こちらも【リボルバー・ドラゴン】の進化版である、【デスペラード・リボルバー・ドラゴン】を召喚したァァーッ!!』
マック伊東さんの
「しかも、そんだけじゃねーぜ?」
と、付け加えた。
「 ── デッキからモンスターを召喚した事で、俺はデッキをシャッフルさせてもらう!」
「っ! ほう……!」
『う、上手いっ!! これで次のドローカードは分からなくなった!』
なるほど~! 器用な
「言ったろうが鷹山っ! 俺がてめぇに遅れを取るなんざ、有り得ねぇってよぉっ!!」
「フフフッ、そうでなくてはッ……本当に最高だよ、お前は……!」
「【デスペラード】の効果発動! 『ロシアン・ルーレット』!!」
【デスペラード・リボルバー・ドラゴン】は、頭と両腕の
ルーレットの結果は……九頭竜くんの
「 ── ルーレットは、3つ全て
「なんと……っ!」
「【烈風帝ライザー】を撃ち殺せっ!!」
1発の銃弾が、【烈風帝ライザー】を貫く。
【ガトリング・ドラゴン】とは違い、当たった数『まで』表側表示モンスターを選んで破壊する効果なので、3つヒットしても破壊は1体だけで
「ハッ、他愛もねぇ! 【デスペラード】のルーレットが3つ全て当たった時、俺は1枚ドローできる!」
「この局面で……さすがだな。俺はターンエンドだ」
『ま、またまた形勢逆転ーッ!? しかも! 鷹山選手の場にはモンスターも伏せカードも無い! これでは次の九頭竜選手の攻撃を止める事は不可能っ! ま、まさか!? ついに鷹山選手の無敗神話が、今日ここで打ち破られてしまうと言うのかぁぁぁっ!?』
「俺のターンッ!! ── 終わりだな、鷹山ッ!!」
「……!」
「バトルだ! 【デスペラード・リボルバー・ドラゴン】で、鷹山にダイレクトアタック!! 『ガン・キャノン・フルバースト』!!」
【デスペラード】の銃口が全てカナメに向けられ、一斉に引き金が引かれようとした ── まさにその寸前。
「 ── 墓地から【光の護封霊剣】を除外し、効果発動! お前はこのターン、ダイレクトアタックできない!」
「なっ!?」
アレは
「っ……【命削りの宝札】で捨てたカードか……俺はカードを2枚伏せる!」
(俺が伏せた1枚目は【スクランブル・ユニオン】。こいつを使えば、次の俺のターンで【ABC】に繋げられる!)
「ずいぶんと手こずらせてくれやがったが……そろそろ
(あと少しだ……あと少しで! 俺の弾丸が奴の心臓に届くッ!!)
「ターンエンドだっ!!」
このターンは外したけれど、まだ九頭竜くんはカナメを十分、射程圏内に捉えてる。再び九頭竜くんのリーチだ。
「……俺のターン、ドロー。 ── 再び【マジック・プランター】を発動。【真源の帝王】を墓地へ送り、新たに2枚ドローする」
そう言えば【烈風帝ライザー】の効果で墓地から戻してたね。
カナメは何を引いたのか。果たしてあの2枚で逆転できるのか……
この場で二人の
「………フゥ……残念だ。もう少し愉しみたかったのに」
「あぁ? どういう意味だ」
「 ── 惜しかったな、九頭竜」
「なにっ!?」
そ、それって……まさか勝利宣言!?
静まり返っていた観客席に、期待の込められた歓声が広がっていく。
「お前は前のターンで、俺を撃ち殺すべきだったんだ。残念だが……今回もあと一歩、及ばなかったな」
「っ……!」
(ケッ!
「行くぞ九頭竜……ラストターンだっ!! 俺は墓地に送った【真源の帝王】の効果を発動! 墓地から【帝王】と名のつく魔法・
【真源の帝王】 守備力 2400
「そして【真源の帝王】をリリースし ── ……あぁ、実に
(野郎っ、一体……何を出す気だっ!?)
カナメは、召喚の手を止めて閉じていた瞳を……
── 意を決した様に
「現れろ ── 【
突如カナメのフィールドに黒く
【邪帝ガイウス】 攻撃力 2400
「【ガイウス】の効果発動! 召喚時、フィールドのカード1枚を除外する! 俺は【デスペラード・リボルバー・ドラゴン】を除外!!」
「!?」
「【エクスクルージョン・ダーク】!!」
【邪帝ガイウス】が手の平で生成した漆黒の球体を、【デスペラード・リボルバー・ドラゴン】に投げ放つと、【デスペラード】はそれに吸い込まれてしまった。
「俺の【デスペラード】がっ!?」
(くそっ……だが、まだだっ! 奴が攻撃してくれば ──)
「【邪帝ガイウス】の更なる効果! 除外したカードが闇属性モンスターだった場合、相手に1000ポイントのダメージを与える!!」
「なっ……なんだとぉっ!?」
続けて【ガイウス】は両手の間に再度、球状の黒いエネルギーの塊を作り出した。
九頭竜くんのライフは700。1000ポイントものダメージを食らったら……!
(ふざけんな……! ここまで……ここまで来て……! まだ俺は鷹山に届かねぇってのかっ!?)
「〝王手〟だ……九頭竜ッ!!」
【ガイウス】の
「ぐああああああああっ!!!」
九頭竜 LP 0
「鷹山っ……てめぇぇぇぇっ……!!」
「……最高に愉しい
………学園〝最凶〟と、学園〝最強〟。
二人にとっての最後の頂上決戦は……こうして、突然の結末を迎えた ──
『 ── け……けっ、決着ゥゥーーーッ!! ウィナー! 鷹山 要ッ!! 壮絶な死闘の末に勝利をもぎ取ったのは、学園〝最凶〟!! 鷹山選手だァァァァッ!!』
勝者の名が
そんな中、試合が終わって普段の落ち着いた表情に戻ったカナメは、九頭竜くんとの距離を半分ほどまで縮め、言葉をかける。
「………九頭竜……この最後のアリーナ・カップで、お前と闘えて良かった」
カナメの声かけに、九頭竜くんは膝を突いたまま……何も答えない。
「……改めて礼を言う。そして……さよならだ、九頭竜」
言いたい事は全て言い終えたのか、カナメは九頭竜くんに背を向け、立ち去ろうとした。
でも、その時 ──
「 ── 待ちやがれっ!!」
「!」
九頭竜くんがカナメをいきなり呼び止めた。その声量に圧倒されてか、興奮していた観客達も、ピタリと押し黙る。
「……てめぇ……まさかこんなところで終わりだと思ってねぇだろうな……!」
九頭竜くんは、ゆっくりと立ち上がりながら、こう続ける。
「次は……世界だっ!! 次はプロリーグで俺と闘えっ!!
「………」
「逃げられると思うなよ……! どこまでも追い続けてやる! 次こそてめぇに……勝つ!!」
あと一歩のところで逆転負けさせられて、心がポッキリ折れてもおかしくない筈なのに……
九頭竜くんは落ち込むどころか、すぐさま立ち直って、カナメにリベンジの意志を
彼の決意表明を受けてカナメは ──
「……良いだろう。それでこそ、俺が初めて
そう、どこか嬉しそうに微笑みながら言葉を返して、舞台を降りていった。
すると観客席のどこかから、誰かがパチパチと手を打ち鳴らす音が耳に入り……
それをきっかけに他の観客も、一人また一人と手を叩き始め、間もなくこの場内で今の試合を見届けた、ほぼ全ての人達に
もちろんボクも二人の健闘への惜しみない賛辞を込めて、拍手を送る。
「……スゴい
「あぁ……良いモン観さしてもらったわ」
本当……名勝負と言って過言じゃない、素晴らしい
互いに一歩も譲らず、ターン毎に戦況の
観てるこっちまで緊張して、手に汗握りっぱなしだったし、
次に続くボク達の試合の前に、良い刺激を貰えたよ。
「にしても、次は世界で勝負か……九頭竜くんの執念も相当だねぇ。何がそうさせるんだろ……」
「……昔、誰が言ったか忘れたけどよ……こんな話を聞いたぜ」
「ん?」
「
「進化する……天才?」
「いつか、限界まで進化したキョーゴがカナメと
「……!」
「まっ、オレにゃあ関係ねーけど。行こうぜセツナ君。そろそろ戻んねーと、スタッフにどやされちまう」
「……うん……そうだね」
控え室へ戻っていく狼城くんにボクもついていき、まだ歓声の止まない会場を、ひとまず後にした。
── 準決勝か……いよいよカナメの待つ決勝戦まで、あと1マスだ!
だが奴は……弾けた。
帝王、ご乱心の回になってしまいました(笑)いつか「グォレンダァ!!」とか言わせてみたいけど無理だろうなぁ。
下書きの段階ではカナメのライフが残り100の鉄壁まで減らせたんですが、それだと色々と不自然だったりミスが発覚したので、試行錯誤の末、この形で決着と相成りました。
回を重ねる毎にデュエルシーンが難しくなってきてる気がするお……( ´ω`)
ではまた次回!