「団長!!襲われたって聞いたけど無事なの!?」
三日月農場で土を耕してたら本部からまさかの一報。
クリュセへ買い出しに出掛けていた団長達が謎の勢力に襲われたというのだ。
続きを聞く前に直ぐに三日月さんを抱えて飛んできたので抱きかかえてた三日月さんをまず下ろす。
「俺は無事だ。コイツのお陰でな」
見れば団長の背中にビオランテが乗っかっている。
「そいつクリュセの地下中に根を張ってるみたくてな、敵の銃弾を全て地中から飛び出してきた根っこが受け止めてくれたんだよ」
ユージンが追加で説明する。
「全員無事かー!良かった!!」
「オルガ、敵は分かってるの?」
喜ぶ俺とは対照的に三日月さんが冷静に尋ねる。
「あぁ、マクギリスから連絡が来てな。元ギャラルホルンのイオク・クジャンが留置場から脱走。……部下全員が手助けに走った結果らしい」
「イオク……ってあの無能か!!」
部下の人達……いくら前頭主の息子とはいえ全員イオク脱走に手を貸すとか何考えてるんだよ!?
「因みにその部下の人達は?」
「アザーが全員殺した」
「お、やるじゃん兄貴」
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《まぁな!!もっと誉めてもいいんだぜ?妹よ!!》
「虚空に向かって何叫んでるんだお前?」
《俺のゴジラレーダー改め妹レーダーだよ!!》
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「しかし、部下の人が居ないイオクに何が出来るんです?」
「その場に居たのはアザーが殺したがな、まだ奴には沢山味方がいる。襲ってきたヒットマンはその一味だ」
「けどさ、あいつバカじゃん。誰かが唆したんじゃ?」
その時ドアを開けて昭弘と腕を絡めたらラフタが入ってきた
「オルガ、マクマードさんから資料が送られてきたぞ」
「黒幕の情報だよー!」
受け取った資料を読む団長にユージンが尋ねる。
「オルガ、何て書いてあった?」
「……親父がついさっき俺の暗殺を依頼されたらしい」
「一体誰から……?」
暗殺と聞いて生半可な事態ではないとビスケットが次の言葉を急かす。
「ノブリス・ゴルドン。確か前にクーデリアを支援してた輩だ」
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「テイワズの長ももう年だな。新興の組織一つ潰せないとは」
ノブリスは先程の鉄華団団長暗殺計画を即座に拒否したマクマードを思い出していた。
ニュースを見た限り、鉄華団は団長オルガ・イツカという頭を潰せば簡単に落とせる。
故に腕利きのヒットマンを使えば、と提案したものの……
(所詮火星などという未開の地で御山の大将を気取る小物だったか……大局を見れないとはな)
ギャラルホルンが無い今、その最大の戦果を上げた鉄華団を潰せば世界は混沌に堕ちてゆく。
そして自身は更に私服を肥やし、いずれ世界を裏側から牛耳る存在に……。
「ノブリス様、面会の予約が入っています」
「何?今日は誰も来ないハズではないか?」
「それが緊急の要件だと……」
「知るか!突き返せ!」
そう怒鳴りつけたノブリス。
次の瞬間、
『シン、右側潰せばいいんだよね』
『はい!レーダー的に合ってます!』
《はいノックしてもしも~し!!》
轟音と共に屋敷の右半分がメイスによって叩き潰された。
「なっ…………!?」
消え去った自身の眼前の部屋からモビルスーツの双貌が此方を射抜く。
《はーい関係無い秘書のおねーさんは退避しましょー!》
赤青の全身タイツを着たふざけた格好の男が入って来るや否や秘書を捕まえて逃げていった。
「な、何だお前らは!?ここが誰の屋敷だと……!」
「俺を殺そうとした奴だっけなぁ……!」
モビルスーツのコックピットから一人の男が出て来た。
「な……!バカな!お前はオルガ・イツカ!?」
あり得ない。つい先程暗殺失敗の報を受けたのに何故?
《俺、最近第七形態に進化してね!空間弄って繋げるなんてお手のモンよ!!》
「味方だから頼もしいけど、絶対敵に回したくない能力だよね……」
《それだけはないから安心してくれよ!!俺はハッピーエンドが大好きだからな!!》
コックピットからの声にふざけた格好の男が返す。
しかし、待て。つまり……空間転移……だと?
そんな能力がもし有るのなら上手く利用すれば莫大な利益が
そこまで考えた所で銃弾が肩を撃ち抜いた。
「ぐぁぁぁぁぁああああ!!??」
突然の痛みに叫び声を上げる。
「……待て!なら取引をしないか!?そのふざけた格好の男の能力を使えば私達に莫大な利益が……!!」
銃声が鳴り響き今度は膝を撃たれた。
「があああああ!!!ごの青二才の若造が!!ぞごのお前!!私が有効利用してやるがらゾイヅを殺ぜ!!」
《やなこった~♪誰がお前につくかよ!》
また無言でオルガが弾を撃ち込む。
土手っ腹に空いた2つの穴をノブリスは土下座の様な格好になりながら押さえる。
「お前は俺の家族に手を出した」
近付き、そしてノブリスの髪を掴み引き上げた。
「あ゛、が……」
「鉄華団に手を出したのが運のつきだったな」
そして銃弾がノブリスの頭蓋を撃ち抜いた。
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《ハイ録画オーケー!!敵対する動きがあった所全部に今の送っときましたー!!》
「……待て、撮ってただと?」
今明かされる衝撃の真実ゥにオルガがアザーの方を振り返る。
《当然!これで此方に手を出そうとするバカは減るでしょう?》
「格好良かったよ。オルガ」
「そういう問題じゃねーんだがなぁ……」
実際団長の命令一つでモビルスーツという対抗不能な戦力が飛んでくるというのは相当な抑止力となり以降鉄華団に喧嘩を売る組織は殆ど居なくなったという。
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「そういやイオクはどうします?」
《下手に殺すと部下が煩いしどうするかな……》
そう考えてつつ火星に戻った数日後、嘗てのコネと元部下の人達の尽力で元ギャラルホルンの戦艦を強奪したイオク達が火星へ向けて出発したという連絡がマクギリスから寄せられた。
追加で乗っているのは全てイオクの元部下、共感した人達だけという情報が。
何やら騎士道精神?とかで元々乗っていた船員は無関係だとして全員降ろされたらしい。
……バカで助かったと言うべきか。
これで遠慮なく叩き潰せる事が出来るのではあるが。
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そして戦いが始まり、開幕早々イオクからいかに俺達が愚かな事をしてきたか、ラスタルへの忠誠心をまだ持ってる俺超格好いい、俺達を倒し次第地球へと戻りラスタルの意思を継いだギャラルホルンを再編すると言われたので……
俺のリアクターカノンで推進部を墜とし、出て来るモビルスーツはバルバトス、グシオン、筋肉号が片っ端から沈め、土手っ腹には流星号からのアルティメットギャラクシーキャノンが穴を開ける。
途中敵から通信が入るも全て罵倒と上から目線の降伏要求なので完全無視。
最後はアザーが召喚したソロモンを団長が操縦し艦橋ごと宇宙のゴミへと変えた。
因みに、この戦闘もアザーの独断により全世界放送されており、世界中にイオク家の醜聞はしっかりと伝わり後世にまで腐敗したギャラルホルンを語るには欠かせない存在になったのだった。
この戦闘をもって【火星独立戦争】は終わりを告げ、鉄華団は火星という国の王となるに至ったのである。
次回エピローグです。
……多分。