『ふー……流石に少し疲れたかな』
体力は問題無いが精神的な疲れだ。
……まぁ、一週間もぶっ通しで改修を続けたのだから当然であるのだが。
整備長は途中途中で何度も急に電池が切れた様に動きがガクッと止まり、数十秒後に「continue!」と叫びながら目を覚ましたりしていた。
途中心配になって簡単な診察をした所、気絶した瞬間に異常な量のアドレナリンが放出され、またその寝ている数十秒間に体力が驚異的な回復を果たしている事が分かった。
俺は心の中で勝手にこれを【
因みに今は改修が終わったので整備長は爆睡している。
「あ、シン。改修終わったの?」
『あ、ヤマギ。終わったよ』
ガレージから出ていくと丁度紫電の整備をしていたヤマギが声を掛けてきた。
「団長がシンの改修が終わり次第話が有るって言ってたよ」
『団長が?分かった、すぐ行くよ』
何かあったのだろうか?
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『団長~!話って何ですか!』
すぐに鉄華団本部へ行き扉から入る。
ユージンや三日月さんなど主要なメンバーが勢揃いしていた。
「来たか、シン」
「シンがガレージに籠っている間に色々あってね……」
ビスケットが俺が居なかった間にモンタークから連絡があった事を教えてくれた。
「ギャラルホルンから直々に七星勲章を渡しに来るって話が来ててな」
『七星勲章って……あぁ三日月さんと昭弘がモビルアーマーを倒したからですか』
「その通りだ。ギャラルホルン内ではそいつの数で席次が決まるらしいが……」
ユージンの言葉を引き継いでオルガが続ける。
「ギャラルホルンじゃない俺らには関係ねぇ。それでも奴等がわざわざ渡しに来るって事はウチの戦力偵察やゴジラ関係で来るので間違い無いハズだ」
『来るのはマクギリスじゃ……無いよね……』
「ラスタルの手下の一人、イオク・クジャンって野郎だそうだ」
『クジャンって事は当主の一人か』
「そうだ。因みにマクギリス曰く【権力を持った無能】だそうだ」
『最悪の存在じゃないですか』
「だな」
その後どう対策を取るか、という事を皆で議論していく事になった。
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会議が一端休憩になったタイミングで鉄華団本部の裏手にいる青い薔薇の様子を見に行く。
鉄華団の皆に一週間の間世話を頼んでいたのでちゃんと枯れずに青々と葉を伸ばしていた。
俺が近付くと葉っぱがゆらゆらと動く。
『久しぶり。一週間も放ったらかしてゴメンね』
近くの水道からホースを引っ張ってきて第五形態になって水を掛けてやる。
(………………!)
葉を振っているのは喜んでいるという意味なのだろうか。
(………………♪)
『じゃあね。明日からはちゃんと俺が世話するから』
(………!………♪♪)
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鉄華団がギャラルホルンのアリアンロッドから視察を受ける、という内容はテイワズにも伝わってきていた。
「親父、ギャラルホルンのガサ入れだ。奴等ガキ共は絶対にボロを出すハズだ。この機会にいっそギャラルホルン側に味方して……」
「ジャスレイ、話が有るっていうから付き合ってやったのにまたその話か」
「親父!目を覚ませよ!!コレが奴等を潰す絶好のチャンスでしょうが!」
「くどい!!さっさと俺の前から消えろ!!」
本気の殺意を込めて怒鳴り付けると一瞬怯んだジャスレイはそそくさと出ていった。
「……名瀬よ聞いてたか?」
マクマードの言葉に隣の部屋から名瀬が入ってくる。
「えぇバッチリとね。ジャスレイは必ず鉄華団にちょっかいを出すでしょうよ」
「只でさえラディーチェとか言う馬鹿な若造のせいでこっちの立場は弱いんだ。その上トップの一人が堂々と弓引いたんじゃ歳星を堕とされても文句は言えねぇ」
「鉄華団の作戦に乗っかるのが最上の選択肢ですかね」
マクマードの無言の頷きを見て、名瀬が退室する。
一人きりになったマクマードはポツリと呟いた。
「……ジャスレイよ、お前はゴジラの恐ろしさを何も分かっちゃいないんだ」