ここは火星。
5年前に鉄華団が火星独立を宣言し、今や一つの国として認識されている土地である。
一大レアメタル輸出国として地球の経済に一枚噛む程の存在となって久しい。
そんな鉄華団の日常をワタシの感覚で捉えた皆を通じて見て貰おう。
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まずは鉄華団の本部。
ここにはオルガさん、ビスケットさん、ユージンさん主要メンバーと手伝いの元年少組が居る。
クリュセで行われる火星独立5周年記念の行事について話し合っている。
食料保管庫を経由して外に出ると、お母さんと三日月さんが居た。
目線の先を追えばハシュ丸と紫電三機が模擬戦をしている。
「お、ビオランテじゃん。元気?」
「おはよ」
二人から声を掛けられたので触手を振って返す。
三日月さんは最初に会った時から随分背が伸びたと思う。
記憶と照合……うん、伸びてる。
オルガさんには届かないけど、小さいという印象は完全に無くなってるね。
その反面お母さんは……
「シン、そろそろ野菜も届け終わったし帰ろう」
「了解です!……っと……何でお姫様抱っこ!?」
「アトラがこういうの女の子は憧れるって言ってたから」
自然な流れでお姫様抱っこされていた。
まぁ身長はほぼ伸びずお陰で今だに子供扱いされる人だ。
昔はキレて人類滅ぼそうとしてたのが今ではただの恋する女の子。
そう考えると三日月さんって然り気無く人類救ってたのでは……?
つらつらと考えていると二人とも騒ぎつつ車に乗ってしまったのでワタシも別の場所へと向かう事にした。
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やってきたのはガレージ。
バルバトスを除く鉄華団のモビルスーツがここにはしまわれている。
「あ、ビオランテ。誰か探してる?」
ヤマギさんに話し掛けられた。
特に探している訳ではないので触手と鳴き声を駆使して伝える。
「分かったよ。ただ重いものが落ちてくるかもしれないから注意してね」
通じた。
皆第二形態だったお母さんと接してた経験が有るからかワタシの身ぶり手振りでも何となく伝わるのでありがたい。
「よう!ヤマギ!次は俺の流星号だ!準備しとけ!」
シノさんも来た。
「おうビオランテじゃねぇか!俺の流星号と模擬戦してみねぇか?」
え、いいの?
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「いやー参った参った!スーパーギャラクシーキャノン無しの素手喧嘩で互角とはな!」
「整備するこっちの身にもなってよシノ……」
接戦だった。結構本気の植獣形態で戦ったんだけど、上手いこと流星号の変形を切り替えて此方の触手を避けきるとは……
最後はがっつり組み合って押し合いへし合いの力勝負。
向こうがダインスレイヴ使えてたら負けてたと思う。
「悪かったって!お返しは……そうだな……」
シノさんがヤマギさんに耳うちする。
「ばっ、まだ演習が終わった午前中に何言ってるのさ!?」
「いいじゃねぇか!なぁビオランテ!」
……お母さん譲りのこの高性能な耳め。
バッチリ聞こえていたので頷きつつそっとその場を離れた。
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とまぁこんな1日だったよ。と兄の凰華に話す。
【俺の主人のハッシュもなぁ……中々いい人が見つからないみたいで……】
(あれ?そうなの?何か意外)
【ザックとどっちが先に恋人出来るか勝負してるけどどうなるやら……】
(その点お母さんは……)
【結婚してんのに未だに恋人のまんまって感じだよな。まぁあの三人全員に言えるけど】
(態度に変化ないのは三日月さんだけだね)
【あの御方はもう流石としか】
エピローグです。
これにて終わり……と言いたいですが、思い付いたらまたエピソードを書き加えると思います。
ともあれここまで読んで下さった皆さんに最大限の感謝を。
ありがとうございました!