遊戯王 INNOCENCE - Si Vis Pacem Para Bellum - 作:箱庭の猫
珍しくスラスラ書けました! ただ、いつもより4000字ほど短いです(´・ω・`)
カナメ
【
【
【六武衆-ニサシ】 攻撃力 1400
【
『これは開始早々とんでもない事が起きてしまったァァーッ!! 今大会、予選から全ての試合を、無傷のパーフェクトゲームで勝ち抜いてきた〝学園最凶〟・
マイクを握り締めたMC・マック伊東さんの、興奮で
カナメが
それは会場に集まった観客を、一人残らず驚愕させるには充分過ぎるほどの、衝撃的な一大事だった。
だけども……控え室でボク達が中継映像を介して観ている、熱狂渦巻く場内の
「………」
何せ── さっき【六武衆-ヤリザ】の
「……いつ以来だろうな。九頭竜以外に、俺に傷を負わせた
冷たいながらもどこか
テレビ画面越しですらゾッと
「……アカンなぁ……眠れる
「どうした? もう終わりか?」
「……終わりに決まっとるがな。ワイは
高い守備力の
「では俺のターン、ドロー。……せっかく
「ッ……!」
相手の攻撃に合わせて【始源の帝王】を発動……ここまでは昨日の大間くんとの試合と同じ流れだ。
火のついたカナメは、ここからどう動くのか……
「── 俺は手札より
「なんや、ワイが決めてエエんか?」
「俺が見せるのは……この3枚だ」
【帝王の
【帝王の
【帝王の
「さぁ、好きなカードを選べ」
「……またやらしいカードばっか持ってくるやんけ」
(さぁ~て、どないしよか。まず【烈旋】はナシやな。こっちのモンスターをリリースされるとか冗談やないで。それに【凍志】も……昨日の試合観とった感じやと、使われたらメンドーそうやな。となると消去法で……)
「── ワイは【帝王の開岩】を選ぶで!」
「良いだろう。残りの2枚はデッキに戻す」
これでカナメの手札は4枚。
「俺は手札に加えた永続魔法・【帝王の
【地帝グランマーグ】 攻撃力 2400
これは……新しい【
「ここで【帝王の開岩】の効果発動。アドバンス召喚に成功した時、1ターンに一度、そのモンスターとカード名が異なる攻撃力2400、守備力1000、または攻撃力2800、守備力1000のモンスター1枚を、デッキから手札に加える。俺は……【
「【グランマーグ】の進化形かいな……!」
「まだだ。【地帝グランマーグ】をアドバンス召喚した場合、セットされたカード1枚を破壊する。俺は、お前が伏せた左の伏せカードを破壊」
【地帝グランマーグ】はどこからともなく大岩を出現させ、それを手も触れずに
(っ……! 【六武衆
「なんだ、ただの蘇生カードか、当てが外れたな。── まぁいい、バトルだ。【グランマーグ】で【六武衆-ヤリザ】を攻撃。『バスター・ロック』」
再び大砲の弾の様にして発射された岩石が、【ヤリザ】を直撃する。
「ぐおわっ!?」
豹堂 LP 4000 → 2600
「ターンエンド」
「っ……ウッハハッ、参るでホンマ。もうちょい優しくしてやぁ?」
『きょ、強烈な鷹山選手の反撃ィーッ!! あっという間に主導権を握ったァーッ!』
これがカナメの本気……!
上級モンスターの【グランマーグ】を従え、手札には【帝王の開岩】でサーチした最上級モンスターまで控えている。
豹堂くんの場のモンスターでは太刀打ちできない。戦力の差は歴然だ。
「……ワイのターンやな……」
(ワイが伏せとる【六武派二刀流】……こいつさえ使えれば旦那のカードを手札に戻せるっちゅうのに、【家臣トークン】がおるせいで発動条件が満たされへん……ホンッマ邪魔やでこいつ!)
「まっ……たられば言っとってもしゃーない。ドローしてから考えるわッ!」
(──!)
「……ウハハ。ええところに来おったで、── 『大将』!」
その時── 豹堂くんが歯を剥いて笑みを深め、
「待たせたなぁ鷹山の旦那。お望み通り……こっから愉しませたるで!」
「……ほう?」
「ワイは【六武衆-イロウ】を召喚!」
【六武衆-イロウ】 攻撃力 1700
「ほんで手札から速攻魔法・【六武ノ書】を発動や! 【ニサシ】と【イロウ】をリリースして── デッキから【大将軍
二人のサムライの魂を受け継いで新たに戦場へ現れたのは、真っ赤な
【大将軍 紫炎】 攻撃力 2500
「攻撃力2500……それがお前のエースモンスターか」
「せや、カッコええやろ? 旦那の【帝王】とワイの【サムライ】、一騎討ちと行こうやないか! 【紫炎】で【グランマーグ】を攻撃! 『
「っ……!」
「【紫炎】の刀に斬れぬもの無しや。敵将、討ち取ったり!」
カナメ LP 3000 → 2900
「どうや、ちっとは愉しめたか? ワイは【家臣トークン】を守備表示にしてターンエンドや」
【家臣トークン】 守備力 1000
『豹堂選手、すぐさま巻き返したァァーッ!! これでまだまだ勝負は分からなくなったぞぉ~ッ! 果たして
スゴいや豹堂くん。あのカナメと、互角に渡り合ってる……!
こうなるとカナメの手札にある【剛地帝グランマーグ】は死に札になりかねない。何もできなければ、ジリ貧で追い込まれる事になる。
どうする、カナメ……?
「……俺のターン」
「過ぎてもうたなぁ? 5ターン」
「……フッ……そうだな」
カナメは「ドロー」と宣言して、デッキからカードを引く。
「お前を
「!?」
「忘れたのか? 俺の手札には、【地帝グランマーグ】を超える、最上級の【
「── っ! ……何を言うとんねん。フィールドもガラ空きで、どうやって【剛地帝】を呼び出すっちゅうんや。言っとくが【紫炎】が表側表示である限り、旦那は1ターンに一度しか、魔法・
豹堂くんの言う通りだ。カナメの場にモンスターは
「教えてやろう。── 俺は手札より装備魔法・【
【地帝グランマーグ】 守備力 1000
「そして【再臨の帝王】を装備したモンスターは、1体で2体分のリリースとして扱える」
「なんやとっ!?」
予想だにしない手を打たれて、とうとう豹堂くんの笑顔が崩れた。
「【地帝グランマーグ】をリリースし、現れろ── 【剛地帝グランマーグ】」
【剛地帝グランマーグ】 攻撃力 2800
『でででで、でかぁぁーーーいッ!? なんだこの巨人わぁーっ!?』
「【剛地帝グランマーグ】の効果発動。アドバンス召喚に成功した場合、フィールドにセットされたカードを2枚まで破壊する。俺は、お前の場の伏せカード2枚を破壊」
「っ!」
豹堂くんの伏せカードが全て破壊された。
セットしていたのは
「さらに地属性をリリースしてアドバンス召喚した場合、カードを1枚ドローできる。── 俺は今ドローした【地帝家臣ランドロープ】の効果を、【大将軍 紫炎】を対象に発動。このモンスターを特殊召喚する」
【地帝家臣ランドロープ】 守備力 1000
「そして【紫炎】を、裏側守備表示に変更する」
「なっ……!?」
【紫炎】の姿が消失し、カードを裏返して横向きに伏せた状態にさせられた。
「これで俺は新たな魔法・
「ぐっ……!」
「手札から【シールドクラッシュ】を発動。【家臣トークン】を破壊する」
「どわっ!」
(し、【紫炎】やのうてトークンを破壊やと……!?)
「これで終わりにしてやる。
「2回やとっ!? そんなんアリかっ!?」
カナメはこの
「バトル。【剛地帝グランマーグ】で、セットモンスターを攻撃。『バレッジ・ロック』」
【剛地帝グランマーグ】は地鳴りを起こしながらいくつもの岩石を浮遊させ、一斉に射出した。単純に【地帝グランマーグ】の攻撃よりも
セットされていた【紫炎】が反転して再び姿を現すも、直後に落石の下敷きになってしまう。
「うおおおっ!?」
『す、凄まじい破壊力だァァーッ!! 豹堂選手のフィールドが、完全に
「トークンを攻撃しても良かったが、帝王が家臣を手にかけるのもどうかと思ってな。それにエースモンスター同士を闘わせた方が映えるだろう?」
「い、意外なとこで気が回るやんけ……」
「続けて【グランマーグ】で2回目の攻撃。──
【グランマーグ】は今度は自身の足で、敵陣への進撃を開始した。
一歩踏み出す
やがて【グランマーグ】は、豹堂くんを足下に見下ろせる距離まで接近すると、片腕をゆっくりと掲げて……
「〝王手〟だ、豹堂。この俺に二度も傷をつけたこと……
「っ……!!」
── その巨大な
ボクは思わず「うわっ」と言いながら目を
……
そこには【グランマーグ】の平手でペシャンコにされた豹堂くんが、大の字で伸びていた。
豹堂 LP 0
『決着ゥゥーーーッ!! ウィナー・鷹山 要ッ!! 連続ノーダメージ記録は途絶えたが、やはり今回も学園最凶の快勝で幕を閉じたァァーッ!!』
決着を迎えて観客が沸き返る中、カナメはいつもの様に、
かと思いきや。
「立てるか?」
豹堂くんに歩み寄り、手を差し伸べていた。
「……! ……意外やなぁ……旦那は負かした奴なんか目もくれんと思うとったんやけど」
「なに、愉しませてもらった礼だ」
「……ウハハ。学園最凶にそこまでしてもらえるなんて光栄や。── おおきにな」
豹堂くんはヘラリとした笑顔に戻り、カナメの手を取って立ち上がった。観客からは万雷の拍手が二人に送られる。
今日はカナメの意外な一面がたくさん見れて、何だか新鮮だったな。
「結局、カナメの勝ちかぁ~」
ボクはカナメの座っていたソファーに、背中を預けて呟いた。
「でも、あのカナメちゃんに2回も攻撃を通せたのはスゴいわよねぇ。── 先を越されちゃったわね、キョーゴちゃん?」
「ケッ、んなこたぁどうでもいいんだよ。
「……フフッ……そう?」
ヨウカちゃんが目を細めて妖しく笑う。
九頭竜くんの今の発言は、
本当にカナメ以外眼中にないって感じだね。でもヨウカちゃんだって腕は確かだ。その自信が命取りにならなければ良いけれど。
── しばらくして、勝ち上がったカナメが控え室に戻ってきた。
「あれ? お帰りカナメ。てっきりもう帰ったのかと」
「少し用があってな。── 九頭竜」
「あ?」
「準決勝で待っているぞ」
「……!」
「それだけ言いに来た。では、失礼する」
用件を済ませるとカナメは、扉を閉めて帰っていった。
「だとさ」
「……ふざけた野郎だ。言われるまでもねぇよ」
……カナメ、わざわざ九頭竜くんを焚き付ける為に戻ってきたのかな?
「よっぽど楽しみみたいね、カナメちゃんも。ムサシちゃんとの
「そうなの?」
「でもねキョーゴちゃん。
「黙ってろオカマ野郎。邪魔する奴は撃ち殺す」
九頭竜くんとヨウカちゃんが火花を散らす。
数分後に始まる自分達の試合に向けて、互いにボルテージを高め合っているのが見て取れる。
学園最凶の次は学園最強か。
ヨウカちゃんとどんな
狼城「今回オレのセリフ3文字だけかよ……」
アマネ「私とマキちゃんなんて一言も喋ってないんですけど」