全機の機動性を上げるブースターを増設し、また阿頼耶識の最終調整を行った。
一応イサリビとホタルビに搭載しておいた隠し機能も確認しておく。
「……整備長、これ搭載したはいいけどエネルギーどうしましょう」
「あー……。シン君は?」
「俺は第五形態で前衛なので無理かもです」
「そうか……まぁネタ機能のようなモノだし頑丈になったと思えばいいんじゃないかな!!」
「そうですね!」
あの機構仕込んだので余計に頑丈になったのはまぁ計算外だったけど、まぁ使わなくても平気かな!
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シン達の整備も終わったとの報告を受けて全員を集める。
「皆、アザーからの報告で地球から大量のモビルアーマーが飛び立ったそうだ。それと一際大きい反応、例のモビルフォートレスとかって奴だろう」
アザーからの情報を元にした敵のデータを表示させる。
「今回の作戦はガンダムフレームが戦力の要だ。ミカ、シン、昭弘、昌弘、シノ、ヤマギ、マクギリスにガエリオ。お前らに掛かってる」
「任せて」というミカの言葉を聞きつつ(俺は?)という顔をしていたハッシュに話しかけた。
「ハッシュ、ラフタ、ジュリエッタは艦の護衛を頼む」
視線を向けた三人が頷くのを確認し、全員に顔を上げる。
「皆、これが最後で最大の戦いだ。気ィ引き締めて掛かるぞ!!」
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その後、皆で作戦を話し合い時間を過ごす。
艦の防衛は遠近こなせる流星号を新たに加えたりした。
整備グループは機体を完璧にする為にギリギリまで調整するべくガレージへと戻っていった。
ユージンと交代交代で艦長席に座って敵がレーダーの範囲に入るまで待つ。
タービンズのハンマーヘッドは兄貴から譲り受けて巨大な整備室としてシンが改造して連れてきている。
何度目かの交代で部屋へ仮眠を取りに向かっていると、通路の先に誰かが待っているのが見えた。
「アンタか」
「団長さん。少しお話をしてもよろしいでしょうか?」
「あぁ、いいぜ」
皆がドタバタと忙しない中、人気の無かった食堂へ入る。
席に座ると対面にフミタンが座ってきた。
「…………あの」
「おう」
「………………」
「………………?」
「……………………」
(……何か話せよ!?)
座ったきりフミタンが何も言わず俯いたままのでつい心の中で突っ込んでしまった。
「なぁ、どうしたんだ?体調でも悪いのか?」
「いえ、あの……もうすぐ敵との戦いが始まるのですよね」
「あぁ。正直アンタにアトラ、クーデリアが来るのは反対だったんだがな」
「……それは死ぬかもしれない戦場だからですか?」
「あぁ。アトラとクーデリアは反対してもどうせミカが心配で着いてきたと思うが、アンタが来るのは……お嬢様の護衛とは言え……」
「私はお嬢様の護衛でついてきたのではありませんよ」
「……?」
「私がついてきたのはお嬢様やアトラさんと同じ理由です」
「それは……鉄華団の中に誰か好きな人が「貴方です」」
……………………はい?
「この戦いで生きて帰れる保証がない以上ここで言っておきます。団長……いえ、オルガ・イツカ。私は貴方の事を愛しています」
「え、お、おぅ?」
「つまりこういう事です」
いやちょっと待てフミタンが俺の事を好き?いや確かによく話し掛けられたりして俺も少し気にしてたが、いや別に好きとかそういうのより家族として大事なのであってだな。彼女なんか鉄華団盛り立てるのに必死で作ろうとすら思ってなかったんだががががが
グルグル渦巻く思考の中席から立ち上がったフミタンが俺の襟首を掴んで顔を引き寄せ…………
~~~~~~~~あれ、俺は何を……
何か思考がオーバーヒートしていて纏まらないので適当に食堂に備え付けの冷蔵庫をあさりに行く。
……見た所食材が押し込まれていて飲み物が見当たらない。
辺りを見渡すと注意!と書かれた段ボールが有り、それを開けると沢山ジュースの缶が入っていた。
一つ取って蓋を開ける。
「ん、うまいなこりゃ」
後でミカに教えるかー……と考えながら喉が渇いていたので一気に中身を飲み干す。
(う~ん、まだ沢山あるしライド達の分はあるから平気だよな……)
「あー!全部飲んだのかよ団長!」というライドを想像し缶を半分残し残りをちびちびと飲んでいく。
(あー……頭がグルグルしてきた)
ふと幻聴が聴こえてくる。
「そういえばイサリビ魔改造してたって言ってたけど何したの?」
「あの、少し合体機能を……」
「合体?」
「そうです。ただ合体するにしても動力がなくてですね、完全にネタ機能なんですよ。ただその構造の方が頑丈なので……」
次第に声が遠ざかっていった。
(イサリビが変形?ハッ格好いいじゃねぇか。ユージンが喜びそうだな……)
そして意識が暗転し…………