《おーし全員集まったな?出発するぞー!!》
『シンゲツ君……これに乗るのに機体を降りる必要があるんだね?』
《?そうだけど?あと、アザーって呼んでくれ》
『……念願のバエルにやっと乗れたからもう少し乗っていたいんだが』
《子供かよ!?》
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「マッキー~~!!」
マクギリスの姿を認めた途端にアルミリアが抱きついた。
「おぉ、よしよし」
それを見たガエリオは首を振りつつ、
「全くアルミリアは……。ん、どうかしたか?ジュリエッタ」
「いえ……(ヴィダールの素顔……!)」
何の脈絡も無くヴィダールの素顔を見る事になり思った以上に整った顔をしていた事に固まるジュリエッタ。
《いきなり仮面を外したからだよ、そのくらい気付けって》
「ホッホッホ……(何が起きているのか誰か説明してくれないかのう……)」
「シ……アザーさん、この船は今火星に向かっているという事ですか?」
《あぁ、その辺説明まだだっけ。よーし皆一旦ちゅうもーく!!》
手を叩いて注目を集める。
《簡単に纏めると、ギャラルホルンのボスがロボット人間でした。総力戦で潰し合うので今火星の鉄華団に合流すべく向かってます……以上!》
「あの、ロボット人間とは文字通り?」
石動が問い掛けてくる。
《俺が三百年前に戦ったモビルアーマーのAIの生き残りだね》
「三百年と言ったが、お前さんは何者じゃ?」
《俺は門択真月、詳しく話すと長くなるんだけど……まぁ時間があるから全てを話そうか》
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「やぁ、アザー君」
《マクギリス》
皆が布団にくるまって眠る船室の外、通路で一人佇んでいた俺にマクギリスが話し掛けてきた。
「さっきの話は驚かされたよ。シン君が女の子だったとはね」
《俺にとっては手が掛かる妹って感じなんだよな》
ゴジラ側の思考に振りきれたアイツをそれとなく戻していたのが懐かしい。
「しかし一つの肉体に何故二つの人格が?」
《簡単な話さ、ゴジラは元々単体で完結している。つまり子孫を残す為の機能、雄雌なんかの区別が存在しない》
「ほう」
《そんなゴジラに俺という雄が混入した。元の均衡を保つ為には何が必用だ?》
「成る程、対となる女性人格が生まれる。それがシン君だったのか」
マクギリスが得心がいった表情で呟く。
《そういう事。まぁ俺が元になったから大分性格は男っぽいがな》
「私はてっきり男だと誤解していたよ。……しかしバルバトスの彼への献身っぷりもよく考えると」
《好きな相手に誉めて貰おうって頑張る女の子だよね》
「しかし、何故君が身体の主導権を握らなかったんだ?」
そこ訊いてくるか。
《……【クリュセの守護神】って伝説あるだろ?》
「あぁ有名だがそれが?」
マクギリスが続きを促す。
《あの称号、俺じゃなくてシンの事を言ってるんだよ》
つまり、
《俺が三百年前に火星に侵攻してきたモビルアーマーを一人で全て倒したってなってるけど、前半までは俺の話だけど後半はシンがやったんだよね》
「……?」
《最初の何機かは俺が倒したんだけど……反撃喰らってコックピットグサーってされて途中で俺死んだんだよね。で、その身体を生かそうと俺の阿頼耶識のゴジラ細胞が勝手に俺の身体使って敵を殲滅したってのが本当》
「…………」
《その時敵を倒してたのが今のシンだ》
《アイツは誰に何も教わる前に、失われそうになってる命を守る為に行動出来る奴だった》
後で意識が戻ってから、それを知った俺はこの人格に身体を譲り自分はそのサポートに回ろうと決意したのだ。
「シン君が最初ゴジラの姿だったのは?」
《急いで体力を回復させるべく形態変化して、ゴジラ寄りの姿になって地下で眠りについてたからな~。アイツの精神が生まれたてで俺も死にかけたりてたんでかれこれ三百年間ゴジラレーダーでただ人間の歴史を眺めるだけの装置になる羽目になったんだよね》