頭上の敵は殲滅したので再び第五形態へと戻る。
『三日月さん!昭弘にハッシュ!終わりました!』
『うん』
『た……助かった~……』
そこへ昭弘から通信が入ってきた。
『シン、早速だが団長から呼び出しだ、急いで戻るぞ』
『了解!』
レーダーで地上を探りアトラ達を探す。
直ぐに見つけたのでそこへ急行する。
『アトラ!クーデリアにフミタン!無事?』
「シン!こっちは無事だよ!」
「えぇ、私にフミタンも無事です」
『良かった……団長が呼んでるらしいから皆乗って!』
コックピットを開けて掌に乗せた皆を収納する。
……周りから何か聞こえてきた。
「おい……アレって広場に立ってた像の……」
「クリュセの……守護神……!」
「あの伝説の……?」
「伝説って?」
「ああ!」
「三百年前にクリュセに迫った危機を救ったらしいが……まさか本物を拝む日が来るとはな……」
……そんなに大袈裟に言われると照れるんだが。
あの時は特に深く考えずに戦ってただけなんだけどな。
そう考えている内に三人とも乗ったので、ハッチを閉めてクリュセの街から飛び立った。
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『何だこれは……?』
鉄華団の本部に戻った俺達の前には衝撃の光景が広がっていた。
本部の建物を巨大な植物が覆い尽くし、その上に何十本ものダインスレイヴが突き刺さっている。
驚きながらもアトラ達を下ろして俺も人型へと戻る。
「これって……シンが連れてきたあの薔薇かな?」
「……っ!」
確かに、ただの植物が重なった程度ではダインスレイヴは防げない。ならばこの植物は俺の遺伝子が入ったアイツである訳で。
急いで本部の裏へと羽を生やして飛ぶ。
よく観察すれば葉は茶色の枯れた色になっている。
「おい!無事なのか!?」
仲間が居なくなる。その思いを抑えながら本部の裏の薔薇の株を植えた場所へと到着する。
「…………そんな」
「あいつラ…………」
奪ワレタ。仲間ヲ。同類ヲ。
「あ…………あァ…………!」
思考ヲ殺意ガ支配シテイク。
「殺………」
スと言い掛けた所に枯れた植物の中から何かが飛び出してきた。
「えっ?えぇ!?」
慌てて受け止めると。
『…………!…………♪』
「お前……あの青い薔薇の!」
まるで植物版ゴジラといった容姿の小さな怪獣になっていた。
器用に八本の触手を使い歩いている。
「生きてて良かったー!!」
『!!』
嬉しさの余り抱き締める。驚いているのか?可愛い奴め。
「名前決めないとな。う~ん……」
『……?』
「ビオランテとかどう?」
何かふと頭に浮かんだ。これ以上なくしっくり来る。
『♪♪……!』
気に入った……のかな?
じゃれつくように肩に乗ってきたので落とさないように支えながらアトラ達の元へと戻った。
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戻ったら既に皆は居なくて、レーダーで探ると会議室に集まっていたので急いで通路を駆け抜け……
「という訳で新メンバーのビオランテです。よろしくね!」
『♪!』
会議室にビオランテを抱えて滑り込んだ。
「……?」
何故か皆固まってる。ビオランテを見ると、
『……??』
俺と同じ不思議そうな顔をしていた。
「あのー……皆さんどうかしました?」
俺が恐る恐る尋ねると団長が困惑した風に問い掛けてきた。
「その新メンバーは何処で拾ってきたんだ?」
「あの裏に生えてた青い薔薇が変化してこうなりました」
「そうか……(ゴジラだけじゃなくて植物も常識を捨て始めたか……)」
何か理解を放棄した表情をしている。……確かに昨日まで水をあげてた動く不思議青薔薇がゴジラっぽくなってたら驚くだろう。
「いや、オルガ!その前に驚く事があるだろうが!?」
ユージンが突っ込む。
「シンって女の子だったのかよ!?」
「あれ?ユージン知らなかったの?」
しれっと三日月さんが返す。
「知らねぇよ!?」
……そういえばこの姿、三日月さん達以外の皆に見せるの初めてだったね。
久しぶりにうっかり発動。
ビオランテ抱えた見知らぬ美少女が駆け込んできたらそりゃ固まります。
団長だけは潜入の関係で先に知ってました。